ビジネスパーソンインタビュー
中田敦彦著『独学の教科書』より
“学び”なしに、これからの時代を生きるのは無理がある。中田敦彦式「独学のすすめ」
新R25編集部
「学ぶことは、死ぬほど面白い!」
芸人でありながら、音楽アーティストのプロデュースやアパレルブランドの運営を手がける中田敦彦さんは、自身のYoutubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」でいつも語ります。
彼が動画で紹介しているのは、明日から役立つ政治経済の話から、学校の授業で聞いたことのあるような思想、文学までさまざまです。
中田さんはなぜ、これだけ幅広いジャンルの知識を情熱的に学び、動画で伝えようとしているのか。
彼の新著『勉強が死ぬほど面白くなる 独学の教科書』には、彼の考えと大人だからこそ知るべき独学の重要性と、学びを加速させるアイディアが収録されていました。
同書より、中田さんの独学法やニュース・英語の学び方を3記事でお届けします。
これから、「独学」は必須スキルになる!
勉強は、めちゃくちゃ楽しいものです。しかも、勉強すると、その先にはいいことまであります。
それは、教養が身につくことです。
僕のYouTubeチャンネル「YouTube大学」のキャッチコピーは「新時代を生き抜くための教養」です。
僕にとって教養は、「大人の必須アイテム」です。なぜ、必須かというと、教養は自分を「アップグレード」させるために欠かせないものだからです。
誰しも、社会人になって10年も経てば、自分の仕事がルーティン化しがちです。
たとえば、僕がやっているタレント業でいうと、「ロケに行って食レポをする」「ゲストを交えてトークをする」といった仕事は目をつぶっていてもできる自信があります。
なぜなら、身体に段取りが染みついているからです。
一方で、業界全体は10年もすると大きく変化します。その変化に対して、ルーティンワークだけでは対応しきれなくなるのです。
もしくは、対応できるエリアが徐々にスケールダウンしていきます。
今、世界がこれまで人類が経験したことがないほどの大きな変化を迎えようとしています。
そんな時代に、自分が持っている経験と知識だけで立ち向かおうとするのは、冷静に考えて、かなり無理があります。
だから、「新時代を生き抜くための教養」が、大人が生きていく上での必須アイテムなのです。
これまでの学びの手段は、「学校に通う」か「本を読む」くらいしかありませんでした。
でも、今はインターネットがあります。
学びをテーマにしたブログやメルマガなんて、数えきれないほどたくさんありますし、紙の本を読むにしても、アマゾンのおかげで、より幅広く様々な本が簡単に手に入るようになりました。
さらに、YouTubeが生まれ、教育系YouTuberが登場したことにより、好きな時間に、無料で、しかも質の高い講義が受け放題です。
現在、「学びたい」という欲求さえあれば、いくらでも自分で学べる環境が揃っているのです。
これからの時代、「独学ができる人」と「独学ができない人」の間にかなり大きな差が生まれる。僕は、そう考えています。
もしかしたら、この先、学びに関して、リアルの学校や塾が必要なくなる可能性すらあります。
また、SNSのおかげで、人ともつながりやすくなっています。
僕は、自分が学びたいと思う分野があるときには、「師匠」をつくるという方法をよくとります。
現在、堀江貴文さんに会って、ビジネスについて自分のアイデアをぶつけて、アドバイスを受ける機会があります。
堀江さんや西野亮廣さんのオンラインサロンに参加して、彼らの手法を学ぶようにもしています。
僕は、この行為を「先進国を視察する」と呼んでいます。
もちろん、気になった人全員と実際に会えるわけではありませんが、たとえ会えなかったとしても、その人のSNSやブログ、メルマガなどをつねにチェックして追いかけるようにするだけでも、多くのことを吸収できます。
社会の変化は、日に日に加速しています。
「自分を日々進化させるための勉強ができる」ことが「必須スキル」となる日は、そう遠くないはずです。
僕が勉強するときに意識していること
勉強全般において僕が意識していることをお話ししたいと思います。
僕の独学には、本が欠かせません。なので、ほぼ読書に関するルールになっています。
中田式独学のルール①「読書」の目的を明確にする
「勉強したいけど、本を読むのが苦手」という人がいます。
じつは、僕も本を読むのは苦手です。
YouTubeでたくさんの本を取り上げていることもあり、僕のことを「読書家」だと思い込んでいる人が多いようですが、僕は先輩のピース・又吉直樹さんのような「読書好き」ではありません。
活字中毒でもないですし、むしろ、文字を読むこと自体は苦痛だったりします。
メディアに登場する「読書家」がたいてい「読書好き」なので、「読書は、読書好きのもの」というイメージを持ってしまう人が多いのでしょう。
でも、別に、本を読むのが苦手でも読書はできます。
僕には「情報収集の手段として本が優れている」「教養を勉強するのは面白い」という「読書」の目的を明確にするという考えがあるので、「割り切って」本を読めるのです。
あと、「身につけた知識を人に話したい」という欲もあります。
僕は、話すのが大好きな人間です。
