ビジパの悩みインサイト
【モテる仕事論】 “優秀”という評価から抜け出せないZ世代が鳥羽周作さんに「自分の魅せ方」を聞いてみた
新R25編集部
「複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」「本質的じゃない悩みをでっちあげていた」
という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。
今回は、新R25編集部インターン・りんたろうの「優秀」と見られることでの悩みについて。
なんだか贅沢な悩みにも聞こえるけど、優秀なりのジレンマがあるようで…?
「優秀に見られるけど…」評価と本音で揺れるりんたろうの悩み
渡辺
これまで新メンバーで何本か動画出してきたけど、りんたろうはけっこう同じようなこと言われてるよね。「うまくやろうとしすぎ」とかさ。
いわゆる「優秀」って感じだから、はじめは大体うまくやれるんだけど、もしかしたらその優秀さが足かせになって、どっかで壁にぶち当たるみたいなことがあるのかなと思ったんだよね。「優秀のジレンマ」というか。
渡辺
なんか「優秀」って言葉自体、現代は捉え方が変わってきてる気がする。
りんたろうも、そう言われるのがうれしくなくなってきてる、みたいなことない?
りんたろう
ぶっちゃけ、そんなにうれしくないです。
渡辺
ちょっと距離感を感じる?
りんたろう
めちゃくちゃ感じます。
なんか僕のまわりを囲ってる薄い膜を見られている感じなんですよね。
そうすると、僕の“側”を見て話しかけられるので、泥臭く、無我夢中で猪突猛進、みたいなコミュニケーションができないんですよ。
三宅
その膜の剥がし方がわからないみたいな?
りんたろう
そうです。
渡辺
いわゆる優秀だと言われる人って、AIに置き換えられそうな感じがあるよね。
三宅
なんか記憶に残らなくないですか、優秀な人って。
「喰らうわ〜」
渡辺
りんたろうに対して言ってるわけじゃないけど(笑)。
三宅
学校の先生にとって、優秀な子って扱いやすいけど、たぶん記憶に残らない。
ちょっとやんちゃな子とか、悪さする子のほうがかわいく見えちゃったりするよね。
渡辺
でもさ、そういう自分をつくり上げてるのも自分なんだよね。自分の価値観でそうなっちゃってるから、それを全否定して「優秀じゃない側」になるのも、意に反すると思うんだよね。
りんたろう
ただ、優秀に見られようとする癖が強いんで、これから社会人になるうえで、また“側”をつくっちゃうと思うんですよ。
それで評価される場面もあるだろうけど、本質的じゃないというか。等身大の自分というより、外側を見ての評価になる。
そうなると、たとえば取材を打診するときに、自分をさらけ出したコミュニケーションができないんですよね。
テンプレートできれいに文章をつくって、きれいなワードファイルを一緒に送って…みたいな。
渡辺
インスタントにグッと距離を詰めていくのが必要なときもあるんじゃないか、ということか。
でも難しいよね、それで変に生意気に温度感を間違える人もいるわけで。それも違うしね。
ただ、たしかに優秀って言われる人は、コミュニケーションの距離があくってのはわかる気がする。
大胆に一気に変わるのは無理だろうから、「こういう意識でいけばいい」っていう心構えをインストールできたらいいかもね。
今回、そんな悩みを相談したのは「幸せの分母を増やす」をモットーとする料理人・鳥羽周作シェフ。
鳥羽さんは今年1月、クライアントに選ばれる人間になるコツをまとめた『モテる仕事論』(幻冬舎)を上梓したばかり。
そんなシェフのもとへ助言を求めに伺うと…自身のベクトルをどこに向けるべきかが見えてきました。
「その悩み、むしろチャンスだよ」相手の心をつかむには?
