ビジネスパーソンインタビュー
走りながら英語を身につける『英語の多動力』より
勉強は“我慢すること”じゃない。英語学習に必要な「没頭状態」はこう作れ
新R25編集部
「グローバル化の波はどんどん拡大していく」
「僕らにはもう、英語を避けて通る道なんてない」
そう主張する堀江貴文さんは、現在も国内外でビジネスを展開しています。ずっと多忙な堀江さんはどう時間を捻出し、どういった方法で英語を習得したのか?
そのノウハウが詰まった堀江さん著『英語の多動力』のなかから、英語を学ぶモチベーションづくりや、堀江さん流の英語学習法を3本の記事に分けて紹介します。
没頭は人間の力を最大限に発揮して「学び」を生み出す
没頭は人を決して立ち止まらせない。常に人を前へ前へと押し出し、新しい体験をつかませようとする。
あらゆるイノベーションを生み出すのは、「お勉強」ではなく「学び」だ。
夢中になっているからこそ、人は一日中それについて思考を巡らし、失敗を恐れずに試行錯誤を重ね、努力や苦労の過程さえ楽しむことができるのだ。
万有引力の法則を発見したニュートンも、現代物理学の父アインシュタインも、自分の抱いた疑問の検証に寝食を忘れるほど没頭し、そこでの発見を後世に残したからこそ、現代の学問の体系は成熟した。
彼らは「お勉強」をしていたのではない。ただ目の前のことにのめりこんでいただけだ。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズも同じだろう。心の赴くままに「学び」続け、道なき道を突き進んだ結果、偉業を成し遂げることができた。
この没頭する力こそが、人間の力を最大限に発揮する重要な行動なのだ。
今、僕らが目にする英語の教科書やワークブックは、すべて誰かの没頭の副産物にすぎない。それらを漫然となぞるお行儀のいい「お勉強」の中に、学びの本質は存在しない。
英語はコミュニケーションのツールだ。
もしあなたが中学や高校での「お勉強」で英語の基礎を押さえているのなら、またそれを繰り返したところで没頭できやしない。
まだ経験したことのない「英語の学び」をあなたは見つけ、それに没頭すべきなのだ。
「バランスよく勉強しよう」なんて考えなくていい
没頭、それは興味の赴くままに好きなことにハマることだ。
英語であれば、たとえば、発音にハマったり、文法にハマったりすることだ。
学説的には「バランスよく」学ぶことがいいとされている。でも、「バランスよく」なんて面白くないからハマれない。
発音がやりたいのに、やりたくない英単語の勉強をするとなると、100%だった情熱が一気に50%くらいに激減するだろう。それでは楽しくないし、興味が薄れて学ぶこと自体をやめてしまう。
英単語など気にせず、とことん発音だけにハマればいいのだ。そのほうがバランスよく勉強するより、はるかに英単語も身についていく。
発音を学ぶ過程で、さまざまな英語表現や英単語がセットで頭に入ってくる。発音を何時間もかけて勉強したけど、英語表現や英単語をまったく覚えていない、なんてことはありえないからだ。
ましてや、同じ時間でバランスよく学んだ人より、発音にフォーカスした人のほうが突き抜けた英語能力を身につけているにちがいない。
というのは、「君は英語の発音がうまいな」と誰かに言われるだけで、幸せホルモンとも呼ばれるドーパミンとセレトニンが分泌され、いい意味で調子に乗ることができる。
調子に乗ると、さらにそれに磨きをかけたくなるのが人間だからだ。
「広瀬すずに会いたい」という動機でいい
没頭の入り口はなんだっていい。
とはいえ、せっかく取っ掛かりをつくるなら、好きなこと、興味の持てることから入るのが一番だ。
たとえば、あなたにも好きな芸能人がいるだろう。別に、日頃から追っかけをするほど好きでなくてもいい。「広瀬すずかわいいな」というレベルでかまわない。
では、そんな「ちょっと好き」な彼らに、直接会えたら楽しいと思わないだろうか。
「そんなことできるわけない」とたいていの人が思うだろう。芸能人と会えることを、はなから「無理」と決めつけているからだ。
でも、ここは「無理」をいったん封印して、ゲーム感覚でひたすら知恵を絞ってみよう。そうすれば、何か案が出てくるはずだ。
芸能人御用達の通訳者になって海外ロケに同行する。
語学番組のプロデューサーになって番組出演を依頼する。
