ビジネスパーソンインタビュー
落ち込むのに、なぜ何度も繰り返す?
「整形しても人生は変わらない」20回手術した“整形アカ”ありしゃんが、それでも発信する理由
新R25編集部
「最近、整形がオープンなものになっている」。
そう感じている人も多いはず。自分のまわりにも、ここ1~2年で「整形した」ということをオープンに話す女友達が何人かいます。
そんな彼女たちが、整形に関する情報を求めるのが、SNS上に複数存在する“整形アカ”(=SNSで、美容整形についての情報を発信するアカウント)。
今回は、顔出しで“整形アカ”での発信を続けている「ありしゃん」に、「美容整形のリアル」「なぜ“整形アカ”で発信するのか」を聞きました。
【ありしゃん】ファッション誌『Nickey』でモデルとして活躍後、ネイルサロン「Raviy」の経営をスタート。現在は3人組YouTuber「ヘラヘラ三銃士」としても活動中
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
整形する理由は「好きな人に言われて」
天野
ありしゃんは、昔から「整形願望」があったんですか?
ありしゃん
そうですね、小学5年生のころから整形したかったです。
一重がイヤで、普通ののりで目を二重にしてるような子供だったんですよ。なんか、まわりの子に比べてなんで自分はかわいくないんだろう?ってずっと気にしてて。
天野
のりで二重にしてる女子、たしかにいた気がします。
ありしゃん
それで、高校に入るタイミングで友達と一緒にはじめての整形に行ったんですよ。
その後の“整形遍歴”はこんな感じです。
2009年
目(二点埋没法) 約3万円
2010年
目(二点埋没法) 約3万円
2017年
胸(ヒアルロン酸注入) 約100万円/胸(ヒアルロン酸除去) 約10万円/輪郭(こめかみヒアルロン酸注入) 約60万円/目(部分切開) 約24万円/涙袋(ヒアルロン酸注入) 約3万円/鼻(小鼻縮小、鼻突縮小) 約70万円/口(ガミースマイルボトックス) 約3万円/歯(セラミック) 約30万円/顎(クレヴィエル注入) 約10万円/胸(豊胸) 約180万円
2018年
鼻(骨切り幅寄せ、パンプ除去、鼻先軟骨移植、貴族手術) 約80万円/輪郭(糸リフト) 約100万円/唇(ヒアルロン酸注入) 約2万円/唇(口角リフト) 約1万円/肩(ボトックス注射) 約1万円/輪郭(頬骨縮小、あご先形成、額ヒアルロン酸注入) 約170万円
2019年
口(人中短縮、口角挙上術) 約60万円/二の腕(脂肪吸引) 約85万円
天野
圧倒されますね…
どういうときに「手術しよう」と思うんですか?
ありしゃん
身近な友達とか好きな人に、冗談でも容姿のことを言われたときに思います。
「お前もうちょっと二の腕痩せたほうがいいんじゃない?」とか。今年はそれで脂肪吸引手術をしました。
なかなか閲覧注意感ある
天野
おおお…
今回はどんなリアクションでしたか?
ありしゃん
他人事ですよ。「すごい、グロいねー」みたいな。
天野
軽いなー! 自分の一言で整形してるのに…!
ありしゃん
そういうものなんですよ! 他人の容姿に何か言う人ってそんなに気にしてないんですよね。言ってるほうはそんな(整形しろという)つもりで言ってない。
でも私みたいな人って、ちょっとしたことですごく気にしちゃうんです。モデル時代に、まわりにかわいい女の子がたくさんいたのも関係してるかもしれませんね。
整形をすると、やっぱり気分爽快? と思いきや…
天野
整形をすると、どんな心境になれるんでしょうか?
やっぱり「かわいくなって、世界がちがって見える!」みたいになるんですか?
ありしゃん
逆ですね。すごくメンタルが落ち込みます。
えっ
天野
手術が成功してもですか…?
ありしゃん
そうですね。整形手術をして腫れが引くまでの3日ぐらい、あんまり人前に出られない「ダウンタイム」っていう期間があるんですけど、その期間にいろいろ考えてすごい病むんです。
整形アカたちは、「ダウンタイム鬱」って呼んでます。
天野
せっかく理想の顔になるために手術したのに…。なぜそんな状態に?
