ビジネスパーソンインタビュー
「ずっと本番感がない」シリーズ
“責任感が強く器用”な30代が陥りがち!?サトマイさんと考える「人生にハリがない」パラドックスの脱出法
新R25編集部
「複雑なはずのビジパの悩みを、単純化して取材していた」 「本質的じゃない悩みをでっちあげていた」
という反省のうえ、「個人のリアルな悩みにひもづいた取材」を改めてしていくことを方針とした新R25編集部。
“ビジパの悩みインサイト”企画をスタートし、読者・視聴者からも「グダグダすぎて共感する」と謎の連帯感を生み出しています。
前回は、副編集長・天野が「人生に切迫感がなくて、モラトリアムが終わらない感じがする」というどうしようもない悩みを吐露。東洋哲学の本を著して人気となっている東大卒のニート・しんめいPに相談させていただきましたが…
Embedly今回は、同様の悩みを、YouTubeで「謎解き統計学」が人気のサトマイさんに相談させていただきます!
Embedly渡辺
サトマイさんが最近『あっという間に人は死ぬから』という本を出して話題になってて。
たぶん天野さんの悩みには刺さるんじゃないかな。
天野
それで言うと刺してほしいです。
「じつは、価値観が定まってないんじゃないですか?」
天野
僕が本当に悩んでいるのが、「モラトリアムが終わらない」「人生に本番感がない」っていう…
サトマイさん
私、企業や経営者に、コンサルティング兼コーチングみたいなことを日々やっていて、年間だいたい1万人くらいのビジネスパーソンを見てるんですよ。
そのうえで、「本番やってる人」の特徴はあります。
まずひとつは、「本番やってる人」は、夢を夢だと思っていない。「そうなって当たり前」と思っているんですよ。
天野
あー、なるほど。
サトマイさん
「自分はそうなっている(夢が実現している)状態が普通」だと思っているから、むしろ「今がおかしい」。違和感がある。
そこから、今を変えていくタイプの人が多いんです。
天野
たしかに、今すごく違和感があるとかじゃなく、むしろ居心地よく仕事しちゃってる感じはありますね…環境に安住しているから、何も決断せずにゆるゆると生きている…
サトマイさん
たぶんそういう人は、自分の価値観が明確じゃないと思うんです。
天野
価値観はあるような気もしますが…
サトマイさん
「価値観」って、世間的には“趣味・嗜好”みたいな考え方の部分だと思われてるじゃないですか。
ではないんです。価値観は「行動」なんですよ。「○○する」という動詞で表されるのが価値観なんです。
私の場合は「言葉で人を力づける」っていう価値観で生きてるんですよ。そういう価値観で生きてると、たとえばクソリプにクソリプで返すとかは価値観に反する行動だからやらない。
天野
企業の「ミッション」みたいな。
サトマイさん
8年ぐらい前に起業するのを決めてから、“仮”で決めて、週に1回振り返りをして…
それを何百回と繰り返して どんどん言語化されていった感じですね。
サトマイさんが手掛ける新サービスで、“思い込み”を診断してもらった!
サトマイさん
取材前に受けてもらった「診断」を見ながら話していきたいんですが…
天野
事前にWebで受けさせてもらいましたね。「科学的な占い」と言ってましたが、これがサトマイさんが始めようとしている新サービスなんですね。
サトマイさん
そうなんです。「ブレイクスルー診断」は、自分の行動を妨げる“思い込み”をあぶりだすもの。この思い込みを取り除けば、ブレイクスルーできるというふうにとらえてください。
天野さんはこのような結果になります。
サトマイさん
責任感が強いタイプでチャレンジ精神も旺盛。自分でやりたいことがあるので、そこはすごくいいところ。リーダーシップを取る立場にいると思うんですけど、それも向いてると思います。
逆に足を引っ張ってるのは…「自己期待」が若干高いですね。
天野
自己期待…自分に期待しすぎってことですか?
サトマイさん
そうです。反転させると“責任感が強い”という長所になるんですが、自分にプレッシャーをかけすぎている。
「起業や、家族を持つことを決断できない」という悩みも、「起業した人や子育てをしている人は、責任を持ってやってるんだろう」って勝手に投影してるんですよ。
責任を持たなきゃいけないっていうプレッシャーを自分に与えて、考えすぎみたいなところはありますね。
そして、こちらが性格診断になるんですが…
天野
なんか……平均っぽい?
サトマイさん
そうですね、「ミスター・アベレージ」ですね。
そんなカッコ悪いあだ名で呼ばれたくない
サトマイさん
でも、平均と近いってことは人の気持ちが分かりやすいってことなので、メディアの仕事とか向いていると思いますよ。
天野
ならまあいいか…
これ、納得感はあるんですけど、こんな性格を変えたほうがいいって感じなんですか?
サトマイさん
そうですね、認知行動療法っていうトレーニングがあって、いわば「科学的な脳トレ」。
それを受ければ、1カ月で変わります。
天野
えっ、そうなんですか?
