ビジネスパーソンインタビュー
日本の社会課題解消にも貢献
社員のわがままを実現する…!? 労働者の住環境をアップデートする「社宅2.0」とは
新R25編集部
リモートワークの普及にともない、ライフスタイルに合わせ出社とリモートワークを使いわけたり、遠方に引っ越したり…コロナ禍でビジネスパーソンの働き方は変化しました。
そんななかで「社宅」も生まれ変わっているそうです。
これまで「安く住めればそれでいい」と思われていた社宅ですが、コロナ禍によって考え方を変える必要がありそうなんだとか。
今回は、クライアント企業と社員双方の幸福を実現する“住まい”環境整備コンサルティングサービス「社宅2.0」を提供するリネクサスの方に、時代に合わせた社宅の変化について聞いてみました。
〈聞き手=福田啄也(新R25編集部)〉
株式会社リネクサス 営業部の萩原信之介さんにご足労いただきました
「格安で住めるだけでよかった」これまでの社宅の立ち位置
福田
御社は「社宅2.0」と謳っていますが…
正直、社宅ってあんまり「時代とともに変化していく」みたいなイメージがない気がします。
萩原さん
いえ、コロナ禍の今…「社宅のアップデート」は絶対に必要なんです。
萩原さん
これまでの社宅といえば、どういうイメージをお持ちですか?
福田
とにかく「家賃を抑えられる」というイメージです。
会社の持ってるアパートに若手社員がみんな住んでいて、大浴場があったり、食堂があったりするような…
稚拙なイメージですみません…
萩原さん
おっしゃるとおり、自社で持っている寮だったら、月1万~2万などの格安の家賃ですんだり、食事が付いていたりなど、「コスト削減」に大きなメリットを感じる方が多かった。
そのほかの生活面において、社宅に多くを求めるようなことってあまりなかったんですね。
これまではそれでもよかったと思います。コロナ禍が来るまでは。
コロナ禍で家は寝泊まりするだけの場所ではなくなった…?
萩原さん
2020年に緊急事態宣言が発令されて、自宅で作業する必要性が生まれました。
これまで寝泊まりさえできればよかった社宅にも、デスク環境が必要になったんです。
福田
たしかに…僕もリモートワークが開始された当初は、妻に迷惑をかけないようにお風呂場でリモート会議に出ていてめちゃくちゃ辛かったですね…
萩原さん
そうですよね。食べる・寝るスペース以外に、「働くスペース」が必要になった。
また、基本的に社宅は「勤務先へのアクセスの良さ」を基準に企業側が選定することが多いので、住環境はそこまで重視されていなかったのですが…
自宅で過ごす時間が増え、「最低限生活できる住環境」から「快適に生活できる住環境」へのアップデートも、これからの社宅には求められると思うんですね。
萩原さん
「働くスペースとして」「快適な住環境として」…コロナ禍において“社宅に求められること”はますます増えていく。
だからこそ我々は、今こそ社宅をアップデートしなければいけないと思っています。
理想の住環境を提供する。リネクサスが提唱する「社宅2.0」とは
福田
必要性はわかったのですが…
具体的にどのように変えていくのでしょうか?
萩原さん
「社宅2.0」でもっとも大切にしているのは、“社員のわがままに応える”社宅を提供することです。
我々が課題に感じているのは、社員の方が「自分で部屋を選べない」こと。
社宅に求められることが増えたからこそ、社員自身の目線で住みたい物件や環境の“わがまま”を聞き、限りなく希望に沿った住まい環境を提供していくことが、これからの社宅のあり方になると思います。
萩原さん
ここで、「社宅2.0」の仕組みを簡単にご紹介させていただきます。
社宅には、会社が所有する「社員寮」と、企業が契約している賃貸物件に住まわせる「借り上げ社宅」のふたつがあるのですが…
「社宅2.0」では社員の方が望む物件をリネクサスが借り、それを企業の方にお渡ししているんですね。
福田
なるほど、社宅の代行サービスという感じか…!
福田
これまでで御社が応えてきた社員のわがままというものは、どんなものがあったのでしょうか?
