

デジタル化が進んでも、炭素は減らなくないですか…?
デジタルマーケティング支援企業がなぜ「脱炭素」を…? メンバーズの取り組みがブッ飛んでた
新R25編集部
さまざまな角度から企業のDX支援をおこなうデジタルマーケティング企業、「メンバーズ」。
社会課題解決に貢献するべく、“脱炭素DX”なる取り組みに力を入れているそう…いや、力を入れているどころではありません。
なんと今月、『脱炭素DX』という直球タイトルの書籍まで出版。noteや公式サイトでもさかんに脱炭素DXについて発信するなど、その熱意はとどまるところを知りません。
一体なにがメンバーズのみなさんを突き動かしているの? というかそもそも“脱炭素DX”って何だ…?
株式会社メンバーズ 専務執行役員 EMCカンパニー社長 西澤直樹さんに、 詳しく教えてもらいました!
〈聞き手=いしかわゆき〉
炭素を排出すればするほど、ネガティブインパクトになってしまう

西澤さん
僕たちメンバーズは、脱炭素社会の創造に向けた企業のDX推進支援、つまり“脱炭素DX”に全力を注ぐ会社です。
この想いをどうしても伝えたくて、本も出しちゃいました!ほら!
冒頭からいい笑顔でカッ飛ばす西澤さん

いしかわ
ちょ、ちょっと待ってください! そもそも“脱炭素DX”ってなんですか…?

西澤さん
それを知っていただくために、まずは「脱炭素社会」について説明させてください。

西澤さん
今、先進企業はこぞって「脱炭素社会」の実現に目を向けているんですよ。
簡単に言うと、地球温暖化の要因となる、二酸化炭素などの「温室効果ガス」の排出を削減しようという取り組みです。

いしかわ
私が子どものころからずっと言ってる気がしますが…どうして最近になって再注目されるようになったんでしょうか?

西澤さん
このまま二酸化炭素を出しつづけたら、いよいよ人間は生きられなくなってしまうからです。
これまでの時代は、石油を使ったりゴミを出したりして二酸化炭素を大量に吐き出しながら、大量にモノを作って売るというビジネスモデルが当たり前でした。
その結果、気候変動問題がどんどん深刻化していますよね。このままでは、本当に地球に住めなくなるかもしれない。

いしかわ
なんとなくわかります。今年の夏も異様に暑かったな…

西澤さん
その流れを受けて、今は世界的に「脱炭素に向き合って当然」なムードが浸透しつつあります。
つまり、炭素を出せば出すほど、企業にとってはネガティブインパクトになってしまう時代が来ている。
「炭素を多く排出している企業には高い炭素税を課す」「そういう企業に対しては投資をしない、もしくはやめる」といった動きが、世界的に起きているんですよ。

西澤さん
それにともない、消費者の意識も変わってきています。
「脱炭素社会」「SDGs」といった言葉が浸透するにつれて、社会課題に向き合っていない企業はどんどん選ばれにくくなってきているんです。

いしかわ
たしかに、“環境に配慮してる企業”のほうが応援したいかも。

西澤さん
社会の流れが変わるなかで、僕たちが脱炭素社会の実現に向き合っていくのはある意味当然の流れなんですよね。
そういった背景があって、僕らは“脱炭素DX”に力を入れ始めたんです。
「脱炭素」と「DX」の両立は可能だと言い切るワケ

いしかわ
まだピンとこないのが、メンバーズさんが「脱炭素」と「DX」をくっつけてるところなんです。
脱炭素は「炭素の排出を減らすこと」、DX(デジタルトランスフォーメーション)は「デジタル技術でいい方向に変化させること」ですよね。
このふたつ、関係あります?デジタル化が進んでも、炭素は減らなくないですか…?

西澤さん
たしかに、一見無関係に聞こえますよね(笑)。

西澤さん
「脱炭素」と「DX」の関係がわかりやすい例として、一緒にお取り組みさせていただいたANAグループさんの事例をご紹介しますね。
僕たちがANAグループさんにご提案したのは、旅行気分を味わえるWebマガジン「ANA Travel&Life」。
全国の情報を楽しめたり、ご当地商品を購入できたりと、飛行機に乗らなくてもWeb上で旅行さながらの体験が楽しめます。

いしかわ
へぇ!

西澤さん
元々ANAグループさんは主力の航空事業だけでなく、非航空事業、つまり飛行機を飛ばすビジネス以外の拡大にも注力されていました。
そのひとつが「ANA Travel&Life」で、メンバーズではサービスデザインからサイト構築、グロースまで一貫してご支援しています。
この事例は、僕のなかでは完全に“脱炭素DX”なんですよ。

いしかわ
というと…?

西澤さん
非航空事業が第2第3の柱となることで、結果として「飛行機より炭素の排出が少ない事業」で「脱炭素」を実現させたうえに、これまで以上の体験価値を提供できるようになったと僕たちは思っています。

いしかわ
なるほど、「脱炭素」と「DX」はそうやってつながるのか…!

