ビジネスパーソンインタビュー

「2・6・2の法則でまわりを気にしない」42歳のコスプレイヤーが語る、自己肯定感の高め方

なんでその歳になってもコスプレできるの?

「2・6・2の法則でまわりを気にしない」42歳のコスプレイヤーが語る、自己肯定感の高め方

新R25編集部

2019/03/04

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リンクのコピー

昨今、「好きなことで生きていく」という言葉をよく耳にしますよね。

その生き方をうらやましいとは思いつつも、著名人が「好きに生きていくことはすばらしい! 最高!」と話していても、「いや、それはあなただからできるんでしょ?」と思ってしまうもの。

そんなことを考えながらSNSパトロールをしていると、あるひとりの女性を見つけました。

昨年、10月につぶやいたツイートが2万1000以上のリツイート5万5000以上のいいねをされ、一躍時の人となったコスプレイヤー・鷹村アオイさんです。

鷹村さんは現在42歳で、2児の母。もともと普通の会社員だったそうですが、あるとき好きだったコスプレに本気で取り組んでみたら人生が変わったと言います。

今回はそんな鷹村さんに、好きなことをして生きていくための方法を伺ってみました。

〈聞き手:ライター・於ありさ〉

鷹村アオイさん

きっかけはキャラに一目ぼれ。32歳からの一念発起

42歳とは思えないくらい肌がきれい…!

鷹村さんはいつからコスプレをやられているんですか?

鷹村さん

19歳のときですね。

もともと同人誌を描いていて、その売り子をするときに、『新世紀エヴァンゲリオン』の赤木リツコのコスプレをしました。

そこから趣味でコスプレをするようになりました。

でも、そのコスプレをやめてしまっていたんですよね。

それはどうしてなのでしょうか?

鷹村さん

コスプレに対する優先度が下がったからですね

スノーボードにはまったり、結婚して妊娠・出産したりして、コスプレに時間を割けなくなったんです。

鷹村さんが一躍有名になったツイートには、10年前からコスプレに改めて全力で取り組みはじめた、とありました。

これはどんなきっかけだったんですか?

鷹村さん

2008年の「東京ゲームショウ」でベヨネッタというゲームのキャラクターに出会ったんです。

これがその「ベヨネッタ」のコスプレ。そっくりすぎます

鷹村さん

会場の大型ビジョンに映し出されたベヨネッタを見て、「あ、かっこいい」とひとめぼれしてしまったんです。何度も何度も大型ビジョンの前を通って、その映像を眺めていましたね。

そのとき、「このキャラクターになりたい」という気持ちがこみ上げてきたんです。

それで「超美魔女のベヨネッタになるには、産後のゆるんだ体を改造しなくちゃ」と肉体改造を始めたんです。

毎朝お子さんが起きる前に1時間エクササイズをして、体型を確認しながらコスチュームを作っていたそう。コスプレの原動力はすごいなあ…

そこからもう10年以上コスプレを続けているのですね。

失礼ですが、ご家族から何か言われることはないのですか?

鷹村さん

最初は夫に「コスプレが好き」ってことを隠していたんですよ

でも、ベヨネッタのコスプレに目覚めてから、子どもを寝かしつけたあとにこっそり衣装を作っているのがバレてしまって…

旦那さまはなんと?

鷹村さん

こんな細かい作業してるの!? すごいことじゃん! むしろ言ったほうがいいよ」って応援してくれたんです。

それ以来、まわりに隠すのをやめました。

旦那さん素敵だなあ…。いざ友人に話してみると「私もやってみたい」「教えてほしい」と思わぬ反応が多くうれしかったと話す鷹村さん

自己肯定感は家の土台。それを高めるには“勘違い”すること

いくつになっても自分の好きなことに全力で取り組んでいる姿勢は、すごく魅力的に見えます。

どうすれば、鷹村さんのように生きられるのでしょうか?

鷹村さん

やはり自己肯定感だと思います。

根拠はなくても、「私は生きているだけで価値がある」と思いこんじゃえばいいんですよ!

そんな簡単なことでいいんですか?

鷹村さん

もちろんです。

勘違いでも自分に自信があれば、好きなように生きやすくなるんです。

逆に言えば、立派な肩書きがあって、見た目だけを取りつくろっているようではダメなんですよ。

自己肯定感って家の土台のようなものなので。

家の土台? どういう意味でしょう?

鷹村さん

土台がしっかりしていれば、風が吹いてもびくともしませんよね?

でも、土台がもろいと、たとえ立派な壁で固めたとしても、すぐに崩れてしまう。

それと同じで、自己肯定感が低いとょっと批判されただけですぐに考え方がブレてしまったりまわりに流されたりしてしまいがちなんです。

鷹村流・自己肯定感の高め方1:「全員から好かれるなんて無理って諦める」

鷹村さんはどうやって自己肯定感を高めていったんですか?

