ビジネスパーソンインタビュー

「寄付金額に応じてトクする」年3000万使う専門家が語る“ふるさと納税入門ガイド”

お得な裏技もご紹介

「寄付金額に応じてトクする」年3000万使う専門家が語る“ふるさと納税入門ガイド”

新R25編集部

2019/09/23

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2008年度に「ふるさと納税」がスタートしてから、すでに10年が経過しました。

しかし「納税」という言葉から感じられるハードルの高さもあり、「お得なことは知ってるけど、使ったことはない」という人がいまだに多いよう。

今回は、年間3000万円以上をふるさと納税に注ぎ込んでいる専門家・金森重樹さんに、ふるさと納税の基本を伺いました。

ちゃんと知ると仕組みは意外とシンプルで、しかもお得。専門家がおすすめする返礼品なども把握して、賢くお金をやりくりしましょう!

〈聞き手=松本紋芽〉

【金森重樹(かなもり・しげき)】 東京大学法学部卒業。年間3000万円以上をふるさと納税に活用している。著書の『完全ガイド 100%得をする「ふるさと納税」生活』(扶桑社)で「ふるさと納税の第一人者」としての立場を確立。その後多くのふるさと納税ムック本を監修。行政書士・不動産投資家などさまざまなジャンルで活躍している

ふるさと納税とはどんな制度? どれくらい得するの?

ふるさと納税とは、好きな自治体に寄付することでお礼の品がもらえるお得な制度のこと。実際、どれぐらいお得なんでしょう?

金森さん

ふるさと納税は実質2000円で地方の特産品がもらえる制度なんです。

任意の自治体へ寄付すると、そこから自己負担額である2000円を引いた金額が、本来支払うべき住民税や所得税から引かれます(控除・還付)。

つまり寄付したお金の大半は戻ってきて、寄付した自治体からは返礼品がもらえるので、返礼品の額と自己負担額(2000円)の差額分、得します

松本

でもそれだと2000円で特産品を買ってるだけですよね…?

金森さん

ここで大事なのは、寄付する金額が増えるほど、もらえる返礼品も高価になること。

自己負担額は一定なので、寄付金額が増えるほど得することになります。

松本

それはすごい! いくらでも寄付していいんですか?

金森さん

いえ、収入や家族構成によって限度額が決まっています。たとえば年収が500万円の独身であった場合は、寄付の上限は約6万円です。

寄付金額から自己負担額を除いた額の3割に相当する返礼品がもらえるので、この場合は約1万8000円分の得になります。(※)


総務省により
、返礼品の調達には寄附金額の3割の額を超えてはならないと決まっているため、寄付金額の30%を返礼品の金額として算出

金森さん

以下のような、ふるさと納税のサイトで上限金額が簡単に算出できるので、チェックしてみてください。

ふるさと納税を利用する際の流れ

松本

では興味を持った人は、まず何を始めればいいのでしょう?

金森さん

ふるさと納税をするには、以下のようなステップがあります。

1. 予算や目的に合った、ふるさと納税サイトを選ぶ
2. サイト内で返礼品を選び、自治体に寄付する
3. 返礼品と、寄付金額の領収書「寄付金受領証明書」が届く
4. 寄付金額が控除される手続きをおこなう

金森さん

僕らがすることは、ネットショッピングとたいして変わりません

まずはふるさと納税のサイトで、好きな返礼品を選びます。その後に控除のための手続きをするだけ。

「納税」とついているのでハードルが高く感じるかもしれませんが、そんなに身構えなくて大丈夫ですよ。

松本

そうだったんですね。ちょっと安心しました。

おすすめのふるさと納税サイト3選

松本

まず最初にやるのはふるさと納税のサイト選びとのことですが、どんな違いがあるんですか?

金森さん

一番わかりやすい違いは、掲載している返礼品(自治体)の数ですね。

ただ、掲載数が多ければいいというわけではないので、私なりの視点でおすすめ順に3サイトを紹介しますね。

おすすめサイト① さとふる:口コミ機能が充実していて、返礼品が選びやすい

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

特徴:公式サイトによると「認知度・利用意向No.1」のふるさと納税サイト。各返礼品の紹介ページには返礼品の内容・自治体情報・注意点などが簡潔に掲載されていて、そのシンプルさが特徴。申し込みから返礼品の到着まで最短1週間

