ビジネスパーソンインタビュー
前田鎌利著『ミニマム・プレゼンテーション』より
必要な情報は3つだけ。孫正義も認めるプレゼンのプロが「一瞬で興味を引く自己紹介」を伝授
新R25編集部
「人生で最も多く行われるプレゼンテーション」って、なんだかわかりますか?
その答えは「自己紹介」。
多くのビジネスマンにとって、名刺交換の数だけ行う自己紹介は、その後の関係性を決める大きなチャンスと捉えられます。
意外と侮れない「自己紹介」ですが、ソフトバンクの孫正義会長も認めたプレゼンテーションクリエイターの前田鎌利さんいわく、「ほとんどの人の自己紹介は“伝わらない自己紹介”になってしまっている」んだとか…。
限られた時間で相手に覚えてもらえるような自己紹介をするためには、どんな手法が効果的なのでしょうか?
前田さんの著書『ミニマム・プレゼンテーション』の中から、一瞬で相手に覚えてもらえる「自己紹介」のコツをご紹介します。
相手に「どう思われたいか」を意識せよ
私たちは、日々、多くの出会いの中に存在しています。
営業であれば、社外の取引先や飛び込み営業をした際の出会い。
もちろん、新しい方々だけでなく、同僚、家族、同級生のように毎日顔を合わせる人、たまにお会いする人、など多岐にわたります。
そんな出会いの瞬間に、あなたは相手からどう思われたいですか?
そもそも他人の目や世間体を気にしないという方もいるかもしれません。
ですが、大半の方は対人コミュニケーションを取る上で、相手にどう思われたいのかを意識するものです。
では、あなたの「こう思われたい」を実現させるために、どのようなことをされていますか?
例えばビジネスマンであれば、初めてお会いする方への第一印象は重要です。
第一印象については、その重要性が研究されており、1946年にポーランドの心理学者ソロモン・アッシュの印象形成実験によって提唱された「初頭効果」というものがあります。
これは最初に示された特性が印象に残りやすく、後の評価に大きな影響を与えるというものです。
私が過去600社を超える企業で、講演や研修を通して多くの方々とお会いして実感したのは、自分の情報を伝えることは意識しても、「相手にどう思われたいか」を意識する人は1割にも満たないということでした。
初めて会った相手から「ああ、この人と仕事がしたい」「この人なら信頼できる」と思ってもらいたいというのは、多くの方々が願うところです。
しかし、昨今の「働き方改革」によって、アポイントや会議の時間は30分以内になるなど、限られた時間で、用件やあなた自身のことを伝えなければなりません。
短い時間の中で、初めて出会った相手からあなた自身に一瞬で興味を持たせるような自己紹介や、その後に続くコミュニケーション、さらには企業内外におけるプレゼンテーションの場で、最小にして有効な表現。
これこそが、今まさに求められるスキルなのです。
ほとんどの人の自己紹介は、相手に伝わらない
私たちは相手に自分の情報を伝えるプロセスにおいて「自己紹介」を行います。
自分自身を端的に伝える「型」でありながら、人生で最も多く行われるプレゼンテーション、それが「自己紹介」です。
学生の頃から、ことあるごとに行ってきた自己紹介ですが、そのゴールは「自分を覚えてもらうこと」です。
自分の人生において、何度も自己紹介をしていますから、誰もが慣れているはずですが、話すほうも聞くほうも、「自己紹介」ほど、何となく行われるプレゼンテーションはありません。
双方において「自己紹介」に慣れが出てきてしまうのです。
そこで、あなたの「個」をしっかりと相手に届けることが重要になってきます。
初対面の方への自己紹介で、相手に与える第一印象の管理や印象づけに無頓着な人は、それだけで一歩出遅れてしまいます。
私が行う研修では、冒頭で5人のグループになって順番に「1人1分間で自己紹介をして下さい」という演習を行うのですが、ほとんどの方が以下のようなことを大体5つ以上お話しされます。
『ミニマム・プレゼンテーション』・名前
・名前にまつわるお話
・出身地
・会社名(部署名)
・勤続年数
・前職の経験
・転勤経歴
・転職してきた経緯、過去の話
・現在の具体的な業務内容
・家族構成
・趣味
・ここ最近のトピックス
・その他
いかがでしょうか。1分間という短い時間にも関わらず、かなりの項目数を話します。
もちろんこの項目のすべてではありませんが、グループメンバーの話した内容すべてを記憶するのはかなり集中していないと困難です。
研修ではこの後、以下のワークを行います。
1:グループメンバーおよび、自分が自己紹介で何を伝えたか、思い出せる限り単語で書き出す(3分間)
2:グループメンバーが個々に伝えた事柄で一番印象に残った単語と、自分が話した内容で一番伝えたかった単語に丸をつける(各自1つのみ)
3:自分が一番伝えたかった単語について他のメンバー全員が丸をつけたか確認する
3の答え合わせをすると、自分が丸をつけた項目と他のメンバー全員が丸をつけた項目が合致する人は平均して全体の1割。
つまり、1割の人にしか伝わっていないのです。
これまでほとんどの方が日常で行なってきた自己紹介は、伝わらない自己紹介なのです。
自己紹介では、たった「3つ」だけ喋ればいい
では、どうすれば自己紹介を相手に印象づけることができるのでしょうか?
