ビジネスパーソンインタビュー
お店で“カッコよく”振る舞う方法も教えてもらった
初心者がソムリエに聞いた、ワインの基本とおすすめワイン。ワイングラスでも味が変わる!?
新R25編集部
目次
- 最低限知っておきたいワインの品種は4種類
- 実はワインはだいたい“辛口”。辛口or 甘口よりも「産地」を見よう
- 高いワイン=美味しいワインではない理由
- 予算4000円以内! ワインソムリエが選ぶ品種別おすすめのワイン5選
- シャルドネ (華やか、パイナップル)
- ソーヴィニヨン・ブラン(爽やか、グレープフルーツ)
- カベルネ・ソーヴィニヨン(しっかり、カシス)
- ピノ・ノワール(かろやか、ラズベリー)
- レストランでワインは敷居が高い… ツウっぽく頼むにはどうすべき?
- ワイングラスを揺らすのは香りを楽しむための行為だった
- 感想をいわなきゃいけない時は“香り”と“味わい”がポイント
- 自宅でワインを楽しむためのポイントは、「ワイングラス」にあり
- ワインの魅力は「一緒に歳を重ねられる」こと
R25世代のみなさん、お酒はなにをよく飲みますか? ビール、レモンサワー、緑茶ハイ…「よく飲む」と言われるとこのあたりを答える方が多いのではないでしょうか。
でも、大人の男になるために知っておきたいお酒は…そう、「ワイン」です。
ただしワインは敷居が高く、初心者にはとっつきにくいイメージがあるのもまた事実。「種類が多すぎて選び方がわからない」「飲むときに慣れてない感が出てしまって恥ずかしい」など、ワインに対して苦手意識を持っている方も少なくないはず…。
そこで今回は、初心者が最低限知っておくべき
・ワインの基礎知識
・ワインのおいしい飲み方
・自宅で楽しむ場合のワイングラスの選び方
・お店で “ツウっぽく”楽しむための振る舞い
などを、ミシュラン3つ星を獲得したフレンチレストランに勤務し、2018年にはアジア・オセアニア ソムリエコンクール第4位に輝いた、ワインのエキスパート・井黒卓さんに教えてもらいました!
【井黒 卓(いぐろ たく)】1987年生まれ、沖縄出身。3年に1回行われる、全日本ソムリエコンクール2017準優勝、2018年アジア・オセアニア ソムリエコンクール第4位。ワインコンクールやアワードの審査員などのテイスターも務める。普段よく飲むお酒はレモンサワー
最低限知っておきたいワインの品種は4種類
ライター・いちかわ
ワインってそもそも種類が多すぎて、メニューに書いてあってもなにが違うのかまったくわからないんですよね。
井黒さん
正直、ソムリエをやっていてもワインの種類すべてはわかりません(笑)。全種類を把握するのは永遠に無理かもしれません。
ライター・いちかわ
えっ、ソムリエでさえ把握できないほどなんですか! やっぱり面倒なお酒だ…
井黒さん
なので、基本さえおさえておけば大丈夫です。
ワインの種類こそいっぱいありますが、基本の原料は“黒ぶどう”と“白ぶどう”の2つ。赤ワインは、ジュースに黒ぶどうの皮を漬け込むことで(皮の色が染み出て)あの色合いになるんですよ。
ライター・いちかわ
スパークリングワインはどうなんでしょう?