申し込み可能自治体数:618(
2019年7月現在

金森さん

返礼品の数が絞られていることで、好みのものを選びやすいサイトです。事前にさとふるが返礼品をピックアップしてくれている感覚ですね。

くわえて、「食べログ」のように口コミ機能が充実していて、星の数で返礼品の評価が一目でわかります。これも返礼品の選びやすさを後押ししてくれますね。

松本

優柔不断な人にぴったりですね。

金森さん

2019年9月末までは、レビューを投稿するとPayPayのボーナスが抽選でもらえるキャンペーンもおこなっています。

積極的に新しい取り組みをしているので、そういったサービス精神に今後も期待しています。

おすすめサイト② ふるさとチョイス:返礼品掲載数No.1! 地域課題の解決にも寄付できる

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

特徴:申し込み可能な自治体数がNo.1のサイト。返礼品の掲載数は20万種類を超える。旬の特産品情報や、ふるさと納税の活用方法など、お得な情報が届くメールマガジンを会員に発行している

申し込み可能自治体数:1788(
2019年9月10日時点

金森さん

取り扱っている自治体数が多いのが最大の特徴です。47都道府県のほぼすべてを網羅し、1000を超える自治体を扱っているサイトはほかにはありません。

松本

じゃあ「自分が育った土地に寄付したい」みたいな目的の人にはぴったりですね。

金森さん

あとは地域の課題を解決するプロジェクトに対して寄付ができる「ガバメントクラウドファンディング」という仕組みがあるのも特徴。

支援対象の例として「九州北部豪雨の被災地活動支援プロジェクト」や、動物の殺処分を減らすための「動物と共生するまちづくりプロジェクト」などがあります。

これらは必ずしも返礼品が用意されているわけではありませんが、公的な支援を気軽にできる方法としておすすめしたいですね。

おすすめサイト③ 楽天ふるさと納税: 楽天ユーザーならポイント還元などメリットが大きい

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

特徴:楽天市場の会員情報をそのまま利用できるため、楽天会員であれば名前や住所の登録は不要。楽天市場での買い物と同じステップで簡単に手続きができる。寄付額100円につき楽天スーパーポイントが1ポイント付与され、寄付金の支払いにポイントを使用することも可能

申し込み可能自治体数:100以上(
2016年10月6日時点

金森さん

納税金額に応じて楽天スーパーポイントが貯まるので、お得具合をシビアに見ている人にぴったりです。

松本

たしかに。ただでさえお得なところに、さらにポイントが貯まるわけですもんね。

金森さん

そうです。 ただし、返礼品の網羅性では少し見劣りするので、楽天グループのサービスを利用していなければ、「ふるさとチョイス」や「さとふる」を選んだほうが無難です。

専門家が選定! おすすめの返礼品5選

松本

基本的には自分がほしいものを返礼品として選べばよさそうですが、仮にとにかく得したいと思った場合の選定基準はあるのでしょうか?

金森さん

正直なところ、一時期ほどコスパがいい返礼品は期待できなくなってるんですよ。

以前は、いかに豪華な返礼品を用意するか自治体が競っていた時代がありました。ですが、2019年6月からは「返礼品は寄附金額の30%以下」と総務省が条件を厳しくしました

なのでお得度合いを厳密に比較しなくてもいいと思います。

松本

そうなんですね。では、金森さんの主観でもいいので、おすすめの返礼品があれば教えてください!

おすすめの返礼品①:北海道幕別町「十勝牛切り落としたっぷり1.6kg」

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

内容:十勝牛モモ・バラ切り落し 320g×5パック

寄附金額:1万円以上

金森さん

誰もが知るブランド牛ではないかもしれませんが、脂が乗っていておいしいんですよ!

牛肉の返礼品のなかではトップクラスのコスパだと思います。切り落としは使い勝手もいいので、あっても困ることはないでしょう。

おすすめの返礼品②:兵庫県三木市「万葉の湯全館で使えるギフト券4枚」

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

内容:温泉総合施設・万葉の湯全館で使えるギフト券4枚

寄附金額:1万円以上

金森さん

1万円の寄付で4000円分のギフト券が送られてきます。これは兵庫県三木市への寄付ではあるんですが、全国16箇所の万葉の湯グループで使えるので汎用性が高いですね。

おすすめの返礼品③:愛媛県西条市「アサヒスーパードライ」(1ケース)」

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

内容:350ml缶1ケース(24本入り)

寄附金額:1万5000円以上、もしくは4500ポイント

金森さん

お酒の返礼品はいろいろありますが、これは寄付金額に対する本数が多いので、コスパよく飲みたい人にはうれしい。

ほかにも、ちょっと沖縄に旅行してる気分が味わえる「沖縄県八重瀬町のオリオンビール」もおすすめです。

おすすめの返礼品④:栃木県小山市「おやま和牛A5ランク 和牛特選牛脂 700g」

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

内容:700g

寄附金額:3000円、もしくは900ポイント

金森さん

3000円の寄付からもらえるので寄付額が少ない人でもこれなら手が届きますね。炒飯やハンバーグに混ぜると、牛脂の旨味で驚くほどおいしくなります。

もちろん、牛脂を焼いてそのまま食べてもおいしいですよ。私が提唱している「高脂質食ダイエット」にも最適ですね。

おすすめの返礼品⑤:茨城県堺町「【令和元年産】茨城県のお米4種食べくらべ20kgセット」

(画像は公式サイトのスクリーンショット)

