ビジネスパーソンインタビュー
政治の世界で“世代交代”を推し進める若手リーダーの人となりとは
「“っぽくない”ほうがいい」自民党青年局長に“スピーチのうまさ”について聞いてみた
新R25編集部
記事提供:『じみんとーまがじん』
政治家って、なんで政治家になったんだろう。ちょっと普通の人じゃない気がする。…でも、人となりを深掘ってみたら、もしかしたら面白い人かもしれない?
政治以外の世界でも活躍してたかもしれない、自民党青年局長・鈴木憲和議員に、“人間”に迫るインタビューをしてみました。
どこにいても、「っぽくない」人
――政治家の方なので当たり前かもしれませんが…鈴木局長は非常にお話がうまいですよね。
鈴木憲和議員
それは政治家になってから徐々に培われた思うんですけど、一つ大きかったのは小泉進次郎さんの演説を目の当たりにしたこと。
――進次郎さん…!?
鈴木憲和議員
僕が初当選した時の青年局長が小泉進次郎さん。彼の演説って、やっぱり聴く人を惹きつけるものがあるんですよ。
言ってる内容はともかく(笑)。
――ちょっと反応しづらいです。
鈴木憲和議員
彼がほかの多くの政治家と違うのは、「相手を見てコミュニケーションする」意識が強い。反応を見るとかね。彼の演説を学ばせてもらったのは、本当にありがたかったです。
――たしかに鈴木局長も進次郎さんも、ちょっと「政治家っぽくない」というか。
鈴木憲和議員
っぽくないでしょうねえ(笑)!僕は今でもまだ政治家っぽくないし、役人のときも役人っぽくなかったと思う。でも、「っぽくなさ」って大事なんですよ。
――どういう意味ですか…?
鈴木憲和議員
いろんな人間、いろんな考え方がぶつかりながら動くのが組織だし政治じゃないですか。
振れ幅っていうか、みんなが右に行こうって言ってるときに「いやそれ、本当に大丈夫?」って言う人がいないと、多分おかしくなるんですよ。だから、「っぽくない」人間がいることが強さになる。
あと、それを許容してくれるのが自民党の良さだと、こっそり思ってるんです。自民党が進めていたTPPに、賛成せずに怒られたことがあるんですけど…投票を棄権して、「造反だ」とは言われるんですけど、「離党しろ」とは言われない(笑)。
世間の見方はわからないけど、懐の深い党ですよ。
これからも違うと思ったことに意見を述べつつ、自分の政策を実行できるように力をつけていきたいですね。まあ、けっこうお叱りは受けるんでそろそろ「っぽく」ならなきゃいけないとは思うんですけど…。
財務省の面接で「BMW買いました」
――政治家というと「世襲」が多いイメージですが…。
鈴木憲和議員
いや、うちは両親も、親戚も、政治家は1人もいません。父親は元々、裕福じゃない家で育ち、高卒後に山形から集団就職のような形で上京してきました。
その後、自分で商売を始めて「金持ちになる」というモチベーションでのしあがってきたような人で。
――鈴木議員自身は、どんなキャリアを歩もうと?
鈴木憲和議員
なんとなく、「お金儲けよりも、公益のために」みたいな気持ちがあって…、最初の就活では財務省を受けてみたんですが見事に落ちました。
――それはなぜ…?
鈴木憲和議員
面接官から「大学時代に何を頑張りましたか?」と聞かれたんですよ。で、「新車で420万円のBMWを買いました」と。
「君ねえ、役人になったら中古のゴルフを買うのが精一杯だよ」って言われて(笑)。アルバイトを頑張って、努力してBMWを買ったことがマイナスに捉えられてしまうのはフェアじゃないでしょ? それで、「俺に財務省は向いてない」と思い、次の年は農林水産省にエントリーしたんです。
――なぜ農水省を選んだんですか?
鈴木憲和議員
農業は国の根幹であるはずなのに、農家さんが儲かっていない。儲からないから後継者もできない。そんな産業の構造に問題があるんじゃないかと感じていました。
役人や政治家がもっと頭を使い、儲かる世界を実現しなければならないと。
これは「攻め」が得意な自分の性格にも合っているだろうと思ったんです。
――でも、鈴木局長は生まれも育ちも東京ですよね?
鈴木憲和議員
そうなんですよねえ。農業のことは何も知らなかった。なので、「すごい」と思った農家さんのところへ通うことにしたんですよ。
――仕事ではなく?
鈴木憲和議員
そうです、土日に。でも、多くのことを学びました。鳥取の梨農家さんのところに行ったときに、個人で梨の品種改良に尽力している人がいたんです。
「温暖化の時代に備えて、南国でも栽培できる梨を開発している」って言うんですよ。その使命感、すごいですよね。
こんなこと言ったら怒られるけど、鳥取って、僕は砂丘のイメージしかなかったですよ。そこにこんな『情熱大陸』みたいな人がいるのかと。
ただ、同時に日本の農業の課題も痛感して。こういうすごい農家さんが、努力に見合った稼ぎを得られていない。国はこの状況を何とかすべきだろうと。
――そうした思いもあり、30歳で農水省を退官してお父さんの地元である山形で出馬されたと。農業の分野では、具体的に何を変えようとしていますか?
鈴木憲和議員
日本の主食であるお米の農家さんを儲けさせなきゃいけない。
現状は税金を注ぎ込むことで何とか田んぼを維持していますが、それはちょっとおかしい。
おいしいお米をたくさん作って売ることで農家が潤う、健全な市場に変えていく。若い人にも新規参入したいと思ってもらえる産業に変えなきゃいけないわけですよ。
――でも、どうやったら農業が「稼げる仕事」になりますかね? もうちょっと具体的に聞きたいです。
鈴木憲和議員
海外にマーケットを広げる。いま、国内のお米の総生産量は700万トン弱で、それに対して海外への輸出はどれぐらいかわかります? 約2万トンしかないんですよ。
これを、最低でも100万トンにまで引き上げられたら、世界のスーパーに日本のお米が並ぶ状況をつくれる。
2021年には世界中に国産米の市場を作るためのプロジェクトを立ち上げ、議論を進めています。最近ではベテラン議員からの理解や協力も得られるようになって、数年のうちには具体的な動きにつなげられるはずです。
――なんて具体的な…! 「っぽくない」という話がありましたけど、やっぱり政治家が天職なのでは…。
鈴木憲和議員
どうですかね。今の僕の夢としては、日本のお米で作った「おにぎり屋」を世界中に広めたいんです。
スターバックスやマクドナルドのように、どの国にいっても「OMUSUBI」の看板のチェーンがあるっていう状況をつくりたい。
もしかしたら、おにぎり屋もけっこう天職かもしれないですね(笑)。
〈取材・文=榎並紀行/撮影=池田博美/編集=天野俊吉〉
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