ビジネスパーソンインタビュー
FISHBOY著『“なりたい自分”になる技術』より
「RADIO FISH」の裏にも意図があった。プロジェクトをうまく進める“たったひとつの秘訣”
新R25編集部
「好きなことで生きていく」が叶いやすい時代。
ただ、好きなことで生きていても、「これが自分の理想の姿だっただろうか…」という壁に当たる人もいます。
ダンスの世界大会で優勝する経歴を持ち、お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦さんの弟としても知られているFISHBOYさんもそのひとり。
FISHBOYさんは、著書『“なりたい自分”になる技術 ―「好きなこと」×「理想の姿」を両立できる人の考え方』の冒頭で、「『好きなことをする』のと『なりたい自分になる』というのは、まったく別のことだった」と語っています。
「好きなことが見つかり、理想の自分になる方法」とはどのようなものなのか?
同書より抜粋してお届けします。
いまの時代、プロジェクトも多様化している
チームのつくり方にはさまざまな形がありますが、最近はいつも固定されたメンバーであらゆる活動をおこなうより、プロジェクトごとにその都度、違う人たちが集まる形が多くなってきているように感じます。
そのプロジェクトに合った人がメンバーとして選ばれ、それぞれが役割を果たしながら、ひとつの目的を達成させていく。
SNSが盛んになり、オンラインでのコミュニケーションが可能になっているいまの時代は、いつも顔を突き合わせていなくても簡単に連絡を取り合うことができますし、お互いが何をしているかある程度把握できるようになっています。
常に一緒にいなくても、適切なコミュニケーションができていれば信頼関係は育めます。
信頼関係ができていれば、いつも一緒にいる必要はないのです。
考え方が多様化する時代なので、組織づくりも時代に合わせて身軽であるのが望ましいのではないかと私は考えています。
プロジェクトベースで必要な役割を果たせる人たちが過不足ない人数で集まり、一人ひとりが責任を持って仕事をするほうが効率的なのです。
そのときに役立つ人、輝ける人が集まり、何かをつくる。
プロジェクトが終われば解散。
いいパフォーマンスをした人や、解散したあとも別の場所で活躍している人は、また次の機会にも声がかかる。
それが、現代型プロジェクトのつくり方であると私は考えています。
コンセプトに意味があると、キャスティングにも意味がでる
プロジェクトを立ち上げるときはまず「コンセプト」をつくります。
コンセプトは、そのプロジェクトの方向性であり、その後の行動の指針となるものです。
コンセプトをつくるときに私が大切にしているのは「共感」です。
多くのプロジェクトは、何かしらの悩みを解決したり、目的を達成したりするためにおこなうもののはず。
組む相手の悩みや目的の本質を掴み、プロジェクトの成果をお互いにとって最大のものにするためには、「同じ場所にいるんだよ」と相手に見せるのが効果的です。
実際に、他の業種の人でも意外と同じような悩みを持っています。
「一緒だね」というポイントをまず見つけて、そこからコンセプトをつくり、理解した上 で仕事を進めると、とてもいい関係をつくることができます。
コンセプトをしっかりとつくるのは、どんなメンバーを集めるかというキャスティングを考えるときにも重要になります。
コンセプトが固まっていれば意味を持ってキャスティングができ、その「意味」はキャスティングされる側のやりがいにもなっていきます。
たとえば、何かのイベントで「ダンサーを集めて踊ってほしい」と言われるときも、私は、ただ踊りがうまいというだけでなく、しっかりとした意図を持ってメンバーを選んでいます。
あとは、決まったコンセプトに合致する人をキャスティングできるよう、普段からいろい ろな人たちと接点を持てる場を持ち続けておけば、プロジェクトを成功に導く最高のキャ スティングができるようになります。
音楽プロジェクト「RADIO FISH」成功の秘訣
キャスティングで私が関わったプロジェクトのひとつが「RADIO FISH」です。
「RADIO FISH」とは、兄のお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」と、私を含めた4人のダンサーで構成したダンス&ボーカルユニットです。
結成してから6作目に発表した「PERFECT HUMAN」がヒットし、2016年にはNHKの紅白歌合戦にも出させていただきました。
