児玉隆洋著『未来のお金の稼ぎ方』より

買い物は“リアルより手軽”で“通販より便利”に。メタバースで激変する7業界

お金
2018年に起業し、現在は4年で2万人が受講するお金のトレーニングスタジオ「ABCash(エービーキャッシュ)」を運営する児玉隆洋(こだま・たかひろ)さん

お金とテクノロジーを熟知した児玉さんが、“ミスター金融教育”として次世代のお金のスキルを伝授する著書『未来のお金の稼ぎ方』(幻冬舎)を上梓しました。

同書のなかで児玉さんは、近い未来、バーチャル空間「メタバース」がビジネスに欠かせなくなると言います。

とはいえ、まだメタバースでお金を稼ぐ未来を想像できない人も多いのでは…? メタバースには、どんなビジネスチャンスがあるのでしょうか。

同書より、「メタバース」で変わる7つの業界について一部抜粋してお届けします。

メタバースで変わる業界① 不動産

メタバースには土地があります。

今、このメタバース上の土地を買う人が増えており、カナダではすでにメタバース向けの住宅ローンの会社も登場しました。

なぜメタバースに土地を買うのかというと、今は不動産投資的な意味合いが強いです。

メタバースでの不動産投資はリアルと全く同じです

たとえば、20代が集まるメタバースの中心地に土地を持っていたらどうでしょうか?

渋谷のスクランブル交差点や109前のように、そこには多くの人が集まります。

となれば、多くの企業がそこに看板を立てたり、CMを流したりしたいと思うはずです。

土地を持っていれば、そうした企業に貸して賃料を取ることができます。

もちろん、値上がりすれば売却することも可能です。

企業にしてみても、メタバースの中心地や人が多く集まる場所に土地を買い、メタバースオフィスを建てるのはステイタスになります。

たとえるなら、丸の内にオフィスを持つのと同じです。

すでに多くの企業や著名人が土地を購入しています。

たとえば、マイクロソフト、ウォルト・ディズニー、グッチ、ナイキ、アディダス、KDDI、ソフトバンク、パナソニック、ソニー、キヤノン、ANAもメタバースに参入しています。

メタバースで変わる業界② エンタメ

メタバースとエンターテインメントは非常に相性がいいです。

すでにジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデなど、世界的アーティストがメタバースでライブを行っています。

VRゴーグルをつけて参加すれば、ライブ会場にいるような臨場感が味わえます。

しかも、最前列だって可能です。

今後のライブ配信はメタバースライブが主流になることも考えられます

物理的制約を受けないのも魅力です。

日本からアメリカで行われるジャスティン・ビーバーのライブに行こうと思ったら、10時間以上飛行機に乗らなければなりませんが、メタバースなら家にいながら参加できます。

日本でもエンターテインメント分野でのメタバース進出は進んでいて、渋谷のハロウィンフェスもメタバースで実施されました。

エイベックスもメタバースに土地を購入しています。

アーティストのライブ配信やファンミーティング、NFTグッズの販売などは、これから大きく伸びていくでしょう。

漫画やゲームもNFTによる「唯一無二」の証明によって、エンタメビジネスも広がりを見せていくと思います。

メタバースで変わる業界③ 旅行

バーチャル旅行は急速に発達していくと思います。

メタバースの旅行分野で話題を呼びそうなのがタイムスリップ旅行です。

戦争や災害でなくなった建造物がある時代や、『源氏物語』の世界を再現することもバーチャルなら可能なので、そうした新しいツアーも考えられます。

ANAは「時空を超える旅客機」というコンセプトで、バーチャルトラベルプラットフォーム「SKYWHALE(スカイホエール)」を運営するANANEOを設立しています。

