ビジネスパーソンインタビュー
土井英司著『「人生の勝率」の高め方』より
“損得勘定”はこう捨てよ。元Amazonカリスマバイヤーが語る「成功者の選択ルール」
新R25編集部
『「人生の勝率」の高め方』より才能がないのなら、才能がなくても結果を出せる選択をすればいい。努力するのが嫌なら、努力しなくても勝てる選択をすればいい。
結果を出したいなら、「選択がすべて」です。
土井英司さんの著書『「人生の勝率」の高め方』の一文です。
土井さんは、Amazon.co.jpの日本サイト立ち上げに参画し、50万部突破の『ユダヤ人大富豪の教え』を発掘するなど、「Amazonのカリスマバイヤー」と呼ばれた方。
また、独立後に手がけた『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵著)は世界で販売数1100万部を突破するなどプロデューサーとしても成功を収めています。
その裏には、自身が講演でも話す「人生の勝率」が大きく関係しているんだとか。
同書より、「成功する人がやっている選択法」「『運』を戦略的に呼び込む7つの習慣」の2テーマを抜粋してお届けします!
人間が行動できないのは「損得」で判断するから
損得で考えると、人間は行動できなくなります。
なぜかというと、「得が確実なケースはない」からです。一方で、「損が確実なケース」は結構ある。
「大きく得をする可能性がある」ことがわかっていても、「大きく損をしてしまう可能性」に怯えて決断できないことって、ありますよね?
そんなとき僕は、次のように考えて感情をコントロールしています。
「こんな体験は、めったにできない」
仮に、「世界で10台しかない、8000万円の高級車」を買おうと思ったとします。
この高級車は、将来的に価格が1億円に値上がりするかもしれない。けれど、6000万円に下がるかもしれない。
このとき多くの人は、損にフォーカスして、「2000万円も負けたくないから、買わない」という選択をしがちです。
でも、「たとえ損をしたって、こんな体験はめったにできない」と考えてみたらどうでしょうか。
「2000万円支払って、世界で10台しかない高級車のオーナーになり、実際に運転した」という経験は、普通の人にはできません。
ということは、「世界で10人しかできない体験」をすることに価値を見出せるのであれば、2000万円の金銭的な損失を受け入れることができるわけです。
買うか買わないか、やるかやらないか、行くか行かないか、といった選択に迷ったとき、人からアドバイスをもらいたくなるのですけど、人に聞けば聞くほど、かえって迷ってしまうことがありますよね。
その気持ち、よくわかりますよ、僕も。
以前、「こんな体験は、めったにできない」と思いつつ、それでも不安になって、「買うか、買わないか」迷ってしまったことがあります。
そこで、ある人に相談をしたんです。
相談した結果どうなったかというと、決断するまでに時間がかかってしまい、結局、僕が悩んでいる間にチャンスを逃してしまいました。
不安になっているときって、誰かが「やめたほうがいいよ」と言ってくれるのを待っていたりするものです。
このとき僕が学んだのは、「『自分の意思決定を覆すような新事実が出てきた場合を除いて、9割やる』と決めたときしか、アドバイスを受けてはいけない」ということです。
僕は大学時代に、印南一路(いんなみ・いちろ)先生(日本の政策学者で、慶應義塾大学総合政策学部教授)のゼミに入っていて、「意思決定論」を学びました。
なので、この分野に関してはそれなりに学んだつもりですが、人間は、「正しい」と思っているのに行動に移せないときがあります。
だから、「決定をするための意思決定のノウハウ」を学ばないといけないんです。
ようするに、「人間の心理を理解する」ということです。
ルールを明確に決めて、機械的に判断する
「人間の心理に逆らうロジック」を頭の中でつくっておかないと、損得という選択基準から抜け出すことができません。
「こういうときは、自動的にやる」
「こういうときは、自動的にやらない」
というルールを明確に決めて、そのルールに従うのもひとつの方法です。
たとえば、投資家の村上世彰さんは、「期待値が『1』を大きく上回っているときは、投資をする」というルールを決めているそうです。
