ビジネスパーソンインタビュー

テレビとの比較で納得!定額動画配信サービスがすごいコンテンツを作れる3つの理由

日本では地上波並、海外では映画並の制作予算が

テレビとの比較で納得!定額動画配信サービスがすごいコンテンツを作れる3つの理由

新R25編集部

2017/10/23

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好きな作品を、好きな時間に好きなだけ楽しめる「定額動画配信サービス(Subscription Vido On Demand=SVOD)」。近頃は日本でもAmazonプライムビデオの『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』、Netflixの『ハウス・オブ・カード』、Huluの『ラストコップ』などといったように、主要各社がこぞってオリジナルコンテンツに力を入れており、その多くはシリーズ化するほどの人気ぶりだ。

いったいなぜ、SVODがここまで人を惹き付けるコンテンツをつくれるのか? 最新デジタル事情に詳しいフリージャーナリスト・西田 宗千佳氏に話を聞いてみた。

制作費は地上波と同程度。SVODは一度作ったコンテンツいつまでも「在庫」として活用できる

「オリジナルコンテンツの制作費は会社や案件によってまちまちですが、国内向けコンテンツの多くは『地上波と同じかそれに近い予算』で作られています。さらに、海外の大型ドラマになると映画並みの予算で数十億円、Netflixの『ハウス・オブ・カード』は100億円規模で制作されています」

海外はまさしくケタ違いだが、国内のオリジナルコンテンツも地上波に引けをとらない環境でしっかりと作られている。それが魅力あるコンテンツ作りに一役買っているのは間違いなさそうだが、その制作費、ちゃんと回収できているの…!?

「テレビは(DVD化などはあるものの)基本的に一度放送したら終わり。しかし、SVODには放送枠などの制限がないため、作品をいつまでも『在庫』として配信することができます。過去のコンテンツも関連作品として視聴者にリコメンド可能。結果として、ロングテールでの視聴が続きます。また、SVODにとっては配信量が増えること=見たいものが増えることであるため、会員の解約率の軽減にも貢献します」

月額課金制のSVODは、顧客が長期契約してくれることがビジネス的にも重要。そのため、多額のコンテンツ出資は、十分に理に適ったものになるのだ。

Amazonプライムビデオでは、旧作ドラマも多数リコメンド(おすすめ)されている(画像はAmazonプライムビデオ「ドクターX」のスクリーンショット)

権利を独占しないことで制作サイドの前のめりな姿勢を引き出したり、大型キャスティングが可能に

続けて西田氏は、権利関係にまつわる意外な事実を教えてくれた。

「SVODの場合、オリジナルコンテンツの場合でも、『すべての権利をSVOD側が持つ』というわけではありません。ネット配信の優先権・一時的独占権はSVODが持つものの、コンテンツの著作権は芸能事務所や制作側のものであり、ディスク販売などの展開は彼らの判断で行えるようになっています。これはアニメもドラマも変わりありません」

これができる背景には、テレビとSVODのビジネスモデルの根本的な違いがある。ソフトをパッケージにして地方局に販売したり、ネットで流したりと2次利用で収益を担保しているテレビ局に対して、SVODは定額制の月額課金が収益源だ。作品を課金の呼び水にできれば、著作権を制作側に渡しても十分にメリットがある

このように作り手にもメリットを与えることで、制作サイドの前のめりな姿勢を引き出したり、ビッグキャスティングが可能になるのだ。このSVOD独自の権利処理も、クオリティの高い番組作りにつながっていると言えるだろう。

賞金1000万円をかけて互いを笑わせ合うAmazonプライムビデオの『ドキュメンタル』。テレビで活躍する人気芸人が多数キャスティングされている。

ビッグデータを企画にも活用。『ハウス・オブ・カード』は事前にヒットの確信を得て、100億円の制作予算がついた

また、視聴データの分析・活用はネットサービスならではの強みだ。

西田氏によると、SVODの作品評価には「最後まで見られたか」「何話で顧客の視聴が終わったか」などが加味されており、それが続編・継続シーズンの制作に大きく影響しているそう。Netflixの大ヒット作『ハウス・オブ・カード』の例でいえば、

1)Netflix内で同作の監督と主演俳優の過去作品の「最後まで見られている」比率が高かった

2)Netflix内で同作の原作となった英国版ドラマ『House of Cards』(1990年)の視聴数が多かった

という事実がヒットへの確信につながり、100億円の制作費出資が決まったといういきさつがあるようだ。

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は現在シーズン5まで続く人気ぶり。

魅力的なコンテンツで会員を増やし、そこで得た資金をさらに次のコンテンツに投下する。会員基盤の拡大とともに、SVODのオリジナルコンテンツはますますクオリティが上がっていくだろう。

ちょっと寒くなって部屋で過ごすことも多くなってきたし、休日は気になるSVODでゆっくり時間つぶしといきますか!

〈取材・文=池田麻友菜〉

取材協力/参照資料

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