ビジネスパーソンインタビュー
堀江貴文著『それでも君はどこにでも行ける』より
堀江貴文が考える、新型コロナウイルスと共存する時代で“勝てる”2パターンの人材
新R25編集部
新型コロナウイルスの第3波が到来し、再三にわたる外出自粛の呼びかけが続いています。
日常生活のすべてがまた大きく制限されるのではないかと噂される今、「もっと自由に活動したい」と歯痒い思いをしている人もいるのではないでしょうか?
そんななか、堀江貴文さんは今年11月に上梓した新著『それでも君はどこにでも行ける』で、こんな状況下でも動き・考えることの重要性を訴えかけています。
「国境をはじめとする、分断のラインは地図にはない。あるのは君の頭のなかだ。立ち止まってはいけない。分断を越えていけるかどうかは、君の行動次第だ」
世界中が閉塞的な空気感に包まれているときに、堀江さんが伝えたいこととは?
世界各地を巡ってきた堀江さんの「紀行文」をまとめた同書から、一部抜粋してお届けします。
“何となく”で発言をしていないか?
僕はこれまで様々な国を巡り、多くのビジネスマンや起業家、政治家や研究者、遊びのプロなど、多様な人々と対話してきた。
世界情勢についても、僕なりに思索を巡らせ、その過程で、ひとつの結論を得た。
実は、分断(それまで安定していたビジネスやコミュニティが崩れていくこと)を生む原因は、高尚な思想や切実なメッセージではない。
“何となく”の風潮だということだ。
ほとんどの人は、絶対に自分が譲れないような思想信条は持っていない。
ただ、メディアやSNSで流れてくる大量の情報をさばききれず、まとめサイトに挙がるような密度の薄い、“何となく”の現象を本質であるかのようにとらえ、易々とそこに乗っかってしまっているのだ。
香港デモの参加者も、「#Black Lives Matter」運動に加わった人たちも、そのムーブメントの元の問題の複雑な構造を理解している人は、ほんのひと握りだろう。
9割方は、“何となく”そっちへなびくのが正しい、または格好いいから、賛同しているだけだったりする。
もしくは極端に誤解している場合もあるだろう。
自分の頭で、問題を深く考えたり調べたりせず、“何となく”キャッチーな言葉やメッセージに流され、デモとかテロとか、ハッシュタグとか、底の浅い行動で、満足したような気持ちになっている。
つまり、「ファッション」なのだ。
世界の分断を加速させているのは、“何となく”格好いいように見える、ファッションなのだ。
その主な要因は、やはりSNSの浸透だろう。
日本でもSNSを中心に分断現象といえるムーブメントが起きた。
「#検察庁法改正案に抗議します」と「#種苗法改正案に抗議します」運動だ。
僕は公式動画でコメントしたり、ネットでも関連ニュースはたくさん上げられているから、運動の詳細はここでは省くが、一連の運動がSNSで盛り上がっていたとき、僕は正直、頭が痛くなっていた。
改正案が、どんな経緯で提出されるに至ったのか。本質的な問題はどういうものなのか。それらを正しく理解して声を上げている人は、1%もいないのではないか。
ほとんどの人は「民主主義を脅かす法案に反対する私、格好いい!」という、表面をなぞった程度の軽いファッションで、やっているんじゃないか。
べつに、ファッション気分が悪いとは言わない。しかし、無知な声のせいで、改正されるべき法律が放置されてしまうのは問題である。
コロナ禍で生き残るには、正しいリテラシーを身につけること
コロナ騒動で、はっきりしたのは、無知による“何となく”が「分断」を加速・細分化させることだ。
確実ではない情報をもとに、ろくに考えもせず、流されて行動して、みんな袋小路に入ってしまった。
自ら扉を「閉じた」というより、“何となく”流された果てに、扉の向こうへ追いこまれてしまったような状態ではないだろうか。
日本では、PCR検査をもっと増やせと言われるが、偽陰性・偽陽性の判定が多い検査に、どんな意味があるのだろう。それで発表される感染者数に、信憑性があるのか。
あんな数字を毎日、発表することに何の感染防止の効果があるのだろう。
きちんとしたリスク分析を、自分の頭で行えるリテラシーを備えていれば、ニュースやSNSで流れる怪しい情報などに、惑わされない。
正しい感染予防策をとったうえで、コロナパニック以降の人生を、最小限のリスクで組み立てていくことができるはずだ。
リテラシーがないからこそ、コロナ禍で仕事がなくなったとき、Uber Eats配達員のバイトをしようとしたりする。
Uber Eatsは大流行だが、働く方は大変だ。
あの配達員の仕事ほど、ハイリスクローリターンな仕事はない。
日頃から自転車に乗り慣れていない普通のサラリーマンが、何の保険にも入らず、車の通行量の多い都内の道路で一日中自転車を乗り回すなんて、正気の沙汰ではない。
交通事故に遭う確率、そして、その場合の死傷率をコロナ感染リスクと比べてみたらどうだろう。
実際に2020年の2月以降、OLや大学生が生活費のため、Uber Eats配達員になり、死亡事故に遭ったことも報告されている。適切なリスク分析ができていれば、そんな悲劇は起こらない。
コロナ禍のような、いざというときに頼りになるのは、怪しい筋の予防法とか、過度な自粛ではないのだ。
膨大な情報を浴びて、身につけるリテラシーだ。
知性や、思考力と言い換えてもいい。
もっと学ぼう!