りんたろう
僕は「優秀」というレッテルというか…そう見られるので、割と“外側”で評価されがちなんです。
鳥羽さん
たしかに端正だもんね。爽やかさが俺と真逆だな。
【鳥羽周作(とば・しゅうさく)】「幸せの分母を増やす」をモットーとする料理人。「sio YOYOGI UEHARA」をはじめ、全国で数々の店舗をプロデュース。2024年12月にはsio AOYAMAをリニューアルオープン。2025年1月に著書『モテる仕事論』(幻冬舎)を発表
りんたろう
僕は小学校から私立で、高校と大学で1年ずつ留学して、大学も慶應なので…これまでの経歴からも、そういう評価を受けやすくて。
鳥羽さん
みんなが羨むキャリアだけど、先に「優秀」というイメージがつくられちゃってるってことですね。
でも「本当の自分を見てくれよ」と?
りんたろう
見てくれよというか…本当の自分を出せるようになりたいっていう悩みです。
まず率直に、この企画書を見てどう思われましたか?
鳥羽さん
まわりに見られている人は、見られている人なりの悩みがあるんだなっていうのが率直なところだけど…
評価って外の人が決めるもので、自分が決めるわけじゃないと思うんですよ。「自分こんなに頑張ってるんです」じゃなくて「あの人頑張ってるね」っていうのがあって、「じゃあ給料上げようかな」って話になる。
今、りんたろうさんが“側”を気にしているというのは、自分が主語でしょ。もっとフラットに相手を喜ばせるトークができればいいんじゃないかな。
りんたろう
ただ、僕が「この人と仕事したい」「この人の下で働きたい」と思っても、先に僕の事前情報や印象を前提にされてしまうと、もう等身大の自分でぶつかれなくなってしまって。
自分の“側”を突き破れないもどかしさがあるんです。
鳥羽さん
なるほど。
相手が先に、りんたろうさんについて「優秀」だというイメージをもっているということだけど、でもそれはまだイメージ上での「優秀」じゃないですか。
だから、むしろチャンスなんじゃないですか?
鳥羽さん
会ったときにそれを覆す何かが出たら、評価がもっと上がるわけで。
りんたろう
そうか…
鳥羽さん
最初の入口から評価が高いってことは、信用度があるわけじゃん。
そこからガンガンいったら、「ホンモノのほうがよくない?」って、さらに評価が上がりますよ。
なんか、最初ネガティブだなと思ってたけど、その状況、めっちゃいいっすね。
りんたろう
え、いいっすか…?
鳥羽さん
端正ですごく常識人っぽい感じなのに「熱くてめちゃくちゃ気合い入ってんじゃん!」ってなっちゃえば、さらに評価が上がるじゃん。
そもそもりんたろうさんは、“家に帰ったら常にルマンドとかありそう”な育ちをしているイメージなわけよ。ルマンドと、ソーサー付きのティーカップで紅茶が出てくる感じ。
でも実際はそんなことなくて、「いや全然うまい棒とか食いますよ」みたいなノリでいったらいいんじゃないかな。
りんたろう
ギャップを利用するっていう。
鳥羽さん
そうそう。
客観的に「渡邊倫太郎」は世間的にこう見られてるけど、実際はこうだっていうのを「どう見せていけば価値が上がるか」というのをプロデュースする。
「自分をプロデュースする自分」をつくればいいんじゃないですかね。
「そうじゃない自分を伝える」というブランディングの極意
りんたろう
でも、そうするとプロデュースしちゃってる以上、等身大ではないような…
それはいいんですかね?
鳥羽さん
最終的に等身大の評価を高くするために、一旦現状を把握するってのはすごく大事なことだから。
そのうえで、「相手にどう伝えると本当の自分が伝わるのか」を客観的に考えるのがいいと思う。
りんたろう
なるほど…
鳥羽さん
僕は料理人だから、毎日レストランにばっかり行ってるように思われるけど、実際はUberEatsとかマクドナルドとか大好きなんだよね。
こういう話をすると、たいてい「そうなんですか!?」って驚かれる。だから、ギャップをうまく利用しながら、りんたろうさんも優秀で近寄りがたいところを、実は意外とフランクだなと思ってもらえるといい。
「渡邊倫太郎、“フランク”ブランディング」をしたらいいんじゃない?
