ビジネスパーソンインタビュー
阿部 広太郎著『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』より
「違和感を見つけましょう」→どうやって?コピーライターが教える“心のざわつき”可視化法
新R25編集部
ペストの渦中、休校期間を“創造的休暇”と解釈して「万有引力の法則」を発見したニュートンの発想に「ビビッときた!」という、コピーライター・作詞家の阿部広太郎さん。
ニュートンのように「自分なりの解釈」を持つことで、誰でも“自由への翼”を手に入れられる...そんな思いから、“解釈の練習をするための本”を書いたのだそうです。
東進ハイスクール・林修さんの「今でしょ」が話題になったCM「生徒への檄文」篇の制作に携わった阿部さんが紡ぐ話題の新著『それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』から、その一部を抜粋してお届けします。
世の中に感じる“あなただけの違和感”に名前をつけてください
「さあ、今から違和感を見つけましょう!」
そんな風に勢いよく言われても、正直困惑してしまうと思う。
もしそんな講師の人がいたら「今」まさに違和感を覚えましたと、さっと距離をあけるだろう。
違和感は、ふと、気づくものであり、何かの拍子に現れるものだ。
「ふと」は、当て字で「不図」と書く。
意図せず、図らずも日常の中でふと舞い降りてくる何かをつかまえられるかどうかが大切になる。
こんな問いをワークショップで出した。
世の中に感じるあなただけの違和感に名前をつけてください。
これから紹介するのは、集まってきた違和感の名前を
「仕事・働き方」「メディア」「SNS」「生活・日常」「社会」
この5つに分類し、それぞれにつき3つずつ紹介していく。
自分の心に名前をつけること。
それは、洋服を選ぶように心の声に言葉を選ぶ感覚だと僕は思っている。
違和感への名付けはどれも、心のざわつきにしっくりくる言葉を選んでくれている。
「ああ、確かに!」と共感できるものもあれば、「ん、そうかな?」と逆にそれこそ違和感を覚えることもあるかもしれない。
どちらにせよ、自分がどう思うかに心を配れたらと思うし、日常に対して「こういう見方もあるのか!」という発見があなたの中に生まれたら嬉しい。
「仕事での違和感」に名前をつけたら...
【会の不時着】
会議で右往左往して結局何がまとまったかわからないまま終わりを迎えてしまう現象。
「じゃ、そういうことで」で締められることが多い。
宴席においても「え、今日の会なんだったの?」と、不時着は起きがち。
【スタートだけダッシュ!】
出社時間、会議の開始時間など、スタート時間はかなり厳格。
数分の遅れも許さずダッシュではじめるのに対して、終了時間はあまり気にせず、ダラダラしてしまっている様子。
【社会人=企業人?】
日本は「社会人=企業人」のように捉えているような気がする。
それは、すごく狭いくくりだなとも思う。
フリーランス・個人事業主の人も多くいるし、もっと「社会人」の多様な在り方が知られていくといい。
「メディアでの違和感」に名前をつけたら...
【情報飲み放題感】
ネットにあふれる情報の「かむ必要のない飲み物感」と、不必要にあふれ出てくる感じ。
本当は飲み放題だってそんなに飲めないし、かえってお腹が痛くなりそう。
【関心という名の干渉】
関心を持つこと=意見を発し、干渉することと捉えている人が多い。
それに伴い、スキャンダルの報道も加熱しているように感じる。
干渉せず、そっとしておくことがその人のためになることもあるのではと思う。
【早送りでいいのか問題】
映画やドラマを早送りする人が増えているそうだ。
観るべき作品が多いから?
時短になってコスパが良いから?
その気持ちはわからなくもないが、沈黙や余韻の演出はこれからどうなってしまうのだろう、と思う。
「SNSでの違和感」に名前をつけたら...
【多SNS人格】
Instagramのあなたと、Twitterのあなた。
別人になっていませんか?
多重人格というより、今は、SNSによって変わる人格があるのではないだろうか。
【突撃!なんでも判定団】
SNS上で、他人のリプ欄に突撃し、なんでもかんでも判定する迷惑な人たち。
まったく関係ないのに「僕は良いと思います」「それは嘘」などとジャッジを下す。
【アイコンコンタクト】
SNSの普及により、目と目が合うというよりも、アイコンとアイコンで向き合い、人がつながるようになった。
想像以上に目は嘘をつけないが、アイコンは嘘をつけてしまう。
「生活・日常の違和感」に名前をつけたら...
【払い放題】
スポーツジムや動画配信サービスなど月額料金を払いながらも、利用しないでいる状態。
また、払っていることさえ、忘れてしまっていることがある。
【一人、二人、みんな理論】
「みんなが言ってた!」とよく聞くけれど、それって実際まわりの何人が言っているのだろう?
「一人、二人、みんな」と言うけれど、言っているのは広い世界でまわりの三人だけかもしれない。
【隠れプラ】
レジ袋は有料になったのに対して、お魚やお肉を入れるビニール袋はなぜだかいまだに取り放題であることに、もやっとする。
「社会への違和感」に名前をつけたら
【らしさの押し売り】
「自分らしさを大切に」とはよく言われるけど、らしさを考えれば考えるほど肩に力が入ってしまうし、かえって自分をしばってしまう気がする。
【普通理想主義】
慣れが「普通」を作り、「普通」が次第に思考を停止させてしまう。
人それぞれ普通は違うのに、押し付け合ったり、一つの理想としたりする空気はどうなのだろうか。
【人生に、一時停止ボタンがあっていい】
今、生き急ぐ人が多いのではないだろうか?
もっとマイペースで良いはずだし、本当は、一時停止してもいいんじゃないか?
旅に出てもいいし、大人になってから大学に行くのもいい。
何にもしない時間があってもいいんだ。
違和感とは、大きめの靴。“心の声”を発して「ぴったりの靴」を履こう
ここに紹介してきた「違和感」を読んでみて、あなたの中にどんな思いが浮上しただろうか?
それを何よりも大切にしたいと僕は考えている。
留学中、上手くいかないことがあって悩んでいたら「自分に合う靴探し」をしているんだよって現地の友人が表現してくれたんです、と教えてくれた人がいた。
「違和感」には「居心地の悪いさま」という意味もある。
それをどうにかして居心地を良くしていく方法はあるはずだ。
受け取ったそのサインは、理想の自分への道のりをつくる。
あなた「だけ」の違和感に名前をつけてください。
わざわざ僕が「だけ」とつけたのは、違和感はだれに遠慮するものでもなく、あなたがそう感じたのであればキャッチしてほしいという思いを込めていた。
そして、こうも思う。
この広い世界で、あなた一人だけが感じるということはない。
どこかに同じ思いを抱いている人はきっといる。
その人と出会うためにも、心の奥底に眠らせておくのではなく、心の声を発してほしい、そう思っている。
「誰かの出した正解」から解き放たれる、心ほぐれる一冊
同書は、読み終わった頃には心がほぐれて、自分を肯定したくなるような一冊です。
誰かのもっともらしい発言を受けて「そういうものなんだ...」と自分に言い聞かせてしまいそうになるとき、“自分なりの解釈”を見いだす一助となるはず。
それ、勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習<こんな人におすすめ>
・自分の人生や将来についてモヤモヤしていることがある
・他人の意見を聞きすぎてしまう
・やりたいことがわからない
心当たりのある方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
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