効果的な自己紹介の手法に、「マジックナンバースリーの法則」があります。
伝えたいことを「3つに絞る」のがポイントです。3つまでなら限られた時間で相手の記憶にしっかりと印象づけることができます。
例えば、私の場合は次の3つです。
「書家」というアーティストの一面、「プレゼンテーションクリエイター」として執筆や企業研修・講演などの活動もしており、家では「夫で2児の父」でもあります。
まず、この3つを伝えます。ここで大事なのは文章で説明するのではなく、キーワードを単語で提示することです。
さらに、「今日皆さんにお伝えしたいのは」と言ってから、1つに焦点を当てて「書家についてです」と言って1分ほど書家について伝えます。
「残りの2つについてはこの後個別で」と伝えれば、あとで会話のネタにもなります。
1分ですべてを詰め込んでしまったら、伝えたいことが印象深く伝わりません。
また、3つまでであれば覚えられますが、4つ、5つ、6つと、たくさんの事柄を話しても、相手の記憶には全く残らなくなります。
そもそも自己紹介は有無を言わさず、相手に対して一方的に自分を紹介する行為です。
先ほどのマジックナンバースリーの法則を利用すると端的に伝えられます。
したがって、まずは3つに絞り込んでみてください。言いたいことを絞らないと、相手の記憶には残りません。
さらに、確実に記憶させるとっておきの伝え方は、最初から「1つに絞る」伝え方です。
「今日、お伝えしたいのは、たった1つ。それは〇〇です」と言って、何か1つだけテーマを決めて話すと、聞いている方々にきっちり覚えてもらえます。
そして、1つにしても、3つにしても、最初に「数」を示すのがポイントです。
自己紹介は限られた時間で伝えるものがほとんどですので、少なくとも自分が伝えたいことがいくつあるのかを伝えてください。
自己紹介は人生で最も多く行われるプレゼンテーションですが、何度も行われるため、慣れも生じて自分自身に飽きも生じます。
ただし、初めて聞く方にとって、あなたの自己紹介は、初めてあなたを知るきっかけになります。
出会いを大切にするためにも、第一印象が大切なことはお伝えしたとおりですが、
今後、自己紹介をする機会のために、「3つ」と絶えず考えておくことを習慣にするだけで、急な自己紹介を求められた場合でも、緊張せずに伝えることができるのです。
“見せたい自分”をいかに印象付けるか。 ビジネスパーソンのための「セルフプロデュース術」
『ミニマム・プレゼンテーション』には、書家としても活躍する前田さんの信念に基づいた、“念い(おもい)を伝える”テクニックが満載。
限られた時間内で"見せたい自分”を相手に印象付け、メッセージを的確に伝えるスキルを身につけられます。
自己表現の方法や人間関係の築き方に悩むビジネスパーソンは必読です!
ビジネスパーソンインタビュー
またスゴいことを始めた前澤さんに「スケールの大きい人になる方法」を聞いたら、重たい宿題を出されてしまいました
新R25編集部
【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
新R25編集部
「実家のお店がなくなるのは悲しい… 家業を継ぐか迷ってます」実家のスーパーを全国区にした大山皓生さんに相談したら、感動的なアドバイスをいただきました
新R25編集部
「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石
新R25編集部
社内にたった一人で“違和感”を口にできるか?「BPaaS」推進するkubell桐谷豪が語るコミットの本質
新R25編集部
【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
新R25編集部