萩原さん
たとえば防音のお部屋ですね。
オンライン商談が当たり前になったことで、心置きなく会議ができる環境を自宅に求める方が増えたのですが、趣味でピアノを弾く方にもご利用いただけるような部屋を手配したこともあります。
ほかにも、ペット可の物件など、普通の社宅ではNGな要件でも実現することが可能です。
極端なことを言えば、「サーフィンが好き」という理由で、海の近くの物件をご紹介することも可能だとか。すごくないですか?
「社宅2.0」導入で採用母数が倍に。企業が社員の“住環境”に着目すべき理由
福田
“わがままが言える社宅”か…「社宅2.0」、社員にとってはすごく魅力的ですね。
ただ、防音やペット可の物件って、通常の物件よりも家賃が高そうなので、契約する企業としてはあまり得ではないような気もしてしまうのですが…
萩原さん
我々は、まさにその価値観を変えないといけないと思っています。
社員の住環境って、モチベーションを上げて能力を最大限発揮してもらうためにも企業にとって非常に重要な“投資先”なんです。
萩原さん
今年の11月に発表された「あったら嬉しい福利厚生ランキング」では、「特別休暇」や「社員食堂・食事補助」とかを差し置いて、「家賃補助・住宅手当」が第1位に上がっています。
福利厚生面で、住環境を求めている人は圧倒的に多いんですよ。
実際に、とある企業で、福利厚生として「社宅2.0」を導入した結果、採用母数が倍になったという話もあります。
そんなに!?
福田
「社宅」ってそこまでニーズがあるんですか…!
萩原さん
社員にとって、「住環境」ってそれだけ大きな悩みの種なんです。
毎月収入の3~4分の1が家賃に消えていくのはかなりストレスになるし、家賃を下げてグレードの低い部屋を借りれば今度はQOLが下がる。
その大きな心配事を企業が負担をしてあげることは、採用や働き手のモチベーションへの大きな投資につながることもあるんです。
「20代の社宅だと1Rや1Kが多いのですが、我々が1LDKの物件を提供したことで、社員の集中力が上がり、在宅勤務の生産性が格段に向上したというお話もいただいてます」
萩原さん
しかもリネクサスの「社宅2.0」は、基本的に我々が窓口を⼀本化させて運用・管理業務を請け負いますので、総務や経理業務のコストと労⼒も削減されます。
また、我々が管理会社になるので、社員さまになにかトラブルがあったときには早急に対応できるなどのサポートも充実しているんです。
業界の人手不足を解消できる。今後の「社宅」の可能性
福田
正直、「社宅」をアップデートすることにどんな意味が…? と思っていましたが、想像以上にいろんな効果が期待できるんですね。
萩原さん
でも、まだまだです。
我々が「社宅のアップデート」によって最終的に実現したいのは、“日本の社会課題の解決”なので。
福田
社会課題…!
大きく出ましたね。具体的にどのような展望があるのでしょうか?
萩原さん
たとえば、業界の人手不足の解消。
幅広い企業のサポートをおこないつつ、とくに今我々が注力しているのは、介護や保育の領域ですね。
福田
介護や保育…たしかに人手不足とも言われている業界ですね。
萩原さん
介護や保育系って、地域密着型が多いんです。緊急対応もあるので、近くに住んでいる方を積極的に採用する。
でも、やはり地域によっては人口の偏りもあるので、人手不足に陥りやすいんですよね。
そんなところに対して、遠方からも働き手が集まるように「社宅2.0」を提供できればと思っています。
福田
なるほど…たしかに、「住環境」に力を入れてくれてる企業ってだいぶ魅力的かもしれません。
日本全体の課題を解決できる手段になり得るかも…!
萩原さん
住環境は、コストも含め「働き手の人生」にかかわる非常に大きな要素。
それを企業と一緒に、福利厚生としてよりよい住まいを提供することで、日本の労働者の生活水準やモチベーションを上げることが「社宅2.0」の目指す未来ですね。
社員の理想を叶える社宅があることで、労働モチベーションの向上だけでなく、企業の採用や業界の人手不足も解消できる…。
正直、社宅を甘く見ていました。
萩原さんによると、オフィスを解約して社員の住環境に力を入れる企業も出てきているんだとか。
弊社でも導入してくれたらいいな…と取材後にひっそり思いました。
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