ビジネスパーソンインタビュー
藤野英人著『投資家みたいに生きろ』より
「家電量販店の徘徊」はすごい効果を発揮する。投資家の“視点”を鍛える3つの習慣とは
新R25編集部
「お金だけではなく、“目に見えない資産”に投資しよう」
ファンドマネジャーとして約30年のキャリアを持ち、投資信託「ひふみ投信」を運用する藤野英人さんの著書『投資家みたいに生きろ』からの引用です。
20代半ばになると仕事に慣れ、将来についても考え始める時期。資産を増やそうと「投資」に興味が湧いている人も多いかもしれません。
しかし、目に見えるものばかりに投資をしては、行き着く先は空虚な人生になる、というのが藤野さんが同書で伝えたいことなんだとか。
ビジネスパーソンが投資したい“目に見えない資産”とは、一体なんでしょうか?
同書から2記事抜粋してお届けします。
投資の一歩は「視点力」上げること
まず手に入れたいのは、投資家のように物事を見る「視点」です。
投資家は特別な情報を握っているわけではありません。あくまでみなさんと同じ、開示された情報から、日々、投資先を決めています。
同じ情報を見ていても、「視点」が異なるのです。
アンテナを立てて日常生活を送っていると言い換えていいかもしれません。「投資家は客観的な視点で物事を見ている」そんなことを言われることがあります。
しかし、果たしてそうでしょうか。私は、違うと思っています。
この世に「客観的な視点」なんてないのです。
2003年4月、自分の会社であるレオス・キャピタルワークスの開所式を迎えたときの話です。初めての自分のオフィスの中で、私は「あること」が気になって仕方ありませんでした。
それは、ドアノブに付いた指紋でした。ピカピカだったドアノブに、人が訪れるたびに指紋の汚れがどんどん付いていったのです。
前職のオフィスでは、そんな汚れに気づくことはありませんでした。そのオフィスのことは、自分ごとのように見ることができなかったからです。
しかし、レオスのオフィスは私の所有物であり、働く従業員だけでなく、ドアノブ、壁、机など、すべてにおいて愛着がありました。独立してはじめて、当事者意識が生まれたのです。
このように、人は、主観的な視点で物事を見ます。人間は、関心がないことは見えないようにできています。
スーツを買おうとしている男性は、街行く人のスーツが気になりはじめます。女性には目に入る化粧品の看板は、化粧をしない男性には見えません。
そんな人間の性質を理解した上で、できる限り、幅広く視野を広げてアンテナを立てて生きるには、どうすればいいのでしょうか。
①流行を試す
世の中には、流行を嫌う人がいます。しかし、投資家的に見ると、流行嫌いのマインドは変える必要があります。
なぜなら、アンテナを立てて、何でも自ら試すことで、日常生活がインプットの場に変わるからです。
ポケモンGOが大流行していた頃、当時はLINE執行役員だった田端信太郎さんのSNS投稿が話題になりました。
それは、経営者が集まる会議でポケモンGOをしている人数を尋ねたら、2〜3割くらいしか手が挙がらず、がっかりしたという話でした。
私も10年近く前ですが、同じ経験をしたことがあります。ある地方の中核都市で、上場を目指す若手IT経営者が対象のセミナーに登壇しました。
フェイスブックの共同創業者マーク・ザッカーバーグの半生を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開されたばかりだったこともあり、「映画を見ましたか?」と聞いたところ、会場がシーンとしたのです。
「フェイスブックをやっている人は?」と質問を変えました。それでも、パラパラとしか手が挙がりません。
会場には、100人くらいのIT経営者が参加していたのですが、私はこう言いました。
「すみません。この地域からはあと5年は、少なくともITの上場企業は出ないでしょう」
そして実際、今も上場企業は出ていません。
これは、フェイスブックやポケモンGOをすること自体が大事だという話ではありません。前述したように、人間は関心のないことは見えないようにできています。
流行しているものをいち早く自分で試すことによって、世の中の価値観に対してのあなた自身の身体的感覚を得ることがすごく大事なのです。
②体験をする
これからの時代は、情報よりも「体験」の価値が上がります。
