ビジネスパーソンインタビュー
「自分の失敗」にしなきゃ、成長できない。
「メディアに出られないことすら、ありがたかった」w-inds.橘慶太が “逆境”を歓迎する理由
新R25編集部
「この努力、本当に将来につながるのかな…」
仕事中、そう思うことがあります。
なかなか上達しなかったり、思うように結果が出なかったり。努力が報われずくじけそうになってしまう瞬間って、たくさんあると思います。でも、やめる勇気もないという…。
今回お話を伺ったのは、今年3月にデビュー20周年を迎えるダンスボーカルユニット・w-inds.の橘慶太さん。
【橘慶太(たちばな・けいた)】1985年生まれ、福岡県出身。 2001年、ダンスボーカルユニット・w-inds.のリードボーカルとしてデビュー。これまでに日本レコード大賞 金賞7回、最優秀作品賞1回を受賞、NHK紅白歌合戦には6回出場を果たす。日本のみならずアジアにも活動の幅を広げ、各国で様々なアワードを受賞。個人では2017年から曲作りにおける全行程を手掛け、セルフプロデュースを本格化させるなど、新しい風を巻き起こし続けている
15歳でデビューしてから瞬く間に大ブレイク。1stアルバムはオリコンチャート1位、同年に日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得するなど華々しくキャリアをスタートさせたものの、日本のメディアに露出できないなどたくさんの“逆境”にも直面。
しかし橘さんは、逆境のなかで腐るどころか、いちアーティストとしての枠を超える“トンデモ努力エピソード”を更新しまくっています。
「逆境で努力を継続するためのマインド」。腐らない男の哲学は、眩しすぎるものでした。
〈聞き手=いしかわゆき〉
橘さん
あの…僕からのアドバイス、ちょっと“罪”かもしれません。
いしかわ
え?
橘さん
メンタリストのDaiGoさんいわく、僕のアドバイスはポジティブすぎてまったく参考にならないそうです。
日本では、同じくらいポジティブな「0.1%ぐらいの人」にしか受け入れてもらえないよって。
さわやかな慶太さんVS.めちゃくちゃ不安になってきた筆者
声変わり前のキーで歌唱、自宅で楽曲制作。「ストイックなオタク」のトンデモ努力エピソード
いしかわ
はじめに、橘さんのストイックさについてお聞きしたいのですが…
橘さん、デビュー当時の声変わり前に収録して大人になってからはずっとキーを下げて歌ってた楽曲…15周年を機に全部原曲キーに戻してますよね。
これ、普通に衝撃だったんですが…?
橘さん
純粋に、ファンは原曲キーのほうが嬉しいはずですからね。
15歳の声の高さってかなり難しいんですけど、声帯の造りを理解したらできました。
ちなみに慶太さんは「ルックスの良いヲタク」と称されてるらしいです
いしかわ
あと、ご自身で音楽の専門技術である「レコーディング」「マスタリング」なども習得してしまったとか。
普通プロにやってもらう仕事ですよね?
橘さん
今は、曲作ってCD出せるところまで全部自分でできますね。自宅で。
2017年から曲作りを始めたんですけど、どうすれば最高の音源を作れるか理解したくて。仕事に行くあいだや隙間時間も含めて、ほとんど寝ずに勉強しました。
あの2年間は世界中の誰よりも音楽を勉強したって言い切れます、本当に(笑)。
いしかわ
なんでそんなに頑張れるんだろう。
向上心はもちろん大事ですけど、普通どこかで疲れちゃいませんか…?
橘さん
僕ね、人が遊んでると嬉しくなる人間なんですよ。
…!?
橘さん
友だちから「昨日も飲んでてさ」と聞くと、「あっそうなんですね~、僕その隙にこれとこれできるようになっときますね〜!」みたいな気持ちになっちゃうんですよね…(笑)
「できないこと」を努力して潰していく時間がとにかく好きで。
だからしんどいとかはあんまりないかなあ?
いしかわ
な、なるほど…
冒頭でDaiGoさんが言っていた意味が何となくわかりました。
「メディアに出られない逆境」が自分の意識を変えた。努力家・橘慶太誕生の瞬間
いしかわ
ただ、w-inds.は男性アイドルグループとしてデビューと同時に大ブレイクしたものの…日本でのメディアにはあまり出られなかったですよね。
「メディアに出られない」という圧倒的逆境のなか、腐ってしまう瞬間はなかったんですか?
橘さん
うーん、これもポジティブな返しで申し訳ないんですけど…
僕、本当にありがたいなと思ってるんですよ。この逆境を。
もしデビュー当時の勢いのままテレビにバンバン出演させてもらってたら、僕はとっくに潰れてたと思うので。
どういうことですか?
橘さん
当時の僕は、全部「人のせい」にしていたんです。
事務所に言われるままアイドル活動をして、失敗したら「事務所が言ったから」と全部人のせい。
「自分の失敗」としてカウントしてなかったんですね。
いしかわ
ほうほう。
橘さん
でもそれって、傷つかないけど成長も全くない。
「自分の失敗」として認識することから逃げてくうちに、ずっと同じ失敗を繰り返すようになってしまったんです。
いしかわ
負のループに陥ってしまったと。
橘さん
そんななか、追い打ちをかけるように日本のメディアに出られなくなって、活動をアジア全域に広げたんですが…
僕が「自分が納得できるまでやり尽くす」というスタンスに変わったのは、それがきっかけだったんですよ。
w-inds.は2004年以降中国・韓国・香港・台湾などアジア各国に活動拠点を移し、様々なアワードを受賞しています
橘さん
2004年ごろからアジアのフェスに参加するようになったんですが…
最初はJ-POPが一番優れていると感じてたのに、アジアのレベルが年々すごい勢いで上がってきた。
それにすごく危機感を覚えたんです。
いしかわ
いまや K-POPが世界中で流行してますが、その兆しを2000年代に感じていたと。
橘さん
「このまま同じことを続けているだけだったら、何年後かに消えていくだろうな」と思いました。
僕たちも日本代表として呼ばれてるからには負けてられない、サウンドの方向性を変えなきゃって。
そこでスタンスが変わったんですよね。ちゃんと自分で決断して、「自分の失敗」にしなきゃって。
橘さん
今の僕は、どんな失敗も「自分のもの」だと後悔なく言えます。
誰かのせいにするんじゃなく、自分で選んでやり切る。
このスタンスにたどり着けたのは、あの逆境を経験させてもらったから。なので感謝してます、ほんとに!
