ビジネスパーソンインタビュー
全巻重版出来&340万部突破の人気ぶり!
変態キャラ、バトル、グルメ、歴史…『ゴールデンカムイ』人気の理由は“全部盛り”!?
新R25編集部
「マンガ大賞2016」にも選ばれ、『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載中の漫画『ゴールデンカムイ』がアニメ化されることが決定した。
明治時代末期の北海道が舞台で、“隠された黄金をめぐる争奪戦”がストーリーの軸になっている同作品。全巻重版出来で累計340万部強突破という人気ぶりだが、読者の心をつかんで離さない理由はなんだろう?
コミックスやアニメグッズを幅広く扱う「K-BOOKS 池袋 アニメ&コミック館」の菊地さんにその魅力を聞いた。
「複雑な変態を描きたい」殺人犯、脱獄王、新撰組…個性的すぎるキャラクターたち
©野田サトル/集英社
「まず、“不死身”の異名をもつ元軍人の主人公、アイヌの少女、脱獄王、新選組の生き残り、熊撃ちの猟師など…登場するキャラクターが実に個性的。彼らが入り乱れるチャンバラや銃撃戦などのアクションは、まさに『混沌』のひと言です。さらには、黒澤明監督作品からドリフに至るまで、様々な作品のパロディが散りばめられています」
作者の野田サトル先生は、『このマンガがすごい!WEB』のインタビュー記事のなかで以下のような想いを語っていた。
http://konomanga.jp/interview/52634-2いわゆる悪役が、悪役のまま終わるとか、レッテルを貼ったようなキャラが出てくるようでは作品の質が悪くなってしまうと思います。「変態を!」「もっと複雑な変態を描かせてくれ!」と思ってます。
登場人物が覚えきれないほどのカオスっぷりだが、さらにはそれぞれのキャラが多面的な性格になるようにも意識しているらしい。
刺されても撃たれてもお構いなし!なぜか動物ともバトル!展開が読めない戦闘シーン
©野田サトル/集英社
「ゴールデンカムイ」はそんなキャラが立った登場人物たちが黄金をめぐって争うわけだが、なぜかみな異様にしぶとく、強い。多少刺されたり、撃たれたり、指を落としたりしたってものともしないのだ。そこには漫画でよく登場する特殊能力や魔法は皆無で、使うのは素手と武器のみ。
さらには先の読めない展開も特徴的で、危機が去って登場人物がホッとしてるのもつかの間、思いもよらない方向から第三の敵や動物に突然襲われるなんてこともある。
グロくてリアルな狩猟料理の数々が登場。「グルメ漫画」とも評されるほど
©野田サトル/集英社
また、そんなワイルドな戦闘シーンの合間を埋めるのが、アイヌ料理をはじめとする、さまざまな狩猟料理。
「リスの脳みそや鹿の肺など、普通に生活しているかぎり、生涯口にすることはないであろう食材を、アイヌ独自の方法で調理する様子が描かれているのもこの作品の魅力のひとつ。リアルな絵で再現されているため、資料的な価値もあると思います」
これらのグロテスクな珍グルメはたびたびネット上で話題になっており、ゴールデンカムイを「グルメ漫画」と評する人もいるほどだ。
巻末には参考文献がびっしり! アイヌの歴史や文化を自然と学べる
©野田サトル/集英社
ここまでカオスでありながら、同作品では、アイヌの歴史・文化について学べるという側面もある。
「単行本巻末の参考文献一覧を見てもわかるように、この作品は非常に綿密な調査・取材に基づいてアイヌの歴史や文化が描かれています。史実とフィクションが巧みに織り交ぜられているのも、ストーリーの大きな魅力になっていると感じますね」
“歴史・文化”と聞くと少々とっつきにくい印象を抱くかもしれないが、ゴールデンカムイはギャグをまじえながら面白おかしく描かれているため、グイグイ読めてしまうのだ。
冒険・ギャグ・歴史・グルメなどのあらゆるエンターテインメントがごった煮になっていることから、“和風闇鍋ウエスタン”とも呼ばれている同作品。ほかに類を見ないジャンルでありながら、これだけのカオスな要素を絶妙なバランスで成立させるセンス…すごすぎるぞ、ゴールデンカムイ!
アニメ化される前に、みなさんも読んでみてはいかが?
<取材・文=笹沼杏佳>
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