最近、「メディアによる、悪意ある抜き出し」みたいな話題が注目されてたじゃん。

競泳の池江璃花子選手が白血病を公表したときに「がっかり」と発言して五輪相が批判されてたとか。

失言かと思いきや「全文を読んだら、全然違う印象だった」と話題になってましたね。

それに限らず、いろんな記事のタイトルだけを見て、中身をちゃんと見ずにネガティブに拡散されてしまうことって多いと思うんだよね。

今回は、そんな風潮に警鐘を鳴らしたく、みんなを集めたわけ。

…ということで、我々が過去に取材した記事を使って「悪意ある抜き出し選手権」を開催します！

ええ…

まずは僕から…。こちら、どうでしょう!?

これは…

「わざと収入を下げて、生きている実感を得たい」という独特なお金の哲学を持つ人、「しんめいP」の取材記事です。

パッと見るとエキセントリックなんですが、「昔のように経済成長が見込めない日本で、ぬるま湯のような環境で働いていても幸福を感じにくい」という、多くの人が共感できる「幸福論」につながる話なんですが…

「100万円ぐらいハシタ金っス！」みたいな傲慢な印象ですね。エリートとか書いてあるし…

記事の前半部分、つまり「お金があります」という部分だけを抜き出したわけ。

だいたいの日本人は恵まれてるという話なんだけど、「元DeNAの金持ちが、余裕ブッコいちゃってる感」が出るかなと。

方向性はいいけど、もっと行ける！まだ悪意が弱いかな。

（マジかよ…）

じゃあ、これはどうでしょう！（バン！）

これはナイス悪意！

インパクトが強すぎる。顔の。

表情怖すぎませんか…？

田端信太郎さんは表情が豊かだから、こういう怖い顔の写真もめっちゃある。

悪意を持って抜き出すなら、「弱肉強食」感というか、あたかも「ブラックを強制してる感じ」をアピールするのがいいかなと。

「メンタル病むなんて確率論」なんて言ってましたっけ!?

言ってたといえば言ってたんだよね。

元の記事では、田端さんがR25世代のころの働き方を回顧する…という内容で、自身がいた会社のことを「一定の確率で、メンタル病む人は出てた」と。

「意志のないやらされ仕事だと、精神的にこたえる」「ブラックかそうでないかは、働く人の姿勢にもよるんじゃないか」という、若手ビジネスパーソンの意識の持ちようを説いてる話で。

田端さんの主張って、ビジネスの現場での“清濁併せ呑む”ような話が結構あるんだけど、その「学び」を排除して、「濁」だけを強調すると…

こういうタイトルが付けられるのか…怖い…

僕は、広告会社GOの代表・三浦崇宏さんの記事で「悪意ある抜き出し」にチャレンジしました。

この傲慢顔…！デキる！

イッキ飲みを強制するパワハラ上司をイメージした、ふてぶてしい写真をセレクトしました。

実際には、お酒が飲めない三浦さんが、飲み会が激しいイメージの強い広告業界でどう人付き合いしているのかを取材した記事なんです。

福田さんもお酒が飲めないですもんね。その悩みを相談しにいくようなかたちで取材したと。

「酒が飲めないくらいでつまらないって思われるなら、そもそも魅力がない人間なんだ」「『お酒が飲めたら楽しいんだろうな』って思う会は、きっと酒が飲めても楽しくない」とか、名言を連発してくれたんです。

そのあとで、どうしても「飲めない人なりの盛り上げ方」を教えてほしい！という流れがあって、「最終手段」として出てきたのがこの話で。

「イッキ飲み」なんて、“一発アウト”ですよね。

アウトだから出し方には注意したんだけど、逆に言えば、その人を貶めようと思えば、イッキ飲みを推奨しているように見せて「一発アウト感」を出せば簡単なんだなって思った。怖い…

次は私です。「人脈」をテーマに、人気編集者・箕輪厚介さんに取材した記事が元ネタなんですが…

「仕事をくれなきゃ仲良くしない」？ そんなこと言ってたっけ…!?

え、まあそんなようなことを…

元記事を見てみよう。

逆じゃない？

「自分（箕輪）が仕事をしてなかったら落合さんとは切磋琢磨できる関係性じゃなくなってしまう」って言ってるから。

うっ…

宮内。やってしまったな。「創作」を。

「悪意ある抜き出し選手権」は、あくまで“抜き出し”。元の発言をいかにうまく抜き出して、さもヤバイことを言ってるかのように見せるかを競うものなんだ。

君は今回、そのルールを逸脱した。

私、そんなつもりじゃ…

最後は俺が発表します！

ホントだ。お金払わないでアウトソースしてるって言ってるわ。

この記事読んでましたけど、ここ別に印象に残ってませんでした。

そうでしょう。これが「悪意ある抜き出し」の典型的なパターンです。

普通に書いてあっても違和感なく読めるのに、「ここが批判を集めそうです」と抜き出されると、すごくヤバイことを言っているように見える。

ホントだ…

ほかにポイントなのはこの写真の表情ね。

「お金払ってないんだよね（テヘ）」って、正直気まずいと思ってますみたいな表情を選んだ。

堀江さん、こんなかわいい表情するんですね（笑）。

取材のなかでたまたまこういう顔をした瞬間があっただけかもしれないのに、写真ひとつで印象操作って簡単だなあ…

続いてもう一作！

これはマジで言ってましたね（笑）。

こういう記事ありそうでしょ。「判明」「騒然」とか書いて、悪事が暴かれたかのように見せるという。

めっちゃありますね…

「バッシングは、言っている内容の良し悪しよりも、表現に引っ張られて起こる」。まさに今回の話と同じことをおっしゃってますね。

「悪意ある抜き出し選手権」で伝えたかったのは、悪意を持ったメディアに触れてると、知らず知らずのうちに、報道されている人の「本当の姿」が見えなくなっちゃうんじゃないかってことなんだよね。

でも、「本当の姿」なんて正直わからなくないですか？

週刊誌でスクープされた人に、実際会いに行くとかでもしない限り。

そう、答えはないんだけど、「どういう意図で書かれたのか」を想像するだけで、物事に対する自分なりの考えを持つことはできるでしょ。

週刊誌の記事を読んでも、その意図が「真実を伝えたいという正義の心なのか、人の足を引っ張りたいという野次馬根性なのか」考えるだけで、だいぶ印象は変わってくる。

なるほど…

今は情報ソースも複数見られる時代だから、タイトルだけで脊髄反射的に反応するんじゃなく、できるだけ“全文”を読むとか、動画があればそれを見て前後の文脈を追うようにしたいよね。

自分も、「どうせこの人はこういうこと言うでしょ」っていう先入観を持ってニュースを見ることが多いので、気をつけます…

でも、今回やってみて思った。人を誤解させるのって本当に簡単だわ。

だから俺は、今回作った堀江さんの画像を拡散させて、ネガキャンしようと思ってる。

いっつも取材でイジめられてるから。

この人最低だ!!!!