ビジネスパーソンインタビュー
三浦崇宏著『言語化力』より
「“インパクトのある言葉”を使えば、結果は変えられる」GO三浦が語る、強い意見のつくり方
新R25編集部
「こちらの意図をクライアントに納得してもらえない」
「意見を求められたとき、うまく話せなかった」
そう悩み、迷ってしまうのは、もしかするとあなたが使う「言葉」が原因かもしれません。
「これからの時代、磨くべき最強の武器は“言葉”である」と提案するのが、広告やPRの枠を超えて注目を集める、The Breakthrough Company GOの代表取締役でPR/CreativeDirectorの三浦崇宏さん。
ご自身の著書『言語化力 (言葉にできれば人生は変わる)』では、三浦さんが言葉の力を使って、アイデアを形にし、人生を動かしてきた“言葉の使い方”が描かれています。
アマゾンのビジネス書部門で事前予約数ランキング1位を記録し、明後日1月22日より発売となる同書から3記事を抜粋してお届けします。
自分の意見を持つには、まずスタンスを決める
「とっさに感想を求められて、うまく答えられなかった」という話を聞くことがある。
「とにかく口を開いたが、思ってもみないことを言ってしまい、自分にがっかりした」という話だ。
言語化について説明するために、まずこんな状況から考えてみたい。
ぼくの場合、クリエイティブディレクターという仕事がら、毎日毎日、あらゆる職業の人から、「○○について、三浦さんはどう思いますか?」と問われることがある。
メディアから取材されることもあれば、クライアントの経営者から事業について相談されることもある。
もちろん社員や家族から、日常のことや世の中で起きているニュースについて気軽に聞かれることだってある。
そんなとき、自分の考えが固まっていなかったとしても、その瞬間に考えながら話すことでなんとなく意見をまとめて、意味のあることを話すことができる。
思考の速度は速いほうだし、ボキャブラリーも豊富だから言葉が出てこないと困ることはない。
しかし、これはぼくに限った特別なことではない。訓練次第と言うか、ちょっとした考え方や構え方によって、誰にでもできることだ。
それは、自分のスタンス(構え方)、つまり社会に対する向き合い方がある程度固まっているからだ。
たとえば政治的なことを聞かれても「原則的には民主主義には賛成だが、衆愚政治に陥ることに対しては警戒的」というポジションがあるため、どんなテーマを振られても、そのポジションから発言することができる。
もっと言うと、GOという会社の代表として「変化と挑戦」に対しては絶対的にポジティブなスタンスを取っている。
だから、様々な質問に対して、基本的には「変化したほうがいい」「挑戦は素晴らしい」という角度から回答することになる。
自分のスタンスを明確にしているので、何を聞かれても「ぼくのスタンスではこうですね」と答えられるのだ。
自分のスタンスを決めてみる
まずは自分の世の中との向き合い方を決めないといけない。ただし、そんなに難しいことでもない。
自分の社会における立ち位置と、世の中の動きに対する好き嫌いを明確にしておくくらいのイメージだ。
たとえばあなたが商社で働くビジネスパーソンだったら、日本とアメリカの関係についてどう思うだろうか。
あなたが地方都市の市役所で働いているとしたら、日本の今のSNS炎上社会についてどう思うだろうか。
あなたが4人の子どもを育てるシングルファーザーだったら、今の働き方改革といった社会の変化についてどう思うだろうか。
迷惑だとか、チャンスだとか、自分のスタンスによって社会における現象の捉え方はまったく変わってしまう。とにかく素直に考えることが大事だ。
自分の世の中における立ち位置はどこか。
社会がどう変われば自分が快適に、ストレスなく生きていけるかを考えると自然と見えてくることも多い。
人を動かすには「パンチライン」を意識せよ
ぼくは職業柄、インパクトのある「強い言葉」を生み出すことを得意としている。
ラップの世界では記憶に残り、感情を動かす強い決めの言葉を「パンチライン」と呼ぶ。
講演や会議、打ち合わせでも、「強い言葉」を使うよう意識すると結果は変わってくる。
そういった言葉は、どうやったら生み出せるのか?ポイントは4つある。
パンチラインの生み出し方①「視点を上げる」
1つめは「視点を上げる」ということだ。
自分が「社員」だったら「部長」の視点、自分が「部長」だったら「社長」の視点で、1つ上の立場でものごとを見てみるといい。
たとえば、一般社員のあなたが「会社に行きたくない」と思っていたとする。そこで一般社員として言葉にするのではなく、社長の視点で見てみる。
すると「我が社の問題は、社員が会社に行くことを楽しくないと思っていることだ」ということになる。 さらに、主語を会社にするともっと言葉に強さが生まれる。
「この会社は行きたいと思われる場所になっていない」。
どうだろうか。自分の視点を上げてみるだけで、個人の話ではなく、もっと大きな企業や社会の話に聞こえてくる。
あなたの気持ちには興味が持てなかったとしても、社会や自分が勤めている会社については関心を持たざるをえない。