りんたろう
そういうことか…
鳥羽さん
すし屋でバイトしてたって話を聞いたけど、そういうのもいいじゃない。
苦労してなさそうに見られちゃうけど、いやいやすし屋でバイトしていて…みたいな、ありのままの姿が伝わるエピソードをいくつかもっておくといいかも。
鳥羽さん
そもそも別に「優秀」ってネガティブな評価じゃないからね。
そのうえで、「僕は実際こういうとこもあるんですよ」っていう姿を、エピソード付きで最初に話しちゃう。すると、グッと距離は縮まるじゃないですか。
りんたろう
たしかに。「優秀」という評価って、ぼんやりとしていて輪郭がない感じですよね。
鳥羽さん
何をもって優秀かなんて、わからないじゃない。
りんたろうさんの話を聞く感じ、生い立ちの話のなかでの「優秀」なイメージであって、相手が何か知ったうえでの「優秀」じゃないからさ。
「僕を知ってください」の材料のなかに、多面的なエピソードを入れていくのがいいんじゃないですか?
りんたろう
ああ、「僕を知ってください」の工夫がないから、僕は「優秀」っていう評価で止まっているのか。
鳥羽さん
たぶん、「こうじゃない自分」を本気で伝える努力はしてないんじゃないですか。
りんたろう
それは…してなかったかもしれないです。
鳥羽さん
やっぱりセルフプロデュースが必要なんじゃないですかね。
「全然意識してなかった〜」
「うまくやりすぎ」から脱却するためには?
りんたろう
以前、「友達がいない」という相談で、プロ奢ラレヤーさんに「うまくやろうとしすぎ」と言われたんですが、それをどうやめればいいのかがわからなかったんです。
でも今のお話で、一個自分を“下げる”エピソードというか、等身大の自分を提示しちゃえばいいのかなって。
鳥羽さん
そうだよ。あとね、人生でヤバいことなんてそんなにないから。
何かを失ったり、イメージがどうとか言ったって死ぬわけじゃないし、友達だって別にそんなに多くなくていいし。
仕事して人に会ってると一人になりたいって絶対思うんだけど、それは孤独じゃなくて“孤高”なんですよ。
りんたろう
おお。
鳥羽さん
頑張っていろんなことがわかるようになったら、最終的に自分はほかの人とは違う、孤高の存在になっていくというか。それが独り立ちっていう話なんで。
だから、友達は別に少なくてもいい。それよりも一人の時間があるほうが大切かな。
いいアイデアが出るときって、絶対最後は一人だから。
鳥羽さん
もちろんいろんな人のアイデアを聞くのはいいけど、最後は自分の考え抜いたものが一番純度が高い。
人に言われた“塩少々”よりも、自分が何回もやってつかんだ“塩少々”のほうが精度が高いじゃないですか。
自分のものさしをつくるうえでも、クリエイティブは最後まで絶対自分一人でやった方がいいですよ。
りんたろう
自分が「ここにこだわりたい」っていうところは、一人でとにかく押して。
鳥羽さん
そう。自分の感覚で試行錯誤して、さじ加減を微調整しながら「自分」というものの“ものさし”をつくる。
“モテる”ために必要なもの
りんたろう
鳥羽さんの本に、「モテる=意中の人と仕事をすること」だとありましたが、僕はそもそも意中の人があんまりできなくて。
つまり…相手に興味を持てたことがあんまりないと思ってて。
鳥羽さん
「優秀」な人の悩みっぽい。
イケメンは努力しなくてもモテちゃうけど、かっこよくない人はモテるために一生懸命努力するから、実はやさしい…みたいな話なのかな。
僕はモテるために必要なのって、モチベーションだと思うんですよ。
鳥羽さん
「あなたとどうしても仕事したいんです」という熱意があったら、「そこまで言ってくれるんなら」って心が動くけど、「どこでもいいからやりたいんですよね」みたいな、ふわっとしてるやつとは一緒にやりたくないじゃないですか。
自分が熱意を持てる人を探し続けるのは、すごく大事なことだと思うんだよね。
りんたろう
鳥羽さんは、どうやって熱意を持てる人や企業を探したんですか?
