ビジネスパーソンインタビュー
あつたゆか著『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』より
“怒り”で相手は変わらない…ではどう伝える? パートナーとわかり合える「6つの話術」
新R25編集部
多くのビジネスパーソンが仕事を頑張ろう、家庭も大事にしようと考えながら働いていると思います。
しかし、考えれば考えるほど「仕事と家庭の両立は難しい...」「どちらかを諦めなくてはいけない」と悩んでしまっているのではないでしょうか?
家族・パートナーシップに関する社会課題を解決し、ふたりらしい生き方を支援する、株式会社すきだよ代表取締役・あつたゆかさんの著書『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』では、仕事と家庭を両立し、自分らしい人生を送るための具体的な方法が書かれています。
パートナーとふたりで協力して理想のライフとキャリアを実現するために大事なのは“対話”だとあつたさんは言っています。
今回は、建設的な“対話”を行うために必要な、相手に意見を伝えるスキルやコツを、実際に悩みがちな「家事」「仕事」「お金」の話題を例にしてご紹介します。
共働きのふたりは家庭の「共同経営者」になろう
結婚生活では、家事、引っ越し、妊活、育児など、さまざまなプロジェクトを協働して成し遂げる必要があります。
ひとりで生きてきた人生から、価値観が違う他者と「チーム」で生きていく人生に変わるのです。
単に恋人として「気が合う」とか「一緒にいて楽しい」ではうまくいかない場面も多く出てきます。
そんななかでプロジェクトを成功させるには、価値観が違うことを前提に対話し、パートナーと「チームメイト」として連携をとっていくことが欠かせません。
そこで、この本で提案したいのが、パートナーとともに家庭の「共同経営者」になり、「家庭の経営会議」を開くというものです。
ときには、お互いの意見が食い違ったり、すぐには相手の考えを受け入れられないと感じたりする場面も出てくるでしょう。
ですが、そういった違いを乗り越えるための方法こそが、「対話」です。
お互いのビジョンが異なったり、人生に求める優先順位や状況が変わったりしたときこそ、話し合ってお互いを理解することが大切です。
結婚とは、お互いの人生を理想に近づけるために手を取り合い、共に家庭をマネジメントしていくことのスタート。
家事分担の割合を半々にすることよりも、お互いのキャリアやライフプラン、役割分担について「対話」ができているかどうかのほうが、ふたりの関係性に与える影響が大きいと言えるかもしれません。
世間がどうだから、親からこう言われたから、そんなことは関係ありません。
ふたりが納得できる選択をすることが、自分たちの幸せには欠かせないのです。
ふたりらしい人生を歩むために、どうしたらパートナーと家庭の「共同経営者」になれるのでしょうか?
パートナーと「共同経営者」として建設的な対話をしていくには、「伝え方」がポイントになります。
フラットな立場でお互いの意見を伝え合うための、6つのコツをご紹介します。
伝えるスキル①「あなた」ではなく「わたし」を主語にして伝える
「お前ももっとやれよ」
「あなたっていつも非協力的だよね」
こんなふうに命令されたり、決めつけられたりするとムッとしませんか?
「お前」や「あなた」を主語にしたメッセージを「YOUメッセージ」と言います。
威圧的で、相手のダメなところを指摘し、発言している側の要望を押し付けてしまっているようにも聞こえます。
この言葉を、自分を主語にした「Iメッセージ」に言い換えてみましょう。
「仕事が繁忙期だから、あなたにこの家事をやってもらえると嬉しいな」
「これを出しっぱなしにしないでもらえると助かるんだけど、どうかな?」
「手伝ってもらえると嬉しい」のは「私」の意見なので、命令のようには聞こえず、受け入れられやすい表現になっていると思います。
「私はこう思う」と、あくまでも「私」を主語にして、自分の考えや要望を伝えることがポイントです。
そのうえで「あなたはどう思う?」と伝えると、相手の受け取り方も変わります。
伝えるスキル②「疑問形」は非難に聞こえるので要注意
「私は話し合いが好きなので、よく相手に『なんで?』『どうして?』と聞くのですが、相手が黙ってしまいます」というご相談をよくいただきます。
「なぜ?」「どうして?」という疑問形の表現にも要注意です。
なぜなら、「なんでいつもできないの?」「どうして遅刻するの?」といった疑問形による問いかけは、本当に理由が聞きたいというよりは、相手を責める意識が強く伝わってしまうからです。
なんでもかんでも問い詰めるような口調は、相手に「責められている」という印象を与えてしまいます。
もちろん問題を解決するために本当に理由を聞きたいときもあると思います。
その際は、「帰りが遅くて心配なんだけど、理由を教えてくれる?」など、「Iメッセージ」で理由を聞いてみましょう。
伝えるスキル③「ふつうは」という言葉をいったん捨てる
「ふつうは結婚式をやるものなのに、どうして乗り気じゃないの?」
「いまどきの男性は育休を取るのが当たり前でしょ」
「結婚したら子供をつくるべきだよ」
パートナーと言い合いになったときに、こんなふうに自分の主張をぶつけてしまっていませんか?
