ビジネスパーソンインタビュー
成毛眞著『人生も仕事も変わる! 最高の遊び方』より
資産家が若い頃からみんなやっている“遊び”がある。 ビジネスマンがやるべき遊び3選
新R25編集部
平日は朝から晩まで働いて、土日はひたすら寝る。「これ自分の生活だ…」と思った人、多いんじゃないでしょうか?
ビジネスマンにとって仕事に打ち込むことは本分ですが、一個人としてはこのままでいいのか…と思うことも多いはず。
ただ優秀な先輩に目を向けると、仕事だけじゃなくてプライベートも充実している人が多い気がします。
元日本マイクロソフトの代表取締役で、現在は「HONZ」を主宰している成毛眞さんもそのひとり。
成毛さんは、新著『人生も仕事も変わる! 最高の遊び方』のなかで「仕事以外の“遊び”を持っていると、人生が充実する」と話します。
その「遊びの極意」を書籍のなかから抜粋し、2記事にわたってお届けします。
ビジネスマンがやるべき遊び①「アート」
これからのビジネスマンはアートを学ぶべきだ。
アートとビジネスには密接な関係がある。詳しくは、岡崎大輔著『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』(SBクリエイティブ)や増村岳史著『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トウェンティワン)が参考になるので、ぜひ手にとってほしい。
美しいものを鑑賞し、教養を身につけるべきだ、というわけではない。
ピカソやダヴィンチの作品など、アートにはある種のいかがわしさがある。アートは、現在の価値と違うものを提示しなければ売れないのだ。
かつて、ゴッホの「ひまわり」は53億円で落札されたが、評価されたのは本人の死後だ。ゴッホは、生きている間に評価されるものとは違うものを描いた。印象派のルノワールやセザンヌも、当時の価値の否定をした。
フランスの保守的な美術界から批判にさらされながら活動を続け、突出した存在になった。
美術史のなかで、従来の価値観に対するアンチテーゼを描くことで評価を得る。そのいかがわしさこそがビジネスだ。
アーティストは新しく、かつ、大衆に受け入れられるものを作らなければならない。トライ・アンド・エラーを繰り返すのだ。
ピカソは、「ゲルニカ」や「泣く女」など、キュビスムで有名だが、若い頃の作品は非常に写実的である。写実的な画風では受けなかったため、キュビスムを始めた。画風を変えることで、社会的評価を得たのだ。
時代に合わせつつ、いかに時代をリードするか、ということはビジネスでも同じである。
よって、ビジネスマンはアーティストを見ておかなければならない。アートが極端に変化するときは、ビジネスも変化する。
また、アートは社会を反映する。
印象派は、産業革命があったから生まれた。産業革命によって、絵の具のチューブが量産され、戸外への画材の持ち出しが可能になった。また、蒸気機関車が走るようになり、画家の行動範囲が広がったので、郊外の風景が描かれるようになった。
だが、一般人にとっての遊びはアートではない。その瞬間が面白ければいいのだ。
刹那的な面白さの追求のため、50種類の遊びをやるとしよう。そのうち、48個目にハマるものがあれば、それが一生の仕事になるかもしれない。
ビジネスマンがやるべき遊び②「旅」
旅行は結構好きな遊びだ。
この10年ほどは毎年世界中をクルージングしてきた。最初は客船に乗ることそのものを楽しみにしていたが、今はエクスカーション、つまり寄港地でのオプション半日小旅行が面白いクルーザーを選ぶようなった。
最も楽しかったのは、南イタリアの港から1時間バスで行ったところにあるオリーブ農園への小旅行だ。2000年の歴史があるという農園で、地下には古代ローマ帝国時代のオリーブ・オイル製造の遺構まであった。
有名な城や教会、寺社仏閣などとは異なる凄みを感じ、すっかり興奮してしまった。まあ、そのあとに行ったジブラルタル近郊のなんてことない農園も楽しかったのだが。
これからの観光に求められるのはエクスカーションだと思う。日本の観光地でも、エクスカーションは強力な武器になるであろう。3時間でいいのだ。
