ビジネスパーソンインタビュー
藤原麻里菜著『考える術』より
大喜利はなぜアイディアが生まれやすいのか。藤原麻里菜が実践する4つの「考える習慣」
新R25編集部
「アイディアが出てこない」
「いつも同じような企画になりがち」
仕事でアイディアを練る機会は多いと思いますが、うまく発想ができずに悩んでしまう人も多いと思います。
そんな皆さんにおすすめなのが、日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、中国など海外からも注目を集めている、発明家・藤原麻里菜さんの著書『考える術――人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』(ダイヤモンド社)です。
無駄なものをつくる「無駄づくり」というコンテンツを2013年から始め、これまで200以上の無駄な発明品を作ってきたと言います。
毎週1〜2個以上のアイディアを考え、実践してきている藤原さんの、アイディアに対する「ユニークさ」「スピード」「量」は一体どうやって生まれているのか?
ものを考えるきっかけとなるヒントを、同書より抜粋してお届けします!
考える習慣①短時間で考える
アイディアの出し方で参考になるのが「大喜利」だ。
テレビで落語家やお笑い芸人がやっているのを見たことがある人も多いと思う。
「こんな先生は嫌だ」というお題が出たとして、回答者は「夏休み明け、金髪になっている」「いつも教科書を忘れる」などと、とんちやボケで答えを出していく。
1つのお題には10分とか15分くらいしか時間をさかない場合が多い。
回答者たちは短い時間の中で頭をフル回転させて次々にいろんな答えを出していく。
1つのお題について、もっとじっくり考える時間があったらもっとおもしろくなる、 ということはおそらくない。
大喜利を見ていると、人間のアイディアの出し方には段階があるのがよくわかる。
最初は、誰にでも思いつくようなことが出てくる。それでも次々と答えていくと、 その人にしか出せないようなユニークな回答になる。
しかし、さらに続けていると、やがて答えはどんどん伝わりにくいことに変化していく。
同じお題で考え続けていると、発想が1周も2周もしていって、何がおもしろいのかよくわからないような答えになっていってしまうのだ。
つまり、大喜利から学べることは2つある。
1つは、とにかくたくさんのアウトプットをすること。
もう1つは、いつまでもダラダラと考えずに、時間を区切って短時間で終わらせること。
一人で考えるときも複数人で集まって考えるときも、終わりの時間を設定していなければ、必ず間延びしてしまう。
大喜利と一緒で、考えが何周もして、しっくりくるアイディアが遠のいていく。
ユーチューブチャンネルのタイトルを考えたときも、「無駄づくり」という案はとうに出ていたのに、ダラダラ考えていたら2周も3周もして、「藤原麻里菜のワクワクチャンネル」という案に落ち着きそうになった。
アイディアを考えるときは30分から1時間程度の時間を設定し、その時間内に思い浮かんだものをアウトプットして吟味しよう。
時間が過ぎたらいったんやめにして、後日また頭を切り替えて、考える。
これがいちばん効率的にアイディアを出せる方法だ。
考える習慣②ぼーっと考える
アイディアは短時間で考える。
しかし、それ以外の時間も、考えていないようで考えているように生活していきたい。
生活の中で、暇なときはたくさんある。通勤中とか、興味のない話を聞かされているときとか、人を待っているときとか。
そんなときも考えるべきテーマをつねに頭の片隅に置いておくことで、思考を広げることができる。
考えるとは、何も机に向かうだけじゃない。ぼーっとしているときも、脳は考えていないようで考えている。
なので、机に向かっていてアイディアが出ないときは、思い切って布団に入ってみたり、煮込み料理をし始めるなど、無心でできる何かに切り替えることも大切である。
しかし、考えるべきことを完全に忘れてしまったら、ただ本当にぼーっとしているだけになってしまう。
日々の生活のぼーっとする瞬間にも、考えるテーマを頭のどこかに置いておかなくてはいけない。
とくに新しくもない方法だけれど、考えるべきことをメモに書いて持っておいたり、紙に書いて目の届くところに置いておくなどの工夫はしたほうがいい。