ちゃんと思考しよう!
きちんと体系立った知識を得て、体験と組み合わせ、学びを積み重ねていくことが何より大切だ。
新型コロナと共存する時代において、勝つ人は決まっている。
ひとつは、周囲の自粛圧力に負けずに、やったもん勝ちで行動しているハートの強い人だ。
社会的な善し悪しはともかく、営業を自粛せずに緊急事態宣言下で店を繁盛させていた歌舞伎町のホストクラブも、それに該当するかもしれない。
もうひとつは「状況を冷静に分析して何が正しいのか、自分の目で見極める」リテラシーの持ち主だ。
考える能力を鍛えていれば、どんな危機でも生き延びられる。
逆に言うなら、自分で考えないで、“何となく”に流されていると、生き抜くことは難しい。それは、どんな社会情勢になろうと不変のルールでもある。
グローバリズムは、終わっていない。
コロナ騒動にあっても、1年前と変わらずに、「閉じた」扉の向こうで回っている。
行動の自由を手放すかどうかは各自の判断だが、自分の思考だけは、決して手放さないほうがいい。
SNSに乗れば、どんな意見でも「強風」になる
すべての物事は、是々非々で考えなくてはいけない。
正しいことをしているつもりが、本当に正しい流れの邪魔をしているのではないか?という疑いは、常に頭に置いておくべきだろう。
新型コロナウイルスの感染拡大では、「自粛警察」「自粛厨」といった、ネットの声が取り上げられた。
これは、風潮に負けた代表的存在だと思う。本当に感染を恐れているのではなく、自粛しないことで、コミュニティから村八分にされたり、攻撃対象にされるのを怖がっている向きが、大半ではないか。
僕から言わせると、これは自分の思考を他人に預けている、最終的に最も不利益を被るタイプの人たちだ。
正しいことをしたい気持ちは大事なのだが、学びが足りないと、バカをさらすだけだ。
科学的に裏づけされた情報をもとに勉強して、あらゆる風潮に対する疑いの目を持つことを、忘れてはいけない。
ファッションの仮面を被って現れたものに対しては、基本的に怪しむ姿勢を持とう。
その言葉や行動は、本当に自分の頭で考えたことか?
どんな意見でもSNSに乗れば、しばしば強力な風となり得る。個人の力が侮れないからこそ、発信には充分な配慮と学びに基づく判断が大事なのだ。
常に問いかけ、リテラシーを磨く努力を、怠ってはならない。
本当に社会を良くしたければ、思考の鍛錬が最も肝要だ。
分断の扉は必ず開く! 堀江さんによる世界紀行文
堀江さんは書籍のなかで次のように語っています。
『それでも君はどこにでも行ける』行きたいところへ行き、見たいものを見られる世界は、決して失われない。
それが人の願いの真実だからだ。
(中略)不安は杞憂だ。僕たちはしばらく不便を強いられるかもしれないが、分断の扉を開く能力を、捨ててはいないからだ。
世界各地を旅するなかで、多くの文化と人々に触れてきた堀江さんの紀行文。
世界のどこでも生きていけるような柔軟な思考を、この本から学んでみてはいかがでしょうか?
〈撮影=中澤真央〉
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