ビジネスパーソンインタビュー

超クールだけど実は負けず嫌いな本郷奏多が「仕事では悔しさを感じない」と語るワケ

「幼稚園のころから仕事してますから」

超クールだけど実は負けず嫌いな本郷奏多が「仕事では悔しさを感じない」と語るワケ

新R25編集部

2019/04/25

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2019年4月、とんでもない日本映画が誕生してしまいました

天下の大将軍を夢見る戦災孤児の少年・信と、中華統一を目指す若き王・エイ政の物語を壮大なスケールで描いたエンターテインメント超大作、映画『キングダム』。

筆者は観終わった瞬間、あまりのスケールのデカさとアクションシーンのかっこよさに、「日本映画、やるじゃん!!!」と胸のうちで叫んでしまいました。

そんな話題作『キングダム』で、物語の鍵を握る悪役を務めたのが、俳優・本郷奏多さん。

今回は、原作に込められた「激情と躍動」というテーマに沿って、普段はクールなイメージのある本郷さんがいったいどんなときにテンションが上がるのか、聞いてきました。

〈聞き手=ライター・サノトモキ〉

【本郷奏多(ほんごう・かなた)】1990年生まれ、宮城県仙台市出身。『GANTZ』『進撃の巨人』など実写映画での活躍が目まぐるしく、現在は大人気漫画が原作の映画『キングダム』が絶賛公開中

サノ

キングダム、拝見しました!

今回本郷さんが演じられた悪役・成キョウ、公開前からビジュアルのハマり方に大興奮のキングダムファンが続出でしたが、実際観てみたらやっぱり原作通りはちゃめちゃに憎たらしかったです。

成キョウは、吉沢亮さん演じる若き王・エイ政の腹違いの弟。「正統な王家の血を引く自分こそ王位にふさわしい」と考え、兄の命を狙って反乱を起こす。(Ⓒ原泰久/集英社 Ⓒ2019映画「キングダム」製作委員会)

サノ

普段からダークな役を演じられることも多いですが、成キョウ役のお話が来たときはどんなお気持ちでしたか?

本郷さん

まあ、戦闘能力が低くて、頭だけは切れる、性格のねじ曲がった嫌なヤツで…

僕がやりそうな役だよな」と思いましたよ。

正直めちゃくちゃハマり役だったので、何も言えない

サノ

で、でも、そういう役が抜群に似合うのも本郷さんならではの強みですよね?

本郷さん

まあ、お仕事をいただけるということは、憎まれ役がハマる俳優として期待に応えられているのかなと前向きに考えてはいますけどね…

なんだかとんでもない空気になってしまいました

サノ

あの、今回は本郷さんがテンション爆上がりする瞬間についてお聞きしたいと思ってたんですけど、大丈夫でしょうか…

そんな瞬間、あるんでしょうか…

本郷さん

うーん…まあでも、ありますよ?

誰かをやっつけようとしてるとき、とか。

趣味の麻雀も全力でのめり込む。「人に勝つ」という感覚が好き

本郷さん

僕、ゲームとか麻雀とか、わりと対戦相手のいる趣味が多いんですけど、基本的には何か趣味を始めるにあたって、倒したいヤツがいるんですよ。

スポーツにしても、勝ち負けのあるものしかできなくて。たとえば陸上とか水泳ってレースの形で競ったりもしますけど、根本的な部分でいえば自分との戦いじゃないですか。そういうものがあんまり好きになれないんです。

サノ

意外と好戦的というか、勝負事がお好きなんですね。

本郷さん

もっと言えば、“人間”を倒したいんですよね(笑)。

「人に勝つ」という感覚が好きなんです

サノ

(それめっちゃ成キョウっぽくて、ファンとしては興奮してまう…)

本郷さん

なので、負けたときの悔しがり方は、かなりテンション高めと言えるかも。

「負ける」ってやっぱ、めちゃくちゃ悔しいんですよ。とくに趣味を始めたばかりのころとかって、自分のレベルが低いせいで悔しい思いをすることがすごく多いし、悔しさきっかけでのめり込んでしまう部分はけっこうあると思います。

サノ

たしかに本郷さん、麻雀ひとつとってもテレビの対局番組でプロの方と対決するレベルまで突き詰めてたり、趣味にもめちゃくちゃ全力なイメージがあるな…

本郷さん

むしろ趣味こそ手を抜かずに、常に本気でやってますね。

仕事はまあ、テキトーに…(笑)

サノ

うん…あの、そういうのって書いて平気ですk…

本郷さん

平気です

なぜかここで今日一番の凛々しさを見せる本郷さん

サノ

でも、それほど勝ち負けにこだわっている本郷さんが負けたときって、どうなっちゃうんですか?

本郷さん

マジで凹みますよ。

それこそ麻雀の対局番組で一回勝負のタイトル戦をやって負けたときとかは、帰ってからもずーっと「ハア…」ってため息ついてました。録画観て、「ここがダメだった、あそこでああすればよかった」とか反省会もしましたし。

サノ

もはやガチの雀士じゃないですか…

お芝居も反省会はするんですか?

キリッ

本郷さん

しないっス

サノ

これ書いて大丈…

本郷さん

大丈夫っス

芝居は仕事。だけど、生きていてもっともテンションが上がる瞬間

サノ

あの、お仕事をしているなかで「悔しさ」を感じたり、「テンションが上がる」瞬間についてもお聞きしたいんですけど、あるんでしょうか…?

