ビジネスパーソンインタビュー
コンセプトは「田舎のおじいちゃんからの手紙」
こじはるもファン。長文なのに読んでしまう「しいたけ占い」はなぜ女子の心を掴むの?
新R25編集部
青山テルマや指原莉乃、小嶋陽菜、ダレノガレ明美など多くの女性芸能人がファンだという「しいたけ占い」。
2014年からWebマガジン『VOGUE GIRL』で連載をスタートして人気を集め、2017年12月に発売した2冊目の著書『しいたけ占い 12星座の蜜と毒』は、Amazonの売れ筋ランキングで13位にランクイン(2017年12月20日現在)している。
「どうぶつ占い」のように“マイタケ”“えのき”など、自分がキノコに分類される占いなのかと思いきや、“しいたけ”という名の占い師による12星座占いだから、「しいたけ占い」なんだそう。しいたけ氏が数年前まで唯一苦手な食べ物がしいたけだったらしく、「食べられるようになろう」と愛着を持つためにつけた名前なんだとか。
しかし、そんな「しいたけ占い」の何がそんなにウケているのだろう?
読ませるキャッチコピー力と、“当たってる!”と思わせるバーナム効果をうまく活用
毎週月曜更新の『VOGUE GIRL』では、12星座別にその週の運勢をオーラカラーと共に診断している
ファンの女性いわく、しいたけ占いは「いま女子が最も読める長文」だという。
『VOGUE GIRL』で公開された「2018年上半期の運勢」を見てみると、獅子座の場合、「2018年のあなたは『山岳モード』から『南国モード』になっていきます」と書かれている。
ん? 山岳モード? 南国モード? これだけでは何のことかさっぱりわからず、ついつい続きを読みたくなってしまう…。こんな仕掛けが文章の至るところに散りばめられていて、読者を引き込むのだ。
占い雑誌の編集者であるNさんは、「非常によく考えられている文章」だと話す。
「誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な内容を“自分に当てはまる!”ととらえてしまう心理現象を『バーナム効果』と呼びます。しいたけ氏は文章力がある方なので、“山岳モード”のような面白いキャッチコピーを取り入れながら、このバーナム効果をうまく取り入れているのだと思います」
https://voguegirl.jp/horoscope/shiitake2018-h1/contents/01aries/牡羊座には大きくふたつのモードがあるのです。
そのふたつは「ジメッとしたモード」と「カラッとしたモード」です。「ジメッとしたモード」はふてくされてしまったり、自分が持っている力をすごく過小評価してしまって「いいよ、私なんて」と言ってしまっている状態。そして「カラッとしたモード」は本来のあなたが持っている「子どものような無邪気な魅力」です。
本来、あなたはみんなの前に登場するだけで「何か面白いことが起きそう」と注目が集まり、あたり一面がパーッと無邪気に明るくなるような楽しい空間にさせていく力を持っているのです。
ふつうの占いとはひと味違う具体的な表現やアドバイスに、つい“自分ゴト化”させられる
さらに、“誰にでも当てはまりそう”とはいえ、「普通の占いより具体的な表現がたくさん登場したり、一歩踏み込んだアドバイスをくれたりするから引き込まれる」という意見も。
https://voguegirl.jp/horoscope/shiitake2018-h1/contents/01aries/2018年上半期の仕事面でのあなたのテーマは「SNSと離れる時間を持って」です。2018年はあなたにとって「10年続く新しいストーリーの幕開けの年」というぐらいに大切な年になります。
最初にお伝えしたいことがあって、もし可能なら2泊以上の旅行なり、ひとりで10キロぐらい歩いてみるなり、そういう「体を動かしながら自分と向き合える時間」を持ってみてください。
単に「SNSから離れてみよう」ぐらいのアドバイスならよく見かけるが、ここまで具体的に言われることはなかなかない。
これがつい自分ゴト化させられてしまい、実践してみたくなる占いの秘密なのだ!
「田舎のおじいちゃんからの手紙」のように。決して否定しないコンセプトが現代の女子にマッチ
写真は『VOGUE GIRL』で公開された「2018年上半期の運勢」のスクリーンショット
また、Nさんはこう続ける。
「ひと昔前は、『このままでは不幸になる』などといった厳しい言葉でドキッとさせる占いが流行っていましたが、今は、占いでも人の心に寄り添うやさしい表現が好まれる風潮があります。その点、このしいたけ占いは決して順位をつけたり、否定したりしない。“あなたはこういう人間だから、このままで大丈夫”というメッセージを感じるので、ポジティブな気持ちになれるんです」
『WWD JAPAN』のインタビューで、しいたけ氏はこんなことを話している。
https://www.wwdjapan.com/521017欧米では多くの人がメンタルクリニックや精神科医を利用するなど、カウンセリングしてもらえる機会が身近にあるんです。
一方、日本ではまだまだ敬遠されがちで。そのため、不満や不安が爆発してから病院に行ったり薬を処方してもらったりすることになり、症状が重く治りにくくなってしまいがちなんです。
だったら愚痴や弱音を吐ける場所、ニュートラルに緊張や不安を話せる場所が作れればいいなと思ったんです。
このような思いのもと展開されているしいたけ占いのコンセプトは、「田舎の里に住むおじいちゃんからの手紙」だ。
https://ameblo.jp/shiitake-uranai-desuyo/entry-12229230437.html手紙の書き手はおじいちゃんですから、その子がかわいくてしょうがないのです。だからしいたけ占いにはネガティブな表現がありません。都会で一生懸命やっているであろうその子に向かってひたすら応援を続けます。
決して上から目線に「こうしろ」というだけではなく、「あなたこういう人ではないですか?」とやさしく寄り添ってくれるしいたけ占いは、多くの女性の心の拠りどころになっているようだ。
スピリチュアル的な占いのイメージを払拭。ユルいイラストやSNS発信の“身近感”もポイント
神秘的な衣装を着ていたりしてどこか怪しいイメージもある占い師だが、しいたけ占いはユルめのイラストのおかげか、そういうスピリチュアル的な雰囲気は薄い。
SNSも積極的に活用し、頻繁にTwitterやインスタライブなどで情報を発信。そんなSNSを通じた身近さも女性に人気の理由だろう。
「雑誌の占いコーナーは文字数が決まっていて、端的に伝えることを主眼に置いていますが、WebやTwitterの“連投”で展開するしいたけ占いは文字数制限もないので、読んでいるうちに引き込まれていってしまうのでしょう」とNさん。
現代の女子の心を掴んではなさない「しいたけ占い」。普段占いにあまり興味がない…というR25男子も、これを読めば女性の気持ちがわかるかも!?
〈取材・文=新R25編集部〉
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