西澤さん
ただ、“脱炭素DX”という考え方が、まだあんまり浸透してない自覚はあるんですよね…(笑)。

西澤さん
なのでまずは“会社の憲法”でもある「定款」に、事業を通して脱炭素社会創造への貢献にコミットすると追記しました。

いしかわ
なるほど…(アツい会社だな)

西澤さん
さらに!
自分たちの事業で使っている電力を、再生可能エネルギーで賄うべく、「メンバーズエナジー」という太陽光発電事業会社を立ち上げました。

いしかわ
えっ、発電所まで自分たちで?

西澤さん
脱炭素DXを推進するには、まずは自分たちからその姿勢を社会に示すことが重要ですからね。
さらに!お客さま向けには「DX PRODUCER」というプロデューサーチームを立ち上げました。
ダメ押しの「さらに」が発動。ちなみにこちらはDX PRODUCERのメンバーのみなさんです

西澤さん
メンバーズのクリエイターが、あたかも“社員”のような熱量でクライアント企業にコミットし、脱炭素DXによる成長を支援していくという取り組みです。

いしかわ
いや、本気度がエグい。

西澤さん
社員さながらのコミット度で向き合ってはじめて、“脱炭素DX”を目指す提案にも興味を持っていただけるんですよね。
「メンバーズが言うなら試してもいいかな」と思っていただけるよう、真摯に向き合っています。
倒産危機から学んだ、いち企業が「社会課題」と向き合う意義

いしかわ
メンバーズさんって、最初からそんなにアツい会社だったんですか?

西澤さん
いや、むしろ逆です。
かつてのメンバーズは、社会課題なんてまったく意識してなかったんですよ。
ミッションもビジョンも特になく、目先の利益を追うのに必死でした。その結果、徐々にお客さまとの関係が悪くなり、ついに大口の案件を失注してしまって。

西澤さん
それを皮切りに、人がどっと辞めてしまった。はっきり言って倒産危機でした。

いしかわ
そこまで…!

西澤さん
目の前の利益を追いかけていると、利益を失った瞬間に人は逃げていくんだと悟りました。
大きな目的がないと、会社はひとつになれない。
そこでようやく、僕らは「本当に成し遂げたいこと」を探して…行き着いたのが社会貢献だったんです。再起をかけて、本気で社会課題に向き合ってみようと。

西澤さん
経営方針を決めてすぐに東日本大震災があって。復興支援のため、仙台にオフィスを作ったんですよ。
単に寄付をするよりも、雇用を満たしていくことのほうが本質的だと考えての取り組みでしたが…これがかなりうまくいきまして。
結果的に仙台オフィスが、会社をふたたび成長させるための原動力になったんです。

いしかわ
ドラマみたいな話だ…

西澤さん
いわゆる“CSV経営*”を実践することで、一見遠回りな「社会課題への取り組み」が、実は成長のための一番の近道なんだと身をもって知りました。
*CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造):社会的課題の解決と企業の利益、競争力向上を同時に実現させ、
社会と企業の両方に価値を生み出す取り組み

西澤さん
今では当たり前のように、全社を挙げて社会課題に取り組んでいます。
たとえば2020年5月に掲げた「VISION2030」。
「日本中のクリエイターの力で、気候変動・人口減少を中心とした社会課題解決へ貢献し、持続可能社会への変革をリードする」 というテーマで、2030年に目指す姿を描いています。
VISION2030の達成のために、若手社員も率先してプロジェクトに参加してくれているんですよ。

西澤さん
全社を挙げて社会課題解決に向き合おうと決めてから、僕もさまざまな経験をしてきました。
ときにはデンマークまで幸せを探しに行ったり…
メンバーズでは執行役員向け研修の一環で、デンマークへ視察に行くしきたりがあるそう。“幸福度世界ランキング1位”の国・デンマークで、西澤さんも幸せを求めさまよってきたようです

西澤さん
それで気づいたんです。
幸せの本質は、「自分が“社会に貢献している”と自覚すること」なんじゃないかって。

いしかわ
なるほど…社会課題ってつい難しく捉えちゃいますけど、自分の幸せに直結した話だと思うと、ちょっと身近に感じられる気がします。

西澤さん
ですよね。
DXとは、企業が持続的に成長するために有効な方法であり、社会をより良くしていくための手段でもありますが…
その「良く」する対象に「地球」を含めて考えることから“脱炭素DX”がはじまります。
まだまだ私たちも道半ばですが、この考え方に少しでも興味を持ってくださったらうれしいです。
「ぜひ、僕たちにお手伝いさせてください!」
脱炭素DXという聞き慣れない言葉に身構えていましたが…お話を聞けば聞くほど、「これは“私たち”の話なんだ」と背筋が伸びた心地がしました。
事業の成長のために毎日奔走するあなたも。たまには腰を据えて、地球の、会社の、そしてあなたの「幸せ」に想いを馳せてみませんか?
〈取材・文=いしかわゆき(@milkprincess17)/編集=石川みく(@newfang298)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉

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