鳥羽さん
プロダクトが好きっていうのもあるけど、やっぱ「人」ですね。「この人と仕事したい!」っていうのが多い。
りんたろう
そうなるためには、ある程度の信頼関係が必要だと思うんですけど、会う回数を増やすしかないんですかね。
鳥羽さん
会ってなくても、たとえばインタビューを読んで、この人に会ってみたいなと思ったら連絡する。
“有名だから”とかじゃなくて、自分の時間を使って調べて、会いに行って話してみて「この人だ!」という確信に変わったら、すぐにもう一回連絡して「絶対やりたいです」ってアピールする。
だから、相手を調べないとダメだよね。
りんたろう
なるほど。それは本とか、出演されているメディアとか、とにかく見尽くすんですか?
鳥羽さん
全部見る。
相手の人が大事にしているものをちゃんと理解して、解像度を上げていくってめっちゃ大事なんですよ。
たとえば僕の料理で、どうでもいいところを「めっちゃいいですよね」って言われたとしたら、僕としては「この人といいものつくれんのかな」って思っちゃう。
「自分の型に合わせない」というやり方
りんたろう
実際にコミュニケーションをとる前や、会った後に布石としてできることってありますか?
鳥羽さん
会う前はとにかく事前学習。会った後は、熱量の余韻をそのままテキストで送ったりする。
幻冬舎の見城さんも「相手に対する誠意っていうのは、感想文の表れ」みたいなことを言っていて。
りんたろう
あ、書かれてましたね。
鳥羽さん
自分も、見城さんが来てくれた後は、次の日の朝8時ぐらいにお礼の感想を書いたり。
でも、それがうれしい人もいれば嫌な人もいる。自分の型というよりも、相手に合わせた型でやっていくのがいい。
りんたろう
なるほど…
鳥羽さん
「型がない」っていうのが大事で。1個だけあるとすれば、「相手を喜ばせたい」という気持ちだけ。
手段は幾通りあっていいと思う。
りんたろう
僕は「自分の型」でやりまくってました。同じ型のメールを全員に送ってという…
鳥羽さん
それはダメっすね。
わかるもん、「これは自分の言葉じゃなくて定型文だな」って。
それは「優秀」じゃなくて「作業」になっちゃってるから。
鳥羽さん
たぶん、りんたろうさんは育ちが良くて、すごく丁寧なんだと思うんですよ。けど、相手に合わせて自分の言葉で伝えるほうが“自分らしさ”も出ると思うし、いいと思う。
りんたろう
自分が「仕事したい」と思う人に、きちんと伝わるかたちで。
鳥羽さん
りんたろうさんはすでに今、僕に対して「本読みました、刺さりました」って実践してましたよね。
読んでくれてるんだっていう時点でうれしいものだから。
それが何もわかってなくて、いきなり「『モテる仕事論』ってどんな内容なんですか」って聞かれてたら、いやいや勉強してこいよって思う人もいるかもしれない。
だからもうすでに実践できていて、今、“モテて”ますよ。
え…!
りんたろう
本当ですか…! じゃあこれを積み重ねていくってことですかね?
鳥羽さん
しかも真摯に、「自分のこういうところがこうなんです」って心を開いてくれたから、距離が縮まったじゃないですか。
優秀で端正だからこそのギャップがあるし、一方で誠実さもあることがわかって、より刺さる。
それをちゃんと伝えるほうがいい。
りんたろう
1回入れた情報を自分の言葉に落として…“仮説”みたいなのをちゃんと伝えるという?
