ビジネスパーソンインタビュー
「嫉妬しかなかったですね」
アナウンサーが出たらTVを消していた。Abema西澤アナが“キー局全滅”から夢を叶えられた理由
新R25編集部
多くの企業で内定式がおこなわれたとのニュースが流れています。実際に働く現場でのイベントを通じて「働く」ことがリアルになったぶん、期待と同時に不安も抱いている内定者も多いのではないでしょうか?
「希望の配属先じゃなかったらどうしよう」「就職先の給料が安そう」「先輩社員たちの働き方がブラック」…。
新R25では、そんな悩みをビジネス賢者に相談し、キレイさっぱり解消してもらおうと、特集を行います!
その名も「さらば!就職ブルー」…!!
今回話を聞いたのはこの人…!
内定者・新卒が仕事で不安になることのひとつといえば「第一志望の仕事に就けなかったら、どうすればいいのか」。
そんな悩みに答えてくれるのは、西澤由夏さん。
西澤さんは、志望していた「アナウンサー」になるために就職活動をするものの、キー局の試験は全滅。
その後、サイバーエージェントに入社して2年間営業として勤めたのち、「AbemaTV」の専属アナウンサーに立候補し、合格。見事夢を叶えています。
西澤さんに「夢破れたあとの働き方」をきいてみると、アナウンサーらしからぬ、“泥臭い本音”が飛び出してきました…!
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
【西澤由夏(にしざわ・ゆか)】1993年生まれ、埼玉県出身。2013年に「ミス中央大学」グランプリを受賞。2016年にサイバーエージェントに入社。2018年より、AbemaTVのアナウンサーとして活動を開始
第一志望の仕事に就けなかった新卒時。「嫉妬でしかなかった」
天野
西澤さんは、第一志望だったアナウンサー試験には落ちてしまったんですよね…
すごく気が引ける質問ですが、自分が第一志望ではない仕事をしているときの心境はいかがでしたか?
西澤さん
「嫉妬」以外のなんでもなかったですね。
大学やアナウンススクールで会った友達が続々とアナウンサーになっていて、夢をかなえられなかった自分は、違う仕事をしながら友達を画面で見てる…
ハッキリおっしゃいますね
西澤さん
私が仲がいい子ほど、アナウンサーに合格してたんですよ。
もう、見ないようにしてましたね…
天野
テレビを見ないように?
西澤さん
いや、テレビを見ててアナウンサーが出てくる番組になったら消してました。
めっちゃリアルに嫉妬が出てる…
西澤さん
その期間は、「落ちた瞬間」以上につらかったかもしれないです。
「今後ずっとこういう気持ちになるのか! つら!」って思ってました(笑)。
進学する高校選びも、ミスコンも…「アナウンサーありき」で生きてきた
天野
経歴についてお伺いしたいんですが、西澤さんは昔からアナウンサー志望だったんですか?
西澤さん
小学校2年生から、ずっとアナウンサーになりたかったです。『めざましテレビ』の占いコーナーが好きで、漠然と「私もこんな楽しそうな仕事がしたい…!」って。
中学から高校に行くときも、「アナウンサーになるには、四年制大学じゃないと」「このあたりの大学には行かないと」って考えて、高校から中央大学の附属校を選びました。
天野
中学生のころから“アナウンサーありき”の選択を…
西澤さん
大学生になってからは、アナウンススクールに4つ通ってました。
アナウンサーになりたいって思ってなかったら、大学のミスコンも出てないですね。出て、もし落ちたらイヤじゃないですか(笑)。
天野
イヤだと思いながら出たんですね。それは「友達が知らないうちに応募してて」みたいな?
西澤さん
いや、アナウンサーになるにはミスコンが必須だとは思ってたんで、“出たいな~みたいな雰囲気”は出してました。
天野
(雰囲気は出してたんだ)
西澤さん
ミスコン運営の友達が「それなら出なよ」って言ってきてくれて、「よしきた!!!」って(笑)。
「よしきた!!!」したたかで素晴らしいと思います!
