ビジネスパーソンインタビュー
林輝幸著『一生役立つ独学戦略』より
「すべての結果を数値化する」「仲間を見つける」元東大王が教える“独学”のコツ4選
新R25編集部
「資格を取りたい」「外国語を話せるようになりたい」といった意欲はあるけど、なかなか続かないという悩みはありませんか?
それらの悩みは「独学」のノウハウを学ぶことで解決できるかもしれません。
TBSのクイズ番組『東大王』に出演し、現在はクイズ制作集団「Q星群」の代表を務めている、林輝幸さんの著書『一生役立つ独学戦略』では、あらゆる独学に共通する成功ポイントを紹介しています。
今回は同書より、独学を始める際の重要なポイントを一部抜粋して紹介。
ポイントを押さえるだけで、独学の質は格段にアップしそうです…。
この記事はこんな人におすすめ(読了目安:5分)
・独学に興味がある人
・自己管理が苦手な人
・学習を求められているビジネスパーソン
独学とは、自己管理をすること
「独学」を『広辞苑 第七版』で引くと、「師に就かずに独力で学問すること」とありますが、僕なりに、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。
前段の「師に就かずに」というのは、わかると思います。
学生の場合は、「学校や塾の先生の教えを受けずに」勉強するということ。
社会人の場合は、「スクールやセミナーなどに通ったりせずに」勉強するということですね。
では、後段の「独力で」とは、どういうことでしょうか。
これは、「自己管理をして」というのが僕の解釈です。
「学校や塾の先生の教えを受けない」ことが前提ですから、授業や宿題に頼らないということになります。
つまり、本書でいう「独学」とは、「学校や塾の先生の教えを受けずに、自己管理をしながら勉強すること」と定義できます。
「資格試験に合格したい」「ある分野の知識を身につけたい」「教養を深めたい」「雑学やクイズに強くなりたい」など、みなさんが独学をする動機はさまざまでしょうが、そのときに役立つノウハウをご提案できればと願い、書きました。
独学には無限の可能性があります。
「ひとりで学べる」ことは一生モノの武器になります。
そして、その武器は誰でも、いつからでも手に入れることができるのです。
独学ポイント① すべてを数値化する
目標は「勉強する理由づけ」であり「独学を続ける力の源」になる。
だから目標を設けることが独学では欠かせない。
そのうえで重要になるのが、「自分のいまの実力を測る」ということです。
言い換えれば「現在地」を把握するということです。
それも、なるべく正確に「数値」で把握することが、適切な計画を立てる必須条件なのです。
受験や資格試験など「合否」が下されるものなら、模試を受けずとも、「過去問」を解くことで、自分の現在地を数値で把握できます。
こうしたわかりやすい指標がない場合でも、何かしら数値的な指標を設け、そのなかで自分の現在地を把握することをおすすめします。
たとえば次のように。
一生役立つ独学戦略「ネイティブと問題なくチャットできるくらい英語力をつけたい」
→ネイティブの知人がいれば、1時間くらいチャットして相手に点数をつけてもらう
「経済ニュースに対して自分の見解を述べられるくらいの知識をつける」
→日経新聞からサンプル記事を採取し、そのうち何割、経済用語を正確に理解しているかを点数化する
このように、独学では「数値化」する、ということが非常に重要になってくる場面があります。
ポイントは主観的ではなくなるべく客観的に行うことです。
また、目標も「すべて数字で表す」ようにしてください。
「数値化できない目標もあるでしょう?」そう思うかもしれません。
しかし、独学では「無理にでも数値目標に落とし込む」ことが欠かせないのです。
「無理にでも数値目標に落とし込む」ことで一気に明確に、具体的になっていきます。
一生役立つ独学戦略「ビジネス英会話が『できる』って、数値にするとどれくらい?」
→TOEICで660点を取る!
「その数値に達するには、何を、どれくらいやればいい?」
→問題集を10冊、間違えるところがなくなるまで、みっちり解きまくる!
「経済学の基礎知識を身につける」
→日経新聞で理解できない記事を「ゼロ」にする!
「その数値に達するには、何を、どれくらいやればいい?」
→経済の入門書を5冊、中〜上級の本を3冊、半年以内に読み込む!
