組織の思想に矯正されてはいけない
お前ら、“仕事ごっこ”してないか? 幻冬舎・箕輪厚介が伝える「熱狂的仕事論」
新R25編集部
記事提供:20's type
これからは個人の時代と言われて久しい。問われるのは、会社の看板などの所属ではなく、自分自身のブランドだと。
そんな中、会社員でありながら、強い影響力で大衆を熱狂させている人物がいる。それが、幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんだ。堀江貴文さんの『多動力』、田端信太郎さんの『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』などヒット作を連発。
その傍ら、自身が運営するオンラインサロン・箕輪編集室は会員数1300人を超えるなど、箕輪さんの活躍の場は従来の「編集者」の枠組みを超え、全方位的に拡大している。
このインタビューは、新世代の編集者が贈る、「個の時代」を20’sがサバイブするためのメッセージだ。
【箕輪・厚介(みのわ・こうすけ)】1985年生まれ。東京都出身。2010年双葉社に入社。ファッション雑誌の広告営業として4年間、タイアップや商品開発、イベントなどを企画運営。『ネオヒルズジャパン』与沢翼 創刊。2014年から編集部に異動し『たった一人の熱狂』見城徹/『逆転の仕事論』堀江貴文/『空気を読んではいけない』青木真也 などを手がける。2015年7月に幻冬舎に入社。『多動力』堀江貴文/『ネオヒルズジャパン』与沢翼/『悪意とこだわりの演出術』藤井健太郎の3冊でアマゾン総合ランキング1位を獲得するなど、ヒットメーカーとして活躍。
自分をブランド化するためには、常軌を逸した熱狂が不可欠だ
僕はこれからの時代、会社員であっても、いかに自分をブランド化して生き残っていくかが重要だと思っています。もう散々言い尽くされている話ですが、AIが普及すれば、今ある単純労働のほとんどが取って代わられる。時給単価はどんどん減っていきます。
そんな時代に、自分の給料が低いだなんて文句を言っても何も変わらない。単価を上げるには、自分にしかできないことを徹底的に磨いていくしかないんです。それがつまり、自分をブランド化するということ。
断言しますが、これからは「仕事」を「仕事」のようにこなしているサラリーマン的な人間は淘汰される。だって、そんな人の「仕事」には誰もワクワクしないから。
今や衣食住には困らない時代ですから、そんな時代に人生の意義を問われたら、もうそれは「自分がワクワクすることを見つけるレース」でしかないと思うんですよ。
世の中の多くの人が、常に何かワクワクできることを探している。その欲求を満たしてあげることが、個人のブランドにつながっていくんです。
じゃあ、どうやって人をワクワクさせるかと言ったら、とことん自分をさらけ出すのが一番。その熱量で人を巻き込み、熱狂を伝播させていく。
「仕事」だとか、「遊び」だとか、関係ありません。とにかく目の前のことに無我夢中になること。その常軌を逸した熱狂ぶりに、自然と人は引き寄せられるんです。
例えば堀江(貴文)さんは、「年に3回は自分が絶対やらなさそうなことをする」そうです。堀江さんが絶対に「やらなそう」な、ミュージカルに全力で挑戦してみるとか。もはや遊びだか仕事だか分からないんですけど、そういうところにこそ人が集まってくるんですよね。
僕も今度、水道橋博士とプロレスをするんですが、編集者の自分が何でこんなことをするのか自分でもよく分かりません(笑)。正直、すっごく面倒臭いですよ。体も鍛えなきゃいけないし、皆の前で裸になって殴り合うとか意味が分からない(笑)。
そういってやらない理由なんていくらでも挙げられるけど、それでもやるんです。なぜなら、そっちの方が面白いから。
人って面白いことを続けていると、どんどん自分の好奇心が刺激されて、感度が上がるんです。そうすると、今まで見逃していたことが見えてくるようになって、ますます人生が面白くなる。堀江さんとか見城(徹)さんが何でもがむしゃらに楽しめるのは、面白いことに反応するレーダーの感度が異常に高いから。
そういう反応レーダーって、後天的に磨けるもの。だから、常に熱狂している状態をつくるためにも、まずは何でもやってみることが大事です。
怖がったり、面倒臭がっていたら何も変わらない。極論、面白くなさそうと思うことにも、まずは「やります!」って言ってみる。家でモジモジと活躍している人のSNSを眺めていたって仕方ないでしょう。活動量を増やすことが、自分というブランドをつくる第一歩です。
仕事を地味にしているのは自分自身。 本質を追求し続ければ、いくらでも可能性は広がる