そしてこれが大事なのだが、わたしはめちゃくちゃ面倒な考えごとでも、目を背けずに、毎日ある程度の時間はじっと向き合う、ということを自分に課している。
頭をそのことでいっぱいにして考えを尽くした先の「ぼーっとしたとき」にこそ、 いいアイディアがふっと浮かぶのだ。
考える習慣③「だらだら」と「ちゃんと」を 交互にする
アイディアを考えるためには、情報をインプットする時間も大切である。
というのは、多くの人がわかっていることだと思う。
「インプット」というと、本を読んだり映画を見たりするイメージだろうか。
それももちろん大切なのだが、アイディアを考えているときに効果的なものはスマホだ。
SNSやユーチューブ、芸能ニュースなど、スマホの中では、短くて簡潔な情報が毎秒更新されている。
本や映画が1つのテーマを 、 2、3時間かけて知るツールだとしたら、ソーシャルメディアは浅い情報を数秒で認知することに長けているツールだ。
そして、後者のほうがフラッシュカードのような役割を担ってくれるので、アイディアを考える際のインプットには役に立つ。
わたしは、机に向かってアイディアを考えるとき、まずはスマホをだらだら見ることにしている。
非生産的に見えるかもしれないが、こういった非生産的な行為こそが考えることにつながる。
たとえば「オンライン飲み会脱出ボタン」という機械は、そうやってツイッターをだらだら見ていたときに「オンライン飲み会ってだらだら続いちゃってやめどきがわからない」という愚痴にぶつかったことで思いついた。
自分でもうすうす感じていたことだったので、これがヒントになったのだ。
とはいっても、ただだらだらとスマホを見ているだけでは、アイディアは浮かびにくい。
わたしは怠け者なので、「これもアイディアを考えるための大切な仕事だから…」 と言い訳をして1時間くらいだらだらスマホを見て、最終的に何もアイディアが思いつかずに寝る、なんてこともよくあった。
なので、いまは効率的に考えるために、「30分スマホをだらだら見たら、その後30分は紙に向かって考える」というふうに、時間を分けてアイディアを考えるようにしている。
紙に向かって考えるときは、さっき気になった投稿や、なんとなく頭に残っているトピックを紙に書き出して、そこから考えはじめると思考を展開していきやすい。
時間を決めて非生産的な行為をすることで、アイディアが効率的に生まれやすい環境をつくることができるのだ。
考える習慣④アイディアを「一覧」にする
人というのは忘れてしまう生き物で、わたしはその中でもとくに忘れっぽいため、 思いついたアイディアを一覧にしてストックするようにしている。
「無駄づくり」をやっているわたしだが、このあたりはしっかりと効率化できるようにウェブソフトを使って表にし、1つのページでいつでもパッと確認できるようにしている。
これによって、新しいアイディアに困ったときに過去の自分を頼りにすることができるのだ。
そこで大切なのが、タグ分けである。
アイディアのタイトルの横に「実現したい気持ち度合い」のタグを追加している。
「やる」「うーん」「やっぱやらない」の3つのうち、アイディアに対して、どれだけの興奮具合を持っているかをタグ付けして分けている。
「これはすごいアイディアだ!」と興奮しているものに対しては「やる」をつけ、「つくってみたら楽しいかもしれないけど、そんなだな…」という微妙なものに対しては、「うーん」をつける。
そして、何回かページを見て、「このアイディアは実現しなくてもいいな」というものは、表から消したりはせずに 「やっぱやらない」のタグをつけることにしている。
なぜ消さないのかというと、いつか見返したときに、このアイディアからまた別のアイディアが思い浮かぶかもしれないからだ。
つまらないアイディアでも、何かの役に立つ可能性はゼロではない。
考えることが楽しくなる!アイディアのヒントを得られる一冊
同書は、「言葉」「自分のこと」「情報」「感情」など、身近にあるところからアイディアを得られるヒントが満載。
どれも実際に試しやすいものばかりなので、読み進めるうちにどんどんアイディアを練りたくなりました。
考えに煮詰まったとき、ぜひパラパラとページをめくってみてください!
ビジネスパーソンインタビュー
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