これぞミスター・ポジティブ
どうしてそんなにポジティブでいられるの…?「壁は立ち止まるものじゃない。登るもの」
いしかわ
人生最大の逆境すら、追い風に変えてしまう…
慶太さんって、挫折したことあるんですか?
橘さん
「ザセツ」って、諦めるってことですよね。僕がですか。人生で…ですか?
(しばらく考えて)…ないです。なんかあったかなぁ!?あははは! 話になんないですね!
私はもうこの人が怖い
いしかわ
結果が出なかったり、努力が報われなくても苦しくないんですか?
橘さん
そもそも僕は、努力は「報われるもの」じゃなくて、「チャンスをつかむためのもの」だと思っているんですよ。
橘さん
「いつかチャンスが来たときにつかめるように準備している」だけであって、「努力していれば報われる」とは思ってない。
「努力」は成功確率を上げるための備えでしかないんです。
チャンスはまた必ず巡ってくる。つかめなかったら、もっと努力をして次を待つだけ。
いしかわ
つかめなかったら、備えが足りなかっただけと…
うまくいかなかったとき、そんなふうに思えるかなあ。
橘さん
みなさん、「壁」って“自分を立ち止まらせるもの”と感じてるかもしれないですけど…
僕、「壁」って“登るもの”だと思うんですよね。
よじ登って、自分のステージを1つ上に上げてくれるもの。
橘さん
悩んじゃうときって、だいたい「足が止まってる」んですよね。多分それが一番よくない。
足が止まると気持ちも止まっちゃうので、無駄打ちでもいいからとにかく手と足を動かしてみる。
身体が動き出すと気持ちも動き出すことってけっこうあるので。
いしかわ
ただ、そこから努力を継続するのもむずかしいですよね。
コツってあるんでしょうか?
橘さん
僕は、何をやるときも必ず「2年やる」って決めてます。
あるとき鏡を見て「ほっそ!」と思ってジムに通い始めて、3週間で10kg増やしたんですが…
いしかわ
(いや増えすぎでは?)
橘さん
筋トレを始めて学んだのが、「1週間鍛えた身体は1週間で戻る。2年鍛えた身体は2年で戻る」ということ。
リバウンドは、努力した期間と同じ期間でやってくる。これ頭に入れとくと、意外と途中でやめられなくなるんですよ。そして2年経ったときには、剥がれない習慣になってる。
「2年つづいたら一生モノになる」というのは、僕の経験上“絶対”ですね。
2年経つころにはニュースに取り上げられるくらいバッキバキになったそう
最後に…「逆境のなか、メンバーと良い関係を築きつづけるための努力は?」
いしかわ
最後に、20年もグループを続けるって並大抵のことじゃないと思うんですけど、メンバーと良い関係を築くために努力していたことはあるんですか?
橘さん
それはねぇ…なかったんですよ。
(そこはないんだ…)
いしかわ
橘さんと比べて、おふたりともほとんど歌のパートがないですが、「俺にも歌わせろよ!」とはならなかったんですか…?
橘さん
それが、ひとつもないんです。
なんなら僕は「もうちょっと歌ってもらえませんか」と説得したんですけど、「僕はあの…サポートすることに命かけてるんで」って言われて衝撃でしたもん。
いしかわ
そっち!?
橘さん
アルバムにソロの曲を入れるのに1ヶ月説得しましたからね!?自分のソロ曲があるのが嫌なんですって。いますそんな人!?(笑)
僕がソロ活動をやったときもファンから「アンタだけ目立って!」って怒られちゃったんですけど、これも僕ばっか目立つとグループとして成立しないから、2人にもソロ活動のなかで武器を見つけてほしいという狙いだったんですよ!(笑)
ファンの皆さん! そういうことだったらしいです!
橘さん
でも、「自分がメインボーカルとして引っ張ってきたからやってこれた」と思っていたけど、これは僕の力じゃなくて完全にメンバーのおかげでした。
デコボコがちょうどハマる、奇跡のメンバーだった。
これ、初めて言ったかも! 20年越しにファンの皆さんに伝えられてよかったです!(笑)
今日はありがとうございました!
「逆境のなかで、どう努力していけばいいのか」というテーマのなかで、終始笑顔の絶えなかった慶太さん。ポジティブオーラに圧倒されながらの取材でした。
「本当に報われるのか」と考えてしまうこともあるけれど、やり続ければいつかチャンスは巡ってくる。先はわからないけど、とりあえず2年間だけ頑張る! と決めたら何だかやれそうな気がしてきました。
余談ですが、w-inds.オフィシャルチャンネルでデビューから今に至るまでのMVを順番に追うと、努力の遍歴が見えてモチベーションが爆上がりするので皆さんもくじけそうになったときはぜひお試しください。
〈取材・文=いしかわゆき(@milkprincess17)/編集=サノトモキ(@mlby_sns)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
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