ビジネスパーソンインタビュー
吉里彰二著『一枚岩の経営チームをつくるエグゼクティブコーチング』より
上司への共感、してますか?現場コミュニケーションで活きるコーチング技術5選
新R25編集部
コーチングという言葉は聞き馴染みがあると思いますが、“エグゼクティブコーチング”は知っていますか?
“エグゼクティブコーチング”とは、企業の社長、役員、部長を対象とした「エグゼクティブ専門のコーチ」によるコーチングプログラムのことです。
吉里彰二さんの書籍『一枚岩の経営チームをつくるエグゼクティブコーチング』では、エグゼクティブ人材が「チーム力強化」「インナーブランディング」「後継者育成」を実現していく方法について書かれています。
そんな同書よりすべてのビジネスパーソンにためになる、現場コミュニケーション術を抜粋しました。
コーチングされる側だから関係ない...と思っている方にも、使えるテクニックがまとまっています。
現場で活きるコーチング術①報告への第一声は「話してくれて、ありがとう」
部下から、耳障りな話を聞かされる時、上司としての理想の一言は、ずばり「話してくれて、ありがとう」です。
「報告しようかしまいか迷って躊躇していたのだろうね。話してくれてありがとう。今後の対応は一緒に考えよう」と寄り添う究極の受け方と言えます。
報告・連絡・相談、いわゆるホウレンソウはビジネスマナーとして知られていますが、部下をまとめきれない多くの方に見られるのが、報告は当たり前になっているのではないでしょうか。
当たり前になってしまっているので、当然感謝の念や、いたわりの心などは出てきません。
特に、耳障りな話になってくると、冷静に聞くことができず、語気も荒く、表現も汚いものとなり、パワハラの種にもなってしまいかねないのです。
当然、部下だって申し訳ないと思っているわけで、その痛みの上に痛みを重ねてしまうことになります。
場合によっては、ミスの内容などどうでもよくなり、部下を批判すること自体が目的になってしまいかねません。
あまつさえ部下を助けるどころか、責任を押し付け、保身に走るようになると目も当てられなくなります。
この対極が、「話してくれて、ありがとう」なのです。
もっとも、上司も人間ですから自分を守りたいという気持ちはもちろんあるでしょう。
いい方は悪いですが、部下に足を引っ張られるような形で自分の査定にマイナスの影響が出てしまうとなると、心中穏やかではないかもしれません。
ですので、「話してくれて、ありがとう」というマインドセットを維持するのは、決して楽なことではないのです。
どのような事態に遭遇しても、いかなる心理状況に陥ったとしても、どうすれば「話してくれて、ありがとう」の気持ちを保ち続けることができるのでしょうか。
そのポイントは、「起きてしまった過去は変えられない」というキーフレーズを常に自分に言い聞かせることです。
人間の行うことですから、どこかでコンプライアンス違反や労働災害が起こる可能性はあります。
日々、起こらないよう準備は万端にしていても、起きる時には起きるのです。
自分が望むと望まざるとにかかわらず、ネガティブな出来事はもう起こってしまった。
過去の案件としてゆるがせない事実になってしまった。
それならば、最小限の影響で終わらせるには、どうしたらいいのかという発想に、すぐ切り替えていくのです。
反対に「何でこんなことになってしまったんだ」と思考が前進せず堂々巡りをしてしまうと、ネガティブな出来事や感情に執着してしまうことになり、泥沼に足が沈むばかりで、まったく心は晴れないし、起こった事象を解決したり影響を最小限にしたりという行動には結びつかないままになってしまいます。
上司の大切な役割の1つとして、起こってしまった事象を認めて受け止め、常に部下が勇気をもって自分に話してくれているのだというリスペクトの気持ちを忘れないようにしなくてはなりません。
現場で活きるコーチング術②上司には反論の前に「〇〇とお考えなのですね」と共感
「あなたはそのことが問題だと感じているのですね」と部下の発言に共感する。
これは、「私もそれが問題だと思う」と部下の意見に賛成する同感とは違います。
あくまで自分の感情や判断は示すことはありません。
しかし、不思議なもので共感された部下は、「上司はきちんと自分の思いを理解してくれている」と安心感を持つのです。
この共感、実は部下に対してだけでなく上司にも使えるのです。
私が人材・組織開発部長だった時、ある事業部担当の常務へ新しい研修の案を説明に行きました。
常務はどうも内容が気に入らなかったらしく、「もう説明はいいぞ!」と中断させられてしまいました。
いつもの私でしたら、常務の意見に反論しながら説明を続けていたところですが、この時は、「常務は〇〇とお考えなのですね」と共感しました。
別に、常務の意見を了解したと言っているわけではありません。
不思議なことに、「そういうことだよ」とやや苛立っていた感情が冷静になりました。
これ幸いと、再度、説明させていただきました。
もし、この場で、「出ていけ!」となっていたら、次回、いつお時間をもらえるか定かではありません。
