ビジネスパーソンインタビュー
堀江貴文著『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』より
このままでは、日本は糖尿病大国になる。ホリエモンが提唱する、20代からすべき「予防法」
新R25編集部
「まだ若いから病気のことは心配しなくても大丈夫」...そう思って、ろくに運動もせずに血糖値を上げる食べものばかり食べていないでしょうか?
そのような生活が続いているなら、もしかすると、あなたはすでに「糖尿病予備群」かも...!?
実業家の堀江貴文さんは、糖尿病のことを「気がつかないうちに、人生が壊れてしまいかねない病気。しかも、治療しても完治しない病気。それが、糖尿病です」と警鐘を鳴らします。
糖尿病がどれだけ恐ろしい病気であるか、ピンとこない方もいるかもしれません。
まずは堀江さんの最新刊『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』(祥伝社新書)より、こちらの漫画をご覧ください...
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた
いかがですか。
糖尿病で何よりも怖いのは、自覚症状なく進行する「合併症」です。
足の壊疽による「切断」や、神経障害による「失明」を余儀なくされる場合も...
しかし、ちょっとした日常生活の工夫で、糖尿病予防が可能だそうです!
今回は、同書より「20代からできる糖尿病予防」を一部抜粋してお届けします。
【食事編】やってはいけない食習慣3選
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「糖尿病治療の根幹は食事と運動です。
これは予防も同様です。
ですから、糖尿病が疑われる人・糖尿病の診断を受けた人には、まず食事・運動など生活習慣の改善の必要性を説明します。
必要に応じて薬物療法も提案しますが、食事と運動を見直すことで、治療目標を達成される方も少なくありません」
こう語るのは、岐阜大学大学院医学系研究科の矢部大介(やべだいすけ)教授。
専門は、糖尿病に代表される生活習慣病の食事療法と、その教育だ。
矢部教授に糖尿病予防で「やってはいけない食習慣」を挙げてもらった。
やってはいけない食事① スイーツ・菓子・果物などの間食
「間食は、糖尿病の大敵です」と、矢部教授は言う。
間食に摂られるものはスイーツ・菓子・果物などが多いが、これらは糖質のなかでも果糖を多く含む。
果糖は1日100g以内なら、血糖上昇や体重増加をさせないが、摂りすぎると糖尿病を悪化させるそうだ。
とはいえ、「甘い誘惑」は断ちがたい。
なんとか、なりませんか。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「1カ月に数回、『デザートの日』をもうけるのはいかがでしょう。
デザートを食べる分だけ昼食を減らし、昼食後にデザートを堪能するのです。
日中はエネルギー消費が盛んで、デザートで摂ったカロリーを消化しやすいですから。
ただし、糖尿病患者さんの場合、薬物療法とのかねあいもあるので、実践前に必ず主治医に相談してください」
1日のなかで果糖を摂るタイミングも重要だ。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「夕食後に果物を食べるのは、なるべく避けていただきたい。
果物に含まれている果糖は過剰に摂取すると、肝臓で脂肪の合成を促進し、肥満や脂肪肝を来たします。
夕食後ではなく、朝食・昼食時に手のひらに収まるくらいの量が最適です」
やってはいけない食事② 炭酸飲料・ジュース・缶コーヒーなどの常飲
糖尿病予防を考えた場合、糖分を多く含む炭酸飲料・ジュース・缶コーヒー(加糖)などの清涼飲料水の常飲は避けるべきだ。
これらには、果糖やショ糖(砂糖の主成分でサトウキビなどから抽出する)などが多く含まれているからだ。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「腸にはさまざまな種類の腸内細菌が生息していますが、人工甘味料を多く摂取すると、いわゆる『デブ菌』が増えることもわかっています。
なお、『ゼロカロリー』は栄養表示基準にもとづいて、100ml(g)あたり5kcal未満の食品に対して表示することができます。
つまり、『ゼロカロリー』でも、多量に摂れば一定のカロリー摂取になってしまうのです」
やってはいけない食事③ 休肝日なしの飲酒
お酒は食欲を増進させ、カロリーも低くないから、糖尿病予防の大敵だ。
特に、ビール・ワイン・日本酒など、原料(麦・ブドウ・米)をアルコール発酵させた醸造酒(じょうぞうしゅ)は、原料に含まれていた糖分・アミノ酸・ビタミンなどが残っており、血糖が上がりやすい。
いっぽう、焼酎・ウイスキー・ジンなど、醸造後に蒸留(成分を分離)する蒸留酒(じょうりゅうしゅ)は糖分が少なく、血糖が上がりにくいとされている。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「それでも、1合程度にしておいたほうがいいでしょう。
もちろん、個人差が大きいですし、避けられない会合もあるでしょう。
ですから、連続して痛飲することは避け、飲酒せずに肝臓を休める『休肝日』を設けるなど、お酒と上手につきあってほしいですね」
【運動編】テレビを観れば観るほど、糖尿病になる⁉
運動療法を取材するべく、僕は東京都済生会中央病院に足を運んだ。
迎えてくれたのは、同病院糖尿病・内分泌内科部長の河合俊英(かわいとしひで)医師だ。
河合医師によれば、近年、テレビを観る時間が多ければ多いほど糖尿病になりやすいというデータが複数出ているという。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「テレビの視聴を座位、すなわち座っている時間ととらえて、その時間の長短で比較します。
具体的には、1週間の視聴時間が1時間未満・10時間未満・40時間以上の人の10年後を比較すると、40時間以上の人は糖尿病の発症リスクが3倍近くになったというデータもあります」
日本人は、座っている時間が世界でもっとも長いと言われている。
