「フェラーリじゃなくてスーパーカブで十分」
ホリエモンや世界の起業家が挑戦中!「ロケット打ち上げ」はどんなビジネスになるの?
新R25編集部
今年7月、堀江貴文氏が、北海道の大樹町から観測ロケット「MOMO」の打ち上げにチャレンジした。しかし、残念ながら高度100km以上の宇宙空間到達という目標は果たせず、民間ロケットによる初の宇宙到達という“夢”は次回以降に持ち越しとなった。
R25世代としても確かに夢を感じるチャレンジだけど、ビジネス的な真意はどこにあるの?
海外では有名起業家たちがロケット開発に注力!日本では民間企業が参入しやすいように法整備
「誰もが宇宙に手が届く未来を」を掲げるインターステラテクノロジズ社(※画像は同社HPのスクリーンショット)
今回、ロケットの開発・打ち上げを行ったのは、国産ロケットベンチャーの「インターステラテクノロジズ」。2005年に堀江氏がスポンサーとなり、本格的なロケット開発事業をスタートさせた企業だ。
2016年11月には「宇宙活動法」「衛星リモートセンシング法」というふたつの法律が新たに成立した。宇宙関連の事業を許可制にし、事業として整備するといった内容の法律で、どちらも民間のロケットビジネスをサポートするもの。この影響で、今後さらなる新規参入もありそうだ。
日本国内でロケット開発を行う民間企業は実質「インターステラテクノロジズ」のみだが、海外では宇宙ビジネスを推進する企業が群雄割拠している。Amazonの創設者、ジェフ・ベゾス氏や、テスラ・モーターズCEOのイーロン・マスク氏も、現在はロケットビジネスにご執心!
技術革新と民間企業の参入で低価格化。ロケット打ち上げ費用は10分の1以下に!?
日本のNASAと呼ばれる『JAXA(ジャクサ・宇宙航空研究開発機構)』のロケット打ち上げ費用は約100億円と言われていたが、ここに民間企業が参入できるようになってきている理由としては、「半導体の技術革新で機器の小型化・低コスト化が進み、民間でも手が届くようになった」(毎日新聞「民間宇宙ビジネス活発に 小型ロケット・衛星事業に商機」)という事実もあるよう。
国の機関とは違い、利益を出さなければ存続できない民間企業の場合は必然的にコストを抑える意識も高くなる。堀江氏はかねてから「目的地(宇宙)にたどり着くための手段なら、フェラーリじゃなくてスーパーカブで十分」だと主張している。
インターステラテクノロジズ代表の稲川氏いわく、「衛星ロケット一回の打ち上げ費用として当社が目指しているのは、数億円レベル」とのこと。それが実現すれば、国営機関に比べて10分の1以下の費用に抑えることができる。
法律の整備、技術革新、そして民間企業の参入という要素により、宇宙ビジネスにはどんどん“価格破壊”が起きているようだ。
ロケットビジネスの基本は「衛星打ち上げ」の受託。より精度の高い災害予測などが可能に
低価格でロケットが打ち上げられるようになると、一体どんなビジネスが生まれるのだろう? 長期的には宇宙旅行などの夢も広がるが、基本となるのは「衛星の打ち上げを受託する」というビジネスだ。堀江氏は『ウェブ電通報』のインタビュー(ホリエモンの「世界最低性能ロケット」)のなかで、「僕らがやりたいのは、そういう超小型衛星を飛ばしたい人向けのバイク便。そのロケット版です」と表現している。
科学ジャーナリストの寺門和夫氏によると、「人工衛星は今とてもコンパクトになっているので、1台のロケットに10個は搭載できます。10の団体がひとつのロケットを共同で使うことができるわけです」とのこと。先述の稲川氏の話をふまえれば、数千万円で人工衛星を飛ばせるようになるという計算になる。
追加で衛星を打ち上げると、たとえばより精度の高い災害の予測などが可能になる。超小型衛星を大量に飛ばして地球を観測し、そのデータ販売をビジネスにする会社も登場しているようだ。
この分野のパイオニアとなることができれば、世界中の企業を顧客にできる。「あと2、3年もすれば日本でも具体的な試みが始まるはず」と寺門氏。民間企業の奮闘で宇宙が身近な存在になる日も、そう遠くないのかもしれない。
〈取材・文=中村未来(清談社)〉
※衛星ロケットの打ち上げ費用について修正いたしました。当初「約5000万円」と記載していたのは「観測ロケット」の打ち上げ費用(推測)であり、「衛星ロケット」のそれとは根本的に異なるものです。訂正してお詫び申し上げます(2017年11月17日)。
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