ビジネスパーソンインタビュー
森永 康平著『誰も教えてくれないお金と経済のしくみ』より
キャッシュレス決済を説明できる? ビジネスパーソンが知っておくべき最新のお金事情
新R25編集部
「将来のお金についてなんとなく不安を感じているけど、何から手をつけたらいいのかわからない」…そう思う方もいるのではないでしょうか?
知らなきゃマズイのはわかっているけど、インプットを後回しにしてしまいがちな「お金の知識」を、スッキリ理解しておきたいですよね。
そこで今回は、経済アナリストで金融教育の会社(株式会社マネネ)も経営する森永康平さんの新著『誰も教えてくれないお金と経済のしくみ』から、お金の基本や新常識について抜粋してお届けします。
電子マネーの普及など「お金の常識」が変わりつつある現代において、正しい金融リテラシーを身につけておきましょう!
電子マネーの普及により、決済がより手軽に。
2019年10月の消費増税実施の際にキャッシュレス決済をするとポイント還元されるという施策も同時に実施されました。
その際にキャッシュレス事業者各社が大幅なポイント還元キャンペーンをしたこともあり、最近はスーパーやコンビニでレジに並んでいても、キャッシュレス決済をしている人を見かけることがずいぶんと増えました。
一言にキャッシュレス決済といっても、実はいくつかの種類に細分化されます。
昔からあるクレジットカードもキャッシュレス決済なのですが、ここでは電子マネーについて見ていきましょう。
電子マネーは現金をデジタル化して、オンライン上で決済を完結するのが特徴です。
スマホアプリやカードにチャージしてから使用する「プリペイド型」や、使用金額を後払いする「ポストペイ型」など複数の種類があります。
クレジットカードはポストペイ型で、カード会社による与信審査があるのに対して、電子マネーは会員登録や身分確認だけで使用開始できることも特徴の1つです。
電子マネーには4つの種類がある
電子マネーといっても様々な種類があります。
① 交通系
1つ目はSuicaやPASMOなどの交通系ICカードが代表的な交通系と呼ばれるものです。
元々は切符などを買う手間を省くために利用されていましたが、最近はコンビニや自動販売機でも使えます。
② 流通系
2つ目は流通系と呼ばれるもの。
これはスーパーやコンビニで使える電子マネーで、nanacoや楽天Edyが代表的なものです。
特徴としてはポイントが貯まるということでしょう。
③ クレジットカード系
3つ目はクレジットカード系です。
こちらはクレジットカードと紐づける(連動している)ため、お金をチャージする必要がありません。
使用した分は後日、クレジットカードの使用額と合わせて請求されます。
④ QRコード決済系
そして、最後がQRコード決済系です。
Paypayやau PAYなどが代表的なものです。
レジで店員さんに自分のスマホに表示されたQRコードを読み取ってもらったり、レジに置いてあるプレートに印刷されたQRコードを自分のスマホのカメラで読み取ったりして支払いをします。
これらのQRコード決済のなかには個人間送金機能(個人同士でお金をやり取りできる機能)があることも多く、飲み会などで割り勘(人でなく複数人で支払うこと)する時に使う人も多いでしょう。
キャッシュレス決済の普及で、紙のお金はなくなるのか?
日本でもキャッシュレス化が進んできている中で、よく聞かれることがあります。
それは、「紙のお金はなくなるの?」ということです。
私はこの質問を受けると、いつも「この先、数十年は紙のお金は残り続けると思う」と答えています。
どうも極論が好きな人が多いようで、キャッシュレス化が進むと紙のお金は消えるというシナリオを好む人が必ず出てくるのですが、そのような人を見ていると、まるで電子書籍が世に出てきた時と同じ感覚に襲われます。
当時はテレビや新聞、雑誌などから徐々にインターネットに広告費が流れ始め、ついに書籍もタブレットで読む時代がきたということが声高に叫ばれていた時期でした。
その時も紙媒体は消えて、全て電子化されるという意見を多く目にしました。
しかし、あれから10年以上が経っていますが、未だに私たちは紙媒体が多く存在している世界に住んでいます。
なぜ日本は諸外国と比べて「キャッシュレス化率」が低いのか?
私がキャッシュレス決済が普及しても紙のお金も当面の間は残り続けるという話をすると、次に聞かれるのは「なぜ日本は諸外国と比べてキャッシュレス化率が低いのか?」ということです。
私はあるインタビューで「それは日本のお金がキレイだからじゃないですか?」と答えました。
もちろん、それ以外の理由も答えましたが、この部分が目立ったようで、SNSでは「アナリストのくせに、そんな回答があるか!」というお叱りの声もいただきました。
しかし、意外と的外れではないと思っています。
インタビューが世に出てから1年ほどして、新型コロナウイルスの感染拡大によって、キャッシュレス決済を選好する人が増えたというニュースを見ました。
この時に思いました。
「ほら、間違っていなかったじゃないか」と。
やはり、触りたくないという気持ちがキャッシュレス化を推進する1つのインセンティブになっていたのです。
金融教育も「キャッシュレス決済」に移行していく
経済産業省が2018年4月11日に「キャッシュレス・ビジョン」を公表しましたが、そのなかで大阪・関西万博が開催される2025年までにキャッシュレス決済比率を40%とする目標を設定したうえで、将来的には世界最高水準の80%を目指すとした「支払い方改革宣言」が提示されています。
これからはキャッシュレス決済による支払いが年々増加していくと思います。
利便性が高いだけでなく、国が後押しをするわけですから、この流れは変わらないでしょう。
そこで、質問として出てくるのが、「子どもに金融教育をする場合、キャッシュレス決済よりも現金のほうがいいのか?」というものです。
私がこの質問をよく受けた時は、3人の子どもが全員未就学児(6歳、4歳、2歳)でしたので、私は現金のほうが良いと回答していました。
実際、我が家ではお小遣いを現金であげており、私の目の前で人とも豚の貯金箱にお小遣いを入れます。
まだ桁数が大きい数字の足し算や引き算ができないうちは貯金箱の重さという物理的な感覚で、お金が貯まってきたとか、使ったら軽くなってしまったといったお金の増減を感じていたようで、いまでも現金であげておいてよかったと思っています。
しかし、子どもがスマホを使いこなすような年齢、たとえば小学校高学年ぐらいになってきたら、キャッシュレスに移行してもいいと思います。
キャッシュレスはいくら使ったなどの使用履歴などがデータとして残るので、自動的に家計簿をつけることにもつながり、自分のお金の流れを可視化して理解できるようになることで、金融リテラシー(お金に関する知識)を高められると考えています。
自分なりの「お金の常識」を身につけよう
すべての人がお金と一切関わらずに生きていくことはできないのに、“お金にネガティブなイメージ”を持つ人が多い日本で、「金融教育を普及させたい」という思いから株式会社マネネを創業したという森永さん。
森永さんは「自分自身のお金の常識を持てるようになるには、様々な視点から『お金』について考える必要がある」と言います。
身の回りのことから国家レベルのことまで、「正しいお金の知識」が網羅的に書かれている『誰も教えてくれないお金と経済のしくみ』を読んで最新のお金の知識や教養を学び、自分なりのお金の常識を持ちませんか?
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