その大半はデスクワークであり、これを減らすのは難しいだろう。
さらに、コロナ禍で在宅ワークが増え、ますます歩く時間が少なくなっている。
このままでは、日本は糖尿病大国になってしまうのではないか。
河合医師に聞いてみた。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「2016年頃から、座りすぎによる糖尿病発症リスクを軽減する方法が報告されるようになりました。
たとえば、デスクワーク中に30分に1回、数分間立ち上がって伸びをするだけで、血糖値を下げる効果があることが報告されています。
つまり、ごく簡単な運動でも、効果が認められることがわかった。
しかも、この研究は糖尿病になっていない方を対象にしたものですから、糖尿病予防に有効と考えられます。
逆に、激しい運動を短時間行なった場合に糖尿病発症リスクが軽減するかについても、世界で研究が進められています。
具体的には、健常者が激しい運動を60秒行ない、60秒休むを1セットとして1日10分程度、週2〜3回行なったところ、16週間後にインスリン感受性が改善しました」
糖尿病予防における、運動の重要性をおわかりいただけただろうか。
すぐにできて効果大の運動① 大股歩き
実践編として、河合医師に「すぐにできて、効果が大きい運動」を教えていただいた。
ふだんの歩く速度を変える――。
これだけでも十分、予防効果がある。
具体的には、歩幅を今よりも5〜10cm広げて、ややきつく感じる速度で歩く。
たとえば、通勤で自宅から駅まで歩いて15分かかるところを、1分縮めて14分で歩くことを目指すのだ。
河合医師は、歩くことの大切さを力説する。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「歩く機会の減少は運動量の低下につながり、糖尿病など生活習慣病の発症の一因になっていると思われます。
実際、糖尿病の都道府県別の死亡率を見ると、車よりも公共交通機関の利用が多いと思われる都市部のほうが低い傾向にあります」
すぐにできて効果大の運動② 両腕ぐるぐる巻き運動
忙しくて「運動」する時間がなければ、通勤・通学・家事などの「生活活動」で、体を動かす時間を増やせばいい。
そのひとつとして、河合医師がすすめるのが、勤務中に簡単にできる「両腕ぐるぐる巻き運動」だ。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「患者さんに1日に数セットしていただいていますが、血糖値改善などの効果があります。
楽そうに見えますが、翌日、筋肉痛になる人もいます」
僕も前巻き、うしろ巻きを8秒ずつ1セットやってみたけど、けっこうきついわ。
【睡眠編】睡眠時間は短くても長くても×
肥満が過食・運動不足が原因で起こることはよく知られている。
しかし、睡眠時間が肥満にかかわることは、あまり知られていない。
「睡眠時間が短いと、体重は増える傾向にあります」
と言うのは、愛媛大学総合健康センターの古川慎哉(ふるかわしんや)教授。
古川教授は、糖尿病と睡眠の関係を研究しており、その名は国内外で知られている。
僕は、古川教授にリモート取材を行なった。
なぜ、睡眠時間が短いと体重は増えるんですか。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「睡眠時間が短いと、胃から食欲を増進するホルモンのグレリンが分泌されます。
その量が上昇するにしたがい、食欲を抑制するホルモンのレプチンの分泌量が減少していく。
つまり、食欲が増して過食を招きやすくなるわけです」
ということは、睡眠時間は長いほうが糖尿病になりにくいわけですね。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「いえ、睡眠時間が長すぎても糖尿病発症リスクは高まります」
つまり、短時間睡眠でも長時間睡眠でも発症リスクは高くなる。
糖尿病発症後に合併症になりやすい人も、同様の傾向にある。
では、糖尿病予防に最適な睡眠時間はどれくらいなのか。
2005年、アメリカの内科学会雑誌に、睡眠時間と糖尿病の関係を調べた研究結果が掲載された。
それによれば、7〜8時間がもっとも有病率が低く、5時間以下がもっとも高いが、9時間以上も高かったという。
また、7時間睡眠が生活習慣病になりにくく、死亡リスクがもっとも少ないという研究もあるそうだ。
つまり、7時間前後が最適ということだろう。
糖尿病予防で実は大切な「枕選び」
快眠のためには枕選びが重要だ。
素材や高さなど、「良い枕」について、古川教授に聞いてみた。
糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた「良い枕とは、いびきをかかない枕です。
素材や高さは人それぞれでしょうが、いびきをかかないこと、これに尽きます。
いびきを軽視してはいけません」
古川教授によれば、いびきには病気が隠れていることがあるそうだ。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に1時間あたり5回以上、呼吸が10秒以上止まったり、浅くなったりする病気で、激しいいびきをともなうことが多い。
睡眠時無呼吸症候群は心臓病や高血圧の要因となるだけでなく、糖尿病発症リスクが1.62倍になる。
無呼吸によって酸素濃度が低下すると、交感神経が活性化してインスリンの効きが悪くなる。
この状態が夜間ずっと続くことで、糖尿病の発症リスクを高めるのだ。
国民の6人に1人が糖尿病/糖尿病予備群。今から正しい知識を持っておこう
『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』(祥伝社新書)は、糖尿病の基礎情報から最新医療まで図解や漫画で分かりやすく解説されていて、初めて糖尿病のことを知るのにおすすめの一冊。
糖尿病は国民の6人に1人が罹患している病気なので、心配がある人もそうでない人も、一般知識として理解しておくことが大切です。
自分はもちろん、家族や友人などを糖尿病から守るためにも、読んでみてはいかがでしょうか?
ビジネスパーソンインタビュー
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