ビジネスパーソンインタビュー
今度は「温泉まんじゅう味」!?
奇をてらってるだけじゃない。「ガリガリ君」が“攻めた”味を発売する目的とは?
新R25編集部
コーンポタージュやナポリタンなど、毎度“攻めた”味でボクらを驚かせる「ガリガリ君」が、10月31日から「温泉まんじゅう味」を発売して話題になっている。
また狙っている…と思いきや、実は「ガリガリ君」はただ単にキワモノフレーバーを展開しているだけではなかった。その根底にある“想い”とは…。
熊本、東北などに売上の一部を寄付。実は変わったフレーバーは「地域応援商品」だった
2016年4月、「ガリガリ君」は60円から70円に25年ぶりの値上げ。これを伝える「謝罪CM」が話題になった。
赤城乳業会長や社員が出演し、真摯に値上げを謝罪する動画の効果もあってか、値上げした同月の販売本数は「暫定値で前年を約10%上回った」と報じられた。ネット上では「全然問題ない」「25年もよくがんばった」と赤城乳業の企業努力を賞賛し、支持する声が多く見られた。
こうした消費者の理解・支持への “恩返し”として、赤城乳業は今年3月に「ガリガリ君 九州みかん」を「地域応援商品」として発売。被災地となった熊本県産みかん果汁を使用し、パッケージでガリガリ君とくまモンをコラボさせ、その売上の一部を復興支援として寄付している。
ガリガリ君が熊本県庁を訪問し、復興支援寄付金・義援金を届けた(画像は「赤城乳業オフィシャルサイト」のスクリーンショット)。
今年10月の「ガリガリ君リッチ 温泉まんじゅう味」も東北の被災地を盛り上げようと発売されたもの。その名の通り温泉まんじゅうを再現した味だ。このときは売上の一部を寄付するだけでなく、山形県天童市のイベントや東北6県の温泉地で計2万本もの無料配布もおこなったという。
“ヘンなコラボ”だと思っていた新商品が登場した背景には、「ファンへの感謝」や「被災地支援」というテーマがあったのだ!
新R25編集部撮影
色味も断面のこしあんも、まるで温泉まんじゅう! 黒糖風味のかき氷と温泉まんじゅうの皮を思わせる柔らかい食感が絶妙だ。
「SLガリガリ君エクスプレス」も観光客に人気! 地域を盛り上げるイベントにも積極的に参加
秩父鉄道「SLパレオエクスプレス」のヘッドマークにガリガリ君!(2016年の様子)
ガリガリ君は、「地域応援商品」を展開するだけでなく、地域を盛り上げるイベントにも積極参加してきた。
その代表は、埼玉県の秩父鉄道とのコラボ「SLガリガリ君エクスプレス」。2014年から毎年夏休みの時期におこなわれ、列車の先頭につけたガリガリ君のヘッドマークやカリガリ君型乗車記念証、ガリガリ君との記念撮影やスタンプラリーなどを展開。いまではすっかり子どもたちに人気のイベントとして定着している。
ガリガリ君型の乗車記念証。子どもでなくてもテンションが上がりそう!
地域密着型のローカル線である秩父鉄道と、地元埼玉に密着しながら全国的にも知名度の高いガリガリ君によるこの企画。県内外からの観光客で盛り上がり、“夏の風物詩”になっているのもうなずける。
コーポレートスローガンは「あそびましょ。」 地域貢献の姿勢にも“遊び心”が生きている
しかし、こういった「地域貢献」などの姿勢を打ち出しながら、どこかユーモラスなのはなぜか? 赤城乳業の「会社案内」にはこんなフレーズがある。
「開発当初から何よりもたいせつにしてきたこと。それは『遊び心』でした」
赤城乳業のコーポレートスローガンは「あそびましょ。」。その精神が商品開発だけではなく、地域貢献にも表れているといえそうだ。その姿勢はまわりにも伝播し、結果として消費者側も楽しく社会貢献に参加できる。
会社案内のデザインにおいても“遊び心”を忘れない(画像は「赤城乳業オフィシャルサイト」のスクリーンショット)。
いつもボクらに驚きを与えてくれるガリガリ君には、単なるネタとして見過ごせない奥深さがあった。
さまざまな企業の姿勢が問われる問題が頻発しているこのごろ。赤城乳業みたいに“らしさ”と真摯さを忘れない気持ちは見習いたいところだ。
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