ビジネスパーソンインタビュー
五百田達成著『話し方で損する人得する人』より
相談は“英文”に変換してみよう。上司や取引先相手に“得する”コミュニケーションの基礎
新R25編集部
新卒・若手社会人の中で、「上司や社外の方とのコミュニケーションが苦手」「相手を不快にさせていないか心配」と悩んでいる方はいませんか?
このようなコミュニケーションの悩みは、「得」する話し方を知ることで解消できるかもしれません。
「「話し方」で、人間関係は良くも悪くもなる」と語るのは、編集者、広告プランナー、作家、心理カウンセラーと、つねにコミュニケーションを仕事をしてきた“伝えることのプロフェッショナル”・五百田達成(いおた・たつなり)さん。
今回は五百田さんの著書『話し方で損する人得する人』より、仕事における「得」する話し方を抜粋してお届けします。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・新卒、若手社会人
・上司や社外の方とのコミュニケーションが苦手な人
仕事における話し方
人間関係は、お互いの相性や立場、年齢・性別で、うまくいくかどうかが決まるように思われがちです。
しかし、そうではなく「話し方」で、人間関係は良くも悪くもなるのです。
話し方ひとつで、人生は得もするし、損もする。
そして、プライベートと仕事では適切な話し方は異なります。
めんどうでも、プライベートはプライベート、仕事は仕事、と話し方を切り替えるのが、最大のポイントです。
たとえば、最近よく見かける「可能ですか?」は、丁寧な表現のように見えて、どことなく「および腰」でズルさの感じられる表現です。
本当は頼みたいのに断られるのが怖い。
だから「可能かどうか?」という表現で逃げている印象。
ここは素直に「お願い」をするほうが得。
「損する話し方」から「得する話し方」にチェンジして、人生を好転させてください。
話し方で、評価が上がる! できる人になります!
思わぬ「上から目線」に要注意
ほめ方にも「損するほめ方」と「得するほめ方」があります。
たとえば、会社でのこんな場面。
話し方で損する人得する人「先輩、あの交渉うまくいったんですか?」
「ああ、おかげで契約とれたよ」
「さすがですね。先輩って、ほんと営業のセンスがありますよね」
「……」
このほめ方は損しています。
失敗のポイントは「上から目線」。
職場の後輩が先輩の営業センスをほめるのは、メジャーリーガーの大谷翔平に向かって「キミ、野球うまいね」とほめるようなものです。
プロはその道の技術に優れているのは当然。
それを「うまいね」とほめるのは、上の立場からジャッジしているわけで、「そういうお前は何様なんだ」となってしまいます。
「バカにしているのか」と思われかねません。
それは、言葉のなかに「いい/悪い」という上から目線の「評価」「判断」「ジャッジ」が混ざっているからです。
こうした「評価言葉」には要注意です。
では、得するほめ方とはどんなほめ方でしょうか?
先輩に対して「さすがですね、先輩。マジですごいっす!」とでも言えば、先輩は「こいつ、ボキャブラリーが乏しいな」「見え透いたお世辞言うなあ」と感じるかもしれませんが、少なくともイヤな気持ちにはならないでしょう。
なぜなら、「マジですごいっす!」は上からの冷静なジャッジではなく、後輩が純粋に感じた「気持ち」だからです。
うまいかどうか、営業のセンスがあるかどうか、仕事ができるかどうか、については、それを語れる立場かどうかが問題になります。
一方、感じたことは誰でも語る資格がある。
ですから、「いい/悪い」より「好き/嫌い」で評価するほうが得をします。
「プリーズ」ではなく「レッツ!」を心がける
以前参加した飲み会でのこと。
飲み会はとても盛り上がり、さあ解散しようかというとき、入社2年目の若手の2人が続けて、職場の先輩でもある40代男性の幹事に「〇〇さん、ありがとうございました、また誘ってください」とお礼を言ったのです。
すると、先輩は怒ってしまいました。
「『また誘ってください』じゃないだろ。『次はぼくたちが企画します』だろ!」
怒られた2人はピンと来ていないようで、ポカンとしていました。
先輩が怒ったのは、「また誘ってくださいね」という受け身の態度に対してでしょう。