農家でもいいし、断層でもいいし、ちょっとした歴史遺産でもいい。「エクスカーション」という言葉を広め、企画することが、日本の観光業にとって今最も必要だ。
宿泊施設至上主義は遅かれ早かれ終わりになるだろう。
インバウンド観光客や温泉地の復活を見るにつけ、これからは準広域の観光事業が最も面白い投資先になるかもしれないと感じる。
旅行に出かけると、必ず買ってくるものがある。その土地の民族楽器を買い付けてくるのだ。
ネパールに行ったときは、バイオリンと同じチューンで、4弦の木をくり抜いているだけの楽器を買ってきた。買ったのは土産物屋ではない。
民族楽器の演奏家が演奏するのを聴く機会があり、彼から直接買った。音色がとても綺麗で、どうしても欲しくなったのだ。
奏者にその楽器を買いたいと言ったとき、最初は驚かれたが、20ドルで売ってくれると言う。さすがに申し訳なくなり、40ドル渡して譲ってもらった。あとからわかったことだが、彼は国民的に有名な奏者だったらしい。
中央アジアには弦楽器と管楽器の両方があるため、民族楽器の種類が豊富だ。
インドのタブラという楽器も持っている。球を半分に切ったようなまん丸の打楽器で、ヤギ革が緩く張られている。世界で一番色々な音を出すことができ、演奏するのが難しい楽器と言われている。手を使って太鼓の張力を変え、音程を上下させることができる。
今まで買った楽器で一番安かったのは30円で買った、ケニアのディドリーボウだ。一本の針金を平たく細長い板に張り、ブリッジとして空き缶や瓶を挟む。その辺にある材料で作ったようなものだが、ものすごくいい音がする。
今でも忘れられないのが、買ったときのうれしそうなケニア人の顔だ。こちらとしてはたった30円だったが、その当時のケニアでは相当な価値だったのだろう。民族楽器のコレクションは50種類ほどにもなり、全部を一斉に奏で、世界の楽器オーケストラをするのが夢だ。
また、海外の旅行先で必ずすることと言えば、マンホールや消火栓の蓋の写真を撮ることだ。
国や地域ごとにデザインが異なり、面白い。撮りためた写真はもう何千枚にもなったと思う。ハンガリーのマンホールは植物がモチーフになっているようで、月日が経つと青サビが出て美しい。スペインには、アルハンブラ宮殿の天井のような幾何学模様が美しいものがあった。
旅行先には、今後風景が変わってしまうかもしれない場所を選んでいる。
20年ほど前に訪れたエジプトは、写真のように目に焼き付いている。真っ青な空、乾き切った砂漠、そこに佇むピラミッドとスフィンクスは雄大だった。
ところが、1990年代末から首都カイロは大気汚染が問題になり、かつてのような風景は見ることができない。
30年近く前のベトナム、ホーチミンも思い出深い。白いアオザイを着た女子高生たちが早朝の川沿いを自転車で走る姿は、映画のワンシーンのようだった。
最近では、アオザイを着た女性の姿は、ベトナム料理店以外ではなかなか見ることができない。何より、街中を走るのは自転車ではなく、オートバイが主流になってしまった。
数年前、キューバへ行く計画をしていたら、アメリカとの国交正常化交渉が報じられた。キューバの街中はクラシックカーの宝庫だ。1950年代製のフォードやクライスラー、キャデラックやシボレーが現役で走っている。
1959年のキューバ革命を機に、アメリカの経済制裁が始まり、キューバ政府は革命以前から国内にあった自動車以外の売買を禁止した。それが2011年に解禁されてからは、新車が増えた。
しばらくすると、キューバの自動車事情は他の国と変わらなくなってしまうだろう。その前に色とりどりのクラシックカーが走る姿を、この目に焼き付けておきたかったのだ。
ビジネスマンがやるべき遊び③「お金稼ぎ」
先日、ある程度の資産を持っている仲間と飲んでいて、全員が同意した共通点がひとつあった。
若い頃から毎日1回、寝る前の数分間などに、次のふたつを夢想する習慣があるというのだ。
・どうやって資産を増やそうか(どうやって少しでも稼ごうか)
・どうやって資産を減らさないか(無駄遣いしないか)
しかも、その夢想はほとんど実行されない。ふと夢想するだけなのだ。
大したことではないが、意外とその積み重ねが重要なのかもしれない。これは才能ではなく生まれ持った性格かもしれない、という意見にも全員が同意した。
