ビジネスパーソンインタビュー

料理家の道を切り開いた速水もこみち「チャレンジするときは“ご縁”の力を信じたほうがいい」

去年10月にはYouTubeチャンネル「M’s TABLE」を開設

料理家の道を切り開いた速水もこみち「チャレンジするときは“ご縁”の力を信じたほうがいい」

新R25編集部

2020/01/19

X
FacebookLINE

この記事をシェア

リンクのコピー

みなさんのまわりには、どんどん新しいことにチャレンジしている人っていませんか?

自分も努力しているはずなのに、不思議とまわりに人が集まって、次々と成果を上げちゃう人。そんなとき、「ご縁のおかげでね」の一言で片づけられてしまうと、なんだかモヤモヤしてしまうものです…。

今回お話を伺ったのが、俳優としても第一線で活躍しつつ、料理家としても不動の地位を確立している速水もこみちさん。去年10月にはYouTubeチャンネル「M’s TABLE」を開設しています。

「本業があるなか、新しいことに手を出す不安はなかったの…?」とお聞きしたところ、返ってきたのは「ご縁のおかげでね」だったのですが…速水さん、なんと“ご縁がつながる人”の特徴を言語化してくださいました。

※スピリチュアルな話ではなく、大真面目なキャリア論ですよ!

〈聞き手=サノトモキ〉

【速水もこみち(はやみ・もこみち)】1984年生まれ。東京都出身。2002年に俳優デビュー。2006年に映画『ラフ ROUGH』で初主演。第30回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞

子ども時代から料理への思いは…

サノ

そもそも、速水さんが料理にハマったきっかけってなんだったんですか?

速水さん

小学生のとき、『料理の鉄人』というテレビの料理対決番組を毎回欠かさずに見てたんですよ。

そのシェフの姿がすごくかっこよくて、マネしたくなったのがきっかけでしたね。

目覚めが早い。小学生のころなんて作れてシリアルだったぞ…

速水さん

ただ、今みたいに見逃し配信もないし、スマートフォンもないから、作りたくてもレシピを確認できないので…

完全に独学でやってました

サノ

小学生が独学で料理を…!?

ご両親に教えてもらったりはしなかったんですか?

速水さん

両親は共働きで、教わったりすることもできなくて。

冷蔵庫を開けて余っていた食材で作ってました。

ただ、その環境が逆に僕を料理にハマらせたと思うんですよね。

サノ

…? どういうことですか?

速水さん

レシピ本もなければ先生もいない。当然失敗の繰り返しなんですよ。それが悔しくてどんどんのめり込んでいったんです。

僕、夏休みの自由研究で、カルボナーラの写真を撮ってどうしたらおいしく作れるのかをまとめて提出してますからね

どんな小学生だ…

速水さん

そうしたら、友人のママたちがみんな集まって、わーっと褒めてくれて

「料理ってこんなに喜んでもらえるものなんだ」っていうのを実感した瞬間でした。

サノ

現在と同じような状況になってるじゃないですか…

まわりがゲームや漫画で遊ぶなか、もこみち少年にとっては「料理」が一番の遊びだったんですね。

速水さん

アソビ…?

速水さん

遊び…ではないですね

「食べる」というのは生きていくうえでは欠かせないエネルギーだから、全然遊びとかではないんですけど、とにかくやってて楽しかったからつづけていた、という感じです。

サノ

すみません…

速水さん、一度やると決めたら全力なんだな…

新しいことを始めるときは、「せっかくのご縁だからやる」と決めておけばいい

サノ

でも、最終的には役者の道に進まれたわけですよね。

その時点で、今のような「料理」の仕事も頭にあったんですか?

速水さん

いや、全然考えてなかったですね

役者として右も左もわからない駆けだしの状態だったので、とにかく芝居一本に集中したいという気持ちでやってました。

料理を披露したり、自分が作ってきた料理のレパートリーを見せたりっていうのは…どちらかというとあんまり好きじゃなかった。そもそも、人前で何かを話したりするのも得意ではないしね。

サノ

そこから、どうして料理の道に進むことになるんですか?

速水さん

25歳くらいになったとき、心境が変化しはじめたんですよ。

速水さん

基本的に役者って、常に崖っぷちに立ってるような世界じゃないですか。結果を残しつづけないと生きていけない。

でも、いろんなドラマや映画に出演させていただくなかで…もちろんまだまだですけど、その焦りから少し抜けられたというか、少し心に余白が生まれてきたんです。

サノ

ほう…!

速水さん

そんなとき、ちょうどMOCO’Sキッチンのプロデューサーの方が「こういうことをやりたい」と声をかけてくださって。

料理含めもともと何かを作るということが全般好きだったので、「料理」という武器を活かしながら、自ら番組制作に企画から携われるのは面白そうだなと素直に思えました。

サノ

でも当時って今に比べて、本業以外の趣味や特技を活かして仕事の幅を増やしていく人って少なかったですよね?

