どうですかね…。僕が聞きたいくらいです。なんでだろう？

そうです。

打ち上げも苦手で「どうしたら打ち上げに行かなくて済むかな」って考えてます。

僕はあんまりお酒が飲めないんです…。行ったら楽しいときもあるんですけど、「疲れそう」っていうイメージがあって。

お酒を飲まない人、たとえば板尾（創路）さんとご飯を食べて、その後に喫茶店で午前3時とか4時くらいまでずっとしゃべってたりするんですけど。それは大丈夫です。

いえ、僕は入江くんのそういう性格に助けられてるんですよ。打ち上げとかも率先して行ってくれるし、僕にない行動力がある。

そもそも入江くんに誘われてなかったら、お笑いをやろうとは思っていなかったと思います。

僕はだいたいそういう感じなんです。漫画も人に勧められて描きはじめてるし。自分から何かやったことがないです。ライブを企画したりとか。

ないです。「この仕事をやりたい」と言ったこともないです。

みんなに比べたらすごく弱いと思う。

僕、そういうの全然思ってないんですよ。そういう考えだとどこかで絶対パンクするじゃないですか。怖いです。

ないですね。

最近「宝くじに当たった人のその後」をまとめたサイトを読んでるんですけど、だいたい身の丈に合わないお金の使い方をして不幸になる、っていうオチなんですよ。

お金を使うのが怖くなっちゃって。

弱肉強食の「弱」だから、戦わないようにしてるんです。戦うと負けるから。

そうですね。そういうことをすると、本当の実力がバレちゃうので。

そういうコンテストみたいなものの当日に「行くのやめようよ」って言って、入江くんに怒られたこともあります。

僕、ちっちゃいころから「戦いたくない」ってすごく思ってました。「ここで僕が勝ったら、誰かが負ける。苦しいな」って。

だからスポーツとかあんまり好きじゃないんですよね。

たとえオセロでも、自分が勝つと相手の人が負けてるから、嫌なんですよ。

なんでこんなことやらなきゃいけないんだろう、って思います。そう思いませんか？

戦わないためには、他人とは違うことをしなきゃいけないと思っています。

そうですね。僕にとって絵や漫画って、「勝ち負けをつけずに、みんなを楽しませられる」ものなんです。

誰が最高、って決めなくても「みんないい」ってなる可能性がありますからね。

だからいいなと思います。実際、どんな絵や漫画もいいと思うし。

僕は僕のことが、すごく大事なんです。

みんながそんなふうに、自分のことを大事に思ったらいいんじゃないですかね。

相手も自分と同じだと思ったら、自然と優しくなりますよね。

あると思います。人を傷付けるようなものを見るのもかかわるのも嫌なんです。

そんなのきれいごとで駄目だとは思うんですけど、どうしたらいいんですかね？ どうしたらそんな世界が来るんですかね？

…僕、スーパーとかに行って、自転車を停めるときにカギをかけないんです。

それで、戻ってきて盗まれてなかったら、「ああ、いい世界だ」って思うんです。

それがすごく好きなんです。

あります。

「チクショー！」って思います。カギかければよかった！って。

そうですね。あんまり勝負しない。

『大家さんと僕』は8コマ漫画なんですけど、編集者の方に「8コマのほうが4コマよりも鋭いオチが必要ないから矢部さんに向いてると思いますよ」って言われてそうしたんです。

「ウケた」とか「スベった」とかの勝ち負けがないところに行きたかったんです。

最後にきっちりオチがあるものが続くと疲れちゃうんです。

人間って走り終わってもすぐに止まらないでちょっと歩いたりするじゃないですか。そういう感じを作っているのかもしれないです。

うん、面白いものって疲れちゃいますもんね。

アイディアはそんなにないです。割と流されるスタイルというか、流されるのが好きなんですよね。

歩いて行くのは大変だけど、流されていると思うと遠くまで行けるような…どうですかね、今の？

はい、気持ちの上でも「あの人が言ったから、信じて頑張ろう」みたいなことにもなると思うんで。

そうですね。流されてますけど、なんだかんだ自分で選んでここまで来たわけですからね。