ビジネスパーソンインタビュー
GACKT著『GACKTの勝ち方』より
音楽だけならとっくに死んでいる。ボクが“GACKT”であるために考え抜いた「カネの稼ぎ方」
新R25編集部
アーティスト、実業家、俳優…と、マルチな活躍をみせるGACKTさん。
メディアでは「超一流芸能人」とも呼ばれていますが、その実態は謎に包まれています。「なぜGACKTはそんなにお金を持っているのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。
その答えは、GACKTさんが上梓した書籍『GACKTの勝ち方』に記されています。
同書は、GACKTさんにとって初のビジネス本。お金の稼ぎ方はもちろん、自己ブランディングやメンタルリセットの方法など、GACKTさんが人生を通して学んだことを教えてくれています。
2019年でソロデビュー20周年を迎えたGACKTさんの人生哲学をとくとご覧あれ 。
人生すべてをマネタイズする
たまに目にするネットでの声。
「なんでGACKT はそんなにカネ持ってんの?」
「テレビもそんなに出てないじゃん」
「曲も代表作ないし」
では、逆に聞く。
「10年前に代表作があった人たちの中で今も尚、当時と変わらず稼ぎ続けている人はどれ程いるのか」
もし、ある人がボクに対し「代表作なんて無いんじゃないの?」と言うのなら、『あー、ないかもなぁ(笑)』でいい。ボクが目指してるのはそこじゃない。
そもそもたくさんの枚数のCD を売ろうとやってきたわけではない。
自分の音楽を、やりたい音楽を、GACKT にしか作れない音楽を崩さず、コアなマーケットに届ける。
そのマーケットが20年、30年続くものに構築する。そうすれば、変わらぬ感動を届け続けることができる。それをずっと目指してきた。今もそれはできている。
「なんでGACKT って色んなことやってんの?」
などと言われることもあるが、
【自分の好きな音楽とステージをやり続けるため】
その一言に尽きる。
「音楽だけやってりゃいいのに」と言う奴がいれば、『音楽だけやってたらとっくに死んでるよ』と答える。
もし音楽だけやっていれば、自分の好きなステージさえ作れなくなる。
なぜならボクは、自分の求めるGACKTのステージの為には、利益など度外視する。ペイできる時もあれば、そうで無い時もある。
収入がなければ、収支を度外視した無茶なステージや、こだわり抜いた演出、何度もそんなものを続けてはできない。だったら他で利益を作るしかない。
ボクは、30歳から実業家としての活動もしている。色んな事業案件に対しエンジェルとして投資もしてきた。上手くいったものもあれば失敗もある。
今でこそ海外案件が中心となったものの、スタートは国内の些細なアイデアから生まれたものも多い。
実業家としてのボクは、まだまだ大したことない。ビジネスの世界にはスゴい人たちがたくさんいる。
ボクがすべての仕事で稼ぐ規模で言えば、円換算で数十億程度。
そしてそれには沢山の人が関わっている。ボクが関わり産み出したとしてもすべて自分が取れるわけではない。
ボク個人への実入りは、過去MAXで10億程。その年によって上下する。
そして、ボクが今の生活を維持するに必要な額は1年で2億弱。
生活、買い物、旅行など、ボクがGACKT として生きるのに掛かる年間のコストはこの辺り。
もちろん、ボクは 【ビジネス】だけで勝負しているわけじゃない。
ボクの武器は人生すべてをマネタイズすること。
そして、ボクが生きるのにかかる経費は、人生をマネタイズする為のコストでもある。
だからビジネスだけでなく、GACKTというセルフブランド、その他多くのことを大切にする。
ボクにとって人生をマネタイズするということは、ボクの日常やすべてのアクションが結果的にカネを稼ぐことに繋がっていく、ということだ。
GACKT として存在し、息をするだけでカネを生む
ボクより有名でファンの多い、【売れてる】ミュージシャンや芸能人はたくさんいる。
だが、ボクはその誰よりもファンを大切に想っている自負がある。そして、そのファンを大切にすることさえも、結果、マネタイズに繋がっていく。
一例をあげれば、この前やった限定ライヴ。
会場のキャパは2000人程度で箱は異常に小さい。だが、一番安い席で3万円、VIP 席は300万円。ファンクラブ限定のそのライヴは瞬間で完売。