今でこそそういう戦略をとる芸能人の方も増えてきましたけど…

「役者」以外のことに手を出す怖さはなかったんですか?

速水さん

もちろんありましたよ。

ただ、何をやろうと、どれだけ準備しようと、足を引っ張ろうとする人は必ず現れるので、とりあえずやってみないと

準備が整うのを待ってたら、誰かに追いつかれちゃう

サノ

たしかに、「準備が整ったらやる」って永遠に始めないで済む最強の言い訳なんだよな…

速水さん

そういう言い訳に終止符を打ちたいとき、「ご縁を大切にする」ってけっこう大切だと思いますよ。

速水さん

新しいことをはじめるときって絶対不安とか心配があると思うんですけど、声をかけていただいたり、同じ志を持った人との出会いがあったりしたときは、素直にそれを信じたほうがいいと思います。

何かが始まるときってだいたいご縁。誰かに手を差し伸べてもらったときは、「せっかくだから、やる」と決めておけばいい

サノ

たしかに、ただ好きなだけじゃなく、「一緒に頑張ってくれる仲間がいる」ほうがなんだかうまくいくような気がします。

やるからには本気でやる。速水さんの徹底ぶり

サノ

とはいえ、「本業」以外のことって、「仕事」にしていいレベルなのか不安で踏み出せないことも多いと思うんです。

「好きだから挑戦してみたいけど、まわりから見たらお遊び程度なんじゃないか」とか思っちゃうというか…

速水さん

…マイナス思考だなあ!(笑)

すみません、そういうR25世代は多いと思うのです…

サノ

じゃあ、実際に番組を始めて「思った通りにいかない」みたいなことはなかったんですか?

速水さん

なかったですね

スタッフ含め僕ら全員、「間違ったことはやっていない」という自信をもっていたつもりなので。

サノ

断言はさすがにかっこよすぎる…

どうしてそこまでの自信が?

速水さん

みんなで、「料理」を楽しんでもらうために徹底的にこだわりましたから。

数年は飽きずに楽しんでいただけるよう、定番料理だけでなく、僕らの番組でしか出会えないような「新しいレシピ」を見せつづけられるとにかくこだわった

速水さん

料理って音楽と一緒で、ロック、ジャズ、R&Bみたいに、ジャンルがいっぱいあるんです。まだまだ日本のみなさんが知らないものも多い。

日本の人って旅行好きでいろんな国の料理を食べたりしますけど、それを自分なりにアレンジして、こうすれば僕らにも作れるんだよと共有する。

そういう新しい料理と出会う楽しさは、たくさんの人に共感していただけるだろうなと思っていました。

速水さん

10月からはYouTubeチャンネル「M’s TABLE」を開設しましたけど、こちらも「映像で料理の楽しさを伝える」ためにとにかく細部までこだわっています

やっぱりYouTubeは、日本だけじゃなく海外の人にも届けられるというのが非常に大きい。

だからこそ、視覚的に「料理をしたい」と思っていただける工夫を徹底することがとても大切だなと思っていて。

サノ

ふむふむ。

速水さん

キッチンツールを自分で開発しているのも、映像を観た人にもっと料理をしたいと思ってもらうため。

もっとオシャレで、もっとかわいくて、もっと料理が楽しくなるものをこだわり抜いて作っています。

※速水さんは10月、ご自身でプロデュースされたキッチンブランド「Michi」で、自らデッサンするなど、使い勝手に徹底的にこだわったオリジナル・キッチンツールを発売しています。

サノ

キ、キッチンツールまで…!

こだわり方が尋常じゃない…!!

速水さん

とにかく、「料理」というコンテンツを最高の状態で見せたいっていう気持ちが強くあるんです。

「こうしたらみんな観てくれるだろう」と数字を狙いたいわけでは決してなくて、あくまでも「好き!」「おいしい!」「楽しい!」が伝わるチャンネルになったらいいなと思っています。

ご縁を引き寄せられないのは、“自分のことしか考えてない人”

サノ

最後に一つお聞きしたいのが…

「ご縁」を大切にされてるのがすごく伝わってきたんですけど、ご縁を引き寄せられる人ってどういう人なんでしょうか?