しかし、共感することで、その場で新たなチャンスができたのです。
共感のパワー、恐るべしです。
現場で活きるコーチング術③「わからない」と言う部下へは寄り添いの言葉を
「どうしたらいいでしょうか」と上司に頼りきって、すぐ上司の判断を仰ぐ部下に対して、「どんなに稚拙なアイデアでも構わないので、まず自分の考えを言いなさい」とか、「アイデアは1つだけではなく複数持って相談に臨むように」と言うのは上司の常套句ですね。
しかし、ここで問題なのは、何を聞いても「わからない」と答える部下です。
「どうしてわからないのだ!」「いつも自分の考えを言えと言っているだろ」と責めたり、叱ってみても埒が明かないままです。
実は何を言っても責められる、批判されるということで、部下は頭の中が真っ白になっているのです。
ぜひ、「どんなことでもいいので、今、頭に思い浮かぶことを話してみてごらん」と寄り添ってあげてください。
そんな甘いことでどうするのか、という反論もあるかもしれません。
しかし、従来通りのやり方で部下の態度は改善していないのですから、一度違うアプローチも試してみる価値はあるのではないでしょうか。
現場で活きるコーチング術④アイスブレイクの冒頭には「承認」を効果的に利用する
1on1開始の理想的なパターンとして、最初の1〜2分はアイスブレイクに使うのがよいでしょう。
アイスブレイクとは、雑談などから会話を始めて、相手の緊張をほぐしていくやり方です。
雑談の話題は何でもよく、時事ネタでも仕事以外の近況でも構いません。
アイスブレイクを挟まず、突然、「では、今から1on1を始めます。何か話したいことはありますか?」となってしまうと、部下は戸惑うばかりです。
好例の1つに、アイスブレイクで部下を承認するというテクニックがあります。
上司側は1on1に向けて日々部下を観察し、ミーティング冒頭ですかさず承認するのです。
次のような会話例です。
一枚岩の経営チームをつくるエグゼクティブコーチング上司「そういえば、先週のオンライン会議の時、始まる前に一人ひとりに挨拶していたね」
部下「はい。あのー、ちょっと違和感がありましたか?」
上司「良かったと思うよ。何か理由なりきっかけはあったの?」
部下「その前日のオンライン会議が始まる時、主任が一番につながっていて、入ってくるメンバー一人ひとりに『おはよう』とおっしゃっていたんです。私も言っていただいてとてもホッとしたので、オンラインでも挨拶は大事だなと実感したのです」
上司「そうか。挨拶は大事ですよね。これからもよろしくお願いしますね。じゃあ、1on1ミーティングを始めようか」
このように、承認のアイスブレイクから入ると、部下の気持ちも楽になりミーティングの会話も活発になりますね。
心理学でいうところのラポール(なごやかで心がつながりあった状態)が形成されるということです。
現場で活きるコーチング術⑤相談を受ける時は常に「寄り添う」姿勢で
まずは、次の応対例を見て、考えてみてください。
一枚岩の経営チームをつくるエグゼクティブコーチング応対例A
上司「地熱発電の件、明日締め切りだけど見積書はできあがったのか?」
部下「いえ、まだできあがっていません」
上司「何言っているんだ! どうしてもっと早く報告しないんだ。いつも言っているだろ」
部下「できると思っていたんです......」
上司「現に仕上がっていないじゃないか。どうするつもりなんだ!」
一枚岩の経営チームをつくるエグゼクティブコーチング応対例B
部下「実は今、手掛けている地熱発電の案件、見積書作成が難しくて、どうしていいかわからず悩んでいるんです」
上司「難しいって、何、どの辺が難しいんだ?」
部下「資材価格の高騰をどう織り込んだらいいのか......」
上司「それは誰かと相談してみた?」
部下「主任に相談してみました」
上司「その時にどんなことをアドバイスされて、どういうふうに感じたの?」
応対例Aは「どうして」と詰問や質問攻めになって、「だって」と部下は言い訳に終始することになります。
上司に対してどんどんと心を閉ざしてしまいます。
それに対し応対例Bは、部下の話に寄り添いながら聞いていますので、話も展開してきます。
上司が時間に追われていたり、他の案件が気がかりな時はともすると応対例Aのようになってしまいがちですが、ぜひ寄り添う気持ちを持ち続けたいものです。
多くのビジネスパーソンに関係のあるコーチング
コーチングの目的は、対話を通じて対象者のモチベーションを上げたり、思考の幅を広げたりすることで、アクティブに活動してもらい、目標達成を促すことであると同書ではつづられています。
経営者や役員陣など会社を率いる立場として“エグゼクティブコーチング”の必要性について論じるだけでなく部下やチームメンバーなどコーチングをする相手がいるビジネスパーソンにとっても具体的なメソッドを提供しています。
組織力を100%引き出す方法を同書より学んでみてはいかがでしょうか?
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