旅行会社の販促ツールとしての利用も考えられます。

「イタリアとスペイン、迷ったらサンプル旅行をメタバースでお試しできます」など、新しいアプローチも生まれそうです。

足腰に不安のある高齢者や、病気で入院を余儀なくされている人と一緒にバーチャル海外旅行に行くことだって可能です。

他にもバーチャル旅行ならではの旅先として、アマゾンの奥地やアフリカのサバンナなども人気がありそうです。

危険動物や未知のウィルスへの感染を気にしなくていいので、より手軽に楽しめるでしょう。

ディズニーシーで人気の世界を旅するアトラクション「ソアリン」のメタバース版です。

そのディズニーランドもメタバースへの参加を表明しています。

ディズニーはメタバースやAR(拡張現実)関連の特許も取得するなど、本腰を入れて取り組んでいます。

メタバースで変わる業界④ ショッピング

メタバースで、リアルで着る服やコスメなどを買うショッピングも、通販に慣れた今の時代は受け入れやすい分野です。

すでにビームス伊勢丹セブンイレブンなどはバーチャル店舗を出店しています。

ビームスでは実際に服が買えて送られてくる仕組みです。

オンラインで買ったものが送られてくるだけなら、ネット通販と何が違うの?と思われるかもしれません。

ネット通販と大きく違うのはメタバースではショップ店員としてアバターが対応し、リアルの購入体験と近くなることです。

色のバリエーションやサイズなどについてその場で質問できたり、着こなしの相談ができたりするようになれば、リアルより手軽で、通販より便利な買い物になると思います。

AR(拡張現実)の技術が広がれば、服の試着やコスメのお試しも、テクノロジーでさらに進化していくでしょう。

メタバースで変わる業界⑤ 教育

メタバースの「複数人がバーチャルで体験できる」特性は、教科書を読んで想像するだけではない、学びをより深くするツールとして応用される可能性が高いです。

すでにスタンフォード大学ではバーチャル体験を教育に取り入れ、人種的な不平等を学生に体験させる授業を行っています。

差別などの道徳問題は想像だけでなく、体験を通じて理解することで気づきが多くなるでしょう。

天体観測や理科の実験歴史地理なども、バーチャル授業の応用が広がれば圧倒的に変わりそうです。

こうしたバーチャルの授業は、言い換えると「もしも…だったら」という世界を体験できるということになります。

たとえば、SDGsを推進しなかった年後の未来と、推進した場合の年後。

こうした未来をバーチャルで体験できれば、今取り組むことの意義も感じられ、意識も変わっていくと思います。

メタバースで変わる業界⑥ デジタルクリエイター・デザイナー

メタバースの旅行やエンターテインメントなどは演出のクオリティが命です。

ITが出始めた頃、ウェブデザイナーがもてはやされたように、メタバースに強いデザイナーやクリエイターは引っ張りだこになります

ライブ会場の空間デザインから、個人のアバターのデザイン、スタイリングまであらゆる場面でニーズが生まれます。

企業の出す看板、CMなどでも需要はうなぎのぼりでしょう。

さらに、そうしたクリエイターを養成する学校も出てくるはずです。

デザイナーやクリエイターと企業をマッチングさせる仕事も派生すると思います。

メタバース専門のマーケティング会社、不動産仲介業者、PR支援業者、メタバースの仕事やバイトを斡旋する業者も出てきます。

メタバースに強い会社や人」は、売り手市場時代に入っていくと思います

副業やアルバイトもメタバースで盛んになるでしょう。

リアルと同じように、お店はアバターの接客や案内が必要だからです。

わざわざ着替えたり、電車に乗って出勤しなくていいので、「ちょっとした空き時間にメタバースでプチ稼ぎ」する、新しいアルバイトの流れも生まれるかもしれません。

メタバースで変わる業界⑦ 金融

現在、メタバースに進出している金融機関は、HSBCJPモルガンSMBC日興証券などがあります。

銀行のメタバース支店があれば、24時間いつでも住宅ローンなどの相談が可能になるかもしれません

今後メタバースに進出する金融機関は、ますます増えていくと思います。

むしろメタバースに進出していないなんて、アプリやウェブサイトを持っていないのと同じくらいありえないという状況になっていくでしょう。

運用面でもすでに「メタバース投資信託」「メタバースETF」が出てきています。

これは国内外のメタバース関連事業の企業に投資する金融商品です。

新たな資産運用のテーマとして注目を集めそうですが、中国では早くもメタバース投資詐欺が発生しており、国が警告を出しています。

メタバースが広がりだすと、甘い話も必ず出てきますので注意してください。

そして、投資や資金調達も変わります。

銀行や証券会社など、中央集権型の金融機関に頼らない「DAO(分散型自律組織)」「DeFi(分散型金融)」などのサービスも生まれます。

今はまだ「なんのことか分からない」と思われる方も、数年以内に気づかずに触れている可能性はあるので、なんとなくでも仕組みを理解しておくことが大事です。

少しでも知識を持っておくことが、選択肢を増やすことにつながるのです。

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