ビジネスパーソンインタビュー
「人間は引き出しがたくさんあるほうが楽しい」
「アドレス13回変えて、まわりの人を変えた」加護亜依にきく“自分らしく”いるためのコツ
新R25編集部
世間で活躍している人は、どこかしら自分らしい“軸”を持っている感じがしますよね。
求められるがままに仕事を頑張ってきたけど、ふと「自分の“軸”ってなんだろうか?」と思う…そんなビジネスパーソンは多いはずです。
そんなことを考えながら、筆者が今回お話を聞いたのはこの方。
【加護亜依(かご・あい)】1988年生まれ、奈良県出身。2000年、4期メンバーとして最年少12歳でモーニング娘。に加入。グループ内ユニット「タンポポ」や「ミニモニ。」でも活躍し、幅広い世代に人気を博す。卒業後は女優やジャズシンガーとしても幅広く活動の場を広げる
当時最年少の12歳でアイドルグループ「モーニング娘。」に加入し、キュートな姿と歌声でファンを魅了しつづける加護亜依さん。
波瀾万丈なキャリアを送り、「やりたくない仕事もあった」と語る加護ちゃんに、これまでを振り返っての「自分なりの“軸”のつくり方」を聞いてみました。
〈聞き手=いしかわゆき〉
ダークな部分も含めて…すべて自分の「素」
加護ちゃんドンピシャ世代の筆者。マジでかわいすぎて死にそう
いしかわ
今日は「自分の軸」というテーマでお話を聞かせてください!
そもそもですが、加護ちゃんはどうしてアイドルになろうと思ったんですか?
加護さん
うーん…私、アイドルっていう感覚はそんなにないんですよ。つんく♂さんからも、「モーニング娘。はアーティストだから口パクは一切しない」って叩き込まれてますし。
いしかわ
なるほど。
加護さん
ただ、天性のぶりっこだから、人前には出るべくして出たって感じです(笑)。
私、ぶりっこには3種類パターンがあると思ってて…
加護さん
ひとつは、もともと自分のことを好きじゃなくて、自分を好きになりたいからぶりっこしている人。ふたつめは誰かに好かれたいからやってる人、そして私のような天性のぶりっこ。
私みたいなタイプが一番危ないんですよ。深いことを考えずに、なんでも本能でやってしまうから!
いしかわ
(反応しづらい)
加護さん
復帰したときに、中森明夫さん(アイドル評論家)に言われたんです。
「勝新太郎は私生活メチャメチャだけど、“芝居やらせたら天才”の役者バカ。加護ちゃんも、スキャンダルいっぱいだけどプリティーの天才。プリティーバカだ!」って。
いしかわ
そこに並びます!?(笑)
勝新太郎=1931~1997年。下着の中に大麻を隠し持っていた事件で「今度からパンツは履かないようにする」と語ったり、ガンを公表した記者会見で「タバコはやめる」と言いながら喫煙したり、豪快な伝説多数の超大物俳優。中村玉緒さんの夫としても有名
加護さん
自分が、そのまま出ちゃうって意味ではまさにそうなんですよ。
悪い報道がされるたびに、「加護ちゃんがグレてしまった!」とか言われてたけど、違うんです。それも、私の素なんです。
私はもともとダークな部分を持っているし、中身が“ロック”っていうか…(笑)。
いしかわ
ロックな軸があったんですね…
加護さん
子どものころから“芸人気質”なところはあって、人をハッピーにしたいと思う自分もいますけどね。でもダークな自分もいるから、ギャップが激しい(笑)。
メンバーはそこをちゃんと見抜いてくれていて、「ブラックぼん(ブラックなあいぼん)出てるよ~」なんて言われたりしていたので、だからモーニング娘。は居心地がよかったです。
「どうやったってあややに勝てないでしょ!?」アイドル時代は“まわりとは違う方向”で攻めようとした
いしかわ
ちなみに、「アイドル」としての自分の軸は?
加護さん
軸…というか、いろんなシャッフルユニットを組むなかで、まわりとは張り合わないようにしていましたね。だってどうやったってあやや(松浦亜弥)に勝てないでしょ!?
“平成最後のソロアイドル”と称された松浦亜弥さん。実は加護ちゃんより半年間だけ後輩です(豆知識)
加護さん
そんなとき、たまたま辻ちゃんと一緒にキティちゃんの着ぐるみを着る仕事があったときに、「キティちゃんとか、ドラえもんとか、丸いものって愛されるんだな…」「そうだ! 私もそうなろう!」とピンと来たんです。
ふたつ結びだったのをお団子に変えて、辻ちゃんと「どっちが太れるか勝負」をして、できるだけ太ろうと頑張ってました(笑)。
いしかわ
たしかに当時の加護ちゃんはふっくらしててかわいらしいなぁと思っていたんですけど、わざと太ってたんですか…!?