時代を象徴するイベントや本、映画、ネットサービスなどは、情報として「知っているだけ」では意味がありません。
自身の体験として肉体的な消化をすることで、身体的感覚が磨かれます。
その身体的感覚があれば、その価値観から離脱したり、超越、模倣することも選択できるようになります。
言い換えるならば、時代の空気を身に纏うのです。
流行に関して条件反射的に「ふーん」と無関心になったり、斜に構えたり、「けしからん」とネガティブな感情が湧いてきたりする人は、要注意です。
時代の空気からどんどん遠ざかってしまいます。そんなときこそ、「これって投資?それとも浪費?」と自問自答してみてください。
「流行りもの」への嫌悪感は、普通は年をとるごとに大きくなってきます。
しかし、嫌悪感を好奇心へと変換させることで、あなたの身体的感覚は磨かれ、世の中の物事からたくさんのことを学べる「視点」が手に入ります。
③変化を見つける
投資家的な「視点」を持っている人とは、「変化に気づける人」と言い換えることができます。
マーケット感覚を持ち合わせていたり、ビジネスチャンスを発見できる人は、日常生活において変化を見つける「敏感さ」を持っているのです。
そして、それは特別な才能やセンスではなく、誰でも身につけることができると私は思っています。
そのためにできる簡単なことは、「流行を知ろう」とアンテナを切り替えて過ごすことです。
流行を気にするだけで、不思議なことに、同じ風景もまるで違って見えてきます。
いつもの通勤ルートや住んでいる街の景色が変わり、移動時間が情報収集のための時間に変わるのです。
「街行く人の服のサイズが大きめになっている」
「駅前に新しくできたカフェのコーヒーが量より質を売りにしている」
「ハンズフリー会話をしている人が増え、独り言に見えることに抵抗感が少なくなっている」
同じ生活をしていても「流行を知ろう」と意識を切り替えただけで興味のアンテナが多方向に伸び、入ってくる情報量が格段に増えるのです。
投資家の視点を身につけるのに、特におすすめなのは、「家電量販店」です。
やり方はとても簡単です。月に一度、2〜3時間くらいかけて、家電量販店の地下から最上階までをじっくり見て回るのです。
買い物をする必要はありません。ただ、ゆっくりと見て回るだけです。
これが実はすごい効果を発揮します。大型の家電量販店には、古今東西のあらゆるものが販売されています。自分が興味のあるものもないものも関係なく、すべてをくまなく見ましょう。
特に注目したいのが、最新テクノロジーです。
AIの技術は、今、日進月歩で進んでいます。雑誌やネットでキャッチアップするのもいいですが、最先端である家電製品で、体感しましょう。
テレビや冷蔵庫、PC、スマホなど、1つ1つの売り場を見て回り、「今、どういうものがあるんですか?」と店員に聞いてみるのです。
旧型の製品と違い、どういった技術が使われているのか、プロの立場から教えてもらえます。無料なのに、こんなにトクすることはありません。
いろいろな店を回るのもいいですが、「定点観測」をするのがよいでしょう。
1回だけでは「へー、こんなものか」としか思えないかもしれませんが、何度も訪れると、ちょっとした変化に敏感になります。
今、何が売れて、何が流行っていて、業界の話や日本全体の景気まで感じ取れるようになります。
最新技術に疎い人でも、この方法なら確実にインプットすることができます。
家電量販店に置いてあるものは、そのどれもが食や健康、美容、娯楽など、「生活」に密着しています。ここで得た知識は、他の場所にもつながってきます。
新聞やニュースで知るだけでは一瞬で忘れてしまうかもしれませんが、現場で見て実際に人から話を聞いたことは確実に身になっていきます。
「見えない資産」を貯めて、将来への不安をなくそう
「投資」と聞くと、ついお金のことばかりをイメージしてしまいますが、20代はとくに、スキルや人間関係などの“見えない資産”づくりに注力したいもの。
そのためには、藤野さんのいう「投資家視点」という第3の目が必要になると言います。
第3の目を意識して、見える世界を拡大していけば、きっと自分の資産を増やせるはずです!
ビジネスパーソンインタビュー
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