期待値が「1」というのは、100万円を投資した場合、100万円のままでいる確率が100%ということです。
村上世彰さんが重要視しているのは、リスクでも勝率でもなくて、「期待値」です。
100万円が2000万円(20倍)になる可能性は10%、一方で0円になってしまう可能性が90%あるとき、期待値は20×10%=「2」。
このとき、多くの投資家は「投資をしない」という選択をします。
損をする可能性のほうが高いから。
けれど、村上さんは、期待値が「1」を大きく上回っているので、投資をする。
そして、2000万円になる可能性を「10%から上げることができないか」と考えているそうです。
一度ルールを決めたら、基本的には例外をつくらない。
ルールに当てはまっているのであれば、損得を抜きにして、自動的に「やる」と決める。
状況が変わったらルール変更するのは大事だけれど、でも、よほど状況が変わらない限
り、ルール変更はしないほうがいい。
ルールに則って、機械的に行動をすると決めておけば、自分の感情に振り回されることはなくなりますね。
判断基準を「損得」からズラす
欲と恐怖が絡んでいるときは、自分の心理状態を冷静にウォッチすることが大切です。
僕はこれまで、「優秀な人」をたくさん見てきたけれど、優秀な人間が「バカな選択」
をするときは、たいてい、「欲にかられたとき」か「恐怖心に抗えなかったとき」でした。
人は、欲と恐怖に支配されやすいものです。欲と恐怖に支配されると、人間は理性的に行動できません。
損が恐怖を生み、得が欲を生むのだから、僕なら、「損得」という選択基準を「別の基準」に変えるでしょうね。
「この高級車を買ったら儲かるかもしれない。だから買おう」「この高級車を買ったら、損するかもしれない。だから、買わないでおこう」と損得で考えるのではなく、別の基準に変換してみる。
たとえば、「カッコイイか、カッコ悪いか」を判断の基準にして、「この高級車を買える自分はカッコイイ」と思えたなら、買ってみるとか(笑)。
以前、マリンスポーツの普及を目的とした「マリンリゾートの建設」を考えている方(Aさんとします)とお会いしたことがあります。
僕はAさんに、「マリンリゾートを本格的にやりたいなら、イタリアのサルデーニャ島を見てくるといいですよ。マリンアクティビティが充実したホテルがあるので、参考になると思います」とアドバイスをしたことがありました。
ですがAさんは、最初は渋ったんですね、サルデーニャ島へ行くことに。
理由は、お金がかかるから。言葉が通じないから。行ったことがない国だから。ビジネスの参考にならなければ、損だから。
「視察に行く」という選択がすぐにできなかったのは、損得が判断基準になっていたからですね。
サルデーニャ島に行くことのプラス面よりも、「出費」というマイナス面を先に考えてしまったから、選択できなくなった。
僕はこう言って、Aさんの判断基準を変えました。
「奥さんともう一度ハネムーンに行くと思ってください。奥さん、絶対に喜ぶと思いますよ。奥さんと旅行のついでに、ビジネスの役に立つ視察ができる、と考えてみてください。『お金がかかる』という損に目を向けるのではなくて、『奥さんが喜ぶ』と考える。視察に行くのではなく、『旅行に行く』と考える。そうすれば、仮に、ビジネスの役に立たなくても『損をした』ことにはなりませんよね」
結局、Aさんはサルデーニャ島へ行って、ものすごいセレブや有力者との出会いがあり、現在、愛する地元のリゾート開発に第一線で取り組んでいます。
失うものに目を向けないこと。
最悪失敗しても、絶対に得られるものがあるはずなので、「失う」から「得られる」に基準を変換することが大切です。
元Amazonカリスマバイヤーの成功法則をもっと学ぼう
「選択する力を磨くことこそ、凡人が結果を出すための最良の方法だ」と土井さんは言います。
どんな職業を選択すれば、年収が高くなるか…。
どんな人と付き合えば成功に近づくか…。
そんな選択の極意がつづられた『「人生の勝率」の高め方』を読んで、成功への最短ルートを進みましょう!
ビジネスパーソンインタビュー
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