井黒さん
スパークリングワインは、白ぶどうと黒ぶどうの両方を使っていることが多いです。
※ちなみに、スパークリングワインのなかでもシャンパーニュ地方で造っているワインが「シャンパン」。各国スパークリングワインに対して、シャンパンは長く寝かせることでアミノ酸(旨み)を豊富に含むようになるのだそう。シャンパンの値段が高い理由のひとつは、これだけ時間をかけるためなのです。
ライター・いちかわ
でもそこからさらにぶどうの品種もたくさんあって、覚えきれません…
井黒さん
品種に関してはまずは4つだけ覚えれば大丈夫です。赤ワインなら「ピノ・ノワール」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」。白ワインなら「ソーヴィニヨン・ブラン」と「シャルドネ」。
基本的にこの4つはどこの飲食店にも置いてあるので、まずはこれを知っておくといいですね。それぞれの特徴はこんな感じです。
実はワインはだいたい“辛口”。辛口or 甘口よりも「産地」を見よう
ライター・いちかわ
ワインの品種についてはなんとなく理解できました。でもシャルドネのなかにもいろんなワインがあるじゃないですか。
よく、ラベルに“辛口”とか“甘口”とか書いてますが…
井黒さん
あ〜、ワインの“辛口”・“甘口”表記はアテにしない方がいいですね。
井黒さん
ワインの9割は辛口だと思って大丈夫です。
というのも、ワインはそもそも発酵の過程で、酵母によってぶどうの甘みが全てアルコールに変換されるために糖分はなくなります。なので味わいの基本は“辛口”になります。
※甘口のワインの造り方はたくさんありますが、ぶどうの糖分がなくならないように発酵を途中でストップさせることで、甘みを残しているのが多いのだそう。
ライター・いちかわ
えっ、でもそしたら一体何を参考に選んだらいいんですか?
井黒さん
選ぶときに見るべきポイントは、「産地」です。ワインの味は、そのぶどうの生育地によって変わってきますから。
よくコンビニとかで辛口と甘口の図があったりしますよね。あれ、単純すぎて逆にわかりにくいので、この図で覚えるといいです。これをおさえておけばOKです。
赤ワインにのみ存在する「渋み」は品種によります
井黒さん
産地が南で暖かい気候であれば、ワインの酸味はおだやかでフルーティな香りになります。南国のトロピカルフルーツのイメージするとわかりやすいですね。
ライター・いちかわ
なるほど、わかりやすい!
井黒さん
逆に、産地が北で寒い気候であればあるほど、酸味は強く、スッキリとした香りになります。フルーツでいうと、グレープフルーツやレモンのようなイメージです。
ライター・いちかわ
ちょっと待ってください。この表にある「ボディ」ってなんですか?
井黒さん
「ボディ」とはワインの“味わいのコク”のことで、フルボディはしっかりした味わい、ライトボディはさわやかな味わいと覚えて大丈夫です。
しっかりしたフルボディというのはアルコール度数が1度ほど高く、かろやかなライトボディは低くなります。
※ワインの平均はおよそ13度で、高くても14.5度前後。低くても12度ぐらいで大差ないように見えますが、味わいに及ぼす影響は大きいです。
ライター・いちかわ
実際にワイン飲むときは、この図を頭に思い浮かべよう…!
井黒さん
もし「初心者で味の違いがよくわからない」という人は、実際に試してみるのが1番。
お店に行ったら、産地の違うワインを2種類頼んでみて、ワインを「比較試飲」してみるといいですよ。
高いワイン=美味しいワインではない理由
ライター・いちかわ
ワインの値段っておいしさの判断材料になりますか?
結局、高いワインを選んじゃえば、大きく外れることはないかと思うのですが。
井黒さん
ワインって、価格では一概に判断できないんですよ。
輸入ワインは、その国の関税によって値段に差が出るんです。
たとえばチリ産のワインって安くてもおいしいと感じるものが多いんですが、それは輸入時の関税が安いからなんですね。プラス、その国の人件費も大きく関係してきます。
ライター・いちかわ
つまり、価格では判断しない方がいいと。
じゃあ、そもそも「おいしいワイン」ってどういうものを言うんでしょうか?
井黒さん
難しい質問ですね…
ソムリエに雑な質問をしてしまった
井黒さん
でも、料理のおいしさと一緒だと思います。
要は、バランスですよね。味つけや香りといったいろいろな要素があって、その好みは人によって違います。自分にとっておいしいかどうかはその人次第じゃないですか。
ライター・いちかわ
そうですよね。
井黒さん
ただ、ビギナーだとそもそも好みがわからないと思うので、スーパーで買うのでれば2000円以上、お店で飲むのであれば4000円以上のワインを目安にするといいですよ。
プレゼントなどでワインを選ぶなら、1番いいのはワインショップの店員さんに相談することです。
予算4000円以内! ワインソムリエが選ぶ品種別おすすめのワイン5選
せっかくなので、井黒さんにもR25世代にオススメしたいワインを5つ選んでもらいました。まずはこのなかから、自分の好みに合うものを見つけてみるのがいいかも!