天野
それで2年生のときに「ミス中央」に選ばれたんですね!
で、翌年から就職活動。アナウンサー試験を受けて全滅したと…
西澤さん
そうです。一番惜しかったのは、ずっと憧れだったキー局。最後の10人まで残ったんですけど落ちてしまって。たぶん、どこの会社に入りたいというより「アナウンサーになりたい」としか考えられてなかったんですよね。
落ちたときは、泣くことも忘れるぐらい呆然としてたと思います。この先どうしよう、みたいな。落ち込むっていう表現じゃ全然足りないぐらい…
天野
10年以上の夢が終わってしまったわけですもんね。
西澤さん
それで、ミスコンをきっかけに所属してた芸能事務所で、テレビやラジオ、イベントなどのリポーターの仕事をやりました。
地方局のアナウンサー試験を受けるっていう選択肢もあったんですけど、「東京にいてリポーターの仕事を続けたほうがいいかな」と思って…
天野
「東京にいれば、アナウンサーに再チャレンジできるんじゃないか」みたいな淡い期待もあったんでしょうか?
西澤さん
もう、“淡い期待だけ”でした。「どうにかしてチャンスがめぐってこないか…」ってことしか考えてなかった(笑)。
そこから、採用を受けていたサイバーエージェントに入社。ブログの部署の営業として働くことになったという西澤さん
モチベーションは自分で上げる。やりたいことに手が届く環境を用意する
天野
「第一志望と違う仕事に配属されたけど、諦めがつかない」という若手会社員がいたら、西澤さんはなんてアドバイスしますか?
「決まってますよ」
西澤さん
そんなの、絶対やりたいことをやるべきですよ!
配属された先では当然頑張ったほうがいいと思います。でも、待ってるだけで自分が夢見てる環境が降ってくることなんてないですから、自分でやりたいことに手が届く環境を用意しなきゃダメです。
「この部署にいながら、1年は二足のわらじで頑張ってみよう」とか、自分で期限を決めて積極的に動くべきだと思いますね。
天野
配属先で働きながらも、“第一志望”を追い続けるためにはどうすればいいんでしょうか?
西澤さん
ひとつは、モチベーションを自分で見つけること。
私の場合は、サイバーエージェントに入社した2016年に「AbemaTV」ができたんです。それを横目で見てて“いつかアナウンス室ができるかもしれない。そうなったときのために、今からアピールしておこう”って。
「本業のブログの営業は頑張るけど、土日はリポーターの仕事を続けます」って宣言しました。事務所の仕事を続けることで、自分のモチベーションを切らさないようにしたんですね。
めちゃくちゃ意志が強い
天野
それはなかなか勇気がいる宣言ですよね。
西澤さん
でも、勇気を持ってやりたいことを言って正解だったと思ってます。
言ったからこそ、“社員枠”みたいな感じで、アシスタントとしてカンニング竹山さんの番組(AbemaTV『マジガチランキング』)とかに出させてもらえるようになりましたから。
常に「準備」は120%。ひとつのチャンスを次につなげる
西澤さん
あとは、チャンスがあったら120%の準備をして臨むこと。
“社員枠”でAbemaの番組に出させてもらえるようになったときは、台本を熟読して付せんを貼るとか準備する。
台本はずっと保管しておいて、あとから読み返すようにする。これは、正式にアナウンサーになった今でも変わってません。
「たとえば…」
「これがAbemaに入る前から、今までの台本です」
天野
すごい、全部取ってあるんだ…
準備して付せんを貼ったりするのはわかるんですが、終わった台本を読み返す意味ってあるんですか?