GACKTの作品やグッズも、高価なものが多い。書籍やブルーレイさえもマーケットの基準と比べればかなり高い。数万円の作品をリリースすることもある。
課金制の映像ブログもそう。日々アップするコンテンツを見るのにその都度、500円程かかる。
それを数万人のコアなファンたちが欠かさず見てくれる。
いわゆる 【普通の音楽シーン】に比べれば、GACKT のアウトプットするものが、他よりも高い価格なのは自他共に認める事実。
だが、そのサポートがあってGACKTはGACKTであり続けられるし、作りたい音楽を、ボクにしか出来ない表現を追求することができる。
その感覚をファンと共有する。
だからボクは、そんなファンを裏切らないように常にGACKTとして向上し、最高のライヴと作品を創り続ける。
ビジネスでの結果とコアなファンからのサポート。
これだけでも、「GACKT はなぜそんなにカネがあるのか?」と疑問に思う算数が苦手な者たちも、理解できるだろう。
ボクの稼ぐ本質は、【人生をマネタイズする】こと。
仮に今、突然動けなくなったとしても、当面はサラリーマンの生涯収入ぐらいの実入りは毎年ある。
瞬間的な稼ぎは他の大成功した実業家に劣るかもしれないが、ボクなりのマネタイズの仕組みを怠ることなく日々構築し続けてきた。
それが、なぜGACKT が稼げているのか、という答えに繋がる。
出逢いをマネタイズする
水商売をやっていた。小僧(19歳)にしてはカネ回りが良かった。
欲しいものがあればとりあえず買い、いい女と過ごし、好きな車を乗り回した。快楽のまま、自由奔放に生きていた。
その頃のボクは愚かだった。カネは湯水のように湧いて出てくるものだと思い込んでいた。勘違いも甚だしい。
音楽をやろうと決め、21になる前に東京に出る。
だがその舐めた金銭感覚だけが変わらなかった。羽振りが良かった時のカネの使い方が染み付いていた。ロクな収入もないのにカネを変わらず使った。
ある日、いつものようにライヴやツアーに必要な服を買おうとしたがその日、その店はカードが使えない。
現金を引き出しに久しぶりに銀行に行った。そこで起きたことがすぐには理解できなかった。
まとまったカネが引き出せない。後ろに人が並んでいる。一旦ATM から手ぶらで離れ改めて【残高確認】をする。
さすがに唸った。思っていた残高と随分違う。もちろん、急に無一文になる程じゃない。
改めて記帳する。未記帳分がズラーッと印字される。その減り方の勢いが凄かった。
『じゃあどうやってカネを作ろう?』
スイッチが入った。現実的な選択肢は2つ。
・音楽をやりながらまた水商売をやる。
・会社に就職して働く。
音楽のために東京に来たわけだ。2つ目の選択肢は一瞬で消える。
最初の選択肢を選んだ周りの音楽仲間は実際たくさんいた。だがボクにはそれが上手くいっているようには見えなかった。
だんだん音楽よりも水商売が主体になっていく者がたくさんいた。
水商売の方が実際に稼げる。だが、当時の水商売は呑まなければならなかったし拘束時間も長い。そんな理由から音楽から遠ざかっていく者が少なくなかった。
音楽で食べていくことはそんなに簡単じゃない。ハングリーさも持続する強い想いも必要。ボクはより多くの時間を音楽に掛けたかった。
ただ、ボク自身がイメージするGACKTというミュージシャンは、貧乏な生活をしながらも夢を追いかけるドリーマーではなかった。
何かを我慢するのではなく、すべてを手に入れていく存在。
夢を叶える過程の生活すらもGACKTはGACKTでなければならない。
なぜなら、ステージでは壮大なことを歌っている人間が、裏では、6畳一間のアパートで一人洗濯機を回すような生活をしては説得力がない。
人生のプラスになるカネの稼ぎ方を考え、一つの答えに行き着いた。
『サポーターをつくろう』
まずは50人つくる。そう決めた。
ささやかでも 【本気でGACKT をサポートしたい】と思ってくれる女性、 ボクはそんな彼女たちを 【サポーター】と呼んだ。
50人のサポーターをつくろう
目標が定まれば、あとは行動するのみ。
無茶苦茶に聞こえるかもだが、ボクは毎日、池袋の西口公園に行って、女性を探した。
池袋西口公園。そこをボクのスタートラインと決めた。
探していたのは、声をかけてもサクッと断る美しい女性。【ハッキリとした意思を持っている人】だけを対象にした。