シャルドネ (華やか、パイナップル)
ディアバーグ ヴィンヤード(カルフォルニア、サンタマリアヴァレー)3500円〜4000円
ソーヴィニヨン・ブラン(爽やか、グレープフルーツ)
フォリウム ヴィンヤード(ニュージーランド、マールボロ)3000円〜3500円
カベルネ・ソーヴィニヨン(しっかり、カシス)
コイレ ロヤール(チリ、コルチャグア ヴァレー)約2500円
ピノ・ノワール(かろやか、ラズベリー)
デ・ボルトリ (オーストラリア、ヤラヴァレー)約2500円
レストランでワインは敷居が高い… ツウっぽく頼むにはどうすべき?
ライター・いちかわ
ただ、いざワインを飲もうと思ってレストランに行っても、初心者には敷居が高いんです…。
「今日はワインかな?」と思っても、カタカナの羅列にビビって、ついいつも飲んでいるビールやカクテルに逃げちゃうんですよね。
井黒さん
わかります。「どれがいいですか?」って、なかなか店員に聞きにくいですよね。
ライター・いちかわ
まさに! 慣れてない感が出てしまうのがイヤなのと、外したくないのとで、それなら頼まなくていいやと…
井黒さん
そしたら、すこしツウっぽく頼める方法を伝授しましょう。
店員におすすめのワインを聞きたいときは、「この料理に合うワインはどれですか?」と質問するのが自然かつスムーズです。
井黒さん
ほかにも、「今日はお祝いで来たのですが、おすすめはありますか?」とシチュエーションを伝えるのもいいですね。
ライター・いちかわ
それなら自然ですね!
井黒さん
あと、デートなどで注文をするときに「すみません!」と声を張りあげないことです。
近くにいる店員さんと目を合わせて、席に来てもらうのを待つのがスマートですね。
ライター・いちかわ
あと、もうひとつ気になるのが、ワインを注文するとテイスティングするか聞かれることがあるじゃないですか。
あれは、どうしたらいいんですか?
井黒さん
基本的に「大丈夫です」と断っていいです。
もともとはワインが今みたいに当たり前に瓶に入っていない時代、樽の中に入っていた時はワインが酸化して美味しくない場合があったので、そのワインを所有している人が先にテイスティングをしてゲストに出してもいいクオリティかチェックしてたんですよ。
店員が聞く、この定番的なセリフ「お味見されますか?」って言うのはその当時の文化のなごりです。形式的に聞いているだけなので、断ってしまって問題ないです。
ワイングラスを揺らすのは香りを楽しむための行為だった
ライター・いちかわ
あと、ワインを飲むときに一瞬迷うのが、グラスを揺らすべきか、揺らさないべきかなんですが…
井黒さん
ワイングラスを揺らした方が香りを楽しめるのでオススメです。
図は香りのイメージ
井黒さん
ワイングラスを回すと、グラスの側面にワインが付着して、液体が揮発する面積が増えます。
アルコールは揮発する際に香りを伴って上がってくるので、香りが強くなるというわけです。
ライター・いちかわ
ちなみに、グラスの持ち方で気をつけるポイントはありますか?
井黒さん
ワイングラスは、脚を持つのが正解です。女性は脚でも1番下の方を持つと指が長く見えてキレイなのでいいですよ。
逆にNGなのは、グラスのボウル部分を手のひらで掴むようにして飲む「ブランデー飲み」です。これをすると、ワイン自体の温度も上がってしまうし、グラスに指紋もついて汚れる場合があります。
あとは女性はワインを飲む前にリップは落とした方が上品ですよ。
感想をいわなきゃいけない時は“香り”と“味わい”がポイント
ライター・いちかわ
先日、先輩がワインをごちそうしてくれたのですが、一口飲んでどう感想を伝えればいいのかわからなくて。
まずいわけではないんですけど、「おいしいです!」っていうのもなんだか軽いなあと…
井黒さん
「おいしい」もまったく悪くないですが、ワインを飲んだあとの褒め言葉としてはもう一歩ですね。
ワインの感想は、基本的に香りか味わいのひとつにフォーカスすると表現しやすいです。
井黒さん
たとえば、「重厚な味わいですね」とか、「さわやかな香りですね」。「ジューシーですね」もシンプルでいいですね。
ライター・いちかわ
その一言を言えるだけで、ちょっと賢くみえますね(笑)。
…さらにツウに思われるようなテクニックってありますか?
