ビジネスパーソンインタビュー

成果が出ない部下の実家に「家庭訪問」するだけで、その社員の売上が上がる深いワケ

鴨頭嘉人YouTubeチャンネルより

成果が出ない部下の実家に「家庭訪問」するだけで、その社員の売上が上がる深いワケ

新R25編集部

2019/09/04

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会社での立場が上がるにつれて必要になってくるのが、人材育成のスキル

みんながみんな期待どおりに育ってくれれば苦労は少ないのですが、なかなかパフォーマンスが上がらない人もいます。

そんなとき、人材を育成する立場にあるリーダーは、どうすればいいのでしょうか?

かつて日本マクドナルドで“伝説の店長”と呼ばれ、自身の講演を発信しているYouTubeチャンネルは登録者数70万人(2019/8/31現在)を誇る“炎の講演家”・鴨頭嘉人さんは、石川県でエステサロンを経営する鈴木一輝社長から、人材育成をする上で本当に大事なことを教えてもらったといいます。

それは、とてもシンプルで意外なアクションでした。

【鴨頭嘉人(かもがしら・よしひと)】高校卒業後、東京に引越し19歳で日本マクドナルドにアルバイトとして入社。30歳で店長に昇進。32歳の時にはマクドナルド3300店舗中、お客様満足度日本一、従業員満足度日本一、セールス伸び率日本一を獲得し最優秀店長で表彰される。その後も最優秀コンサルタント。米国プレジデントアワード、米国サークルオブエクセレンスと国内のみならず全世界のマクドナルド表彰もすべて受賞する功績を残す。2010年に独立。現在は組織構築・人材育成・セールス獲得についての講演・研修を行う「炎の講演家」として活躍している

石川県でエステサロンを経営する“やばい”社長の話

石川県でエステサロンを経営しているテルズ&クイーンという会社があります。

そこの鈴木社長という方が、ちょっとやばい方なんですよ。

鈴木社長は、元々エステティシャンでも何でもなくて、先代の社長に拾われたただの不良なんです。

その恩義があったから、先代の社長に「お前この会社引き継げ」って言われ、二つ返事で社長になりました。

でもその当時、会社は2~30億円くらいの赤字を抱えていたんですよ。

何とか黒字にしなきゃいけないとき、鈴木社長は「エステテシャンの人材育成」が大切だと考えました。

というのも、エステ業界ってエステテシャンの1人当たりの売上の差が大きいんです。

たくさん売れる子は1カ月に1,000万円近くの売上を出すけど、売れない子はまったく売れない。

つまり、一人ひとりのエステティシャンの人材育成が、会社の業績に大きく影響するわけです。

成果が出ない部下がいたら、「家庭訪問」をする

鈴木社長は、どうしてもパフォーマンスも売上も上がらない、指名も取れないエステシャンがいると、家庭訪問をするんです。

たとえ青森県出身の子でも、「お前の家に連れていけ」って言って、クルマでその子の地元まで一緒に行きます。

そしたらまず、その子が通っていた中学校に案内させるんです。

そして、「ここにどんな思い出があるか教えろ」って聞くんですよ。

するとその子は、「あの木の下で、初めて彼にバレンタインデーのチョコを贈りました」「3年間バスケをやってたんです」などと答えます。

それに対しては、「そうかぁ」としか言いません。

今度は、通っていた高校に行きます。

高校でもどんなことがあったか聞いて、「高校のときはちょっといじめにあっていて、保健室登校してました」とか話してもらうんです。

それに対しても、「そうかぁ」って。

そして最後に、「お前の家に連れてけ」って言って、その子の実家に行くんです。

家に着いたら、お父さんとお母さんに事情を説明して上がらせてもらって、お父さんとお母さんと鈴木社長の3人だけで話をするんですよ。

そこで鈴木社長は、

お父さんとお母さん、この子が初めて寝返りを打ったときのことを聞かせてください

この子が初めて立ち上がったときのことを話してください

この子が初めて幼稚園に自分で通えるようになったときのことを話してください

この子が部活を始めたときの話をしてください

この子が卒業して青森県から引っ越す、その日の話をしてください

ということを聞くんです。

そしたらお父さんとお母さんは、号泣しながらその娘さんが成長してきた過程を話してくれるんですって。

鈴木社長はそれを「そうでしたか、そうでしたか」って聞いて、そのまま石川まで帰るの。

その子に指摘もアドバイスもしないで、ただただ家庭訪問をして、ご両親から話を聞いて帰ってくるだけ

そしたら、その子の売上は上がるんですって。

初めてその話を聞いたとき、僕は意味がわからなかったんですよ。

素敵だと思ったけど、売上とは関係ない話のように聞こえますよね?

それを質問したら、鈴木社長はこう言ったんです。

「その子に問題なんかないんです。問題は俺ですよ。俺が『コイツはダメだ』と思ったら、本当にダメになるんです。俺がコイツのことを愛しいと思ったら、コイツはよくなるんです

って。

すなわち鈴木社長は、その子のことを「愛しい」と思えるようになるために、家庭訪問に行ったんですよ。

こんなに人のことを信じられる経営者がいるんだなあ、と思いましたね。

育たない社員がいても、最後に1つだけやれることがある

僕、鈴木社長にもうひとつ聞いたんです。

「会社に20億円の借金があったら、1日も早く返したいって思うでしょ。なんでそんな面倒くさいことをするんですか?」と。

そしたら鈴木社長は、

「それはね、俺がやってもらったからですよ。俺はどうしようもない人間だった。学校の先生からも『お前なんか学校くんな』って言われ、親からも見放されてた。

でも、先代の社長はそんな俺を拾ってくれたんですよ。だからね、俺は誰も見捨てるわけにいかないんですよ。俺がやってもらったことを、あいつらに回してやっているだけなんですよ」

って言ったんですよ。

人の痛みがわかる人間じゃないと、うまくいってない人の未来を信じることなんてできません。

もちろん人材育成のアクションとして、指導方法や給与体系、トレーニング方法、教育システムなどを変えるとか、やれることはいっぱいあります。

それで成果が出るならば、いいんです。結果的にその子が成長して幸せになればね。

でも、あの手この手尽くしても育たなかったとき、「もうすべてやり切ったかも」と思うのは大きな勘違いです。まだ、もう1個残っています。

それが「祈る」ということ。

今は指名もないし、クレームも多い。仲間にも「あの子を辞めさせてください。なんであの子が私たちと同じ給料をもらえているんですか」って言われる子でも、「絶対コイツは大丈夫だ」って祈ることだけは残っているんですよ。

鈴木社長の行動の根本には、「祈り」があるんだと思います。「幸せになれない奴なんかおらん」って。

きっとね、そういう考え方がベースにあるから、鈴木社長は家庭訪問なんて面倒くさい行動を選択することができるんだと、僕は思いました。

ただ、はっきり言って、この話を聞いても実行できる人はそんなにいないと思います。みんな「いい話でしたね」で終わりにするんですよ。

でもね、やったら変わるよ

動画はこちら

鴨頭さんのYouTubeチャンネルには、仕事に役立つ話が満載です!

鈴木社長から教わったという、「人材育成をする上で本当に大切なこと」を語った鴨頭さん。

鴨頭さんのYouTubeチャンネルでは、今回の動画のような「日々の仕事に役立つ情報」が毎日更新されています。

人間関係を円滑にするコミュニケーション」や「人生をよりよくする習慣」など、幸せに働くためのノウハウが詰まった鴨頭さんのYouTubeチャンネルを、ぜひチェックしてみてください!

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