RADIO FISHのはじまりは、私の兄、中田敦彦からの一本の電話でした。
「キャーキャー言われるグループをつくりたいんだけど...」
この頃兄が、お笑いだけではキャパシティーに限界があると感じていることも知っていました。
当時オリエンタルラジオはテレビで人気でしたが、それでもお笑いライブの会場はそれほど大きくない劇場。
もっと人気の芸人さんを見ても、音楽アーティストのような何万人もの観客が入る大きなステージに立っている人はいません。
「もっと大勢の人の前で何かしたい。でもお笑いでは限界がある。アーティストのように音楽ならできるのか? 『三代目 J SOUL BROTHERS』のように、歌って踊ればそれが実現するのか?」
兄がそんなふうに考えていることを、私はそばで見ていて感じていました。
「こういうことを、もっとやりたい」という依頼が必ず来ると思っていた私は密かに、数人の音楽プロデューサーに声をかけておきました。
ダンサーはどんな人を集めればいいかについて、兄からリクエストされたのは「イケメン」ということだけでした。
自分のなかで思い浮かぶ、知り合いのイケメンダンサーたちをリストアップし、ここから私がキャスティングです。
どうすればオリエンタルラジオの2人と私がつくるチームが、うまく回るのかを考えました。
RADIO FISHのキャスティングで、なかでも戦略的な考えのもとに声をかけたのは、Show-heyというダンサーです。
まず今回つくるチームでは、私がダンスの振付をするのではなく、他に振付をできる人に入ってもらって、任せたほうがいいと思いました。
理由はいくつかあります。
ひとつには私自身がミュージックビデオ用の振付を得意としているわけではないので、自分より上手にできる人にお願いしたいという気持ちがありました。
ただ、それ以上に、振付担当は私ではない誰かに任せたほうが、チームのバランスがよくなると思ったのです。
というのも、振付を担当する人間は、みんなに教える立場になるので、力が強くなりがちです。
RADIO FISHは兄が発起人でありリーダーなので、その弟である私が振付係になってしまうと、ダンサーたちの関係性のなかで、力や権限が私に偏りすぎてしまいます。
そうなったら、きちんと一人ひとりが意見を言える、健全なチームにはならないと思いま した。
だから、権限を分散させるために、誰かにお願いすることにしたのです。
また、ダンサーの世界は上下関係に敏感なので、振付をする人間が一番年上でないと、 お互いにやりにくくなるのが見えていました。
だから自分よりも年上で、振付ができる人に入ってもらおうとイメージしていたなかで、その条件にピッタリ合ったのがShow-heyでした。
Show-heyが決まったので、あとは私がまとめる立場として権限を失わないよう、年下の人たちを入れることにしました。
私とShow-heyはともに背がそれほど高くはないので、 見栄えも考えて背の高い人をピックアップ。
チームをつくるとき、トップ以外は役割と権限を分散させたほうがいいというのが私の持論です。
一人ひとり役割があったほうが、意識が高まります。
ただそんな集団だからこそ、チーム内で気を遣って発言しなくてはならない状況になるのが一番ダメ。
強いチームに育てるためには、お互いの都合をぶつけ合うことが大事なので、きちんと議論が生まれる環境にしておかなくてはならないのです。
お互いの意見をぶつけた上で、いいものをつくる。
それがいいチームをつくる秘訣だと考えています。
「踊らされるな、みずから踊れ」。FISHBOYさんの本が、背中を押してくれる
SNSの発展によって、世界中の誰にでもアクセスしやすくなり、好きなことを仕事にしやすくなりました。
その一方で、「自分のなりたい姿」や「実現したい世界」がない、わからないという声も聞こえてきます。
『“なりたい自分”になる技術』では、自分のビジョンを見つけ、それを実現し、「なりたい自分」になるために必要なことが、FISHBOYさんの体験談とともに紹介されています。
あふれる情報に踊らされ、 世間の評価に踊らされ、 誰かが言った“正解らしさ”に踊らされる。
そんな現代の世の中で、「踊らされるな、みずから踊れ」というFISHBOYさんのメッセージは、力強くもやさしく背中を押してくれるはずです。
ビジネスパーソンインタビュー
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