井黒さん
そもそもワインの世界でツウぶっても、いいことありません(笑)。ツウぶったところで、お店のスタッフにはすぐバレるのでやめましょう。
それに、多くの人がよかれと思ってやっているNG行動もあるんですよ。
ライター・いちかわ
それ、聞いておきたいです。
井黒さん
飲食店でワインを注がれるとき、ワイングラスに手を添える方っていますよね。
あれはマナーとしてもやらなくても大丈夫です。
ライター・いちかわ
店員さんへの配慮のつもりでした。
丁寧にみえますし、グラスはおさえた方が注ぎやすいものかと…
井黒さん
背が高いグラスでも、ワインを注いで倒れるようなことはないんですよ。
手を添えることでワインの雫がお客さまの手にかかる可能性がありますし、注ぐ側としてもやめていただきたいというのが本音です(笑)。
自宅でワインを楽しむためのポイントは、「ワイングラス」にあり
お店でワインをどう楽しむか知ったところで、次は自宅での楽しみ方も知っておきたい!
井黒さんによると、自宅でワインを飲む場合、気にするべきは「どのワインを買うか」より「どんなワイングラスで飲むか」だそうです。
井黒さん
ワイングラスによって香りは大きく変わるので、家で飲む場合はまずグラスにこだわるべきですね。
ライター・いちかわ
そうなんですか? では、おすすめのワイングラスが知りたいです!
井黒さん
グラスは音楽でいうスピーカーみたいなものです。
オススメはできるだけ薄いガラスのもの。そして下部が膨らんでいて、飲み口にかけてすぼんでいく形のグラスが最も香りをとりやすいのでいいですよ。
薄いグラスは触覚的にワインのおいしさを感じやすいです。ボウルの部分が小さくて、厚みのあるグラスは香りもしにくいですし、味わいも差を感じにくいんです。
井黒さん
あと「開けてからどのぐらい持つの?」って気になりますよね。
冷蔵庫にいれておけば、3日ぐらいはおいしく飲めますよ。保存方法もワインセラーがなくても冷蔵庫の野菜室でバッチリです。
ワインの魅力は「一緒に歳を重ねられる」こと
ライター・いちかわ
井黒さんは、学生時代からお酒全般が好きだったと伺いましたが、数多くあるお酒のなかでワインを仕事に選んだのはどうしてだったんですか?
井黒さん
ワインって、自分と一緒に歳をとっていけるお酒なんですよ。
ライター・いちかわ
ん…どういうことでしょう?
井黒さん
ワインが他のお酒と決定的に違うのはヴィンテージ(生まれ年)があることです。
井黒さん
たとえば、付き合った年、結婚した年、子どもが誕生した年、安いものでもいいのでワインをまとめて買っておく。それを記念日や誕生日の度に毎年開けていく。そうすると、ちょっとずつ味わいも変化していきます。
人間と一緒でワインって成長していくんですね。ただ必ずしも良い方向に成長していくとは限らないですけど(笑)。
ライター・いちかわ
(ロマンチックだ…)
井黒さん
安価なワインでも、自分と一緒に歳を重ねるごとに、特別なお酒として楽しむことができるんです。
僕はこれがほかのお酒にはない一番の魅力だと思って、ワインを好きになったんです。
ライター・いちかわ
おいしさ、とかじゃないんですね。ワインに対する見方が変わりました!
「一緒に歳を重ねることができる」
想像以上に深かったワインの魅力。いろいろ勉強してすっかり感化された筆者が、取材終わりに3000円のワインを買って、この原稿を書きながら楽しんだのはここだけの話です。
〈取材・文=いちかわあかね(@ichi_0u0)/編集=宮内麻希(@haribo1126)〉
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