英語が話せるレアな俳優になれば映画で共演することだってあるかもしれない。
これらに向けた最初の一歩を踏み出すことは、本当に「無理」だろうか。
「絶対に達成できるのか」という視点ではない。「それに挑戦することは可能かどうか」という視点で考えてみてほしい。
俳優のオーディションに挑戦してみる。テレビ番組制作のスタッフ募集に履歴書を送ってみる。著名な通訳者に弟子入りする。誰にだってできることばかりだ。
障害があるとしたら、「恥ずかしい」「失敗が怖い」という気持ちくらいだろう。そんなものは、「無理」のうちに入らない。
「ちょっと好き」という小さな好奇心からでさえ、これだけの「できること」リストが作れる。
自分からさまざまな情報に触れ、動き回っているうちに、「これは面白い」「これには興味がない」といった内なる声が活性化してくる。
そのなかで自分のモチベーションが上がる「好き」を見つけたら、それを実現するために、すぐに英語に没頭しよう。
自分が没頭できる勉強法を見つけろ
没頭できる勉強の仕方を見つけよう。
常識や周りの目を気にせず、自分が夢中になれるもの。子供のころに遊んだゲームやスポーツはそうじゃなかったか? 母親に「ご飯だよ、帰ってきなさい」と大声で呼ばれても、近所の仲間とずっと遊んでいたのでは?
それこそが無我夢中の時間なのだ。忘我の境地に入り、時間がたつのも忘れてしまうのだ。
大好きな海外ドラマがあったら狂ったように視聴しよう。
今はテレビではなくネットでもたくさん配信されている。Netflix でもHulu でもAmazon Prime Video でもAbemaTVでもなんでもいい。好きなドラマの英語のセリフなんて全部覚えてしまおう。
ただし、最初からセリフを聞き取れなくてもいい。英語字幕で確認するか、シナリオ(脚本)のスクリプトをグーグルで「タイトル名 script」と検索して拾うことができる。聞き取れなかった英語の答えが知りたければ、それで間に合うはずだ。
周囲の人が引くくらい無我夢中になる。それこそが「学び」だ。
帰宅して無意識にテレビのスイッチを入れ、ダラダラと見ていたバラエティ番組に替わって、英語版の海外ドラマや映画を見る。
帰宅後や休日のリラックスタイムに見る番組を英語化しよう。ちゃんと日本語字幕も付いているから内容も理解できるはずだ。
勉強することは我慢することじゃない
僕は大学生のころ、北海道を除くほとんどの日本の土地をヒッチハイクで旅した。
最初はなかなか止まってくれない。ヒッチハイクというと、トラックのイメージがよく思い浮かぶようだが、僕の実体験では乗用車や会社の社用車が多かった。おそらく大型トラックはその会社の内規で他人を乗せることを禁じているのだろう。
だから乗用車や中小サイズのトラックの運転手に僕を乗せてくれるようアピールしたのだ。
そういうことも、自ら体験することで、初めてクリアに見えてくることなのだ。
次第にヒッチハイクの成功率が上がり、僕は日本のほとんどの都道府県を旅することができた。
こうした小さな成功体験を積み重ねることで、コンプレックスだらけの自分に自信を持てるようになっていったのだ。
もう見知らぬ人に声をかけるのも怖くない。交渉だってうまくやれる。自分の殻を打ち破ったという、確かな手応えがあった。
僕が起業後にも臆することなく営業をかけていくことができたのは、このヒッチハイクの経験があったからにちがいない。そして外国人や海外とビジネスをすることにひとつもためらいを感じないのも、原点はここにあるのだ。
ヒッチハイクは僕にとって大切な勉強の時間だった。
勉強することを「何かを我慢すること」だと思っていないだろうか?
働くことも同じだが、勉強や労働で得られるものを「我慢と引き替えに受け取る対価」だと思っていたら、人生はねずみ色だ。
我慢に我慢を重ね、耐え忍んだ対価として享受しているのだから。勉強も仕事も嫌いになり、学歴や金銭を色めがねで見てしまうのも当然だろう。
人生のなかで勉強と仕事は最も多くの時間を投じている代表格だ。それらを我慢の時間にしてしまうのは、どう考えても間違っている。
“我慢の時間”ではなく、“ワクワクする時間”に変える。
そんなふうに意識できる人は強く、物事に成功している。
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