鷹村さん

2・6・2の法則」というものがあります。この考え方にすごく感化されたんです。

2・6・2? 初めて聞きました…

鷹村さん

まず、すべての人に好かれることはありえないんですよ。

自分が何をやっても好きでいてくれる人が2割、どちらでもない人が6割、どう頑張っても嫌いと言ってくる人が2割にわかれるんです。

どうやっても2割の人からは嫌われる…たしかに好感度が高いタレントのことを嫌いと言う人もいますしね…

鷹村さん

そうそう。でも、2割は何をしても嫌ってくるって考えたら、ちょっと気が楽になりません?

私がコスプレしていることに対して、「42歳にもなって…」とか嫌なことを言ってくる人って少なからずいるんですよ。

でも「あ、これはどんなに頑張っても嫌われる2割の人なんだな」って思っています。

強い思考ですね。自己啓発の名著『思考は現実化する』(ナポレオン・ヒル)と、自己啓発の源流「アドラー」の教え『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健)が人生を変えたのだそう…

鷹村流・自己肯定感の高め方2:鷹村流・自己肯定感の高め方2:身なりを整えると、信頼される

鷹村さん

あと、身なりを整えることですかね。

それはなんの意味があるんですか?

鷹村さん

身なりを整えていると、周囲から「しっかりしている人」という印象を与えられますよね。

デートのときでも、シワシワのTシャツを着てこられると、「この人って私と会うときにこんなテキトーな格好で来るの?」って思いません?

たしかに…服装がだらしないと、「この人はすべてのことにだらしない」という印象を抱きます。

鷹村さん

逆に、身なりが整っていれば、信頼されるんですよ。相手との信頼関係を築くうえでも、見た目の印象って大事なんです。

鷹村流・自己肯定感の高め方3:『ONE PIECE』のルフィの姿勢を学べ

鷹村さん

そして、さらに大事なのは「アファメーション」。

急に難しい言葉がでてきましたね…

鷹村さん

要するに『ONE PIECE』のルフィになったらいいんですよ。

なんで急にルフィが出てくるんですか?

鷹村さん

ルフィって「海賊王に俺はなる!」っていうじゃないですか。

「アファメーション」というのは、「私はこうしたい」ではなく、「私はこうである」と言い聞かせるうちに現実になる肯定的な自己宣言なんです。

まさにルフィそのものでしょう。

たしかに!

鷹村さん

別に海賊王とかそんなに大それたことでなくていいんです。

「自分のことが好きになりたい」ではなくて、「自分のことが好きだ」って言っていたら、きっと現実になります。

ポジティブな姿勢とか含めてルフィは、まさに成功哲学を詰め込んだような人。『ONE PIECE』を読んで、ルフィのスタンスを学んでみるといいかもしれませんね!(笑)

撮影=川口祥子さん

ちなみに鷹村さんは『ONE PIECE』のボア・ハンコックのコスプレもしています。美魔女すぎませんか…?

“個は出すけど、我は出したらダメ”

「2・6・2の法則」「身なりを整える」「アファメーション」…どれもすごく簡単です。今日から実践できそうですね。

鷹村さん

あと、好きに生きたい人に、どうしてもお伝えしたいことが1つだけあって…

気になります!

鷹村さん

個は出すけど、我は出したらダメ”だと思うんです。

どういうことでしょう?

鷹村さん

「私はこれが好き」と自分の好みを主張するのが“”だとしたら、逆に「あなたの好きなものは理解できない」と人の好みを否定するのが“”だと思っています。

ラーメンにたとえたらわかりやすいと思うのですが、「私は塩ラーメンが好き」と言う人に、「え? 私はとんこつラーメンが好きなんだけど、塩ラーメンなんてありえない!」と押しつけるのっておかしいじゃないですか。

結局、自分のなかで正しいと思うことは、自分のなかで完結させればいいんです。

それをちゃんと実践できれば、自己肯定感に満ちあふれていて、自分の好きなことにまっすぐ向き合える自分になれているんだと思いますよ!

自己肯定感が高い人を見ると、「自分とは違う人種だ!」と思ってしまいがち。

でも、もともと自分に自信がなかったという鷹村さんから、実践に基づいたノウハウをもらったことで、凝り固まった偏見が溶けていくような気がしました。

帰り際に、「私も好きを貫けるかっこいい女性になれるかな…」とぼやいた私に、「大丈夫ですよ! 40代の私が500歳のベヨネッタをコスプレをしていますから!20代のうちにできないことなんてないですよ!」と心強いお墨付きも!

うん、大丈夫、私はなれる! そう思うと、少し前向きになれた気がします。

〈取材・文=於ありさ(@okiarichan27)/撮影・編集=福田啄也(@fkd1111)〉

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