それは、声を掛けて簡単についてくる人よりも、ハッキリと自分の強い意志を示せる人の方が【本物のサポーター】になり応援してくれると思ったからだ。
決して誰彼構わず声を掛けたわけではない。他のナンパ好きの連中と同じことをしても意味がない。
結果として、「この女は固すぎて無理だろ」「絶対落とせないだろ!」と思われそうなそんな女性たちを対象とした。
音楽以外の空いている時間はそんな女性を探した。もちろん、無視されることも多々あった。無下にあしらわれることなど数え切れないほどあった。
「GACKT をそんな無下に扱うなんて」
今ならそう言う人もいるのだろうが、あまりの酷い扱われ方に笑ってしまうような場面もたくさんあった。だが、どんなことがあっても心は折れない。
日が経つにつれ、サポーターの数は増えていった。
3カ月で2000人以上の女性に声を掛け、結果、最終的に50人程の女性が本当のサポーターになってくれた。
彼女たちは皆 【普通の子】だった。社長の娘とかナンバーワンホステスとかでは無い。普通の子たちだ。
そんな彼女たちにボクの夢と現況を説明した。その上でこれからのGACKT をサポートしてもらえるかどうかを委ねる。
『無理の無い範囲の中でボクをサポートして欲しい』と真面目に話した。
まず、向こうが会いたい、応援したいと思ってくれること。そして金銭的なサポートを自ら納得し選んでくれること。
そんな子たちが皆、一時的でも、気まぐれでもない関係。だからこそ、今でも繋がっている当時の女性が大勢いる。
誰かが必ずオマエのことを見ている
ファンをつくる、ということにおいて大事にしているのは、【ファンの為の音楽をやるのではなく、また、ファンの為のGACKT でいるわけでもない】ということ。
【GACKTの音楽を追求し、GACKTがGACKTで在ることでファンに喜んで貰う】という考え方。
勿論、先の50人の女の子たちを始め、ファンのみんなの支えがあってはじめて、アーティストGACKT がいる。
アーティストというGACKTだけでなく、GACKTの生き方を応援してくれているファンや、ボクという人間まるごとのファンもいる。
だから、GACKT の生き方を貫くことが、ファンの皆に夢を与えることにも繋がる。
良く聞かれる質問で、【自分がやる】と言ったことをなぜそこまでやり抜けるのか? というのがある。
基本的には、自分の価値や信念に基づいて【やる】ことを遂行するのだが、それは一方で、【何かを諦めるファン、諦めそうなファンの代わりにやってみせる】ということでもある。
そんな彼らに対し、「私もやればできるかも」「諦めないで続けよう」と思わせることもまたボクの使命だ。
「私が信じた人がやるって言って、実際にやってくれたんだ」と勇気を与えることができる。
もちろん、それを成し遂げるために 【死ぬほど努力】する。
死ぬほど努力することは簡単なことじゃない。そして、それを継続することはもっとツラい。
だがそれをファンひとりひとりの代わりにやって見せる。ファンの想いを預かり、代弁し、『できるだろ?』と魅せる。それがGACKT。
親、友人、恋人でもかまわない。どんな人間でも、自分のことを好きでいてくれる人間が一人はいるだろう。
それはどんな職業でもそう。会社員でも起業家でもコンビニの店員でも駅の職員でも。誰かが必ずオマエのことを見ている。
そしてオマエが自分で決めた何かにまっすぐ向き合い実行していればきっと応援してくれる。
それが【ファン】の始まりだ。
ボクはファンと自分自身は決して裏切らない。ファンは自分の夢を叶える世界の大切な妖精みたいな存在だ。
予想はいい意味で裏切る。そして期待には大いに応える。そうやって、自分を応援してくれる人を増やしていく。
「GACKTとして生きる覚悟」を学んで、自分の人生を考えてみよう
『GACKTの勝ち方』「あぁオレもGACKTになってみたい」と言う人に、ボクはこう答える。
『GACKTやるって、マジで大変だけど。覚悟ある?』
誰よりも自分に厳しく、ハードワークかつストイックで気の抜けない日々を過ごしてきたからこそ、GACKTさんは今の生き方に至っています。
その覚悟に触れることで、自分自身を高く保とうと気づかされる一冊です。
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