鳥羽さん
そう、アウトプットとして、言葉にして褒めることが大事。
りんたろう
とはいえ難しいのが、「え、そこ言ってくんの?」ってネガティブなリアクションになる場合もあると思ってて。
そこのラインというか…どこを褒めればいいのか、見つけるのが結構難しそうなんですが。
鳥羽さん
それは相手のことをひたすら勉強するしかない。
ただ、内面的なことをわかるようになるのは経験も必要だと思うから、失敗していいと思います。
人と会うときの一打席を真剣にやって、そのときの結果を「この人はグイグイいくパターンじゃなかったのかな」とか、何がダメだったかっていうデータを増やしていけば、「この人に対してはこのパターン」っていうのが見えてくる。
りんたろう
とにかく打席に立って、褒めるってことをやり続けるしかないってことですね。
本当の“目的”を見誤ってはいけない
りんたろう
コミュニケーションでうまくいったと思えたときに、それを“勝ちパターン”にしちゃうんですけど、あえてそういう「型」はつくらない方がいいんですか。
鳥羽さん
ベースの型はあってもいいけど、大事なのは編集作業だと思ってて。
熱量とかロジカルとか知識とか、人と話すために必要な構成要素があって、それを素数まで分解する。
それをどういう順番で話したら刺さるのかを考えて、組み立てるという“編集作業”が、モテるのに実は必要なことだと思うんだよね。要は、どういうプレゼンテーションがいいかを編集していくことが大事。
りんたろう
…相手のことを考え続けるしかないですね。
鳥羽さん
それっすよ。でも、そもそも相手のことを考え続けるって、伝えたいことがなきゃ無理。
まずはそこが大事で、伝えたいことがないやつの熱量のない話なんて結局刺さらないから。
りんたろう
本のなかで、めっちゃ刺さったのが「モテて終わりじゃなくてモテ続けなきゃいけない」っていう部分だったんですけど…
鳥羽さん
好きな人と仕事するって、まだスタートじゃないですか。
仕事をして、そこからその人と世の中に対して何をやっていくかとか、誰を幸せにしていくのかっていう。
あくまで、モテることが手段になっていないとダメ。目的になっちゃうと、その先が見えない。
りんたろう
モテるためのモチベーションって、どこから調達してるんですか?
鳥羽さん
僕の場合「“おいしい”で世の中の人を幸せにしたい」っていう、終わりのないところにパーパスを置いてて。
100万人を幸せにしたら終わりかっていったら、そうじゃない。
もちろん長期とか短期とかではやらなきゃいけないことはいっぱいあるんだけど、最終目標は漠然としていいし、めちゃくちゃでかくていい。
鳥羽さん
たとえば10億円で会社をバイアウトしたいだけなら、その先の話にはならない。でも、「世の中の人を自分で考えたシステムで幸せにしたい」っていう目標があれば、バイアウトした10億円で次の投資をして…って、“先”を考えられる。
10億円がモテるための「手段」になっていればいいんだけど、「目的」になっちゃうとモチベーションは保ち続けられないよね。
りんたろう
たしかに。
鳥羽さん
さっき言った、“考え続ける”ことですよね。
1回プレゼンで失敗したとしても、考えてやり続けたら、もう一回チャンスはある。
「考え続ける」ことと「行動し続ける」という2つの“Keep on”を持つのは大事。でも、意外とみんなできないから、逆に言うと、それができれば一歩も二歩も先にいける。
だから自分がどう思われるかよりも、常に相手のことを考えてるっていうのが一番のモテる秘けつだと思いますよ。
「自分」が主語になっちゃう人っていうのは、結局モテることが「目的」になっちゃってるから。
りんたろう
自分がどういうふうに見られるか、ということが目的になってるってことですね。
鳥羽さん
そう。やっぱり相手にとってのメリットを最優先に考えることが喜ばれるよね。
りんたろう
それによって熱量が伝わるってことですよね。
鳥羽さん
そう。熱量は、AIに置き換えられないじゃないですか。
テキストベースや考えることはAIができても、最後のプラスアルファの部分の熱量は、人にしかできない。「優秀」っていうことよりも「必要とされる」ことのほうが大事。
結局コミュニケーションは“人と人”で、本当に優秀な人は、相手の熱量も見抜いているものなんだよね。
だから、相手のためにどれだけ自分が時間を使えるかっていうところかな。
でも、自分の個性は失われないの…?
りんたろう
でも、相手に合わせすぎると、自分の個性が失われたり埋もれちゃったりしませんか?
恋愛でも“優しいだけの人”だと、結果モテなくなっちゃうんじゃないかと…それってどうですか?
