ビジネスパーソンインタビュー
児玉隆洋著『未来のお金の稼ぎ方』より
「牛丼100円」を怪しむ“相場観”を鍛えよ。知らなきゃ損する5つの“お金のスキル”
新R25編集部
2018年に起業し、現在は4年で2万人が受講するお金のトレーニングスタジオ「ABCash(エービーキャッシュ)」を運営する児玉隆洋(こだま・たかひろ)さん。
お金とテクノロジーを熟知した児玉さんが、“ミスター金融教育”として次世代のお金のスキルを伝授する著書『未来のお金の稼ぎ方』(幻冬舎)を上梓しました。
“お金のスキル”といえば、お金を増やすための「投資」を想起する人も多いと思いますが、児玉さんは同書のなかで「お金のスキル=投資のスキルではない」と断言します。
私たちが本当に身につけるべき“お金のスキル”とは一体…?
お金のスキルとは「投資のスキル」ではない
よく勘違いされる人が多いのですが、お金のスキルとは投資のスキルではありません。
たとえば結婚、転職など人生を見通すライフプランニング。
家計のキャッシュフローを適切に回せるパーソナルファイナンス。
保険のこと。
住宅ローンのこと。
詐欺に引っかからない知識を学ぶこと。
全部やらないと意味がありません。
投資のスキルもたしかに必要ですが、身につけたいお金のスキルの中のひとつにすぎないのです。
知識の有無が差を生むシーンは人生で数多くあります。
たとえば、毎日の買い物で払っている消費税。
住宅の購入にももちろんかかります。
当然、10%です。
5000万円の新築マンションを買うなら、消費税だけでプラス500万円もかかることになります。
では、築1年の中古マンションを個人から5000万円で買う場合、物件価格にかかる消費税はいくらだと思いますか?
これは0円です。
理由は、消費税は企業などの課税業者に対しかかるものだから。
このことをまず知っておく。
そのうえで自分の価値観で判断する。
知ったうえで選択できること、これがお金のスキルです。
身につけたいお金のスキル① 目的地を決める
では、間違ったお金のスキルにならないようにするためにはどうしたらいいのか。
最も大事なことは目的地を決めることです。
人生の目的地、どういう人生が欲しいかをまずしっかり決める。
これをしないと、安易に数値だけで考えて不必要にリスクの高い投資に走ってしまうとか、将来が不安だからと保険に入りまくってしまうとか、効率の悪い道を選んでしまいます。
なぜこうした判断ミスをしてしまうかというと、すべて目的地から逆算していないからです。
逆算すれば、貯めるべき金額や投資に回す部分も真剣に考え、やるべきことがちゃんと見えます。
身につけたいお金のスキル② ダブルインカム&資産の分散
資産運用の基本としては2つやるべきことがあります。
ひとつはお金がお金を生む投資をスタートさせること。
アメリカではすでに「ダブルインカム」がスタンダードになりつつあります。
ここでのダブルインカムとは、労働からの収入と資産からの収入がある状態のこと。
資産からの収入とは金利や株式の配当、不動産の家賃収入などです。
もうひとつは持っている資産を分散させるということ。
お伝えしてきたように、資産をひとつのカゴだけに盛ってしまうのはリスクが高すぎます。
日本人は貯金至上主義のようなところがありますが、資産が現金だけに偏っているのはむしろ危険です。
ハイパーインフレなどで国の貨幣価値が揺らぐと、あっという間に破産します。
現金・貯金だけで持っていないかどうか、自分の資産の内訳を確認してみましょう。
身につけたいお金のスキル③ キャッシュフローを見る
収入を適切に配分し、予算を意識して暮らす家計管理のスキルはとても大切です。
しかし、それとは別にお金を使うスキルとして身につけておきたいものがあります。
キャッシュフローを見るスキルです。
それを買うことでお金を生み出すことにつながるものは、プラスのキャッシュフロー。
お金を減らすものはマイナスのキャッシュフローです。
たとえば、住宅は自分が住むだけならキャッシュフローとしてはマイナスとなります。
固定資産税や家賃、リフォーム代などがかかり続けるためです。
しかし、賃貸物件として貸し出すと家賃が入ってくるのでプラスのキャッシュフローとなります。
持ち家は資産なのでは? と思われるかもしれませんが、会計とお金のスキルとしてキャッシュフローは別物です。
自分が住んでいる持ち家は会計上は資産として計上されますが、キャッシュフロー上はマイナスとなります。
すべての支出はプラス、マイナスのどちらかのキャッシュフローに仕分けできるので、次の買い物ではその支出がどちらに分類されるか、ぜひ考えてみてください。
身につけたいお金のスキル④ 詐欺を回避する“相場観”
投資詐欺になんてあわないから大丈夫、と思っていないでしょうか?
