ビジネスパーソンインタビュー
ひろゆき著『99%はバイアス』より
ひろゆきが「ブランドにダマされるな」と言いつつ、高級ブランド企業に投資しているワケ
新R25編集部
「私が間違えることはない」「ほかの人はダマされるかもしれないけど、私だけは大丈夫」
そう思っている方はいませんか?
YouTubeとTwitterの総フォロワー数355万人超(2022年9月現在)のひろゆきさんによると、「そんな思い込みをしている人こそ、すでにバイアス(偏見や誤解)のなかにいる」そうです。
今回は、ひろゆきさんの著書『99%はバイアス』より、バイアスからの逃れ方や利用法について一部抜粋して紹介。
バイアスを利用する立場になることで有利に生きられるそうです…。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・ひろゆきさんの考え方を知りたい人
・バイアスについて知りたい人
・成功したいビジネスパーソン
われわれはバイアスから逃れられない
バイアスとは、一般的に認知のゆがみのことを指し、偏見や誤解のことをいう。
人間の脳を持つ限り、人はバイアスから逃れられない。
あなた自身、「見せかけ」にダマされることがあると思う。
たとえば、2つの水槽があるとする。
1つには小魚がたくさん泳いでいて、もう1つには小魚の他に天敵の大きな魚が1匹いるとしよう。
一見、小魚だけの水槽のほうが幸せに暮らせると思うが、そうではない。
実際には、天敵がいる水槽のほうが、多くの小魚が繁殖する。
生物は、適度なストレスがあったほうがよりよく暮らせるのだ。
もちろん、それが度を越えると生態系が壊れてしまうのだが、まったくストレスがない状況というのも生物は耐えられない。
技術が発展し、さまざまなことが、一周まわってしまったと思う。
当たり前になったことを、もう一度、疑ってかかるタイミングなのかもしれない。
無自覚に生きると、どんどん人にダマされる。
「Aさんが言っていたから正しい」「Bさんは頭がおかしいから間違いだ」
そうやって「人」で判断するのは危険だ。
同じように、「ひろゆきは正しい」と信じることも危ない。
批判的に見る、そのクセを本書で身につけてほしい。
信じてしまいそうになる、その1秒での判断が大事だ。
「私にはバイアスがないので、絶対にダマされません」
その思い込みが、すでにバイアスの中にいる。
そうではなく、「自分はダマされる」「自分は間違える」という可能性を受け入れることで、はじめてバイアスから逃れられる。
他の人たちにバイアスが存在することを知っておくこと。
これを知ることで、他人との差が生まれ、有利に生きられる。
バイアスを利用する側になる① ブランド
ビジネスで成功するタイプなのは、「ノルマを決めてコツコツと作る人」であることが多い。
一発逆転を狙うより、安心感を積み上げていくイメージだ。
そういう考え方をできる人が、相手のバイアスを利用する立場になれる。
バイアスを利用する側に立つために、2つの例を紹介しよう。
一つ目は「ブランド」だ。
僕は、ヨーロッパの高級ブランドのほとんどの会社に投資している。
ブランドショップでは、ナイロン製で原価が数千円のものでも数万円単位で売っている。
一生懸命にものづくりして良いものを安く提供するより、ブランドという「共同幻想」で高く買ってもらったほうが経済は回る。
僕個人は「ブランドにダマされるな」と言いつつも、それは社会全体に向けた話ではない。
ブランドに影響される人がいるのであれば、それを利用するポジションにいることで利益を得られるのもありだ。
そんな「バイアス」を利用する側に立てるから投資をしている。
これからブランドを作るためには、「高くて数が少ない」という生産方式で、地味に受注だけで続けていき、値下げせずにやり切ることが重要だ。
価格競争した時点で、ブランドとしては生き残れない。
これは、個人でも同じだ。
努力を安売りする「いい人」は、利用されて終わる。
ヨーロッパのハイブランドは、売れ残りを廃棄していた。
1回でも安くしてしまうと、「待っていたら値下げする」という心理が働くからだ。
そうなると、高い値段で誰も買わなくなってしまう。
ただ、廃棄することは、SDGsの観点で違法になっていっている。
高い値段で売れないものは、在庫として永遠に持ち続けなければならなくなり、作ることに大きな負荷がかかるようになった。
ハイブランドは、少数だけ作って売り切ることを、長くやり続けるだろう。
とはいえ、ブランドにはリスクもある。
「それって、ただのナイロン製ですよね?」と言われてしまう「裸の王様」を演じ続けないといけないからだ。
そこで、もうひとつの例である「愛着」のほうをおすすめしたい。
バイアスを利用する側になる② 愛着
二つ目は「愛着」だ。
僕が「愛着」を利用して共同幻想をつくった話をしよう。
2006年にスタートした「ニコニコ動画」では、面白いサービスを一緒に作り上げている感覚をユーザーに浸透させることが大事だった。
ユーザーからの要望を受け入れて、「ここが自分たちの居場所だ」と思える関係性を作るように、プロモーションや広報は動いた。
それにより、サービスに「思い入れ」が生まれる。
ニコ動ユーザーは「ニコ中」と呼ばれた。
2ちゃんねるでは、「2ちゃんねらー」という呼ばれ方をしていた。
ネーミングは大事だ。
自分たちのことを言いやすい言葉があったほうが、親近感がわく。
自分自身のアイデンティティの一部のように思ってもらえて、「愛着」が生まれる。
すると、あるメリットが生まれる。
それは、「失敗したときに許してもらえる」ということだ。
たとえば、グーグルのGmailは便利で多くの人に使われているけれど、Gmailに愛着がある人は少数だろう。
だから、サーバーがダウンしてメールが届かなくなると一斉に全員が怒り出す。
一方で、ニコニコ動画の場合は、サーバーが落ちても、「まあ、しょうがないよね」と、許容してくれるユーザーが多かった。
当たり前のように使っている「インフラ」だと不具合が起こると怒りがわくのに、「好きで選んでいるサービス」には怒りの感情は出てこない。
トラブルですら愛着につながっていく。
くだらないサービスでも、「こんなくだらないことをやっちゃってるよ」と、自覚してやってしまう行動がある。
ツイッター好きを「ツイ廃」と言うような感覚だ。
そういう愛着が生まれるかどうかの違いは大きい。
そのためには、ネットのサービスなんて、「しょせん時間潰しでムダなもの」という前提に立たないといけない。
「しょせんこんなもの」という自虐性があったほうがいい。
そうすると、一人歩きして広がっていく。
自虐性を失ってしまい、「これは必要なものなんだ」と、本気で信じ込むレベルになると、危険になってくる。
バイアスとの上手な付き合い方について学べる一冊
切り抜き動画などをきっかけに巻き起こった「ひろゆきブーム」や、ひろゆきさんの戦略の裏側について書かれている同書。
2020年に出版された『1%の努力』の続編として書かれていますが、未読でも存分に楽しんでいただける内容となっています。
自分にとってのあたりまえを、この一冊で覆してみてはいかがでしょうか?
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