サトマイさん
はい、変えられます。
1回10分とか15分くらいのワークを1カ月やるだけで、「よくない思い込み」などを有意に改善できる。
私は、人とのコミュニケーションを変えるための“現代人の基礎教養科目”だと思ってます。最近だと中学生から導入している学校もあるんですよ。
サトマイさんの会社でも不定期で開催しているそうなので、気になる方は公式LINEにご登録を
まだまだサトマイさんから出てくる「人生を本番にしてる人の特徴」
サトマイさん
ほかに、“人生を本番として始めている”人の特徴で言うと、義憤が強いなと思うんです。
天野
社会への義憤?
サトマイさん
社会に対してだったり、他者とのコミュニケーションに対してだったり、「なんで自分がこんな不当な扱いを受けなければいけないのか」みたいな。
怒りがモチベーションになって起業する人も多いですね。
天野
やっぱり現状への違和感をちゃんと感じて、それを改善するために動くっていうところがモチベーションになると…
サトマイさん
あとは、ロールモデルを持つといいと思います。
天野
うーん、ロールモデル的な人もいないんですよね…
正直、“ロールモデルなんて持てないだろ”って思ってしまってるところはあります。
サトマイさん
アニメとか漫画とかお好きですか?
ロールモデルはそういうキャラクターとか、架空の登場人物でもいいんですよ。
天野
漫画でいいんだ。
サトマイさん
そうです。「自分はこういうふうにありたいな」というキャラクターをたくさん挙げてみると、共通点が出てくる。そこから、自分の価値観につながります。
私の場合は『寄生獣』のミギーとか…
岩明均による90年代の名作。右手に目があるアレです
天野
ミギーになりたいんですか? それはなぜ?
サトマイさん
ミギーって、人と対話をしてくれる存在ですよね。新一と対話して、物事への理解を深めていく。
“勧善懲悪”じゃない存在というのも、「人にはいろんな事情がある。対話を通じて認知の歪みを解消したい」という、今の価値観につながってるところはあります。
天野
なるほど。じゃあ、漫画でもいいから“こういう存在になりたい”っていうのを定めて、「私はなれるんだ」っていうときに、思い込みが足を引っ張る可能性があるから、それを排除していくと…
そういう流れなんだな。
サトマイさんがこれまで見てきた「人生が本番だと思えない」人たちの、ある共通点とは
天野
さっき、いろんな経営者やビジネスパーソンの人と話しているってことでしたが、自分みたいに“まだ本番だと思えない”みたいな人ってけっこういますか?
サトマイさん
います。
そういう人ってだいたい、「器用な人」なんです。
天野
え、それはなんでですか?
サトマイさん
人間が幸せを感じるときって、自分が今まで払ってきた“コスト”に応じて、幸せや愛着を感じるんですよ。
時間とかお金とか、精神的な労力とか…
サトマイさん
自分がコストをかけてきたものに対して愛着が湧きやすいっていうことなんですけど、器用な人って、そんなに頑張らなくても、だいたいそれなりにできちゃう。
だから、他の人が頑張ってるのを見て、「なんか俺もああいうドラマがほしい」と思っちゃうんですよね。
天野
すごい苦労したから、これに愛着があるんだという…それゆえに義憤とか怒りが生まれてくるみたいな。
それは器用な人にはあんまり起きにくい?
サトマイさん
そうです。
器用な人は「何かにコストをかけてきてる」っていう感覚がないから、外から見ると「ちゃんと頑張ってうまくいってる」んですけど、本人からすると「ずっと頑張ってない」と思ってしまう。
天野
めっちゃそれだ。ミスターアベレージだし。
サトマイさん
“なんとなく人生にハリがない”みたいに思っている人は、器用な人が多いですね。
そういう人って、キャンプをやったりサウナに行ったりして、意図的に“差分”を作り出すことも多いですね。
困難な状況に身を置いて、コストをかけることで幸せを実感してるんですね。
天野
それ、めちゃくちゃいる気がしますね…
サトマイさん
人は、「努力やコストをかけずに楽して成果を手にしたい」って思うものですが、実際にそうなると、幸せを感じにくいっていう。
「努力のパラドックス」っていう心理学用語があります。
天野
いや~~、なんとなくそれなりに器用にやってきたけど、なぜか本番という感じがしないって人はビジネスパーソンに多そうだなと思ってて…
サトマイさん
まわりからしたら贅沢な悩みかもしれませんね(笑)。
「どう行動するか」という言葉で“価値観”を定める
漫画のキャラでもいいのでロールモデルを設定する
行動を防ぐ思い込みを取り除く「認知行動療法」にトライ
サトマイさん
人生をモラトリアムではなく本番にする方法としては、こんなところですかね。
天野
本当にいろいろ相談させていただいたんですけど、また引き続き相談に乗っていただきたいなと思います。
サトマイさん、ありがとうございます!!
ビジネスパーソンインタビュー
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