

深井龍之介著『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考』より
ジェフ・ベゾスと平凡な青年に「大差がない」と言える歴史視点の極論
新R25編集部
「コロナの流行」や「価値観の変化」など、前例のない悩みと向き合い決断を迫られるビジネスパーソン。
しかし「大半の悩みは古代の人々が考え尽くしている」と、歴史事業を展開する株式会社COTEN代表・深井龍之介さんはいいます。
歴史をこよなく愛する深井さん。いま多くのビジネスパーソンや経営者が夢中になって聴いているポッドキャスト「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」では、ユニークかつディープなエピソードを紹介して歴史の“小難しいイメージ”を覆しています。
深井さん初の著書『世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考』より、読めばきっと悩みが軽くなる「ブッとんだ偉人エピソード」を一部抜粋してお届けします。

凡人は無価値なのか?
悩みといえば、SNSなどを見回して目立つのが、「ダメ人間である自分が嫌だ」という声です。
今の自分の境遇に満足できないとか、自分の不完全さに絶望しているとか、そんな感じです。
思うに、そういう人は、人間を「偉人」と「凡人」、あるいは「すごい人」と「すごくない人」に二分して考えているのではないでしょうか。
それで、自分を後者だと考えて悩んでいるというわけです。
たしかに歴史を振り返ると、そこにはたくさんの偉人がいます。
カエサル、織田信長、ナポレオン…。
歴史をつくってきたのはそんな偉人たちでした。
それに引き換え自分は、と思ってしまう人が多いようです。
信長は20代で桶狭間の戦いに勝っているのに、自分は40歳になってもパッとしない会社員じゃないか。
信長までいかなくても、友達や同僚と比べて、なんと自分はダメなんだ。
そういう悩みです。
しかし、本当に凡人には価値がないのでしょうか?
そもそも、凡人と偉人との区別って、そんなにはっきりしたものでしょうか?
まずはそこからスタートしましょう。

イエス・キリストはどこにでもいる平凡なユダヤ人大工だった
世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考
イラスト/iziz
イエス・キリスト(1世紀ごろ活動)は、後世への影響という点では、間違いなく史上最強の一人です。
キリスト教は今も西洋世界のベースにありますし、日本などほかの地域への影響も大きい。
キリスト教がなければ、科学も資本主義も現在のような形では生まれなかったかもしれません。
もう地球の歴史を変えてしまったと言っても過言ではないくらいのスーパー偉人です。
しかし、そんな惑星クラスの偉人も、30歳くらいまではただの大工だったことを、ご存じでしょうか。
当時の大工は、社会的地位があまり高くありません。
奴隷の一つ上くらい。
どこにでもいる平凡なユダヤ人大工の一人がイエスでした。
そんな仕事を続けていたイエスですが、ある日大工を辞め、ヨハネという人に弟子入りします。
イエスは、このヨハネの右腕のようなポジションになり、やがてイエス自身も少しだけ弟子を持ちつつ、出身地に近いガリラヤでユダヤ教の新説を唱え始め、当時、ユダヤ教の中心地だったエルサレム近郊で活動を行います。
そのことでユダヤ人を支配していたローマ帝国から脅威とみなされるようになり、30歳を過ぎたころ、弟子の一人(ユダ)に裏切られて捕らえられ、今でいう政治犯として処刑されます。
自分の考えを広めた期間はたったの3年くらいでした。
ちなみに、イエスは十字架に磔にされたことで有名ですが、十字架刑は政治犯に適用された罰です。
別にイエスだけの特別な刑罰だったわけではありません。
実際、イエスが処刑されたときには、ほかにも2人が処刑されています。
弟子に裏切られて処刑された、元大工の政治犯。
資料が乏しいので、研究者によって意見の違いはありますが、イエスの生涯を一言で表現するとこうなります。
正直、あまり偉人感はありません。
イエスの弟子たちも「十二使徒」と言うとなんだか格好いいですが、これは要するに弟子が12人しかいなかったということです。
零細団体もいいところです。
弟子の数はともかく、イエスの活動が世界中に届いていれば偉人といえると思うんですが、それも小規模でした。
イエスが活動をしていたエルサレムは、当時のローマ人の感覚では、中心都市から遠く離れた属州の地方都市の一つでしかありませんでしたから。
もちろん、ローマ帝国から睨まれるくらいなので、イエスがそれなりに注目されていたのは事実です。
彼の説法には最大で5000人が集まったという話もあります。
しかしこれは『新約聖書』にある記述、つまり“主催者発表”の数字ですから、眉唾ものかもしれません。
そもそも、イエスに関する同時代の資料がほとんど残っていないことも、彼がさほど有名ではなかったことを物語っています。
少し乱暴に言えば、実在のイエスは、地方都市で処刑されたちょっとエキセントリックな元大工にすぎないのです。
話はうまかったのかもしれませんが、話がうまい人なんて世界中に山ほどいます。
当時のエルサレムの人々にアンケートを取っても、一部の弟子を除いて、イエスが2000年後の世界でも語り継がれる伝説的な人物になる、なんて思っていた人は皆無だったでしょう。