詐欺はお金のプロでも引っかかります。
最も伝統的で、いまだに手を替え、品を替え、登場する詐欺があります。
ポンジ・スキームです。
この詐欺は元本保証がありながら、異常に高い利回りをうたうのが最大の特徴です。
「今100万円を預けてくれたら、5年後に200万円にして返しますよ」「今なら利回り15%を保証します」など、普通に考えたら「おかしい」のですが、手口が巧妙でなんとなく信用してしまい、引っかかってしまうのです。
信用できる人であっても、「元本保証&高利回り」をうたっていたら、あやしいと思ったほうがよいでしょう。
そして、このあやしいと思える感覚こそ身につけたいお金のスキルです。
何をもってその感覚を持つかというと、「相場観」です。
たとえば、牛丼の相場。
1杯380円の牛丼が売られていたら、おそらく「まあ、普通だな」と思うでしょう。
では、同じサイズで1杯100円だったらどうでしょうか。
安すぎてちょっと心配になりませんか?
牛丼の相場を知っていれば、「100円はいくらなんでも安すぎる。賞味期限切れの肉なのではないか?」と疑う目を持つことができ、危険を回避できます。
相場観があれば、「105万円ならアメリカの株式で運用するのかな?」「110万円? かなりハイリスクかも」「120万円? いやいや詐欺でしょ」と、感覚的にジャッジすることができます。
身につけたいお金のスキル⑤ お金の情報を取捨選択する
ファッションも今は自分でセンスを磨く時代です。
Instagramなどでチェックしたり、試行錯誤したりして自分なりのセンスが身についてくると、アパレルショップで「こちらが新作です!」「こちらがお似合いです!」と言われても、「それもいいけど、自分にはこっちかな」と、自分の頭で考えてジャッジすることができます。
それと同じで、お金の情報を取捨選択していくには自分で判断する力をつけることが大切なのです。
金融機関やファイナンシャルプランナーがどんな情報や商品を提案してくれたとしても、それをどう選ぶかは自分次第です。
溢れる情報を取捨選択していくためには何を鍛えればいいのか。
まずは、お金の情報をシャワーのように浴びること。
そして、少しでも資産形成を実践してみることです。
この2つに尽きると思います。
地道な努力ですが、続けることで少しずつ確実に情報を見る目が磨かれていきます。
日本経済の父と呼ばれた渋沢栄一は、こんな言葉を残しています。
「視、観、察(し、かん、さつ)のこの3つを以って人を識別せねばならぬ」
お気づきの通り、「視観察」のすべての文字は「見る」という意味を持ちます。
「視」は、その人の言葉ではなく、行動を見る。
「観」は、その人がその行動を起こす動機を見る。
「察」は、その人が何に満足するのかを見る。
この3つを見ることで初めてその人のことが理解できると、渋沢栄一は伝えています。
表面的な言葉や情報に流されず、その人の行動をまず見る。
その裏にはどんな動機があるのか。
そして、どうなればその人は満足するのかを見る。
金融商品も金融機関も、人生を豊かにするために必要な存在であるのは確かですが、お金のセミナーや保険ショップへ相談などに行く際やお金の情報に触れるときは、ぜひこの渋沢栄一の「視、観、察」を思い出してほしいと思います。
激動の時代の“ブレないお金のスキル”を知る一冊
未来のお金の稼ぎ方 お金が増えれば人生は変わるテクノロジーの急速な進化により、長く親しんだ紙幣は形を変え、その使い方や稼ぎ方も新しいステージへ進む。
そんなお金の新しい時代に最低限必要なのは、お金の本質を理解し、お金とテクノロジーのメガトレンドを知っておくことだ。
Web3時代。私たちの働き方だけでなく、お金そのものの形も変わることが予想されます。
同書は、これからくるメガトレンドや、激動の時代でもブレないお金のスキルを教えてくれる一冊です。
マンツーマンのトレーニングでさらにお金に強くなりたい人は、児玉さんの運営する「ABCash」のHPものぞいてみてください。
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