ビジネスパーソンインタビュー
お酒との付き合い方…あなたは大丈夫?
「もう一滴も飲まない」は、全然抜け出せてない証拠。小出恵介が“お酒を嫌いにならない”理由
新R25編集部
「酒癖が悪い」…と聞いて思い浮かぶのは、会社の上司? 友達?それともあなた自身?
社会人にとって「お酒」は切っても切り離せないものですが、付き合い方を間違えると、取り返しのつかない失敗につながってしまうことも。
今回新R25は、お酒によってあぶり出される人間の本当の弱さや愚かさ、現代社会の闇を描くABEMAオリジナルドラマ『酒癖50(フィフティ)』の主演に抜擢され、4年ぶりにドラマ復帰した俳優・小出恵介さんに取材。
芸能活動休止を経て、お酒との距離感が大きく変わったという小出さんに、お酒が大好きで過去に何度か手痛い失敗をしたことがある私宮内が、お酒との向き合い方を指導していただきました。
〈聞き手=宮内麻希〉
【小出恵介(こいで・けいすけ)】俳優。1984年生まれ。2005年、日本テレビ系ドラマ『ごくせん』でデビュー。同年、映画『パッチギ!』に出演し注目を集める。以降、TBS系ドラマ『ROOKIES』、フジテレビ系ドラマ『のだめカンタービレ』、TBS系ドラマ『JIN-仁-』、NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』、映画『僕の彼女はサイボーグ』、映画『風が強く吹いている』などさまざまな作品に出演
小出さんがお酒で学んだ教訓「“なぜ飲むのか”を知れ」
宮内
4年ぶりのドラマ主演、おめでとうございます。
小出さん
ありがとうございます。
僕に「お酒があぶりだす人の弱さ」というテーマのドラマオファーが来るなんて…まあビックリしましたね…!(笑)
宮内
作品内では、「お酒の失敗」を通して教訓が描かれていきますよね。
小出さんご自身が経験から学んだ「お酒の教訓」があれば、若者読者にアドバイスをしていただきたいです…!
小出さん
僕に言えるとしたら…「何のためにお酒を飲むのか」を理解したほうがいいということですね。
宮内さんは普段、お酒を飲まれますか?
宮内
実は私もすごくお酒好きで、けっこうよくない飲み方をしてしまうことがありますね。
それこそ『酒癖50』に出てきてもおかしくないような…
小出さん
よくないっていうのは、どういう?
宮内
前歯を折ってしまったりとか。
小出さん
…えっ?
「前歯を折る!? どういう飲み方!?」小出さんを動揺させる宮内
小出さん
ちなみに、人と飲むのが好きなんですか?
宮内
それも好きですが、家でひとり飲みもします。
小出さん
それは、「なぜ」飲むんですか?
宮内
仕事のストレスから解放されたいとかですかね…?
最近はとくに、基本在宅勤務で仕事とプライベートの明確な区切りがないので、お酒を「オフモードに切り替えるスイッチ」にしてるというか…
小出さん
なら、お酒以外の「オフモードに切り替えるスイッチ」になるものを、必ず見つけてください。
お酒に飲まれないためには、「飲む目的」を知って、それをほかのツールでも満たせるようになることが一番大事なんです。
「お風呂に入る、いい匂いを嗅ぐ、ご飯を食べる。なんでもいいです」
小出さん
「お酒を飲む」ことでしか満たせないから、依存してしまうんですよね。
「オフモードに切り替えたい」気持ちは、僕にもありました。飲むことでやっと力が抜けて、交感神経が落ち着くというか。
でも、そのスイッチが「お酒」しかないと、どんどんお酒に頼るようになってしまう。
宮内
たしかにかなりの頻度で晩酌してるし、一度飲み始めたら基本飲みすぎちゃってます…
小出さん
ちなみにそれは、どうして「飲みすぎちゃう」んだと思いますか?(笑)
そこまで考えたほうがいいかも。
即座に「目的」を把握しにいく小出さん。カウンセラーに見えてきた
小出さん
「飲みすぎちゃう」のにも、絶対理由があるんですよ。
「お酒の味が好き」とか、「泥酔してる状態が好き」とか、「何かを忘れたい」とか。最後の「何かを忘れたい」とかだとけっこうやばい。
お酒が「マイナス」を埋めるためのツールになってくると危ないです。
宮内
マイナスを埋める…!