独学ポイント② やらないことを決める
計画を立てるとは、つまり「やることを決める」ということですが、反対に、「やらないことを決める」というのも大切です。
入試や資格試験など、「合格ラインに達することが目標」という勉強の場合は、特にそういえます。
生真面目な人ほど、とにかくすべてを満遍なく学ぼうとするものかもしれません。
でも、目標を達成する過程で、しかるべきところで手を抜くのは悪いことではないのです。
それは「怠け」などではなく、「有限な時間と自分の力を、適切に配分する」ということだからです。
僕の場合、東大受験で最大のネックだったのは「国語」です。
たとえば論述形式で答える問題で、問いのポイントをつかみ、答えらしきものは思い浮かんでも、それを文章で的確に表現するというのが苦手だったのです。
東大の国語の入試問題は、予備校の模試によると、「評論文(40点)」、「古文(30点)」、「漢文(30点)」、「随筆(20点)」という配分でした。
センター試験(現在の共通テスト)の国語には「小説」もあったのですが、東大の入試には入っていません。
だから、僕にとって「小説」は手抜きポイントでした。
もちろんセンター試験で悪い点を取るわけにはいかないので、一応は、「小説」の問題も練習していました。
でも、ほかのところで点を稼ぐことが重要ととらえており、「小説の問題は、たいして解けなくても気にしない」くらいの意識だったのです。
戦略的に「あえて、やらないこと」を見極めることも重要です。
独学ポイント③ 仲間を作る
先にお話しした「独学」の定義を覚えていますか?
辞書的には「師に就かずに独力で学問すること」であり、それを僕なりに、もう少し具体的に定義し直したのが、「学校や塾の先生の教えを受けずに、自己管理をしながら勉強すること」というものでしたね。
「独力で学問すること」「自己管理をしながら勉強すること」いずれも、言い換えれば「あらかじめ与えられた学習環境がない場での勉強」という意味であり、まわりに人がいるかどうかは関係ありません。
「ほかの人と一緒に勉強すること、一緒に勉強する仲間を独自につくることは、独学の定義から外れていない」と僕は考えます。
一緒に勉強する仲間がいると、実際、「モチベーション維持に役立つ」や「情報共有に役立つ」といった効果が期待できます。
身近なところに一緒に勉強できる人がいない場合は、オンラインで一緒にがんばる仲間を見つければいいのです。
「独学は“ひとりぼっち”でするものとは限らない」というのは、いまの話でおわかりいただけたかと思います。
もちろん、なかには、「どこまでいっても、自分ひとりで大丈夫。ちゃんと独学を続けられる」という意志の強い人もいるでしょう。
ただ、「ふと孤独感に襲われることがありそう……」「自分で解消できない疑問に直面したときはどうしよう……」といった不安がある人もいるでしょう。
むしろそんな不安があるのが当然だと思います。
その備えとして、積極的に仲間をつくることで、一つ強力な「継続の仕組み」を手に入れることができるのです。
独学ポイント④ 教材は“3割未知”
「勉強を始めるぞ!」と決めたまではよかったが、「どんな教材を使えばいいのだろう?」と迷ってしまう人は多いと思います。
学校や塾なら、たいていは指定の教材がありますが、自分で選ぶとなると難しいですよね。
少し大きめの本屋に行くとたくさん教材が並んでいて、「選択肢が多すぎて選べない」なんてことも起こりがちです。
ずらりと並んだ教材のなかには、自分にぴったりのものもあれば、当然、そうでないものもあります。
だからこそ、慎重にいきたいところです。
そこで教材を選ぶ際の基準として、「実際に読んでみて、わからない部分が3割ほどあること」というのをご提案したいと思います。
まったく理解できないと勉強がイヤになってしまいます。
かといってほとんどすべて理解できるようでは、新しいことを学べなくなります。
独学を継続させるには、自分に課すハードルは適度に低いほうがいい。
その「適度な低さ」が、教材では「3割くらいわからないところがあること」なのです。
7割はもう知っているのですから、その復習をしながら、3割の未知部分を学んでいく。
「無理なく進められる」というのが独学を継続する重要なカギです。
もちろん「3割」というのは厳密に測るものではなく、そこは自分の感覚でかまいません。
一生役立つ独学戦略①少し大きめの書店で、勉強したい分野の参考書の「もくじ」を確認する。
②それから本文部分もパラパラとめくってみる。
③そして複数の本を手に取って同じチェックをする。
④「3割未知」の条件を満たしている本が何冊かあったら、今度は、自分が勉強しやすそうかどうかを比較検討する(たとえば、教材Aは文章での説明が多い、教材Bはイラストでの説明が多い、教材Cは監修者オリジナルの勉強法もあわせて載っている、など)。
といった流れで絞り込んでいくのをおすすめします。
効率的な学びを手に入れられる一冊
「勉強は学生がするもの。大人になれば勉強しなくていい」と考えていた方はいませんか?
しかし、大人になっても勉強する機会って多いですよね…。
さらに、大人になると時間が限られてしまうので、効率的な勉強法が重要になってきます。
ぜひ同書で独学のノウハウを学び、効率的な学習を目指してみてはいかがでしょうか。
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