ビジネスパーソンインタビュー

実業家・稲盛和夫が説く「真のリーダー像」。京セラ創業時に全身全霊を注いだこととは?

稲盛和夫著『リーダーとしてのあり方』より

実業家・稲盛和夫が説く「真のリーダー像」。京セラ創業時に全身全霊を注いだこととは?

新R25編集部

2021/04/21

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切り替わりの激しい4月。

プロジェクトでリーダーを務めることになった人や、昇進して部下を持つことになったという人もいると思います。

そうした中で、「リーダーはどうあるべきか?」「部下に何をすべきか?」と悩む人は多いのではないでしょうか。

京都セラミック(京セラ)や第二電電(現・KDDI)を創業し、日本航空(JAL)名誉顧問、稲盛財団理事長を務める稲盛和夫氏は著書『リーダーとしてのあり方』(サンマーク出版)の中で、次のように語っています。

集団を助けるという思いをもつこと、それがリーダーの資格である

数多の大企業を率いてきた日本の志士、稲盛和夫氏が語る、リーダーのあり方

含蓄のある一言一句を、ぜひ噛み締めながら読んでみてください。

リーダーとは、死力を尽くして集団を守る人

私はリーダー論というものを本格的に勉強していませんが、リーダーとは、集団が存在するから必要なのであって、その集団がより安全に生きられるようにリードしていく、導く責任があるのだろうと思います。

集団を導くとかリードするという言葉は、指導するということになりますから、そういう表現はいかがなものかという気がしますので、言葉を換えると、集団を助けるもの、自己犠牲を払ってでもその集団を助ける人、そういう人がリーダーではないかと思います

それは、我々崇高な人類と違い、原始的な動物の世界を見てもわかります。

たとえばアフリカのマウンテンゴリラは、背中が銀色の毛で覆われているシルバーバックと呼ばれるリーダーになると、何百キロという巨体で、雄々しく数十頭の集団を引き連れて、餌を探して山を移動していくわけです。

敵が近づいてきて危険にさらされると、リーダーが真っ先に外敵に立ち向かっていく

そういう様がテレビに映し出されていました。

どんなに強そうなゴリラでも、やはり恐怖心に満ちているだろうと思います。

見たこともない外敵に立ち向かうということは相当な勇気が要るはずです。

しかし、集団を助けるという思いをもつこと、それがリーダーの資格であるわけです

どの動物の社会を見ても、勇気のない、自己犠牲を払ってでも集団を助けるという努力をしないリーダーは、たちまち見放されて失脚してしまうということを、我々は知っています。

リーダーというのは、ああいう動物の世界でも、降りかかるいろんな艱難(かんなん)を、集団のために率先して苦労を背負い込んでいく

もし自分だけが神に与えられたすばらしい才能、たとえばすばらしい嗅覚を使って、水のあるところを探し当てられる能力をもって、本来なら水の匂いのする沼辺へ集団を連れていかなければならないのに、それは嫌だ、自分だけ水を飲めればいいというのでその能力を私物化したなら、どうなるでしょうか。

その能力を集団という社会のために使わないで、自分のためだけに使ったということになれば、これは神の意思に反することだろうと思います。

集団を守ろうとしない、助けることをしないリーダーは、おそらく集団から見放されるのです

全身全霊を集団に注入するのがリーダーの使命

私は京セラをつくったときに、自分が会社のリーダーとして全従業員の幸せを、また行く末を、どうリードしていけばいいのかを考えるなかで、「この集団に命を注入できるのは、トップに立つリーダーの私しかいない」ということに気がつきました。

私が私個人である間は、集団は命を止めてしまう。

私は四六時中、私個人を離れて、集団に命を注入する必要がある

でなければ集団は、私が個人にかえった瞬間、個人で存在する時間の間、活動を止めてしまう。

その活動が止まっている累積された時間そのものが、会社の発展を阻害する要因になる。

そう思えば、自己犠牲を払うとか、能力を私物化してはならないという以前に、私自身は、集団のために全身全霊を注入しなければならないということに、自然と気がついていったのです。

私は集団の長でなくても、個々人が社会のために、また世の中のために貢献する、そういうことが生きるということのなかではもっとも大事な要素であると思っています

稲盛財団を設立したときの理念に「人のため、世のために尽くすことこそ人間として最高の行為だと私は信じ、この財団をつくりました」という一節があります。

それは個人であっても、世のため人のために貢献することが、人生にとってもっとも大事なことだと信じているからです

ましてや、集団のリーダーとなればなおさらです。

我々がこうして、それぞれの職場でリーダーや責任者に選ばれるということは、それ相応の能力があるからこそ、みんなから、または上司から選ばれ、部下からも信頼されてリーダー、責任者という地位に就くのだろうと思います。

能力がなければ、たとえ長年その集団にいたとしても選ばれないはずです。

能力があったからこそ、責任者やリーダーに選ばれたはずなのです。

集団の長は能力を私物化することがあってはならない

その集団のために貢献をしなければならないと思います。

また、そういうリーダーに恵まれていない集団は、たいへん不幸です。

その集団の人たちがみな等しく幸せを感じられるのは、集団の長にそういう人を選んだときなのです

「集団」がなければリーダーではない

リーダーとは、集団が存在するから必要

役職や名誉に胡座(あぐら)をかいて集団に奉仕できないリーダーは失脚する。

当然のようですが、集団があるからリーダーは存在できるという真理が、同書では自然の摂理に照らして語られています。

小手先のテクニックではなく、リーダーのあるべき姿の本質を学べます。

新たに集団を率いる立場になった方も、そうなりたい方も、ぜひ一度手に取ってみてください。

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