ありしゃん
2種類あって、「このまま腫れが引かなかったらどうしよう」って不安になるタイプと、「私、何やってんだろう」って考えこんじゃうタイプの人がいるんです。
私は後者ですね。「なんで整形しちゃうんだろ」って毎回泣いてます。
喜びが来るんじゃないのか…こわすぎる
整形する理由「バランスを取るために繰り返してしまう」
天野
なんかよくわからなくなってきたな…そんなに落ち込むのに、なぜ何度も整形手術をするんでしょうか?
「キレイになれてクセになっちゃう」とかならわかりますが…
ありしゃん
1回やると自分の顔がすごく気になるんですよ。「気に入らない部分は直せるものだ」っていう考えになって。
ほくろひとつでも「このほくろ取らなきゃダメかな…!?」って。
「人から見たらほくろなんて気にならないのはわかってるんですけどね…」
天野
2017年から特に手術の回数が増えてるようですけど…これは何かあったんですか?
ありしゃん
手術に失敗して、バランスを取るために何度か手術したんです。
2015年ぐらいに好きな人にフラれて、心機一転するために2017年に鼻を手術したんですけど、「この顔にしてください!」って芸能人の写真を持って行ったのが失敗の原因でした。
美容院みたいに写真持って行くのか…
ありしゃん
ラブリちゃんっていうモデルの子の写真を持って行ったんですけど、彼女はあの顔立ちであの鼻だからかわいいんですね。私にはすごく似合わなかったんです
ありしゃん
私は自分の面長な顔がイヤだったんですけど、ラブリちゃんの鼻になったら面長が強調されてしまったんです。
手術自体は成功でしたけど、「これはリサーチ不足による失敗だ」って終わってから気付きました。
天野
実際やってみるまで、印象ってわからなそうですもんね…
ありしゃん
なので再手術がうまい病院で、誰の写真も持って行かずに、似合う鼻にしてもらいました。鼻の骨を切って鼻筋をシュッとさせて。
同時に「貴族手術」もしました。
天野
貴族手術っていうのは?
ありしゃん
ほうれい線の下にゴアテックスを入れて、しわを消す手術です。
ゴアテックスってあのレインコートとかの素材のやつか…
ありしゃん
自分の顔も少しずつ変わるので、最初はいいと思ってても、手術後にどんどん違和感を感じるようになることもあるんですよ。
あとは、好きな芸能人が変わっていくってありますからね。手術したときはファンでも、だんだん違う人が好きになってくるってあるじゃないですか(笑)。
天野
(それで整形してたらキリがないんじゃ…)
天野
これはちょっと聞きにくいんですけど…「整形依存症」のようになってるんでしょうか…?
ありしゃん
それ言われるんですけど、私は依存症だとは思ってないです。
天野
そうなんですか…?
ありしゃん
依存症ではなくて、あくまで人より直さなきゃいけない箇所が多いだけだと思ってるんですけど(笑)。
ホント上には上がいるんですよ。常にダウンタイムでいたい人とか、医師が止めてるのに手術をしつづけてる人もいるんで。
そういう人はホントの依存症だと思いますね。
整形して、モテるようになりました?
天野
「まわりのかわいい子と比べられて」という話がありましたが、整形したことで異性からモテるようになりましたか?
ありしゃん
いやー…全然変わらないですね。
天野
そうなんですか?
テレビだと、「人生が変わった」みたいな話をよく見ますが…
ありしゃん
「モテる」って顔で決まることじゃないってよくわかりました。
結局、自分に自信ある子がモテるんですよ。
天野
ツイッターにもこのように書かれてますが、整形しても自信が持てるようにはならないんですか?
ありしゃん
変わらないですね。むしろ、「私の顔ヘンだと思われてないかな」っていつも気になるので、自信はなくなってるかもしれません…(笑)。
なんてことだ…
ありしゃん
整形アカの世界でよくいう言葉なんですけど、「整形のゴールは、自分を愛せるようになること」なんですよ。
私は今年6月にした「人中短縮」の手術で、いったん自分のやりたい手術は全部やったつもりなんですけど、このまま違和感なく過ごせれば、少しは「自分を愛せる」っていう状態に近づけるのかなと思ってます。
「整形してよかったこと」は?
天野
なんか、けっこうデメリットが多い気がしてしまうんですが…
「整形してよかったこと」ってないんですか…?