会の企画や連絡の手間といっためんどくさいことを人に負担してもらったのに、誘ってもらった側がお返しに「また誘ってください」と平気で言う。
そのことが、昔気質の先輩からすると我慢ならなかったようなのです。
いまは「受け身」の人も増えています。
自分から「こういう機会ってないですか?」と問い合わせたり、「こういう会を開こうよ」と発起したりするのは、めんどくさい。
そんな時代だからこそ、自分から企画して声をかけるという役割は誰かがやらなければいけない、仕事のようなもの。
そこで、「今回はやってもらったから、次は私が」「またご一緒しましょう!」という言い方が「得」です。
つまり「プリーズ〇〇」ではなく「レッツ〇〇!」の言葉を使うのです。
相手が目上の人であっても大丈夫。
言われて悪い気はしないはずです。
もちろん、自分で企画して人を誘えるようになるのが理想ですが、急にはそういう人にはなれないでしょう。
そんなときでも、多少ウソでもいいので、「今度は私が企画します!」「次はぼくがお誘いします!」と、前向きな気持ち、やる気を伝えることが大事です。
「受け身ではない気持ち」が伝われば、結果として、また誘われる可能性が高くなるのです。
おめでたい人キャラに徹する
自分の仕事の一部を指摘されただけで、まるで自分の存在が否定されたかのようにショックを受けてしまう。
こうしたちょっとした指摘、批判で落ち込みやすい人は「損」をしています。
シンプルに、落ち込んでいると仕事が前に進まず、まわりに気を使わせ、次第に誰も指摘をしてくれなくなるでしょう。
結果的に「成長できない」ということにつながります。
得するのは「叱られてもケロッとしている人」です。
「おめでたい人」こそが最強の性格なのです。
「あいつには何を言っても大丈夫」という空気ができると、みんなが気をつかわずにコミュニケーションし始めます。
仕事もスムーズに進むでしょう。
ですから、傷つきやすい人は「仕事は仕事」と割り切ることが大切です。
決してあなたのことを否定しているのではありません。
すぐに気持ちを切り替えましょう。
「次がんばります!」と言って、前向きになれる人は、それだけでみんなに愛される社員になれるのです。
また、感情のセンサーを「ポジティブなほう」へ修正するのも有効です。
そもそも人間は、100回ポジティブなことを言われても、たった1回ネガティブなことを言われると、そればかりが気になる生き物です。
よって、ネガティブなことに「鈍感になれ」といっても難しいかもしれません。
ここは発想の転換で、むしろもっと「前向きに敏感に」なることです。
「企画は通らなかったけど、切り口はいいってほめられたぞ! やった!」といった具合です。
つねに明るく「おめでたい人」だと思われる話し方をすることは、あらゆる面で最高に「得」をするのです。
シンプルに話すためには一度英語にする
得するのは、用件から話すことです。
そのためのコツとしては、とりあえず用件をひとつに絞ることです。
最初に用件を言えない理由は、相手に話したいことが多すぎて、用件をひとことにまとめられないことにあります。
そこで、まずは最初にバシッと「相談なんですけど」と言ってしまいましょう。
それだけで相手はスッキリします。
それ以外の相談は、最初の相談が終わってからすればいいのです。
上司への相談も、用件から言いましょう。
まずは「〇〇の件でご相談があります」と用件を伝えること。
そうすれば、上司もスッと話に入ってきてくれるでしょう。
ビジネスにおいては、とにかくシンプルなコミュニケーションが鍵です。
そのためには「これを英語で言うとしたらどうなるだろう?」と考えてみましょう。
日本人が英語で何かを伝えようとするときは、長々と前置きなどはしないはずです。
「〇〇を〇〇したい」などとシンプルに伝えるはず。
つい前置きをしたくなるときは、英語ならどう言うか、を意識してみるのも「得」する話し方です。
シーンごとの解決策を見つけられる本
「プライベートと仕事では適切な話し方は異なります」と話す五百田さん。
同書では、「家庭・友人編」「飲み会・デート編」「職場・ビジネス編」に分けて、「得」する話し方を事例とともに詳しく紹介しています。
シーンごとに異なる悩みを、この一冊で解決してみてはいかがでしょうか。
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