鳥羽さん
難しいけど、一周回って相手を喜ばせることが自分にとってのハッピーにつながることがすごく大事だと思ってて。
鳥羽さん
僕は変幻自在に相手に合わせて、相手がめちゃくちゃ喜ぶことが本当に好きなんですよ。
だから料理も別にイタリア料理やフランス料理みたいにこだわらず、チャーハンでも何でも、相手が喜べば何でもいい。
そのとき、「相手のためにこんだけやってるんだ」っていう発想は絶対NG。見返りを求めちゃうから。
りんたろう
見返りか…
鳥羽さん
僕、自分で食べる料理にはまったく興味がないんですよ。
納豆ご飯でもなんでもいい。自分のために何時間も仕込みをしたりとか、絶対しない。だけど、お客さんのための仕込みは、めっちゃやる。
だから、自分が今やってることが、どこにつながってるのかって話だよね。
僕は、仕込みや準備が相手を喜ばせることにつながって、それは自分が一番したいことだって統合性が取れてるから、「こんだけやってんだから、もっといいリアクションをしろよ」とか思ったことがない。
りんたろう
そこが一貫していれば、相手の反応によって自分の感情とか気持ちが左右されないのか。
鳥羽さん
そうなると、もう評価云々じゃないんだよね。
一生懸命つくった料理が仮に相手のお口に合わなかったとしても、「もういいや」にはならない。もっとよくするために頑張ろうって永遠に続くの。
他者との関わりのなかでしか、自分の存在意義って見いだせないんですよ。だから僕は他者を幸せにすることが、自分の存在意義だと思ってる。
どこまでいっても食べてくれる人がいてこその自分だし、食べてくれる人が喜ぶスタイルが自分のやりたいことっていうのは、割とシンプルな僕のスタンスで。
りんたろう
そういうことか…
鳥羽さん
そこで個性がまったくなくなるってことはない。
最終的に自分のフィルターを通してるから、自分の色は出てくる。でも、そもそも自分の色を出すことが目的じゃなくて、結果、自分の癖みたいなものが漂うっていうぐらいの個性でいいんじゃないかな。
りんたろう
そっか…相手をちゃんと喜ばせるっていうことから始めれば、おのずと個性が出るってことですね。
「ロジックだけじゃない」AIに置き換えられない価値とは
りんたろう
あと本のなかで、「繊細さと大胆さをスイングさせる」っていう項目が気になりました。
鳥羽さん
それ、見城さんに言われた話で。
人を口説くときに、「こんなにこのブランド好きなのは自分だけ。だから俺にやらせてください」っていう力強い大胆な熱量と、説得させるためのロジックの繊細さが必要っていう話。両軸が必要ですね。
りんたろう
熱量によってロジックもブーストされる、みたいなところもありそうですね。
鳥羽さん
そう。説得力が上がるじゃないですか。
ロジックを言える人はいっぱいいるんですよ。でも覚悟を持って「絶対やり切ります」って言えるかどうかがめっちゃ大事。
りんたろう
僕はロジックだけだから、AIに置き換えられるみたいな印象になっちゃったのかな…
鳥羽さん
その人にしか持ってない熱量は、絶対AIにはないじゃないですか。
どれだけAIが優れても、人間が唯一勝てる可能性がある場所だから、絶対必要だと思う。
りんたろう
そうですね。これからの僕のコミュニケーションスタイルが、めっちゃ変わりそうです。
鳥羽さん
僕はりんたろうさんのこと、誠実で素敵な人だと思ったよ。その誠実さが活きるような懐の深さがあるとよりいいんじゃないかな。
“人間わらしべ長者”っていうのかな…いろんな人と対談して、何かを受け取って、どんどん成長していくっていうのがいいと思います。
「優秀」というレッテルを貼られることで、自分から体当たりで臨むことに臆病になっていたりんたろう。
でも、一歩踏み出す努力をしないとそのレッテルは変わらないですよね。
大事なのは、自分がどう見られるかじゃなくて、相手にどう見られたいかを考えること。「“フランク”ブランディング」でこの先のりんたろうがどう変わるのか、楽しみにしていてください!
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