内容:茨城のお米4種食べくらべ20kg(5kg×4袋)
※下記の中から4種類を選択
・コシヒカリ…必須
・あきたこまち
・ひとめぼれ
・ゆめひたち
・あさひの夢
・ミルキークイーン
・一番星
・チヨニシキ
・ふくまる

寄附金額:1万4000円以上

金森さん

お米の返礼品のなかでもトップクラスにコスパがいいです。普段はいろんな種類のお米を食べ比べることは少ないでしょうから、この機会に試してみてほしいですね。

ふるさと納税で得する裏技

松本

ふるさと納税は普通にやってもお得だと思うんですが、ヘビーユーザーの金森さんだからこそ知ってる、裏技的なノウハウってありませんか…?

金森さん

ありますよ。では、いくつか簡単なものを説明しましょう。

ふるさと納税の裏技①:過剰に返礼品が来るのを防ごう

金森さん

まずは「ふるさと納税定期便」です。

松本

定期的に返礼品が届くってことですか?

金森さん

はい、1回の寄付で返礼品が複数回に渡って届くんです。

ある程度の寄付をすると、一人暮らしでは消費しきれない量の返礼品が届いて困ることがあります。それが防止できるのがメリットですね。

松本

あー、そういう方法があるんですね。

金森さん

特に肉や果物など足がはやいものを高い鮮度で味わえるので、積極的に利用してほしいサービスですね。

金森さん

なかには、複数の商品が入れ替わりで送られてくるものもあります。

たとえば茨城県境町の「【毎月お届け】プレミアムさかい定期便(12回コース)」は、地域の特産物である米・魚・肉を月替わりで届けてもらえます。いろいろ楽しみたい人におすすめです。

ふるさと納税の裏技②:旬の3カ月前には寄付をして「品切れ」を回避!

金森さん

果物や野菜など、旬のある返礼品を選ぶつもりなら、旬の季節が訪れる前に寄付を済ませておきましょう

スーパーに並び始めたころに寄付をすると、もう品切れになっていることもあるんですよ。

松本

どれくらい前に寄付しておけば大丈夫なんでしょうか?

金森さん

余裕を持って、旬の3カ月前がおすすめです。そうすれば、旬のころにおいしい返礼品が届きます。

ふるさと納税の裏技③:ポイントを積み立ててより豪華な返礼品に

金森さん

次は「ポイント制」を利用して返礼品を受け取る方法です。

松本

楽天ふるさと納税みたいに、寄付額に応じてポイントが付与されるって話ですか?

金森さん

いえ、自治体へ寄付して返礼品を受け取る代わりに、返礼品へ交換できるポイントが付与されるんです。

松本

それって何か意味あるんですか? どうせ交換するなら、返礼品に直接変えてしまったほうがいい気が…

金森さん

実は「とりあえず寄付しておく」ことのメリットがあるんですよ。

ふるさと納税は、翌年の税金を減らせる制度なので、年末が寄付の期限です。新年になってしまうと、本来できた節税ができなくなってしまいます。

なので一旦ポイントにしておくことで、返礼品選びを翌年に持ち越したり翌年分の寄付と合わせることでより豪華な返礼品をもらったり、といった使い方ができます。

松本

なるほど!

金森さん

ただ気をつけてほしいのは、ポイントを貯めておける期間。自治体によって有効期限が決まっているので、事前に把握しておきましょう。

ふるさと納税の裏技④: クレジットカード払いでポイントをゲット

金森さん

もし可能であればクレジットカード払いにしましょう

松本

あ、クレジットカードのポイントをゲットする作戦ですね!

金森さん

その通りです。 ただ「楽天ふるさと納税」の場合は、さらにポイントを貯めることができます。

ハピタス」というポイントサイトを経由して「楽天ふるさと納税」を利用すると、「ハピタスポイント」と「楽天スーパーポイント」、さらに楽天カードの支払いでクレジットカードのポイントも貯まるんです。

松本

三重取りができるんですか! それはお得ですね。

金森さん

こういったテクニックも活用して、ふるさと納税ライフを楽しみましょう!

「納税」という単語に、なんとなくハードルの高さを感じていましたが、今回のお話で、ふるさと納税は意外と簡単かもと思えました。

確実に得する制度なので、積極的に使っていきたいですね。

まだ活用したことがない人は、年末に焦る前にまずは返礼品を眺めるところから始めてみてはいかがでしょう。

〈取材・文=松本紋芽(@Sta_iM)/取材・編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1

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