ありしゃん
よかったのは、友達が増えたことですね。
ありしゃん
今の“整形アカ”をはじめてから、整形に関する情報を聞かれることがすごくあって、そこから友達になる子も多いんです。
整形に興味がある女の子ってめちゃくちゃいるんだなって気付きました。
名前は言えないですけど、超有名な芸能人の子からもDMで「どこの病院がいいですか?」ってきかれるんですよ。
天野
(誰だろう…)
なぜ、顔出しで発信を続けるのか?
天野
ありしゃんはなぜ、“整形アカ”での発信を続けているんでしょうか?
整形をオープンなものにしたいという考えがあるんでしょうか…?
ありしゃん
たしかに、韓国だと整形手術がすごくオープンになってて、包帯ぐるぐる巻きでカフェ行っても大丈夫でした。
そのとき、「日本ではいろいろ言われるけど、別に悪いことしてなくない?」って思ったのはありますね。
天野
なるほど。
ありしゃん
ただ、オープンになった反面、失敗したり悩んだりする人も増えてるのでよく考えてほしいとは思います。だからこそいろんな情報を発信したいなと。
天野
気になったんですが、けっこうキツめの画像をアップしてるのはなぜなんでしょう?
ありしゃん
「整形のリアル」をわかってほしいからです。ネットで人の顔の悪口をかんたんに書ける時代じゃないですか。若い子がインスタやTikTokに写真や動画をアップして、中傷されることも増えてる。
だからこそすぐ人の顔を中傷したり、「整形しろ」とか言う人に「そんな簡単なもんじゃない」ってわかってほしい。
整形って心にも体にも大変なことなんですよ。私は「整形は努力」だと思ってます。
天野
整形は努力…!
アカウントをやっていて、批判されることもありますか?
ありしゃん
「親が悲しんでるぞ」って言ってくる人が多いんですよ。
親には、健康なカラダに産んでくれたことはすごく感謝してます。でも、この顔で生きていくのは自分なので。
ましてや他人にそんなこと言われるのはヘンですよね。
天野
いろいろとネガティブなお話も聞いてしまいましたが…“整形アカ”をやっててよかったと思いますか?
ありしゃん
そうですね。整形したところで自分に自信は持てないままですけど、でもその内容をツイッターやYouTubeで発信することで多少は私のことを好いてくれる人もいるって思えてるので、やっぱりやっててよかったです!
「自分に自信が持てない」など、けっこう重めの話も出てきましたが、しかしお伝えしておきたいのは、彼女自身の口ぶりはめちゃくちゃ明るかったということ。
「他人に何かを言われても、より良い自分を目指す」のは、仕事のために勉強することと同じような、“健全な自己投資”のひとつなのかもしれません。
最後にありしゃんが言っていたのが「『整形した』ってオープンに言ってる子だからって『整形!』ってイジるのはダメ」。
これから、日本でもますます整形する人が増えるかもしれません。覚えておきたいと思いました。
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=いしかわゆき(@milkprincess17)〉
ありしゃんが発信する「ヘラヘラ三銃士」のチャンネルはこちら!
韓国に渡り整形を行う動画から、「イケメン限定街頭インタビュー」まで、多彩でポップな動画を発信しつづける「ヘラヘラ三銃士」をチェックしよう!
公式SNSで最新記事をチェックしよう!
新R25は公式SNSを積極運用中。ツイッターでは最新記事の情報を更新しています。
読者の皆さまはぜひフォローをお願いします!
ビジネスパーソンインタビュー
またスゴいことを始めた前澤さんに「スケールの大きい人になる方法」を聞いたら、重たい宿題を出されてしまいました
新R25編集部
【不満も希望もないから燃えられない…】“悟っちゃってる”Z世代の悩みに共感する箕輪厚介さんが「幸せになる3つの方法」を伝授してくれた
新R25編集部
「実家のお店がなくなるのは悲しい… 家業を継ぐか迷ってます」実家のスーパーを全国区にした大山皓生さんに相談したら、感動的なアドバイスをいただきました
新R25編集部
「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石
新R25編集部
社内にたった一人で“違和感”を口にできるか?「BPaaS」推進するkubell桐谷豪が語るコミットの本質
新R25編集部
【仕事なくなる?そんなにすごい?】“AIがずっとしっくりこない”悩みへのけんすうさんの回答が超ハラオチ
新R25編集部