加護さん
そう(笑)。私は“まわりとは違う方向”で攻めようと思ってました。
そうやって、ずっと太ってたら「三人祭」っていう3人組ユニットでセンターになっちゃって…。お腹が出てる衣装で、「石川梨華ちゃんと松浦亜弥ちゃんの2人に挟まるなんて、罰ゲームじゃん!」って泣いたんですけど、つんく♂さんには「それがいいから。ふふ」って言われて、全然意味がわからなくてまた泣いて…
まぁ結果的には皆さんから「かわいい」と言われたので、やっぱり太っててよかったのかも…
「あそこに張り合わなくて、よかった(笑)」
「アドレス13回変えた」ネガティブだった“復帰後”から、抜け出したきっかけ
いしかわ
モーニング娘。を卒業されてからは映画に出られたり、ジャズを歌ってみたり、ときにはセクシーな写真集を出されたりしていましたが、これは「自分の軸」という話で言うと、どうなんでしょうか…?
加護さん
やりたくてやった仕事もあるけど、そうじゃないのもありました。「NO」って言えなかったんですよ。特に復帰したとき。
スキャンダルもあったし、断ることで「できないんだ」と思われるのがすごく嫌だった。当時は葛藤ばかりでした。
いしかわ
会社員でも「できないと思われたくないから仕事を断れない」ことってよくあるので共感します…
そんな「NO」と言えない状態から抜け出したきっかけはありましたか?
加護さん
それは…、まわりにいる人を変えましたね。
当時、携帯のアドレスを13回変えたんですよ。
いしかわ
13回も!
加護さん
復帰したときは、まわりに変な大人がいっぱいいたんですよね。それで、意図的に関係を断ち切ったんです。
いしかわ
人間関係の断捨離を…
加護さん
でも、アドレスを変えても誰かに教えたらまたそこからつながっちゃうじゃないですか(笑)。いやこっちはコネクトしたくないんだってば!みたいな(笑)。
でも、そうやってまわりにいる人を変えてみたら、不思議と考え方が変わってきたんです。
加護さん
私はもともとネガティブなんですけど、今の主人がめちゃくちゃポジティブ精神なんですよ。
正確には、根はネガティブだけど、口ではポジティブなことを言う人なのね。そうすると…ニュートラルになるんですよ。
いしかわ
ニュートラル!
加護さん
ネガティブな人って、心からポジティブにはなれないと思うんですよ。それに、「ポジティブでいようぜ!」みたいな過剰なポジティブ精神ってちょっとしんどいから。
だからせめて、ポジティブにならなくても、ネガティブなままでポジティブな言葉を口にしていれば、ちょうど中和されてニュートラルになれるんです。「ネガティブポジティブ」みたいな(笑)。
いしかわ
ネガティブポジティブ…わかるような気がします。
加護さん
ニュートラルでいられたら、落ち込むことはないし、自分の好きな自分でいられるようになりましたね。
「自分を信じて…」頑張るための“軸”がわからなかったときに救われた、あのフレーズ
いしかわ
私はやりたいことの軸がないんですけど、「芯がないなぁ」「流されてるなぁ」と感じてて…加護ちゃんもそんなふうに悩むことはありますか?
加護さん
流されればいいってめっちゃ思いますよ。
時代は本当にあっという間に変わるから、流されて、流されて、最後は波乗りしていればいいんじゃないかな。
着地点がOKだったらOKなの!(笑)
加護さん
今、私のYouTubeチャンネルを手伝ってくれている人のなかには、小学校の先生もいるんです。人間は引き出しがたくさんあるほうが楽しいし、ひとつにとらわれないのはすごくいいと思う。
芯があろうがなかろうが、それって誰かに見せるものじゃないからね。
最終的に自分のなかで見つけていけばいいから。
いしかわ
人に比べて、とか考えすぎなくていいのか…
加護さん
私、モーニング娘。に入ってすぐに“なんで頑張るんだろう…”みたいに悩んでた時期があったんですけど、あるときライブにつんく♂さんが観に来てくれて。
つんく♂さんは「毎回来ます」って決まってるわけじゃなく、ゲリラ的に来るんですけど…
加護さん
「今日すごい頑張ってたな。自分を信じていくのだぴょん!」とメールをくださったんです。
いしかわ
名言…!
加護さん
そのときに初めて、「誰かが見に来るから頑張るんじゃなくて、自分のなかで日々頑張って、その結果を見てもらうんだ」って気付いたんです。
目の前のことを一生懸命やっていれば、それがだんだんと積み重なって今の自分になっていくんですよ。
加護さん
「加護ちゃん」っていう存在は、当時のファンの人や、スキャンダルを起こしたときや、それぞれで「期待されているもの」が違って。昔はちょっとしんどかった。
でも、「波に乗りながら、何かを積み重ねられればいいや」と思ったら楽になったんです。
今はモーニング娘。時代を知らなくて、YouTubeを見てファンになってくださった方もいる。どれも自分だし、自然体でいていいんだなって思えるようになりましたね。
「流されて、流されて、最後は波乗りしていればいい」
そう加護ちゃんは笑って言いましたが、個人的にはとても重みのある言葉に感じました。まさに今、流されるままに生きていると感じている人にとって、めちゃくちゃ励みになるんじゃないでしょうか…。
「10年間いろんなことをやった結果、やっぱり自分は歌が好きだと気付いた」という加護ちゃんが開設した『加護ちゃんねる』では、加護ちゃんがさまざまな名曲をカバーしています。
キュートなキャンディボイスはそのままに、ますます力強く、艶っぽくなった素敵な歌声をぜひ聴いてみてください!
〈取材・文=いしかわゆき(@milkprincess17)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
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