どうせ話すなら、相手を感心させたいとか、驚かせたいという気持ちを強く持っています。そのために必要だと思えば、本を読み込む苦痛も我慢できます。
本を読んでいる間は苦痛ですが、それを自分の知識として落とし込んで人前で話している時間は、とてつもない快楽です。
一度人に話す気持ちよさを味わうと何度でもまた味わいたいと思います。その楽しさを思うと、苦痛な読書も頑張ることができます。
本を読むのが苦手な人は、最初に自分の中で読書の「目的」を明確にするとよいと思います。
読書をすることの先に、「楽しい」ことがある―。
そう思えれば、僕と同じように「割り切って」読書ができるようになるはずです。
中田式独学のルール②「情報収集は『1冊の本』を軸にする」
「今の時代、本で調べるよりも、ネット検索のほうが効率よくないですか?」
このような疑問を持つ人がいるかもしれません。
たしかに、ネット検索は、情報にアクセスする「速さ」に優位性があります。
ただし、ネット記事を読んだだけで満足してはダメです。ネットで入手できるのは、あくまでも「単発の情報」だからです。
ネット記事は散文的で、テーマを立体的に理解するには不十分なのです。ネットの有料ニュースサイトなどで主要な記事をチェックした上で、情報を補完することが大切です。
そこで有効なのが、読書。情報収集において、本は最も効率のよいツールです。
たとえば、ネットの記事で「AI」「ブロックチェーン」「働き方改革」のトピックに触れたとします。
そういったトピックを深掘りして、周囲の人と議論したいと思ったときには、本にあたるのが一番手っ取り早い方法です。
本を探すときには、ネット書店で検索するのではなく、街の書店で自ら選ぶのが理想です。ネット書店には、ワンクリックで本が手に入るというメリットがあります。僕自身も利用しています。
ただ、ネット書店の「試し読み」には制限があるので、書店の立ち読みと比較すると、「一覧性」という点で劣ります。
いい本に出会いたいなら、やはり街の書店に足を運び、そのテーマに関する本を実際に手に取ってページをめくってみるのが一番です。
全体のページをパラパラと眺めてみれば、その本と自分の相性の良し悪しもつかめます。
僕の場合、読みやすそうな本を2〜3冊まとめて購入し、その足で喫茶店に入り、読み比べます。そのうち1冊を軸にして、残りは補完的に参考にするのです。
僕は同じ本を2回読みます。1回目はザッと読み、2回目で気になった箇所に線を引くのです。
僕の読書のポイントは、本文を読む前に目次を読み込むことです。目次から内容を想像した上で本文を読むと、内容の理解がグンと深まるのでオススメです。
そして、本を読んでいて気になったキーワードはネットで調べる。
この流れが、情報収集法としては、現時点で僕のベストです。
中田式独学のルール③「本で学んだ知識を『体感』してみる」
勉強するときに、僕が気を付けていることがあります。
それは、インプット一辺倒にしないこと。本から学んだことをそのまま放置すれば、記憶から薄れていく一方になってしまいます。
インプットとアウトプットを両方行うことで、知識が自分の中にうまく落とし込まれていきます。
僕は、むしろアウトプットが先行だと思っているくらいです。インプットを増やしたいなら、先にアウトプットの数を増やすのです。そうすると、インプットのスピードと質が劇的に向上します。
ただ、定期的にテストがある学生と違い、社会人には、学んだことをアウトプットする場なんて、ほとんどないと思います。
なので、学んだことはノートやブログに書いたりして、意識的にアウトプットしたほうがよいです。
さらに、アウトプットするだけでなく、本を読んで学んだことを実際に「体感」してみるのもオススメです。
たとえば、僕は『ペンブックス20 イスラムとは何か。』(CCCメディアハウス刊)を読んだことがきっかけで、実際にモスク(イスラム教の礼拝堂)に出かけてみたことがあります。
僕が訪ねたのは、東京・代々木上原にある「東京ジャーミイ」という日本最大のモスクです。
礼拝堂は、とにかく美しくて感動しました。やはり、本を読むだけでイスラムを理解するのと、実際に礼拝堂にまで行くのとでは、感じ方がまったく変わります。
その後、東京・文京区にある「東京カテドラル聖マリア大聖堂・カトリック関口教会」というキリスト教の教会にも行きました。ここには聖堂があり、ミサにも参加できます。
この聖堂は日本人がデザインしたものであり、とても素敵な空間です。キリスト教について勉強するときは、ぜひ足を運んでみてください。
あと、文学作品を読んだ後にも、作品の舞台となった場所や文学碑を見学するのがオススメです。
たとえば、夏目漱石の小説『こころ』を読んで乃木希典の人生を思いながら乃木公園や乃木神社に行ってみるのです。
乃木将軍の邸宅跡や、乃木神社に収められている資料や写真を実際に見てみると、乃木希典という人をより立体的に解釈できるようになるはずです。
新時代の「独学」の仕方を教える中田さん渾身の一冊
知的好奇心を満たすことは、実はとても楽しいこと。『独学の教科書』には、そんな中田さん自身の情熱に満ちています。
学生時代の記憶から、勉強に苦手意識を覚える人も少なくありません。
本書を手に取り、勉強がもたらす「学びの喜び」を一緒に再発見してみませんか?
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