こういう話をしたら、僕が「編集者」という派手な仕事に就いているからだと言う人もいます。もちろん他の職種に比べて自由度は高いし、個が前に出やすい職種であることは事実。
でもだからと言って編集者と呼ばれる人がみんな僕のようかと言ったらそうでもないし、僕は編集の部署に移る前は雑誌の広告営業の仕事をしていましたけど、その頃から基本的なスタンスは何も変わりません。
営業時代、僕の担当していた雑誌は全く売れてなくて。「本当に発売してる?」ってクライアントから問い合わせがくるくらい、広告を載せても反響がなかった(笑)。
じゃあどうやってクライアントに喜んでもらうかと言ったら、読者モデルを集めてイベントを企画したり、一緒に服をつくったり、広告を載せる以外のところでアイデアを出して、広告料分の価値を感じてもらうしかない。
そうやって「営業」という枠を超えて、いろいろなことをやってきました。仕事に地味も派手もなくて、結局自分の仕事を地味に見せているのは自分なんですよね。
大事なことは、自分の仕事の本質を見誤らないこと。「営業」だから「モノを売る」、「編集」だから「本をつくる」なんて考えていたら可能性は広がらない。自分のやっている仕事の目的は何なのか。それを見失うことなく追いかけていたら、どんな職種だって、いくらでも可能性を広げられると思います。
人生の決定権は自分にある。「搾取」されていると喚く前に、自分の価値を磨け
熱狂しながら仕事ができるかどうかは、全て自分次第。そして、どこで働くかも、どうやって生きるかも、全部自分の自由ですよね。
最近、働く上で「搾取」という言葉がよく使われますけど、正直、あれの意味が僕にはよく分かりません。
「会社に搾取されてる」って愚痴るくらいなら、辞めればいいじゃんとしか思えないので。だって、そもそも会社は、自分が入りたいと勝手に希望して入るもの。別に誰かが「この会社に入れ」って強制したわけでも何でもないでしょう。
もしそれが、労働の対価として見合う給料を貰えていないという意味なら、自分が望む給料をくれる会社にさっさと移ればいいだけの話。
それができないなら、それはもう個人の問題ですよ。市場価格は、その人の実力によって決まります。例えどれだけ安いと思っても、そこしか行く場所がないなら、それが自分の適正価格。
嫌ならトレーニングを積むなり何なりして自分の価値を上げるしかない。「時給が安いから上げろ」って抗議しても無駄だから、そっちの方がよっぽど効率的だと思いませんか。
実際、労働力を不当に搾取している会社はあるでしょうけど、そんな会社が潰れないのは、そこで働く人がいるからです。ブラック企業は、ブラック企業で働く人がいるから成り立っているとも言える。
それなのに自分が選んだ場所についてダラダラ文句を言ってるのって、結局は自分で選択することを放棄しているだけ。問題の主語を自分以外の誰かにしてる時点で、もう人生を他者にコントロールされています。
嫌なら自分が変わればいい。人生の決定権は、常に自分にあるんだということを忘れてはいけません。
小学生のように疑い続けろ。 その会社でしかやっていけない人間にならないための防衛策
そして最後に、今これを読んでいる多くの人は何かしらの組織で働いていると思いますが、自分をブランド化して生きていく上で一番怖いのは、組織の思想に矯正されることです。
どこの会社も「これって意味あるのか?」っていう会社独特の無駄な風習とか慣習ってあると思うんですよ。極端な話、朝から皆で穴を掘って、夕方になったらその穴を皆で埋めて帰るというような、世の中に何一つ価値を生み出していないのに、汗だけかいたから何かやった気分になっている仕事や環境って結構ある。
そういうのって、まだ若いうちは「これって意味あるのか?」って疑問に持てるんだけど、組織に馴染んでいくうちに、わざわざ指摘して面倒臭がられるくらいなら、一緒に穴を掘って給料日に給料を振り込まれるのを待っている方が楽だって思考になる。そうなったら、もう終わりです。
あとはその会社が潰れたら何をやっていたのか自分の実績をまるで証明できない、ダメなサラリーマンになるだけ。そうならないためにも、決して思考停止させないこと。「プレイ」として会社の無意味な決まりやルールを受け入れる場面は時に必要ですが、心の中では常に「なんで?」と疑問に思っていればいい。
常に小学生のようにまっさらな目で会社の論理や常識を疑うことが、熱狂を生むための感性を錆びさせない方法なんです。
〈取材・文=横川良明/撮影=赤松洋太〉
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