絶対ない気がしてきたんですけど…

本郷さん

仕事に関しては、悔しさを感じる瞬間はほとんどないですね。だから、モチベーションも趣味とはまったく別物。

仕事の一番の原動力は、もう確実に「給料」です

もはや清々しい

本郷さん

もちろん役者の仕事にもやりがいはあって、自分が関わった作品をたくさんの人が観て評価してくださるっていうのは、すごくうれしいですよ?

たぶん今から1カ月くらいは、いろんな人が会うたびに「キングダム、観たよ!」って言ってくれると思うし、それは本当にありがたいことです。

でも、仕事は仕事なので…そりゃあお金は大事ですよね。

サノ

じゃあ、悔しさもなければ、テンションが上がる瞬間もない…?

本郷さん

いや、演技中は普段日常生活では絶対に感じることのないところまで感情のレベルを上げていくので、むしろお芝居って僕が生きているなかで最もテンションを上げられる瞬間かもしれません。

本郷さん

本気で怒りを爆発させたり、ボロボロ泣いたりすることって、普通に生きてたらそんなにないじゃないですか。

もちろんどこか数%はカメラの角度とかも気にしてるし、100%その人間にはなり切れてはいないですけど、それでも普段の心の動きと比べたら格段に跳ね上がっている。

今回も、おじいちゃんくらいの年齢の方にブチ切れて怒鳴ったりとか、普段言ったらみんなに嫌われちゃうような罵詈雑言を吐き散らかしてるので(笑)。めっちゃ楽しかったですよ、成キョウ。

サノ

おおお! お芝居についてついにポジティブなコメントが!!

勢いに乗って聞いちゃいますけど、今回の『キングダム』、本郷さんが一番テンションが上がったシーンってどこだったんでしょうか!?

本郷さん

総じてアクションがほんとうにかっこいいなって思いながら観てました。

映画のアクションってワイヤーとかも使うんで、たまに「おや? これは人間の動きとしておかしいよな?」と思うようなこともけっこうあるんですけど、今回はその違和感がほとんどなかった。

それって、けっこうすごいことなんです。

サノ

めちゃくちゃわかります!!! 肉体の限界ギリギリに挑戦するようなアクションが随所に散りばめられていて、「人間って本気出したらこんな動きできんのか…」ってゾクゾクしましたもん。

本郷さんも「アクションシーンは思わずテンション上がっちゃう!」とかあるんでしょうか!?

本郷さん

やるとなったらやりますし、しっかり準備もします。

質問のテンションを間違えたようです

サノ

『キングダム』って基本むさくるしい男だらけで、本郷さんみたいに知的でシュッとしたキャラってごく少数ですけど、観てるとテンション上がっちゃうようなキャラっているでしょうか?

本郷さん

わりと、大沢たかおさん演じる伝説の将軍・“王騎”みたいなゴリゴリの武闘派タイプにも惹かれますよ。

要潤さんふんする王騎の右腕、“謄”とかも好きです。謄が剣を振るうときに鳴る謎の擬音「ファルファルファル…」、もし続編があったら聞きたいっスよね。

「あっ、これ『ファルファル』じゃん!」って言いたい(笑)。

「悔しさ」がないのは、自分の仕事に自信があるから

サノ

今日はお忙しいなかありがとうございました!

できれば、本郷さんの熱い俳優魂が伝わるイイ感じの締めにしたいんですけど、お仕事で「悔しさ」を感じたエピソード、本当に何もないでしょうか…!?

本郷さん

ええーーー…

考え込むお顔すらこの美しさ。こちらはもう何分でも待てます

サノ

強いて! 強いて言うと!?

本郷さん

いや…はぐらかしてるわけでもなく、本当にないんです。

というのも、ちゃんと自分の仕事に自信もってやってるので。

サノ

といいますと…?

本郷さん

僕は幼稚園に通ってたころから表に立たされて、もうずいぶん長いことお芝居をやってます

それだけ本業としてやってきたわけですから、「悔しさ」みたいなフェーズはもうさすがに卒業してるかなと。

レベルが足りてなかったら、とっくにこの世界にいないので。プロとして、自分がしてきた仕事に自信はあるんですよね

……!!

サノ

そ、そういうことか!

本郷さん

ん?(笑)

サノ

「お芝居で悔しさを感じることはない」ってスタンスは一見ドライに見えるけど、そこに秘められた真意は「悔しさを感じるような演技はしていない」というプロとしての確かな自信だったんだ…!

本郷さんのクールさの正体、めちゃくちゃ熱いです!!! ちょっとこっちがテンション上がってきました!

本郷さん

お、おお…それはよかったです(笑)。

仕事の話となると途端にドライな発言でお茶目に返しがちな本郷さん。

そのドライさが、じつは本郷さんの静かなる自信を象徴していた、などというかっこよすぎるギャップの虜になってしまったのは、きっと筆者だけではないはず。

あなたのまわりのクールな人も、ほんとうは熱いハートを秘めている…のかも!

〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉

映画『キングダム』情報はこちら!

さて、現在劇場で公開されているのは、そんな本郷さんがスクリーンで感情を大爆発させて怒り狂う、贅沢な2時間14分。

中国の戦国時代を描いたエンターテインメント超大作・映画『キングダム』、みなさんぜひ激情…おっと失礼、劇場へGO!

映画『キングダム』、全国東宝系にて公開中です!

配給:東宝、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原作:『キングダム』原泰久(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
主題歌:ONE OK ROCK

キャスト:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、高嶋政宏、要潤、橋下じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお

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