速水さん

…えっ、スピリチュアル的なお話ですか?(笑)

違います

サノ

いつも誰かに支えられて先につながっていく人と、頑張っているのに人が集まってこない人って、けっこう分かれる気がするんです。

ご縁を大切にされてる速水さん的に、そこにはどんな差があるのかなって。

速水さん

ああ…ご縁を引き寄せられない人って、結局「自分のことしか考えてない」気がするんですよね。

これは耳が痛い

速水さん

結局、誰かと一緒に何かをするって、「同じ目標に向かって走る」ってことじゃないですか。

このとき、「チームのゴール」じゃなく「自分のゴール」だけを考えてる人は、やっぱりうまくはいかないですよね。

サノ

ご縁をつかめるのは、「チームのゴール」に本気になれる人、か。

これ、ビジネスパーソンにとってもめちゃくちゃ大事な真理のような気がするな…

速水さん

無理してつながろうとかじゃないと思うんですよね。

「人脈」みたいな損得勘定じゃなくて、あくまで自然な形でつながっていくのが「ご縁」

やっぱり、「独りじゃ何もできない」という健全な前提があって、メンバーへのリスペクトを持てている人が、次もまた声をかけられていくんじゃないかな。

サノ

「ご縁」を引き寄せるには、まずは自分がチームに貢献する人間であることを姿勢で示さなくちゃいけないんですね。

今日はためになるお話、ありがとうございました!

速水さん

ありがとうございました!

最後スピリチュアルっぽくなっちゃったけど、水晶とか持ってきといたほうがよかったのかな

「ハハハハ!」さわやか!

「僕らの番組」「ご縁」など、言葉の節々から番組スタッフの方々への信頼や感謝が垣間見えた速水さんの取材。

MOCO’SキッチンもM’s TABLEも、どちらもご縁としか言いようがない」と語る速水さんでしたが、1時間取材をしただけでも「ご縁」を引き寄せた引力が明確に見えた気がしました。

チャンスが目の前に来たとき、「せっかくご縁だから」で一歩踏み出せるなことって、案外たくさんある気がします。みなさんもぜひ実践してみてください!

〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/撮影=長谷英史〉

そんな速水さんの料理チャンネル「M’s TABLE」が絶賛配信中!

「もっと料理をしたくなるために」速水さんご本人が徹底的にこだわり抜いた料理チャンネル「M’s TABLE」。

動画の制作現場にお邪魔しましたが、めっちゃくちゃいい香りがして、すぐ帰ってご飯を食べたくなってしまいました。

速水さんが紹介する「新しい料理」との出会いを楽しんでみたい方は、ぜひ下記リンクをチェック!

速水さん主演ドラマ『この男は人生最大の過ちです』

2020年に1月に放送スタート!

人気コミック待望の実写ドラマ化!!

10年ぶりのドラマ主演となる速水さんが愛する女性に奴隷志願する“超ドM”社長に!

ABCテレビ(関西):2020年1月19日(日)スタート 毎週日曜よる11時35分〜

テレビ朝日(関東):2020年1月18日(土)スタート 毎週土曜深夜2時30分〜

速水もこみち Food Trip 料理の世界展

速水もこみちさんが、自身の料理の世界観をアートとして表現する展覧会です。

これまでに作った数々の料理写真とレシピノート。

また今回のためにデザインしたシステムキッチンや食材を使ったアートパネルなど、速水もこみちさんの料理に対する思いを感じていただける子どもから大人まで楽しめるイベントです。

ビジネスパーソンインタビュー

【兼務で忙しい人へ】仕事を断らないサイバーエージェント専務が実践している「マルチタスクの極意」

【兼務で忙しい人へ】仕事を断らないサイバーエージェント専務が実践している「マルチタスクの極意」

新R25編集部

新会社設立!「GMO インターネットグループ」が新時代をリードする“AIとロボット”事業に進出

新会社設立!「GMO インターネットグループ」が新時代をリードする“AIとロボット”事業に進出

新R25編集部

「会社員は出産後のキャリアアップが見えない…」女性のキャリアの“根深い課題”を有識者2人に相談しました【金井芽衣×石倉秀明】

「会社員は出産後のキャリアアップが見えない…」女性のキャリアの“根深い課題”を有識者2人に相談しました【金井芽衣×石倉秀明】

新R25編集部

「薄っぺらい人間から脱却する方法」をReHacQ高橋Pに相談したら「本気“風”で仕事する恐ろしさ」を教わった

「薄っぺらい人間から脱却する方法」をReHacQ高橋Pに相談したら「本気“風”で仕事する恐ろしさ」を教わった

新R25編集部

「ずっとうっすらお金がない」悩みをプロ奢さんに相談したら「ないのは金じゃない」と覆された

「ずっとうっすらお金がない」悩みをプロ奢さんに相談したら「ないのは金じゃない」と覆された

新R25編集部

「好きなことにこだわってはダメ」"好き"を仕事にできずに苦しむ会社員に、自己理解の専門家・八木仁平さんがアツいアドバイス

「好きなことにこだわってはダメ」"好き"を仕事にできずに苦しむ会社員に、自己理解の専門家・八木仁平さんがアツいアドバイス

新R25編集部