ジェフ・ベゾスも引きこもり青年も、イエスから見れば小物
知名度や偉さならローマ皇帝のほうが比較にならないくらい上です。
でも現代、イエスの名前は知っていても、当時のローマ皇帝の名前を言える人はほとんどいません。
なぜ、そんなことが起こったのでしょうか?
それは、端的に言えば「たまたま」です。
歴史って、ものすごく複雑なものなんです。
遠い将来を予測して動ける人なんていません。
だから、人間の評価を短期的なスパンで下すことにあまり意味はないんです。
だって、田舎の政治犯だったイエスが、世界帝国ローマの皇帝をはるかに上回る影響を残したんですから。
そんなことは、イエスを含む当時の人間の誰もが予想できなかったはずです。
ということは極端な話、もしあなたが今はパッとしない会社員だったとしても、失業中でも、あるいはニートでも、将来的には現代のスーパースター実業家といわれるマーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクを超える影響力を世界に及ぼすかもしれないということです。
ザッカーバーグもマスクも大きな業績を残している人ではありますが、さすがにローマ皇帝ほどの権力は持っていません。
今、この瞬間だけを切り取って人間を評価するのは危険です。
僕たちは、長くても100年前後しか生きられません。
それなのに、今の自己評価で自分を卑下するのはやめたほうがいいのではないでしょうか。
どうしても卑下したいなら、少なくとも1000年くらい様子を見てからにしましょう。
特に僕は、ベンチャー企業で働いているのでよく分かります。
現代の価値観は性急に勝ち負けを決めすぎです。
あいつはデキるやつだ、そいつはダメなやつだ、と。
でも、(アマゾン・ドット・コム創業者の)ジェフ・ベゾスとその辺の引きこもりの青年も、歴史的なスパンで見れば大差ないことが分かるでしょう。
どちらも、イエスから見れば小物でしかないですから。
人間味あふれる“偉人エピソード”で新しい視点がひらける
世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考この本には、覚えるのが大変な年号はありません。
そうではなく、歴史上の偉人たちのおもしろいエピソードがたくさん詰まっています。
みなさんはそれを、僕らのポッドキャストを聞くように、楽しんで読んでくれればそれでOKです。
同書に登場する歴史上の偉人たちは、ソリッドでありながら人間くさい魅力を持ち合わせていて、必死で暗記した偉人たちとは少し見え方が違います。
偉人たちの新たな一面に自己投影できるので、読み終わりには自分を取り巻くモヤモヤがなんでもなく思えるはず。
未知の悩みに直面したときや新しいモノの見方・考え方を得たいとき、歴史を面白く学び直したいときに、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

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