ビジネスパーソンインタビュー

行動を“自動化”するたったひとつの要因とは? スタンフォード大研究所が解明した習慣のつくり方

BJ・フォッグ著『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』より

行動を“自動化”するたったひとつの要因とは? スタンフォード大研究所が解明した習慣のつくり方

新R25編集部

2021/06/30

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「勉強の習慣を身につけたい」「毎日筋トレを続けたい」

毎年、「今年こそ何かを継続しよう」と思うけれど、上手くいかずに終わってしまう...。

「習慣化できないのは、自分の意思が弱いからだ」と、落ち込んだ経験がある方も多いはず。

しかし、スタンフォード大学行動デザイン研究所所長である、BJ・フォッグ氏は、自身の著書『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』にて、「習慣化できないのはあなたの問題ではない。行動の構成要素を知りアプローチの仕方を変えたら、誰だって続けられる」と断言しています。

20年以上にわたる研究と、指導者としての経験から分かった習慣のコツとは?

一部抜粋してご紹介します。

「感情」が行動をつくっている

ある行動を取ったときの感情と、その行動を将来も繰り返す可能性は、密接に関連している

私は独自の研究を深める中で、習慣はその行動に「強いポジティブな感情」がともなっていれば、ごく短期間で、多くの場合わずか数日で形成されることを突き止めた。

それどころか、行動によってはあっという間に定着することもある。

一度行っただけで瞬時に習慣化するのだ。

たとえば、ティーンエイジャーの娘にスマホを与えた場合、彼女の感情的反応はただちに習慣につながる。

繰り返す必要はない。

私は人の行動について教えるとき、ポイントをわかりやすく伝えるため、こう要約している。

ーー感情が習慣をつくる

習慣をつくるのは反復ではない、頻度でもない、魔法でもない。

感情なのだ。

自分のために、もしくは他人のために習慣をデザインするということは、じつのところ感情をデザインすることにほかならない

インスタグラムもこの法則をうまく利用している。

撮影した写真はアプリで簡単に加工できる。

加工を施すと写真が魔法のように変化し、ただの写真ではなく、まるで自分だけのアート作品のように思えてくる。

その腕前に我ながら感心し、感動することさえあるかもしれない。

そうなると脳がドーパミンを放出して、いい気分になるため、またインスタグラムを利用したくなる。

ポジティブな感情は習慣化しやすい

行動に関していえば、決断と習慣は正反対だ。

決断を下すには熟考が必要だが、習慣には必要ない。

たいていの人は、毎朝職場に何を着ていくかを「決断」する。

これまで何千回とやってはいても、それは習慣ではなく決断だ。

だが家を出るとき、スマホを持っていくべきかどうかを決断する人はほとんどいない。

深く考えることなく自動的に持っていく。

これは「習慣」だ。

私は決断と習慣のちがいを説明するため、簡単なモデルをつくった(下記図参照)。

習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

バーの左端には、自動的ではない行動が位置する。

決断または熟考が必要な選択である。

右端には強固な習慣が位置する。

たとえば鉛筆を持つ、靴ひもを結ぶといった、考えずにできる行動だ。

「行動」が中央にあるときは、多少は考える必要があり、完全に自動的ではないことを意味している。

その中央にある行動を取った際に、ポジティブな感情を経験すれば、その行動は少し右に移動して自動性が高まることになる。

たとえば、ウーバーを利用する場合とタクシーを拾う場合を比較してみよう。

初めてウーバーを利用するとき、タクシーと比べてどんな利点と欠点があるのか考えるだろう。

そして決断する。

ウーバーを選び、素晴らしい経験をしたとしよう。

このサービスは驚くほど簡単で、まるで何か得をしたような気分になれる。

私は初めてウーバーを利用したとき、とても楽しかった

アイコンをタッチするだけで魔法のじゅうたんが現れ、私を優雅に乗せていってくれたように感じた。

期待を上回ったのは言うまでもない。

次に移動が必要になったとき、私は何で行こうか、ほとんど考えなかった

決断することもなく、自然にウーバーのアプリを開いた。

習慣がすぐに形成されたのだ。

たった一度の経験で。

多くの行動は決断から習慣へと変化するのにもう少し時間を要するが、私の言いたいことはわかってもらえたかと思う。

習慣を定着させるためには「祝福」をすぐに与える

祝福は、新しい習慣を定着させる「ポジティブな感情」を生む最良の方法だ

費用も時間もかからず、人種、容姿、収入、性格などに関係なく誰にでもできる。

さらには、自分自身を労る術まで教えてくれる。

まさに最大級の報酬をもたらすスキルだ。

だが、祝福の効果を追求する前に、一歩下がって考えてみよう。

「報酬」について少しばかり補足しておきたい。

習慣に関してアドバイスをする専門家たちの多くが、習慣を身につけるうえでいかに報酬が重要かを指摘する。

報酬の刺激が報酬回路を活性化するという話に異論はない。

しかし、専門用語が大衆化したときによくあることだが、報酬という言葉の意味が曖昧になり、場合によっては、役に立たないどころか、誤解のもとになっている。

たとえば、あなたが2週間毎日ジョギングをするという目標を達成し、最終日に自分への報酬としてマッサージに行ったとしよう。

マッサージには効果が期待できるから、名案ではある。

ところが、この場合のマッサージは「報酬」とは呼べない。

それはあくまでも「インセンティブ」である。

行動科学における報酬の定義は、行動と直接結びつき、その行動を繰り返す可能性を高める経験である。

重要なのは報酬のタイミングだ。

科学者のあいだでは、報酬は行動の最中か直後でなければ効果がないことが何十年も前から常識となっている。

脳は瞬時にドーパミンを生成し、放出するからだ。

つまり、習慣化を目的とするなら、脳に心地よい気分を速やかに伝える必要があるのだ。

営業成果に対する特別ボーナスや月に一度のマッサージといったインセンティブは励みにはなるが、脳を書き換える効果はない。

新しい習慣をコード化するのに欠かせないドーパミンを放出させるには時間が離れすぎている。

朝3回スクワットをして、日が暮れてから報酬として映画を観ても効果はないのだ。

「スクワット」と「映画から得られるいい気分」との間隔が離れすぎているため、ドーパミンは両者を結びつけることができない。

また、あなたが利用しようとしている神経科学的な反応は、タイミングに左右されるだけでなく、きわめて個人的なものでもある。

ある人物にとって心地よいことが、誰にでもそうとは限らない。

あなたの上司がコーヒーの香りを好んでいるとしよう。

上司はカフェに入って香りを嗅ぐといい気分になれる。

そして入店と同時に感じるその心地よさによって、カフェを訪れる習慣が確立される。

だが、彼の部下はコーヒーの香りが好きではないかもしれない。

すると部下の脳は、上司の脳と同じようには反応しない。

「自分や他人の『行動』を変えたい」あなたへ贈る一冊

同書は、行動を生む3つの要素のメカニズムを始め、それぞれの要素の調整の仕方、小さな習慣を大きく育てる方法、他人の行動を変える方法など、550ページにわたり習慣についてのノウハウが詳しく書かれています。

分かりやすく、どれも今日から実践できることばかり。

読み終わる頃には習慣に対するハードルがぐっと下がったように感じます。

今年こそ何かにチャレンジしてみたい」そんな人たちの背中を押す一冊です。

写真:©️Stephanie Weldy

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