人間の性格は、先天的・後天的な要因の組み合わせによって決まるとされているが、そのメンバーの出自や家族構成はバラバラで、あまりに共通性がなかった。つまり、家族的、経験的に作られた気質ではないと思われた。
さらに言えば、実は本当の意味でお金に執着があるわけではない。たまたま合理的に考えることが好きで、面白いと思う対象のひとつがお金ということなのだ。
というわけで、新しい遊びを考え始めると、ついビジネスにつなげてしまう。
例えば、アメリカの観光地にあるような1ペニーをプレスして記念品にする機械が日本にもあれば面白いと思う。
日本各地の観光地に100円玉と1円玉を入れると、1円玉がプレスされて富士山やらくまモンやらの刻印がされたお土産ができあがるのだ。
だが、日本には貨幣損傷等取締法があり、意図的に損傷を与えると、1年以下の懲役となる。法律を改正して、1円玉だけはOKにすると良いかもしれない。日銀も少しは硬貨製造益が出るだろう。1円玉の製造コストは0.8円と言われている。
2019年6月、育児休暇を取得した男性社員が、復帰翌日に引越しを伴う転勤を命じられたとニュースになった。
個人のツイートがきっかけで、企業がSNS上で炎上したのだが、広報戦略として悪手だったと言わざるを得ない。社員に一斉メールをしたのなら、同時にメディア発信もしなければいけない。メディア発信する文章もプロがチェックするべきだろう。
HONZを始めた10年以上前に、KOEZというマッチングサイトも同時に作ろうとしたこともあった。
出版各社の校閲部門の引退者やフリー校閲者を集めて、ネットで仕事を取るというアイディアだった。当初のクライアントは一般企業の広報宣伝部門。ネットで校閲仕事を募集し、ネットで校閲仕事のオークションを掛けるのだ。
100人の校閲者が集まれば、このたぐいの仕事は数時間で受注から納品まで終わる。この場合、メニューとして校正、校閲、法務校閲まで揃えて、弁護士事務所と連携するのが良いと思った。
その準備に某出版社の元校閲部長や某法律事務所も手配したのだが、準備している途中で飽きた。
ともかく、今でもこのアイディアは絶対にイケる。KOEZは企業広報から官公庁、広告代理店、出版社にいたるまで仕事を取るようになると考えていた。
Googleに対抗する検索エンジンを作ることも考えたことがある。
Googleの検索事業の決定的な弱みは広告に依拠した収益構造なのだ。それゆえにまずはGoogleなどからエンジニアを引っ張ってきて、Google検索にそこそこ対抗できるものを作る。せいぜい100億円もあれば米国内のDCまで作れるだろう。もちろん英語版だけでいい。
この検索には広告が一切入らないようにする。ひたすらユーザーが欲しがる検索結果だけを表示する。ユーザーのクッキーだの個人情報だの蓄積どころか一切取得しないと宣言する。当然、イノベーティブで競争が好きなユーザーが使い始めるはずだ。
それに先駆けて雇っておくのは投資銀行と弁護士だ。広告なし英語検索サービスの開始前に、Google株式の巨大なショートポジションを1000億円分ほど作っておくのだ。それだけのことだ。Googleの株価が10%でも下落したら100億円の投資など10分で回収できる。しかも合法だ。
Googleは各国語版を作るコストが掛かっているし、全世界での広告営業もしかりだ。当方はアメリカ国内だけでの広告事業を無効にするピンポイント攻撃だけで良い。そのうちにテーブルの下でGoogleから買収提案があるだろう。
巨大企業を困らせるのは、実はそれほど困難ではない。彼らの収入源をピンポイントに、最少コストで狙うだけだ。戦国時代とはそういうものだ。ともあれ必要なのは超優秀な弁護士だ。
趣味とは違う、「遊び」を知るための一冊
成毛さんは冒頭で、「遊びと趣味はまったく違う」と主張しています。
「遊び」と「趣味」は同じように捉えられますが、「趣味」は単なる生活の一部で、「遊び」とはかけ離れている、とのこと。
さらには、遊びを極めることで、まわりから「遊び上手」と呼ばれて、仕事とはかけ離れた仲間ができるといいます。
「仕事ばっかりで、人生が充実してるとは言えない」という人は、絶対参考になるはずです。
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