パンチラインの生み出し方②「領域を広げて、一般化して考える」
2つめは「領域を広げて、一般化して考える」だ。
たとえば読者モデルをやっている友だちが、インスタグラムのDMでセクハラをされて大変だったという話を聞いたとする。この事象を、領域を広げて一般化してみる。
「友だちの女の子」を「女性全体」、「インスタグラム」を「人生」に、「DMのセクハラ」を「悪意」に広げて考えてみる。
すると「実は世の中の女性は、生きているだけで悪意にさらされている」という言葉になる。
友だちの身に起きた個人的な体験ではあっても、対象を広げて考えてみるとすごく「強く」聞こえる。社会に対する発言になるからだ。
あるいは、今勤めているブラック企業を辞めたいと相談を受けたとする。
彼に対して「…で働くのは大変だよね。でも、思いっきり全力で働く経験がないと、その企業の組織風土が悪いのか、その業態に君が向いてないだけなのかわからなくなって、 次の転職先を選ぶときに悩んで、また同じ失敗をして同じ状況になってしまうんじゃないか?」という意味の回答をしたとする。
そのとき、ブラック企業と、本人の働く姿勢と転職についての意識の話に一般化してみると「全力でやったときだけ、失敗は前進である」というパンチラインに集約されるのだ。
パンチラインの生み出し方③「逆張りをする」
3つめは「逆張りをする」である。
たとえば、みんな「人脈が大事だ」と言っている中で、「人脈なんて言葉を使っている奴はクソだ」と言えば、これは明確な逆バリになる。
人脈が大事ということは誰でもわかっているので、あえて「人脈はクソ」と言うことでセンセーショナルなことを言っているような印象を与える。
徹底的にマイノリティの立場をとる。あえて逆のことを言う。
「SNSで世界が広がっている」とみんなが言っているなか、「SNSは世界を狭くしている」と言えば、強い言葉になる。記憶に残る。
なんで?という風に意識を向けることができる。議論が生まれる。
もちろんなんでも逆張りすればいいというものではない。
「人脈はクソ」という言葉の裏には「つながっていることだけを価値にしても、本人の成長にとっては意味がない」という真意が隠されている。
「SNSは世界を狭くする」という言葉の裏には、SNSは誰とでもつながることができるシステムだが、実際には知り合いや興味のある人とだけつながっているので、結果として世界を狭くするようにしか使われていない、という本当の複雑な意味が隠されている。
こういった本当に伝えたいことを伝えるためにも、まず逆張りした強いメッセージを発信することはとても有効だ。
パンチラインの生み出し方④「ゴールから逆算する」
4つめは、「ゴールから逆算する」ことだ。
何よりも、人が気づいていない世界の真実、本質的なことをきちんと言えば、それは当然ながら強い言葉になる。
本質的に考えるためのポイントは「ゴールから逆算する」ということだ。
「新R25」というWEBメディアの記事の人生相談で「お酒は飲めないのですが、広告業界で活躍したい。どうしたらいいでしょうか?」と聞かれた。
確かに「お酒を飲めないと、広告代理店では出世できない」というような印象がある。
飲み会ではお酒を飲んだほうが周囲の人からの印象もいいし、お酒を飲めない奴はつまんない奴だと思われがちな状況もある。
ぼくの回答はこうだ。
酒が飲めないなら、別の面白さを見せればいいだけ。お酒が飲めないことも武器にして、「お酒飲めるってうらやましいです!」とか、「お酒飲むの憧れます〜」って開き直って話せばいい。
こういう世の中の思い込みについて考えるときこそ、ぼくはゴールから逆算して本質を見つける。
「お酒を飲んでほしい」と言う人々の欲求の本質は何か? この場合の、人々が求める本当のゴールは「お酒を飲んでほしい」ではなく「無理をしてほしい」ということだ。
広告業界でなぜあんなにお酒を飲むのかといえば「無理をしてほしい」からなのだ。
常に「この場合の本当のゴールはどこか?」を考えることである。
そうすると問題の本質が見えてきて、それに対して率直に答えれば、自然と強い言葉になる。
マーケティングの世界では「顧客が本当にほしいものはドリルではなく、穴である」という有名な言葉がある。
表面的な要求にいちいち応えるのではなく、そのとき本当に求められていることは何か、立ち止まって思考してみるといいだろう。
今すぐ実践したくなる!これからの時代の武器になる“言葉”本
印象に残る言葉、人を動かす言葉など、言葉の力の大きさをひしひしと感じる一冊。
読み終わった瞬間に、今自分が話している言葉は、一体どんな思いで口にしているのか、考え込んでしまいました。
ちなみに、第4章の中にある「人生の指針になる言葉を持て」のパートは、三浦さんが人生の指針としている言葉が収録されており、すべてのビジネスマンの背中を押す内容となっています。
この記事で興味を持った方はぜひ、アマゾンで予約してみてください。同書を読んで、言葉の力を知り、操り、人生を充実させていきましょう!
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