ビジネスパーソンインタビュー

一本の電話が人生を変えた。普通の弁護士だった橋下徹が大阪府知事になるまで

橋下徹著『異端のすすめ』より

一本の電話が人生を変えた。普通の弁護士だった橋下徹が大阪府知事になるまで

新R25編集部

2020/01/31

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元大阪府知事の橋下徹さんは、新著『異端のすすめ』で「チャンスは平等にある」と語っています。

あなたはどう思うでしょうか?

これだけ世界が狭くなった現代とはいえ、「自分にはチャンスが来ない」「能力はあっても活かす機会がない」、そう感じているR25世代のほうが多いかもしれません。

そんな若者に対して橋下さんは、チャンスそのものよりも、それを「つかむ力」を持てと、訴えかけています。

2月6日に発売される同書より、「チャンスをつかむ力」「自分の強み」について2記事を抜粋してお届け。

橋下さんの実体験から語られる熱のこもった言々句々をどうぞ!

チャンスよりも重要な「つかむ力」 

今、自分の現状に不満を持ち、チャンスに恵まれていないと嘆く人が多い。

ただしチャンスは目に見えません。

最も重要なのは、いくらチャンスに恵まれても「つかむ力」を持っていなければ、どんなチャンスも活かせないということです。

言われてみればごく当たり前の話でしょう。

しかし、「つかむ力」を持っているか、身につけようとしているかと問われたら、はっきりと「イエス」と答えられる人はきっと多くはないはずです。

チャンスに恵まれていないと嘆くのではなく、チャンスを「つかむ力」を備える方向へと舵を切らなければなりません。

では、チャンスを「つかむ力」はどのようにすれば備わるのか。

それには、やっぱり「行動」しかない。

多くの人は「わかっちゃいるけど、それができない」という状態で結局、チャンスをつかむことができていないのです。

だから僕は、人生の選択で迷ったときには、選択肢の中で一番大胆な道を選ぶことを心がけてきました。

「前進」か「現状維持」かの選択なら「前進」、「今までやったことのない道」か「やったことのある道」なら「今までやったことのない道」、「楽な道」か「しんどい道」かなら「しんどい道」を選びます。

チャンスを「つかむ力」が備われば、まるで運命のようにして、予想もしなかった人生が転がり始めます。

あるラジオが、僕の人生を変えた

僕が弁護士だけではなく、タレントから大阪府知事大阪市長国政政党の代表という一風変わったキャリアを歩んできたのは、常に「行動」する選択をした結果です。

そんな人生となったきっかけも、これまでやったことのないことにチャレンジしようという選択でした。

1997年のある日、僕は突然、高校のラグビー部の先輩だった人から電話連絡を受けました。

先輩は大学卒業後に放送局に勤め、当時ラジオのディレクターになっていたのですが、その電話は、「担当している深夜番組に出演予定だった弁護士が、急に出られなくなってしまった。橋下、ピンチヒッターで出てもらえないか」という打診でした。

「生放送だから、とにかく弁護士にその場に座ってもらうことが必要なんや。すごいことを話してくれなくていい。ただ席に座って、パーソナリティの振りに答えてくれるだけでいいから、とにかく来てほしい」

そう言われて、僕は、いきなり生放送でしゃべることができるだろうか、と一瞬迷いましたが、これまでやったことのないチャレンジをやってみよう、という選択をしました。

テーマは、神戸連続児童殺傷事件だといいます。

その日は、わざわざその道に詳しい弁護士をキャスティングしていたそうですが、それが急に出演不可となってしまったのですから、先輩が焦るのも無理はありません。

生放送の当日に連絡を受けたので、準備も何もありません。

でも僕は、そのときにチャレンジの選択をし、そのことが結局、僕の人生のすべてを決めることになったのです。

当時は、世間でも弁護士の世界でも、少年犯罪に関しては「未成年者である加害者を守れ!」という論調が圧倒的多数でした。

でも僕は、未成年者だろうと凶悪犯罪を起こした人間は厳罰に処すべきであり、場合によっては死刑もありうるというのが持論。

当日のラジオ生放送では、その持論をはっきり述べることに力を入れました。

すると、そんなことを言う弁護士は当時では珍しかったのか、その放送を聞いていた大阪のあるテレビ局のプロデューサーから、「うちの番組にも出演してくれないか」という依頼が入りました。

これが僕のテレビ初出演です。その番組も生放送で、少年犯罪を特集する15分くらいのコーナーでの出演でした。

ラジオのときと同様に持論を展開することに力を入れたところ、今度はその局で新しく始まる夕方の情報番組のレギュラーコメンテーターになってくれ、と言われました。

自分の個性にこだわりながら、とにかく手を抜かずに出演していたら、今度は日本テレビ系の「行列のできる法律相談所」のプロデューサーから、レギュラー出演の依頼がありました。

後の展開は、皆さんもご存じかもしれません。読売テレビ系の「そこまで言って委員会」、テレビ朝日系の「スーパーモーニング」、フジテレビ系の「笑っていいとも!」など、全国ネットや関西ローカルのテレビ出演が次々と決まっていったのです。

思いもよらなかった一歩を踏み出せ 

しかし、うだつの上がらない大阪の政治行政について、コメンテーターの立場でいくら言っても、世の中は何も変わりません。

そんなコメンテーターの虚しさを感じていたときに、作家の故・堺屋太一さんから、大阪府知事選挙への出馬をすすめられたのです。

ここは正直迷いました。

政治の世界に入るということになれば、民間人としての生活をいったんすべて捨てなければなりません。

当時は経営していた法律事務所の仕事だけでなく、テレビの仕事や講演会の仕事も増え続けていました。

当時の収入で何不自由なく生活できましたし、世間からも批判を受けるようなことはなく、どちらかといえば、どこに行っても歓迎される立場でした。

ところが政治の世界に入るとなると、収入は激減し、自由が制限されます。そしてメディアなどからも厳しく監視される。

批判を受けることは予想していましたが、あそこまで誹謗中傷を受けるとは予想外でした(笑)。

とにかく、経済的にも、自由という点でも、政界に入るメリットはありません

しかし、最終的には「大胆な道」「今までやったことのない道」「現状維持ではなく前進という道」「チャレンジの道」を選ぶことにしました。

当時、僕は38歳。失敗してもまだ挽回できる年齢です。

コメンテーターとして虚しさを感じ、口で言うだけでは何も変わらないのであれば、一度自分が変えることに挑戦してみよう、そう思ったのです。

そんな僕が大阪府知事選挙に当選できたのは、タレントとしてテレビに出演することで、僕の名前と人となりが大阪府民に知れ渡っていたからです。

タレントとしての仕事のプロセスがなければ、とてもじゃありませんが、僕が大阪府知事選挙に当選することはなかったでしょう。

そして、僕がタレントになったきっかけは、高校時代の先輩から突然舞い込んだあのラジオ出演がすべてです。

つまり、もし約20年前のラジオ出演の依頼に対して、現状維持や守りの姿勢からお断りをしていたら、おそらく、その後の僕の人生の展開はまったく違っていたものになっていたと思います。

今の僕の人生すべては、約20年前のあのときにはい、出ますと言ったことから始まったのです。

橋下徹が今のビジネスマンに伝えたい「異端になる方法」

常に新しく、あえて険しい選択をしてきた橋下さん。

大胆な道を」「苦しい道を」。

非難も中傷も覚悟で突き進んできた彼の「苦」を選ぶ勇気は、仕事に限らず、いま悩みを抱える多くの人に当てはまる、最大の突破口なのかもしれません。

ぜひ『異端のすすめ』をチェックしてみてください!

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