西澤さん
同じジャンルの仕事をもう1回受けたときに、生きてくるんですよ。
たとえばスポーツ選手にインタビューするなら、同じ質問を2回したくない。逆に「前回はこう言ってましたけど、どうですか?」って、わざと同じ質問をしたら面白い場合もある、とか考えられますよね。
「前回はケガしてたけど、今日はコンディションはどうですか?」とか、「阪神から横浜DeNAに移籍して、どう変わりましたか?」とか…
天野
(大和だ…)(←野球好き)
西澤さん
今はインタビュー内容や構成も自分で考えてるので、ますます準備の積み重ねと振り返りが大事になるんです。
天野
えっ、番組って台本があるんじゃないんですか??
西澤さん
台本読むだけなら、アナウンサーじゃなくてもできますよね。
スポーツの現場に行くと、「いつもはスパイクの色が赤なのに今日は違う」とか、台本じゃ書けないような“気付き”がたくさんあるんです。
100%準備しても、本番では10%ぐらいしか発揮されない。でも、だからこそ120%の準備をしないと、信頼されて次のチャンスをもらうことにつながらないんです。
そろそろわかってきました。西澤さんはガチの努力家だ
目の前の仕事にやる気が出なかったら…「恋愛と同じで、心を開いてみる」
天野
ただ、「やりたい仕事」のチャンスを追いかけてばっかりだと、目の前の仕事がおろそかになったりしませんか?
「なんでこんな仕事してるんだろう…」ってやる気がなくなっちゃったりしますよね。
西澤さん
それもわかりますけど…目の前の仕事に対して“心を開く”ことが大事かなって思います。
私、仕事と恋愛ってつくづく似てるなと思うんですよ。
天野
めっちゃよく聞くたとえですが…どういう意味でしょう?
西澤さん
すごく好きな人がいたとして、うまくいって付き合えればいいですけど、叶わないことも多いじゃないですか。
そのときに、「私のことをいいって言ってくれる人のことを見てみよう」って思えるかどうか。心を閉ざしてると、いい出会いなんて絶対来ないですよね。
天野
なるほど。西澤さんも、配属先の仕事に対して「心を閉ざしてた」んですか?
西澤さん
仕事に対しても、社内のメンバーに対しても、最初は心を閉ざしてましたね。
性格上目の前の目標をクリアしないと気持ち悪いっていうタイプなんで、ミッションはこなすけど悶々としてる日々って感じで…
そこはもう、まわりの環境に感謝としか言えないですね…。先輩たちがムリヤリ心を開いてくれた(笑)。「お前あざといよね~」ってイジられて、ようやく素が出せるようになった感じです。
「あざといのは…まあ、外れてはないかな(笑)」
西澤さん
ただ、新卒で配属されたブログの部署でやったことも、今の仕事につながってるんです。営業を経験して、コミュニケーションの仕方、準備の大切さ、資料づくりも学べた。
“社会人スキルがある状態”でアナウンサーになれたんです。そう思うと、遠回りしたようで、全然遠回りじゃなかったって思いますね。
天野
新卒でアナウンサーになるよりよかったと。
西澤さん
キー局に落ちたからこそ、今Abemaでアナウンサーができてるわけだし、そのときダメでも、目の前の仕事をしながら夢にたどりつく準備はできる。
「やりたいことがあるなら、捨てないで」って思います。
「第一志望の仕事に就けなかった」って言われたら、「配属された場所で頑張りなさい」っていうアドバイスもありえると思うんです。
でもそこで、「本当にやりたいことをやるべき」って言い切るところに西澤さんの強さを感じました。
アナウンサーなんていうと、自分たちとは関係のないキラキラした世界と思いがちですが、その裏には「嫉妬」という生々しい本音や、「努力」「準備」という泥臭さがありました。
読者のみなさんのなかに“目標を諦めかけている”内定者・新卒の人がいたら、これを機に、虎視眈々と目標に向かって走りなおしてほしいと思います。
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉
西澤由夏さんの活躍は、こちらでチェック!
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