小出さん
「おいしいから」とか「みんなと盛り上がるのが楽しいから」とか、シンプルに「プラス」のツールとして使えてるならいいんです。
でも、「仕事のストレスを発散したい」とか「イヤなことを忘れたい」とか…マイナスを埋めることが目的で、かつその手段が「お酒」しかないとなると一気に抜け出せなくなる。
お酒は「マイナスを処理するための道具」として使わない、と決めてしまったほうがいいです。
小出さん
もちろん、「今日も疲れた、ストレス溜まった、やってらんねえ!」で飲みたくなる日もあると思うんですけど…お酒にマイナスを全部預けちゃダメ。
さっきの話と同じで、お酒以外に「マイナスをリリースできるもの」を見つけるのがいいと思います。
あると思うんですよ。動物を溺愛するとか、ゲームに熱中するとか。マイナスを散らしていくイメージにすると、うまく付き合えるようになるのかなと。
禁酒を決意しかけた編集部員に、小出さんから一言
宮内
やっぱり、私の飲み方ってよくないですよね…おとなしく禁酒しようかな。
小出さん
あー、でも僕…あんまり「もう1滴も飲まん!」みたいにゼロヒャクで考えないほうがいい気もします。
「好き」と「嫌い」は表裏一体なので、極端に距離を置こうとするときって、全然好きから抜け出せてないんですよ。
「恋愛とかもね、そうかもしれないですけど」
小出さん
近づきすぎるのはもちろん危ないんだけど…
本当は好きなのに我慢して距離を取ると、違うかたちでストレスが爆発してしまったり、解禁したときにとんでもないリバウンドになってしまったり、結局裏目に出てしまう気がするんですね。
ゼロヒャクじゃなく、興味あるかないかくらいの「中庸(ちゅうよう:どちらにも偏らないこと)」が一番いいんですよ。
適度な距離を保つためにも、無理矢理「嫌い」になるのはやめたほうがいい。その距離感を、できるだけ早いうちに見つけられたらいいと思いますね。
宮内
なるほど…! 少し意外なご意見でした。
小出さん
やっぱり、「お酒」自体に罪はないですから。
20代ってお酒を飲む機会も多いと思うんですけど、お酒によって何かが円滑に進むこともたくさんあると思うんですね。
人間関係を深めたり広げたりするうえでも「お酒」というツールは出てくるし、きちんとハンドリングできれば、お酒は社会人生活をより楽しくしてくれるツールだと思うんです。
小出さん
お酒の問題はあくまでも、「お酒をコントロールする人間側の問題」でしかない。
ほかでもなく、お酒をマネージする自分自身が試されているんですよね。
『酒癖50』で描かれてるのはけっこう振り切ってる人たちのエピソードなんで(笑)、あくまでエンタメとして楽しんでいただけたらとは思いますけど…
でもやっぱり延長線上の一つの可能性として、リスクがあることも頭の片隅に残ったらいいなと思います。
宮内
今はお店で飲めない分、つい自宅で飲みすぎちゃう人も多そうですもんね。
小出さん
そういうときは、このドラマとともに、お酒を飲んでいただけたら手が止まるかもしれない…(笑)。
ぜひ、晩酌のお供にご覧ください。
今日はありがとうございました!
社会人であれば、誰しもある程度身近な存在である「お酒」。
極端に距離を置くのではなく、「自分がうまく付き合える距離」を探すことで適度に距離を置けるようになったほうがいいというお話が、禁酒宣言を何度もしてきた宮内にはとても響きました。
自分とお酒の距離感、みなさんもこの機会にぜひ一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。
〈取材=宮内麻希(@haribo1126)/執筆=サノトモキ(@mlby_sns)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
小出恵介さんが主演を務める『酒癖50』が絶賛放送中!
小出恵介さん4年ぶりのドラマ復帰作、ABEMA新オリジナルドラマ『酒癖50』が絶賛放送中!
Hate Alcohol Firm に務める酒野聖(小出恵介)は、とある企業の社長から“Hate Alchol プログラム”の依頼を受けることに。
それは“酒癖が悪いワースト 50”の社員を集め、彼らに“とあるビデオ”を見せることで、お酒の恐ろしさを理解してもらうというプログラム。
しかし、参加者はプログラム受講後も懲りることなく、お酒を飲みつづける。そんな彼らに降りかかる、とんでもない“最悪の結末”とは…?
小出さんの覚悟がこめられた意欲作、気になった方はぜひチェックしてみてください!
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