ビジネスパーソンインタビュー
平塚 知真子著『Google式10Xリモート仕事術』より
10%の改善は求められてない。Google成功の秘密と言われる「10X」とは
新R25編集部
多くのビジネスパーソンは、毎日Googleのサービスを使っているでしょう。
Gmailはもちろんスプレッドシートやドキュメント、スライドなど、ビジネスを進める基礎ツールとして活用しています。
しかし、これらのGoogleのサービスをすべて使いこなせているか?と聞かれて、自信を持って回答できる方は少ないはず。
実はGoogleにはこれらのサービス以外にも、会議を円滑にすすめるためのツールや、タスク管理にうってつけなメモツールもあります。
そんなGoogleのツールを使いこなすための指南書となるのが、昨年11月に発売してから現在第4刷まで決定している『Google式10Xリモート仕事術』です。
Google認定パートナーの平塚知真子さんは、同書のなかで「ツールを使いこなせば、リモートワークでも劇的に生産性が向上する」と語っています。
今回は同書より、Googleサービスを使いこなすためのノウハウを複数記事でご紹介します。
10%改善するより、10倍にするほうがカンタン
Google成功の秘密といわれる「10X(テンエックス)」。
ビジネスでは、前年より10%増の目標を目指すのが一般的です。
ところが、Googleでは吟味して算出した目標数値に、上司がおもむろに近づき、「0」を一つ書き足すといいます。
つまりこれが「10X」、10をX(かける)わけです。
「目標数値の10倍?そんな無茶な!」と思うでしょう。
ところが、「実は10%改善するより、10倍にするほうがカンタンだ」と言うのは、X(旧GoogleX)のアストロ・テラー氏。
アストロ・テラー氏:失敗を喜ぶことの意外な効果ーTED Talks
テラー氏はGoogleGlass(拡張現実ウェアラブルコンピュータ)や自動走行車など革新的なテクノロジーを開発するAlphabetの研究機関XのCEOです。
テラー氏曰く、「何かを10%ずつ改善していくアプローチを取ると、世界中の人たちが参加する頭のいい人コンテストに巻き込まれてしまう」。
実際、頭のいい人は世界中にごまんといて、みんなものすごく努力し、結果を積み上げています。
ところが、10倍の目標を設定した途端、今までと同じ方法ではとうてい達成できないので、まったく新しい方法を考えるしかなくなります。
テラー氏は「頭のよさではなく、クリエイティビティとストーリーテリングの筋肉を使ってみると、結果的にはるかにカンタンで効率的に答えにたどり着ける」と言います。
クリエイティビティ(創造性)とは、今までやったことのない方法や、まったく異業種の専門家と協力してみるなど、考えてもみなかった方法を試し、発見する力。
ゼロから考えるより、異種の2つをかけ合わせる発想力。
つまり、コラボレーションがカギを握るのです。
ストーリーテリング(物語の力)とは、「こんな未来が実現できたら最高」という妄想を、過去・現在・未来につながるストーリーの中に落とし込んで語る方法です。
私たちはなぜ、この困難に立ち向かい、これからどこへ向かおうとしているのか。
その答えを関係者とイメージで深く共有する方法です。
Google成功の秘密は、10Xを本気で実現しようとする人の想いの強さにあります。
単にテクノロジーを進化させることを目的とせず、大きなインパクトを社会に与える、今までにない革新的なサービスを生み出すことに、Googleの破壊的な原動力を感じます。
「さっさと失敗しろ」という文化がGoogleで生まれた理由
2019年に日本で初めて開催されたGoogleのイノベーターアカデミーでは、「デザイン思考(Design thinking)」が紹介されました。
デザインというと、「デザイナー以外関係ない話では?」と思いがちですが、本来この言葉には「設計する」という意味があり、創造的な問題解決のプロセスを指すものです。
デザイン思考とは、Googleをはじめ大企業が多数採用している「利用者がまだ気づいていない本質的なニーズを見つけ、変革させるためのイノベーション思考」といえます。
世の中には綿密に計画し、正確な予測を立て、正確な企画書をつくり、リスクを考えてからでないと始められない人が多いのですが、そうしていると時間だけがすぎていきます。
デザイン思考のワークでは、「観察」→「アイデア出し」→「試作」→「テスト」を繰り返し、できるだけ早く実行する。
Googleでは「Fail fast.(さっさと失敗しろ)」が合言葉。
失敗を避けようとするのではなく、むしろすぐに失敗してその失敗から学ぶべしということです。
失敗すると落ち込む…のではなく、次のアクションにつながるうまくいくものといかないものを見分けるために、失敗が必要という考え方です。
Googleでは、フェイル・ベル(失敗の鐘)を使って失敗をお祝いする文化があります。
これはGoogleのイノベーターアカデミーに参加した先生からお預かりした実物。
フェイル・ベル
誰かが失敗すると、「失敗、おめでとう!」とベルを鳴らして盛大に祝うのです。
こうしたオープン・マインドな文化が、Googleの10Xを支えています。
今までの常識では、完成させ、完璧な状態になってから人に見せるべきところですが、Googleでは、
Google式10Xリモート仕事術「できていないところ、未完成な部分があっても大丈夫!全部見せ合い、仲間の力を借りて、もっとよくする」
「早く学ぶことが大事」
という考え方が大切にされているのです。
Googleが一番大切にしている原則
Googleが一番大切にしている原則は、“Focus on the user and allelse will follow.”
意味は、ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
Googleの新入社員は、必ず10Xについての研修を受けるそうで、私もシドニーの研修で直接教わりました。
具体的には、ユーザーと対話しながら共感するのがポイントです。
耳を傾け、観察し、理解し、共感し、統合し、それを可視化できるよう洞察します。
デザイン思考の核となる原則の一つも、ユーザーを理解することです。
グーグラーたちの書いたコラムやブログ、本のさまざまな箇所にこの原則が登場するのを見れば、Googleがいかに本気でこの原則を重視しているかがわかります。
さらにこの原則は、Google公式サイトの「Googleが掲げる10の事実」の最初にも掲載されています。
ぜひあなたもGoogle検索でこの「10の事実」を検索してみてください。
ここでは詳細を紹介しませんが、サイトでお読みいただくと、また新しい発見があるかもしれません。
Googleがこの「10の事実」を策定したのは、会社設立から数年後のこと。
グーグラーは、常にこの原則に沿うよう努めているのです。
Googleのように世界中に正社員が10万人以上もいる大企業になれば、会社のビジョンがなかなか伝わりにくくなるはずなのに、社員一人ひとりに浸透しているのはすごいことだと思います。
「第1ボタン」をかけ違えると、その後のボタンは全部ズレてしまいます。
Googleにとっての第1ボタンはユーザー。
誰のために、なぜそれを実行するのか、誰のためのサービスなのか、絶対に間違えてはいけない重要なメッセージです。
Googleで効率化
誰もが一度はGoogleを使ったことがあると思います。
ですが、今回紹介した方法の中でも、“便利なのに知らなかった知識”があったのではないでしょうか。
同書では、そんな誰もが知らないGoogleの底知れぬ実用法がたくさん紹介されています。
IT化が進む今だからこそ、ぜひ同書を手にとってGoogleをフル活用してみてはいかがでしょうか。
あなたの生活にイノベーションが起こるはずです。
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