でも、考えてみてください。
「ふつう」ってなんでしょう?
人はどうしても、自分が育ってきた環境での常識や共通認識を基準にして物事を考えがちです。
でも、自分の「当たり前」が、相手の「当たり前」とはかぎりません。
それなのに「パートナーなんだからこうするべきだ」「結婚していたら○○をするのがふつうだ」と言われてしまうと、価値観を押し付けられた相手は、自分を尊重されていないように感じてしまいます。
自分の常識を「ふつう」と決めて押し付けずに、あくまでも「私はこう思う」「あなたはどう思うの?」と、お互いの気持ちを伝え合ってください。
パートナーと話すときは「ふつう」「〜すべき」「当然」という言葉はNGワードにしましょう。
伝えるスキル④怒りではなく「一次感情」を伝える
「つい、パートナーに言いすぎてしまう」と悩む人は少なくありません。
相手に対して怒りの感情をぶつけてしまいがちな人は、自分の弱さを素直に表現できるようになると良いでしょう。
怒りは「二次感情」と言われています。
その根底には「寂しい」「悲しい」「つらい」というネガティブな一次感情が隠されていて、そこから「怒り」という二次感情が沸き起こってしまうのです。
相手に耳を傾けてもらうためには、怒りではなく、その根底にある一次感情を伝えるようにしましょう。
「なんで家事をやってくれないの」
「どうして結婚式の準備を手伝ってくれないわけ」
そうではなく、「結婚式の準備を一緒に進めていけると思って楽しみにしてたのに、実際は私ひとりでやっていて寂しかった。一緒に準備を進めていけないかな?」
このように、一次感情を見つめて、相手にきちんと開示してみましょう。
伝えるスキル⑤どんなときもまずは「肯定的なメッセージ」を伝える
自分の話に耳を傾けてもらうために意識したいポイントがあります。
話したい本題に入る前に「肯定的なメッセージ」を伝えることです。
そもそも、自分の気持ちや要望を相手に伝えるのは、相手を責めたり非難したりしたいからではないはずです。
現状の課題を解決して、今後もふたりで良好な関係を築いていくためです。
なので、問題点を指摘する前に、まずは問題になっている点以外の部分に感謝をしてみましょう。
「いつもありがとう」「大変だったよね」「あなたのそういうところが素敵だよ」という気持ちを大前提として持っていることを、まずは伝えてほしいと思います。
「じつは最近私も忙しくて、家事をもっと手伝ってほしいと思ってるんだ」の前に、「いつもお仕事お疲れ様!そんななかで相談したいことがあるんだけど......」と、前置きを添えるだけで、聞き手側の印象もだいぶ変わりますよね。
伝えるスキル⑥自分の要望を押し付けず相手の気持ちや背景を「きく」
自分の要望を一方的に押し付けないためには、相手の気持ちや置かれている状況を知ることが必要不可欠です。
そのためには、相手に「きく」しかありません。
「聞く」ではなく、ひらがなで表記したのには理由があります。
というのも、人の話を「きく」ときには、3種類の漢字が当てはまり、それぞれ意味が異なっているからです。
仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術・聞く...音や声が受動的に自然に耳に入ってくること。
・訊く...質問などをして能動的に尋ねること。
・聴く...耳を傾け、相手に寄り添い、言葉の背景も理解しようとすること。
対話においては、とくに「聴く」が大切です。「聴く」の漢字の成り立ちから言うと「耳・目・心」で聴くイメージです。
「私はAの方法がいいと思ってるんだけど、どう思う?」と、相手の考えや意見を心から「聴く」意識をすることが重要です。
もしかしたら相手は「自分はBの方法が最適だと思っている」と言うかもしれません。
そんなときも「なんでよ!」とイライラせず、「なるほど!どのへんがしっくりこないか教えてもらえると嬉しいな」と、相手の言葉に最後まで耳を傾け、理解しようとする姿勢が大切です。
お互いの心境や立場をわかり合うことで、新しいアイデアや解決策が生まれるかもしれません。
独りよがりな聞き方ではなく、相手に寄り添いながら、一緒に問題解決に努める姿勢で聴き、信頼関係を築きましょう。
“対話”を通して、協力して理想を叶える「最高のチーム」に
パートナーとの生活では家事、引っ越し、妊活、育児など、さまざまなプロジェクトを協働して成し遂げなければなりません。
価値観が違う他者と「チーム」で生きていく人生を送っていくことになります。
プロジェクトを成功させるには、価値観が違うことを前提に“対話”し、パートナーと「チームメイト」として連携をとっていくことが欠かせません。
理想の人生もキャリアも叶えたいビジネスパーソンにとって、同書は大切な人と向き合うための姿勢やスキル、具体的な対話方法まで記されており、役立つこと間違いなしです。
ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。
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